父の医院を継ぐよりも自分でレールを積み上げていきたい
――医師を目指したキッカケを教えてください。
竹江 私の父は一代で築いた開業医でした。ですから、当たり前のように医学部を目指すようになりました。僕が大学に入る前に父が亡くなり、医者になって自分で病院を復興したいと、子供ながらにそんなことを考えていたと思います。
人には2種類あると思っています。ひとつは敷かれたレールの中で競争しながら進む、組織で活躍するタイプ。もうひとつは、矛盾を解決しながら自分でレールを積み上げて進んでいく独立タイプで、私は典型的な後者だと思います。
父は外科医でしたが、僕が最初に選んだのは麻酔科。外科医になって北海道で父の医院を継ぐという選択をしなかったのも、性格という要素が大きかったと自分で分析しています。当時は何科に進んだらよいか分からずに、まず麻酔科で基本となる全身管理を学び、それから進むべき方向を見つけたいという思いがありました。そんな中、やがて美容外科と出会いこの道に進むことになったのです。
――開院されるにあたり、どのような思いやこだわりがありましたか?
竹江 美容の業界で仕事をしていると、色々な面で違和感を感じることがあります。私は、開業するならまずクリーンでありたい。医師として正しいと思う道を突き進みたい、という思いが強かったですね。そのやり方で成功できれば、逆に強みになるのではないか。実践しているなかで、その思いはだんだんと確信になっていきました。
大切なのはどの治療を受けても満足いただけるよう全ての技術を磨くこと
――どういった悩みを持たれた患者さんが多く来院されますか?
竹江 ニーズはさまざまですが、お顔に悩みを抱えてやむにやまれず、という感じではないですね。時代の変化もあると思いますが、ご年配の方ですとちょっと若返ってみたいからアンチエイジングをしてみたいなど、前向きな思考で来られる患者さんが多いと思います。若い方であれば二重まぶたにしたい、もっと綺麗になりたいという希望は強いですね。年齢層も広いですし、実際に患者さんと接していると、ひとくちに“美容”といってもいろいろなニーズがあります。
――貴院が得意とする医療サービスについて教えてください。
竹江 患者さんからもよく聞かれますが、たとえば目を二重にするのは得意だけれど鼻は苦手という医師はあまりいません。どこまで細分化するかによりますが、目が上手な先生は鼻もうまい。そういう意味では美容に関する全ての分野に力を入れています。ただし世の中からどう評価していただくのかはまた別です。たとえば以前、うちで脂肪吸引をされた患者さんが、ブログにその経過報告を書かれたことがありました。それが口コミで広がって、脂肪吸引について高い評価をいただきました。二重の施術を受けた患者さんの感想がTwitterで拡散し、二重なら「水の森美容外科」がいいと言われたたこともあります。うちは二重の専門病院ではありませんし、目や鼻を売りにしたこともありません。どの治療を受けていただいても満足いただけるよう、しっかり技術を磨いた結果、それぞれが高い評価をいただくことになったのです。そういう意味では、技術全般がしっかりしているのがうちの強みといえるのかもしれません。人事を尽くして天命を待つと言いますか、僕らとしては何かに特化するよりも、やれることをすべてしっかりやるだけです。
――美しさを保つために、日常で気を付けるべきことがあれば教えてください。
竹江 常に思っていることは、気持ちの部分でも美しくあろうと心がけてほしいということです。外見の美しさと同じくらい、内面の美しさも大切で、ふたつが重なることで人は幸せになれると思っています。逆にどちらが欠けても本当の意味での美しさは手に入らないのではないでしょうか。私が付けた“水の森”という名前には、澄んだ心を象徴したいという思いを込めています。患者さんともちろん僕ら、お互いが澄んだ心で接し合える空間でありたい。僕らの技術で、患者さんの内面の美を引き出すお手伝いをしたいと思っています。
時間をかけても医師をしっかり教育することがよい結果に繋がっていく
画像提供 Call to Beauty (https://call-to-beauty.com/)
――医師を育てるということに力を注いでおられるとお聞きしました。
竹江 美容外科の業界の中では、うちの成長スピードは遅い方だと思います。その理由が、教育に多くの時間を割いているからです。きちんとした医師を育成するのは簡単なことではありません。30人、40人と多くの医師が来られても、逆に彼らの教育ができない。当院の教育についてよい評判をいただくようになり、ありがたいことに応募がとても増えています。けれども厳選して入職いただいているので、どうしても10人に1人くらいの割合になってしまいます。
――具体的にはどのような教育をされているのでしょうか?
