日本橋いろどり皮ふ科クリニックでは、『皮膚疾患』は可能な限り保険診療で診るべきという考えから、保険適用の治療があるものはまず保険診療内での治療を行っています。ニキビやアトピー性皮膚炎などの慢性疾患では、スキンケアも重要な役割を果たすため治療とともにスキンケア指導も取り入れています。今回は、院長の横井彩先生にクリニックの特徴やこだわりなどについて、お話を伺いました。
皮膚科の中に美容皮膚科があることを知り
皮膚科医へ
――医師を志したキッカケを教えてください。
横井 父が外科医で、医師という職業が身近にあったことが一番大きかったと思います。子供の頃は、私も父と同じ外科医になりたいなと思っていました。
――いろいろな科がある中で、なぜ皮膚科を選ばれたのですか?
横井 私はもともとニキビが多発して悩んでいた経験があります。医学部に入った後に皮膚科の中に美容皮膚科学という分野があることを知り、同じような悩みを持つ人の役に立てること、またスキンケアへの関心が強かったのでそれが仕事に繋がるならこれ以上面白いことはないと思い、早い時点で皮膚科医になることを決めていました。ですから、最初に皮膚科を選んだ時点で美容皮膚科にも興味を持っていました。
――クリニックを開院したキッカケを教えてください。
横井 自分の理想の診療を行うには自分でやるしかないと思ったからです。例えば、ニキビ治療は医療機関によっては自由(保険外)診療で治療が行われることがあります。これは医学的には間違いではありません。自由診療の方が治療方法の選択肢が広い部分があるのも事実です。しかし私は15年間大学病院を主として皮膚科医をやっていた経緯からか、まずは保険で治療するという思いが強いんですね。まずは保険診療の範囲で治療、次の段階としてここから先は保険適用のない治療、ということをきちんと説明して患者様に理解してもらった上で、治療を決めてもらいたいと思っていました。
またニキビ痕には保険適用となる治療はほとんどありません。保険診療が主体の医療機関では、ニキビが良くなってもニキビ痕に対する治療の選択を提案することができずとても悔しい思いをしました。
これらのことから、自分が行いたい治療を思うように行うためには自分で開業するしかないことを痛感していたので、いつかは開業すると決めていました。東京に出て来てからは若い患者様が多くニキビの診療をより多く行うようになり、よりその想いが強くなり開業を決意しました。
――患者様もそこら辺が分からない方が結構多いのですか?
横井 そうですね。例えば水虫は保険、二重の手術は美容(自費)、ということは皆さん何となく知っています。しかしニキビやホクロになると何が保険で何が自費なのか知らない方も多いです。保険が適用される治療も含め、いろいろ試した上で金銭的に問題がなくて自費治療に進むなら全く問題はありません。しかしニキビのように若い患者さんが多い病気の場合は、まずは金額的な負担の少ない保険診療での治療からスタートしてほしいという思いが強いです。
自分がニキビで悩んだ経験から、
ニキビ治療に注力している
――貴院のこだわりや特徴について教えてください。
横井 美容医療はよく分からないし不安だという方もまだまだ多いので、保険診療を長くやってきた皮膚科専門医が美容医療を行うところが患者様にとっては良い点だと思っています。あとは自分がニキビで悩んだ経験から、ニキビ痕の治療を一生懸命やっていきたいなと思っています。
また、皮膚アレルギーの検査やスキンケアによるトラブルの相談にも力を入れています。化粧品による皮膚トラブルの中には化粧品の成分によるアレルギー性接触皮膚炎があることもあります。化粧品によるアレルギーが疑われた場合、皮膚に物質を貼り付けて反応を確認するパッチテストという検査を行っています。アレルギー検査やスキンケア指導なども取り入れた治療を行うことで、健やかな肌に近づけると思いますので、パッチテストも含めた診療にももう少し力を入れていきたいと思っています。
――美容医療のやりがいや難しさについて教えてください。
横井 病気の治療と違って、「良くなる」という点において患者様のイメージと医療者側の認識が違うことがあります。その溝を埋めていくことが難しいですね。また、当院に来られる方は美容治療が初めてという方も多く、ダウンタイムのことを知らなかったり、逆に過度に不安になっている方もいらっしゃいます。その中で、きちんと理解してもらうこともとてもやりがいのあることだと感じます。理解して納得した上で施術を受けてもらうために、丁寧に分かりやすい説明を心がけております。
――患者様を診察・施術する上で大切にされていることはありますか?
