美容医療のかかりつけ わたしの名医

顔のまわりやまぶたにできる白いブツブツや、赤ちゃんの頬に現れる小さなブツブツが気になる…それは、稗粒腫(はいりゅうしゅ・ ひりゅうしゅ)と呼ばれるできものかもしれません。

稗粒腫は決して悪いものではありませんが、顔にできたブツブツは美容的な観点で気になる方も多いでしょう。この記事では医師の宇井先生に監修いただき、稗粒腫について詳しく解説します。原因や予防法、治療方法などについても取り上げ、自宅でできるケアをご紹介します。

監修者

やさしい美容皮膚科・皮フ科
秋葉原院 院長


医師 宇井 千穂 先生

準ミス日本受賞。全日空客室乗務員を経て、北里大学医学部を卒業し、皮膚科医、美容皮膚科医として勤務。
web雑誌での連載やサプリメント、化粧品の監修など、多方面で活躍中。

◆当コラムの掲載記事に関するご注意点
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稗粒腫とは

稗粒腫は目の周りや額、あごなどの顔にできる、白いブツブツとしたできものです。一見すると小さな白い粒々のように見え、特に産毛の生える部分に頻繁に現れます。これは角質が毛穴にたまることで生じる症状です。

稗粒腫自体は悪いものでなく、健康にも影響はありません。しかし、自然治癒は難しく、放置するのは気になるという方は多いのではないでしょうか。

この白いブツブツの正体は、ケラチンと呼ばれる髪の毛や皮膚の角質層、爪を形成するタンパク質の一種です。ケラチンは18種類のアミノ酸から構成されており、このケラチンが毛穴の中で過剰に蓄積することで、小さな白い粒として現れるのが稗粒腫です。

稗粒腫の見た目

稗粒腫は、白~白黄色の小さなできもので、皮膚の表面に小さなブツブツとして現れます。
この症状は一般的には広範囲に広がることはないものの、稗粒腫の部分だけ白く膨れ上がってしまうため、比較的目立ちやすい特徴を持っています。

稗粒腫は触れると硬いしこりのようで、かさぶたや治りかけのニキビのように感じる方もいます。ただし、稗粒腫には痛みやかゆみもなく、触っても不快さは感じません。稗粒腫の治療の多くは美容的な観点から見た目を気にして取り除くことが多いです。

稗粒腫と間違いやすい皮膚疾患

皮膚にできるさまざまなできものや腫瘍は、見た目が似ていることがあり、間違いやすいことがあります。特に、稗粒腫は、見た目が他の皮膚疾患と混同されやすいものの一つです。以下に、稗粒腫と間違いやすい皮膚疾患について説明します。

いぼ

ウイルス感染によって引き起こされるできもので、見た目が稗粒腫と似ていますが、イボは感染が原因であるため、他の皮膚にうつしてしまう可能性があります。また、いぼにはさまざま種類があり、尋常性いぼや尖圭コンジローマと呼ばれています。

ほくろ

ほくろは皮膚に色素性細胞が集まってできる斑点状の皮膚症状です。一部のほくろは稗粒腫に似た白いブツブツを持つことがありますが、ほくろには通常、色素が含まれており、色が濃くなっています。また、ほくろは一般的に良性であり、悪性に転化することはまれです。

汗管腫

汗管腫は汗腺に由来する腫瘍で、通常、まぶたや顔に小さな白、または黄色いブツブツを形成します。稗粒腫との混同が生じることがありますが、汗管腫は通常、まぶた周りに集中して現れ、しばしば多発性です。

粉瘤

粉瘤は皮膚の表面から発生する囊胞で、内部に角質や脂肪が詰まっています。外観は稗粒腫に似ており、触ると固くしこりのような感触があります。粉瘤は通常、皮膚の下にあり、表面からはブツブツに見えるため、稗粒腫と似ていることがあります。

脂肪腫

脂肪腫は皮下組織に存在する脂肪細胞から成る腫瘍で、皮膚の下にできるものです。稗粒腫と同様に、触れると硬さを感じることがあり、腫瘍が小さいうちは見た目も似ていることがあります。しかし、脂肪腫は稗粒腫と比べると大きく、皮下に深く位置しています。

稗粒腫ができやすい部位や体質はある?