竹江 当院は「技術統一」を理念に掲げているので、カウンセリングの練習からブジーの当て方、デザインの仕方、アフターフォローの対応の仕方など、手術手技だけでなく全ての工程を伝承統一し、一人の先生が商品として相応しい状態になるまでマンツーマンで教育していきます。
また無料モニター制度を積極的に活用しています。
無料モニター制度とは、予め「研修中の医師が執刀する」旨を伝え、了承を得た患者様に対して、入職した医師が施術料金をいただかずに手術を行う、という医師の育成のための制度です。ベテラン医師が横について徹底的な指導の下で行うため、失敗もなく患者様にとっても安心です。医師にとってもほぼ実戦と同じような状況で症例を重ねることができるため、確実な成長が見込めます。
急がば回れではないですが、妥協せずに教育を重ね、先生方には症例数を積み重ねさせること事こそが良い結果に繋がっていると自負しております。
――医師の採用では、どのような点を重視されているのでしょうか?
竹江 きちんとした技術を身につけていること、そして患者さんのために技術を応用したいなど考え方の部分をとても重視しています。いまは医学部の偏差値レベルがどんどん上がっていますから、基本的に医師を目指すのは優秀な方が多い。けれども、エリートだから人生に対する考え方や向き合い方がすばらしいかといえば、必ずしもそうとは限りません。自分の仕事に胸が張れるか、患者さんにどう接するか、その部分を見極めるようにしています。少数精鋭といいますか、数は少なくても優れた先生に集まってもらい、しっかり教育をする。スピードは遅くても、それがよい結果に繋がると思っています。
正しい情報を発信し安心して治療を受けられるというブランドを作る
―今後の目標について教えてください。
竹江 医院に限らず、クリーンにやっているところが報われる社会であってほしい。そんな社会にするために、僕の場合は美容外科を通して挑戦している、そんな気持ちを持っています。いくら僕がひとりでがんばっていても、ほんの微かな力でしかありません。だからいい先生に来ていただき、しっかり教育をして、よい手術を患者さんに提供することで世間に広めていく。コツコツと続けることで、少しずつでも影響は出てくると思います。社会もそうですが、業界全体がいい方向に行くようにも努力しています。やっぱり僕自身、この仕事がすごく好きで誇りを持っていますから。
――これから美容医療を受けたいと思っている方へメッセージをお願いします。
竹江 医院に行く前にはよく調べたほうがよいですね。言うのは簡単ですが、いざネットで調べてみても、何が正しい情報かを見分けるのは不可能に近いでしょう。残念ながら選択の部分に僕らはタッチできないので、見抜く力が必要だと思います。厳しい言い方をすれば、大人の社会ですから何をするにしても責任がともないます。いま僕らが目指しているのが、正しい情報の発信源になること。そして、つねに患者様と信頼関係を築ける医院であり続けることなのです。ここに行けば安心して治療を受けられるという、ひとつのブランドを作ることが大切。それこそが、美容医療を受けたいと考えているすべての人たちにとって、もっとも有益なことだと思っています。
水の森美容外科
総院長 竹江 渉
(たけえ わたる)
経 歴
1998年に東京医科大学医学部を卒業し、麻酔科医として勤務。大手美容外科の院長をつとめた後、2006年に水の森美容外科を開院。リピート率90%以上を誇るレベルの高い治療と患者様を常に身内と思って接する丁寧なカウンセリングにより、多くの患者様から支持を得ている。「誠実である事」、「高い人間力」、「高い技術力」をモットーに、志の高いドクターとともに小数精鋭でクリニックの運営を行っている。
資格・所属学会
日本美容外科学会 正会員
日本美容外科医師会 正会員
麻酔科標榜医
BOTOX VISTA®認定医
ジュビダームビスタ®認定医