横井 その方の美容治療に対する考えや物事の受け止め方をできる限り読み取ろうと努力をしています。物事に対する不安や心配を強く感じる方は、美容治療の効果が出てダウンタイムも予想範囲内だったとしても不安になってしまうので、順調であることをお伝えします。逆に、とりあえず早く治療をしたい!という積極的な方もいて、その場合はダウンタイムをお伝えしてスケジュールも踏まえて本当に本日施術してよいのかなどしっかり確認します。美容医療への受け止め方は一人ひとり違うので、その方の性格も踏まえた説明を心がけています。ただ、カウンセリングに多くの時間をかけることがなかなか難しく、説明した上で一度持ち帰ってじっくりと考えてきてもらうことも結構あります。無理にお勧めすることはありませんし、患者様自身が納得した上で施術を行うようにしています。
肌のためには、スキンケアの種類を
絞ったほうがいい
――スキンケアで日常生活において気を付けるべきことを教えてください。
横井 皮膚科医だったら全員言うと思いますが、摩擦と紫外線と乾燥を避けることですね。極端に言うと、肌に触る回数を減らすほど摩擦の回数が減り肌への負担も減ります。化粧水、美容液、乳液などいろいろ重ねることが習慣になっている方も多いのですが、そういう方には「1-2品くらいにしてみてはどうですか」とお話します。プロのモデルさんや美容家さんのように時間と手間をかけられる方は重ねて塗っても良いと思いますが、普通の方は慌ただしく何種類もの製品を使うよりも数を絞って丁寧にお手入れした方が良いと思います。
――商品を絞るとしたら何がいいですか?
横井 私は水分と油分が両方含まれる乳液やクリームをお勧めします。化粧水はつけなければいけないものと思ってる人も多いのですが、子供の肌や体の皮膚には化粧水を塗らないことも多いですよね。化粧水を塗らなければ肌の健康が損なわれるなどということはありません。すごく肌が敏感になっている時には、思い切ってクリーム1品だけでお手入れするのも良いと言えます。
――先生が考える美・美しさとは?
横井 皮膚科医として申し上げるなら、肌が健康なことに尽きます。健康な肌が、艶やハリに繋がると思います。ですから、皮膚の病気であるニキビや、肌がカサカサで痒いような状態は治療して健康を取り戻すべきだと思います。つまり、肌を健康な状態に近づけることが本来の美しさに繋がると考えています。
シミなどの美容治療は、個人の嗜好や価値観の問題も大きいです。シミを取りたい方は多いですが、全ての人がシミの一つもない肌を目指すべきかというとそうではないと考えています。簡単に取れるなら皆がシミ治療を行えば良いのですが、実際は薄いシミも含めて全て取ろうとすると様々な治療を重ねる必要があり時間もお金もかかります。そして、それでも完全にシミがゼロの状態にするのは難しいのです。個人的には、ダウンタイムも含めた美容治療そのものを楽しめるような方を除いては、『お化粧すると目立たない程度』を目指すのが良いのではないかと思っています。
――これから美容医療を受けたいと思っている方へのメッセージをお願いします。
横井 美容クリニックに行くと、いろいろ勧められそうと思っている方もいるかもしれませんが、最終的に決めるのは患者様自身です。最後は自分で決めるという気持ちを必ず持っていてほしいと思います。もし説明に不安を感じたり無理に勧められたと感じたら、その日は施術しないで一旦持ち帰って考えてみてください。別のところでも聞いてみて相性の良いところを見つけるまでは治療しないというくらいの気持ちで、自分に合うクリニックや医師を探してください。
――今後の展開について教えてください。
横井 まだ開業して1年なので、新しい機械も導入しながら自分のやりたい治療の幅を広げていきたいです。あとは、パッチテストの啓蒙ですね。今はパッチテストをしている皮膚科医が残念ながら多くはないのですが、パッチテストは血液検査などの他の検査で代用ができるものではありません。命に関わるアレルギーではなくてもこの検査が必要な人は必ずいるので、まずは一般の方にもっと知ってもらいたい。そして認知度が上がることで、パッチテストが受けられる医療機関も少しずつ増えたらいいなと思っています。
日本橋いろどり皮ふ科クリニック
院長 横井 彩
(よこい あや)
経 歴
2003年 秋田大学医学部 卒業
同 皮膚科・形成外科学講座にて研鑽
2015年 同 助教
2017年 藤田医科大学ばんたね病院
総合アレルギー科 講師
2018年 都内クリニック勤務
12月 同 院長
2021年 日本橋いろどり皮ふ科クリニック開院
資格・所属学会
日本皮膚科学会
日本美容皮膚科学会
日本アレルギー学会
日本皮膚免疫アレルギー学会
日本香粧品学会 ほか
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
医学博士
日本橋いろどり皮ふ科クリニック
〒103-0027
東京都中央区日本橋3-8-16ぶよおビル2F
TEL: 03-3274-3030
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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11:00~14:30 | ー | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ▲ | ー |
16:00~19:00 | ー | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ▲ | ー |
休診日:月曜・日曜
※受付終了時間は平日14:15/19:00、土曜12:45/16:00となります
▲…土曜日は11:00〜13:00、14:00〜16:00