2012年ヒト幹細胞培養液をはじめて日本へ上市したアンチエイジング株式会社。肌のいとなみの源流にフォーカスした働きをもつヒト幹細胞培養液は多くの女性の心を捉え、瞬く間に美容業界に「ヒト幹細胞培養液コスメ」という新たなカテゴリーを確立しました。今回はヒト幹細胞培養液原料の草分け、アンチエイジング株式会社 取締役 屋山朋康さん、マテリアル事業部部長 藤田英人さんにお話を伺いました。
幹細胞が分泌する多種多様なタンパク質成分が肌へダイレクトに働きかける
―― 幹細胞培養液との出会いについてお聞かせください。
屋山 先代の代表 野中秀訓が化粧品原料として、幹細胞培養液に出会ったのが2009年。
当時野中は製造業を対象にしたマーケティングコンサルを行っており、過去に10年間滞在経験のある韓国で精力的に様々な企業との接点を模索する中で出会ったのが、現在アンチエイジング株式会社の技術顧問を務めるバイオマテリアル研究所の代表理事、李ドンヒ博士でした。
この頃、化粧品業界には世界的なパラダイムシフトが起きていました。それは効くコスメの台頭です。それまでのイメージによるマーケティング主体の化粧品ではなく、エビデンスが重要視された機能性化粧品「コスメシューティカル」が注目され始めた時期でした。
そんな時期に李博士が注目した素材が「ヒト幹細胞培養液」だったのです。
ヒト幹細胞培養液とは、幹細胞を培養する際に分泌する成分を大量に含んだ培養上清（上澄み）のことです。
それから日本で化粧品原料としての販売が可能か2年間の調査期間を経て、営業活動を開始し、2012年にアンチエイジング株式会社を設立いたしました。
―― 幹細胞培養液の魅力についてお聞かせください。
屋山 ヒト幹細胞培養液にはコラーゲンやヒアルロン酸などの組織を構成しているたんぱく質や、他の細胞と情報をやりとりするサイトカイン（情報伝達物質）など５００種類以上ものタンパク質成分が含まれており、スキンケアの成分としてあらゆる働きが得られることが分かっています。幹細胞以外の細胞を培養してもこれほどたくさんのタンパク質を分泌することはないので、幹細胞特有の機能といえます。
ヒト幹細胞培養液のあらゆる肌トラブルに対する働きが論文で報告されています。
単一の成分でここまで多様な働きを持つ原料は他になく化粧品成分として非常に魅力的です。
「美しく年を重ねる喜びを」
美で社会に貢献したい
―― アンチエイジング株式会社発足時の思いをお聞かせください。
屋山 会社を立ち上げたメンバー全員が、実際にヒト幹細胞培養液を使用して今までの化粧品では感じたことがないほどの並外れた肌実感に感動していました。全員がヒト幹細胞培養液は必ずや次世代の美容分野を担う成分であると確信していたのです。幹細胞培養液の可能性を追求し、「美しく年を重ねる喜びをあなたに。」というスローガンの元、「美」で社会に貢献することが発足時の迷いなき思いでした。
―― 社名の由来をお聞かせください。
屋山 李博士が開発したエイジングケアに特化した原料を日本に展開するために会社を立ち上げました。ストレートに原料特徴を伝えるために「アンチエイジング」を社名にしました。
―― 幹細胞培養液の品質保持、安全性についてお聞かせください。
藤田 日本では生物由来原料に該当しますので、一般の化粧品原料と異なり、厚生労働省により「生物由来原料基準」が適用され、韓国では日本よりさらに厳しいMFDSガイドラインが適用されます。
弊社では、ドナーの適合性検査、組織採取検査、培養施設環境管理、培養製造工場、培養液安全性評価、成分試験検査を行い、すべての基準をクリアしています。
培養時には幹細胞の特性解析モニタリングを毎生産工程ごとに行い、細胞が分化していないことを常に確認し、細胞の健康状態、分泌たんぱく質の状態などを常に監視し、クオリティコントロールを実現しています。