皮膚に現れる稗粒腫は主に目の周り、特に目の下や瞼にできることが多いです。これらの部位は皮膚が薄く、細かい皮膚のしわや凹凸ができやすいため、脂肪細胞が詰まりやすくなります。まれに、鼻先やあご周りにも現れることがあります。

また、水分を多く含む状態の皮膚は脂肪細胞が詰まりやすくなるため、水ぶくれのできやすい体質や汗のかきやすい体質の方は稗粒腫を発症しやすい傾向です。

高校生くらいまでは目の周りに発症しやすい稗粒腫ですが、加齢に伴って顔全体に広がることもあり、中年以降は他の部位にも現れやすくなります。

一般的には良性の疾患であり、健康に直接的な害のない稗粒腫ですが、見た目や触感が気になる場合には皮膚科での診察・治療を検討しましょう。自身の体質や年齢による傾向を理解し、必要に応じて専門医のアドバイスを受けましょう。

稗粒腫の原因は?

稗粒腫の原因は明確にはわかっていません。しかし、稗粒腫の正体は毛穴の奥や毛包にたまった角質が白く見える状態です。角質の蓄積が原因で、皮膚の表面に小さな白い粒々が現れるものなので、角質の正常な排出や肌の健康をサポートするスキンケアが、稗粒腫の予防に役立つかもしれません。

毛穴に角質が詰まっている

稗粒腫は、皮膚の中に角質が詰まって発症する皮膚疾患の一つで、毛穴の中に蓄積した角質が皮膚表面に小さな白い粒々として現れることが特徴です。

稗粒腫が発症する原因ははっきりしていませんが、生まれつき稗粒腫があったり、稗粒腫ができやすい体質であったりする場合があります。また、加齢に伴い肌のターンオーバーが低下し、角質が効果的に排出されなくなることも要因の1つです。

紫外線などの外部からの刺激

稗粒腫は、強い外部刺激や嚢腫が存在しなくても、毛穴の角質が詰まって自然に発生することがあります。この現象は、肌のターンオーバーが滞ることによるものです。

肌のターンオーバーは、新しい皮膚細胞が古い細胞と交代するプロセスであり、通常は順調に行われます。しかし、老化や生活習慣の乱れ、紫外線などの外部要因により、このプロセスが適切に行われなくなることがあります。その結果、古い角質細胞が毛穴に詰まり、稗粒腫の原因となる余分な角質(ケラチン)が形成されるのです。

外部からの刺激がなくても稗粒腫ができる場合、日常的なスキンケアや生活習慣の改善が重要です。正しい洗顔方法、適切な保湿、紫外線対策などを実践することで、肌の健康を維持し、稗粒腫の発生を予防することができます。

生まれつきのもの

稗粒腫は、生まれつきできていて、成長してもそのまま残る場合があります。このような場合、稗粒腫は原発性と呼ばれます。一方、大人になってから稗粒腫が発生し、その原因がはっきりしている場合は続発性といい、区別されます。

生まれつきの原発性稗粒腫は、特定の遺伝的要因や先天的な影響によって引き起こされることがあります。例えば、水疱ができやすい先天性の皮膚疾患を持っている人は、その後に稗粒腫が発症する可能性が高いです。

また、一部の薬物や先天性疾患によっても稗粒腫が発生することがあります。薬物誘発性の場合、特定の薬物の使用が引き金となることがあります。先天性疾患に関連する稗粒腫は、その疾患に特有の皮膚症状として現れることがあります。

稗粒腫は予防できる?

稗粒腫は肌に刺激を与えないことや、角質がたまらないように、ターンオーバーがきちんと働くようサポートするなどの方法で予防が可能です。万が一稗粒腫ができた場合は擦ったり刺激を与えたりしないようにしましょう。また、気になるようなら早めに医療機関で治療を受けるなどの対処をすることで、悪化を防ぐこともできます。

スキンケアの見直し

健康な肌を維持するためには、日常のスキンケアルーティンを見直すことが重要です。毎日のスキンケアは正しく行わないとかえって肌に負担をかけてしまうこともあります。過度な摩擦や強い刺激を避けて自分の肌に合った製品を選びましょう。

しっかりと保湿することは、肌のバリアをサポートし、稗粒腫の予防に役立ちます。また、肌質によっては、さっぱりとした化粧水や乳液を使うことで余分な油分を避け、無用な肌トラブルの予防にも繋がります。

スペシャルケアとしてスチーマーや温パックを用いた毛穴ケアも、毛穴汚れを効果的に落すことができ、稗粒腫以外にも肌トラブルの予防に効果的です。

ピーリングで余分な角質を排出する

正しいピーリングは、肌の表面に蓄積した古い角質を優しく除去することが可能です。ピーリングで余分な角質を除去し、ターンオーバーをサポートすることで、新しい皮膚細胞が生成され、滑らかになり、肌印象が明るくなります。また、ピーリングは稗粒腫の治療にも使用され、症状を改善するのに役立ちます。

しかし、ピーリングは適切な方法で行わないと、肌にダメージを与える可能性があります。間違った製品や強い刺激を避けるため、医療機関で専門家の指導のもとで行いましょう。

紫外線ケアをする

紫外線は肌に強いダメージを与え、肌トラブルの大きな原因となります。稗粒腫に限らず、肌トラブルを予防するためには、紫外線ケアが必要不可欠です。

紫外線が強い時期や日中、屋外にいる際には、日傘、帽子、サングラスなどで紫外線を遮り、日焼け止めを活用しましょう。

紫外線は一年中降り注いでいるため、季節を問わず日常的に行うことで、紫外線ダメージを最小限に抑えることができます。

稗粒腫の治療方法

稗粒腫は皮膚科と美容皮膚科で治療が可能です。治療方法は個々の症状や希望に合わせて選択することができ、中には保険適用で安価に治療が可能な方法もあります。
また、稗粒腫は一度できると治るまで時間がかかるうえ、メイクでも隠しきれません。見た目が気になる場合には、なるべく早く治療を検討しましょう。病院によっては受診した当日に稗粒腫の除去が可能な場合もあります。

圧出法

稗粒腫の治療として皮膚科や美容皮膚科で最も一般的な方法が「圧出法」です。圧出法では、まず、注射針や小さなメスを使用して、稗粒腫の表面に微細な切り込みを入れ皮膚表面にたまった角質を取り除きます。

取り出しに使う具体的な器具や方法は病院によって異なりますが、切り込みを入れた後、ピンセットや圧迫器具を用いて角質を取り出すのが一般的です。

漢方薬

稗粒腫の治療には、漢方薬も選択肢の一つとして利用されており、一部の病院では漢方薬の処方が保険適用となることもあります。漢方薬の中で、稗粒腫の治療によく用いられる成分には「ヨクイニン」があります。

ヨクイニンは、いぼやニキビの治療にも用いられ、稗粒腫の除去に効果があるとされています。漢方薬は個々の症状や体質に合わせて処方されるため、医師の診察と指導を受けながら適切な漢方薬を使用することが重要です。

ケミカルピーリング

ケミカルピーリングは、特殊な化学薬品を用いて皮膚の表面を薄く剥がし、稗粒腫の塊を取り出す方法です。通常6~10回程度の複数回治療を個人の症状に合わせて行います。

ただし、妊娠中や他の皮膚疾患を治療している場合、ケミカルピーリングを行うことができない場合があります。治療を検討する際には医師に詳細を相談し、適切な判断を仰ぎましょう

炭酸ガスレーザー

炭酸ガスレーザーは、レーザーを使用して皮膚の表面に穴をあけ、稗粒腫を取り除きます。皮膚内の水分と炭酸ガスが反応することで熱が発生し、この熱が冷める過程で稗粒腫の原因となる組織が破壊され、取り除かれるのです。

炭酸ガスレーザー治療は非常に効果的で、稗粒腫を迅速に取り除くことができるほか、治療後の回復も比較的早く、痕跡が残りにくいとされており、再発もある程度レーザーで防ぐことが可能です。

稗粒腫治療の注意点

稗粒腫の治療費は治療方法で大きく変わります。保険適用となる場合もあれば自由診療で自己負担が大きい場合もあります。事前に病院に確認し、費用についての説明を受けましょう。
痛みに敏感な方は麻酔の使用を希望することもできます。また、治療後にわずかな痛みが伴うことがありますが、工夫により無痛での治療も可能です。通常は術後数日で回復しますが、不安な方は医師に相談しましょう。

稗粒腫を自己処理することは危険で、感染症や瘢痕のリスクが高まります。専門医の指導のもとで治療を受けることをおすすめします。

肌トラブルは医療機関で治療しよう

稗粒腫は、目の周りや顔にできる白いブツブツで、自然治癒が難しい皮膚トラブルの一つです。しかし、専門医のもとで適切な治療を受けることで、効果的に除去することが可能です。

稗粒腫を治療する方法はさまざまで、症状や治療費、痛みの程度、回復期間など希望に合わせて選択ができます。しかし、どの治療法も専門医の指導のもとで行うことが大切です。肌トラブルに悩む方は、専門の医療機関で適切な治療を受け、健康な肌を取り戻しましょう。

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