また、培地は抗生物質不使用、動物由来血清不使用のオリジナルの培地を使用しています。こちらの培地については特許を出願中です。
あえて幹細胞を過酷な状況下におくことで、優れた成分を分泌させる独自の培養技術
―― 他社の幹細胞培養液原料と違う点をお聞かせください。
藤田 弊社のヒト幹細胞培養液（RemyStem）は独自の培養技術で培養されています。ローリングボトル（常に回転している培養専用ボトル）で培養し、あえて幹細胞を過酷な状況下におき、刺激を与えることによって幹細胞がエクソソームなどの優れた成分を豊富に出すようにプログラムしています。
特にエクソソームは注目の成分で、細胞の情報伝達に使用される小さなカプセルのようなものです。中にはヒートショックプロテインのような創傷治癒を促すたんぱく質を内包しており、マイクロRNAやメッセンジャーRNAなど、多様な情報を含んでいるため、離れた細胞にも多くの情報伝達を行うことが出来ます。
また、間葉系幹細胞のエクソソームはエイジングケアに優れた働きがあることがわかっています。
―― 美容医療とのかかわりについてお聞かせください。
屋山 幹細胞を用いた再生医療では、しわやたるみなど皮膚の加齢による変化に対する治療に用いられています。一方で幹細胞培養液はエレクトロポレーションやプラズマなど皮膚への浸透性を上げる施術と組み合わせて用いられています。
レーザー治療後に使用すると創傷治癒が促進されることがあります。
―― 注目の原料はありますか。
屋山 弊社ではヒト幹細胞培養液を化粧品原料として安定性、浸透性に優れたリポソーム化した原料（RS Liposome3.0）、エクソソームとヒト幹細胞培養液を融合したハイブリッドエクソソーム（RemyEV）が今後の主力製品となっていくと考えています。
立ち上げから10年目
新たなカテゴリーを担う次世代の化粧品原料を提案
―― 今後の展望をお聞かせください。
屋山 弊社は来年度に10周年目を迎えます。
2012年に日本で初めて、ヒト幹細胞培養液を化粧品原料として発売開始し、現在ようやくヒト幹細胞培養液コスメとしてのカテゴリーが定着してきました。
今後は次のステージに向けて、ヒト幹細胞培養液に特化した原料に加え、次世代のペプチド、ビタミンCなど、新しいカテゴリーの中心となりうる化粧品原料を提案してまいります。ひとりでも多くの方に美しく年を重ねる喜びをご体感いただきたいですね。
アンチエイジング株式会社
経 歴
2012年 8月 アンチエイジング株式会社設立/野中秀訓 代表取締役 就任
日本で初めてヒト幹細胞培養液、販売開始
2013年 5月 ヒト幹細胞培養液ミクスチャー原料、販売開始
2014年 10月 李ドンヒ博士アカデミックフォーラム 開催
2014年 11月 再生医療等の安全性の確保等に関する法律 施行
生物由来原料基準改正 施行
2015年 1月 オビアス株式会社設立（現コスメシューティカル株式会社）
2019年 1月 RemyBioとマーケティングパートナーシップ締結
2019年 4月 李ドンヒ博士 アンチエイジング社技術顧問 就任
2019年 12月 牛島美樹 代表取締役 就任
商号｜アンチエイジング株式会社
代表者｜代表取締役 牛島 美樹
設立｜2012年８月８日
資本金｜14,350,000円
事業内容｜化粧品原料販売及び製品企画
本社所在地｜〒107-0062 東京都港区南青山3-4-6 AOYAMA346 2F
サテライトオフィス｜〒107-0062 東京都港区南青山4-9-29 サタール青山 3F
電話番号｜03-3478-0248
メール｜info@anti-ageing.co.jp
