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アデノシンとは?育毛効果や美肌効果・副作用などを解説

年齢を重ねるごとに薄毛や抜け毛が気になってきたものの、育毛剤の種類が多くどれを選べばいいのか迷ってしまう方も多いでしょう。また、薄毛治療の副作用が気になり、なかなか踏み出せないでいるという声もよく耳にします。

育毛剤や薄毛治療に用いられる「アデノシン」は、副作用のリスクが極めて低く、自然な育毛が期待できる成分です。

この記事では、アデノシンの様々な効果や副作用、使い方の注意点などについて解説します。

アデノシンとは

アデノシンとは、体内のほとんどの細胞が生産しているエネルギー代謝に関わる物質です。様々な臓器の血管拡張や免疫向上、睡眠といった生理的な働きにおいて重要な役割を担っています。

アデノシンは毛乳頭細胞に働きかけて発毛を促進する働きがあることから、AGAや薄毛の治療に使用されている成分です。日本皮膚科学会が作成している「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」においても、アデノシンはエビデンスの確かな育毛成分として認められており、治療における推奨度は男性でBランク(行うよう勧める)、女性ではC1(行ってもよい)と評価されています。

また、2004年に医薬部外品育毛有効成分として承認されており、アデノシンを配合した育毛剤やシャンプーはドラッグストアでも手軽に購入することができます。

アデノシンの様々な効果

アデノシンは、主に男性型脱毛症(AGA)の治療に使用される成分ですが、女性の薄毛(FAGA)にも有効です。また、動物試験で血行促進効果が認められているほか、韓国ではシワ改善成分として機能性化粧品に使用されています。

さらに、アデノシンは脳内で眠りを誘発する物質としても知られており、従来の睡眠薬とは違う、自然な眠りを促す新しいアプローチの不眠症治療薬として応用できるのではないかと期待されているのです。

このほかにも、アデノシンの様々な効果を紹介します。

育毛効果

アデノシンは、男性の薄毛だけでなく、女性の薄毛症である「FAGA」にも有効です。

女性の薄毛は、女性ホルモンの分泌量が低下し始める更年期前後から始まることが多く、頭皮全体が薄くなる傾向が強いという特徴があります。健康な頭皮は「成長期」「退行期」「休止期」のヘアサイクルを2~6年周期で繰り返しますが、FAGAを発症するとこのサイクルが数ヶ月~1年程度に短縮され、毛根の寿命が短くなってしまうのです。

アデノシンは、毛乳頭細胞に働きかけて、発毛を促す「FGA-7」などを増殖させ、細くなった髪の毛を回復させる働きがあります。実際に、薄毛の悩みを抱える女性を対象に行った実験では、アデノシンを配合した育毛剤を1日2回、6ヶ月間頭皮に使用したところ、有意な改善が認められました。

肌への効果

アデノシンには、表情筋の伸縮を防いだり、コラーゲンを破壊する酵素を抑制しつつ、コラーゲン合成を促進したりする作用があります。そのため、肌のツヤやハリ感をアップし、若々しい自然な表情に導いてくれるのです。

また、アデノシンリン酸2Naという成分には、肌のターンオーバーを活性化してメラニンの排出を促す作用が認められています。メラニンの蓄積によって発生するシミやソバカスを防止するだけでなく、ターンオーバーが促進されることから、肌全体のたるみ改善などが期待できるのです。

眠りへの効果

アデノシンは、脳内で眠りを誘発する物質としても知られています。カフェインを摂取すると目が覚めるのは、カフェインが神経細胞のアデノシン受容体に対して拮抗作用を持っており、アデノシンの睡眠作用を阻害してしまうためです。

従来の睡眠薬は、覚醒中枢を抑制して睡眠を促すタイプが主流でしたが、眠気の持ち越しや翌日のふらつき、依存性の高さといった副作用が課題となっていました。アデノシンを応用すれば、より自然に近い形の睡眠を促すことができ、副作用の少ない新しい機序の睡眠薬開発ができるのではないかと期待されています。

医療効果

アデノシンは、心臓や脳、肝臓といった主要な臓器の血管拡張を担う成分です。特に、心臓に栄養を供給する冠血管の血流量を調節する役割があると考えられています。

また、虚血時には強い心筋保護作用を発揮します。冠血流量増大や心筋代謝の改善、不整脈などに作用して、心筋障害を軽減する働きを持っているのです。このため、心臓疾患の診断を行う際の負荷誘導剤としてアデノシンが用いられています。

AGAに効果のあるほかの成分

育毛効果がある成分としては、ほかにも「フィナステリド」「デュタステリド」「ミノキシジル」があげられます。それぞれの特徴を紹介します。

フィナステリド

フィナステリドは、短縮したヘアサイクル(毛周期)を正常に戻す作用があり、主にAGAの治療薬として使われている成分です。

AGAの発症は、男性ホルモンの一種である「テストステロン」と、頭部に存在する還元酵素「Ⅱ型5αリダクターゼ」が影響するといわれています。フィナステリドにはⅡ型5αリダクターゼの働きを妨げ、テストステロンがより強力な男性ホルモンであるDHTに変化するのを防ぐ作用があるのです。

一方で、男性ホルモンに働きかけることから、男性機能の低下や抑うつといった副作用が懸念されますが、リスクは低いと考えられています。また、原則として女性への使用は認められていません。

デュタステリド

デュタステリドは、もともと前立腺肥大症の治療薬として用いられていましたが、AGA治療においてはフィナステリドよりも高い効果が認められています。

フィナステリドが「Ⅱ型5αリダクターゼ」のみを阻害するのに対し、デュタステリドはⅡ型に加えてⅠ型を阻害する働きがあり、フィナステリドより1.6倍の増毛効果があるといわれているのです。

男性機能の低下や抑うつ、肝機能障害などの副作用の可能性があり、発現率はフィナステリドより高いとされていますが、危険性は低いと考えられています。

ミノキシジル

ミノキシジルは、血管拡張作用がある成分で、高血圧の治療薬として用いられてきました。その副作用として増毛が認められたことから、現在ではフィナステリド、デュタステリドと並ぶAGA治療薬となっています。

ミノキシジルは、発毛を促す毛乳頭細胞に働きかけて、ヘアサイクルを整える作用を持っています。さらに、毛乳頭細胞そのものを増やしたり、毛乳頭細胞で作られる発毛因子の生成を促進したりする働きがあるのです。

副作用には2種類あり、外用薬として塗布した際の発疹やかゆみ、内服薬として服用した際の動機やめまいなどがあげられます。ただし、いずれも発現率は非常に低く、重篤な副作用の心配も極めて低いといわれています。

アデノシンの副作用

アデノシンは体内で生成される物質であることもあり、副作用が非常に少ないとされる物質です。頭皮に痒みが生じる可能性がありますが、アレルギー性皮膚炎などの重篤な副作用を引き起こすことは極めてまれであると考えていいでしょう。

とはいえ、育毛剤には様々な成分が含まれており、アデノシン配合の育毛剤だからといって必ずしも副作用が起こらないというわけではありません。痒みなどの症状があらわれた場合、すぐに医療機関へ相談しましょう。

育毛剤を効果的に使うには

育毛剤を効果的に使うには、使用するタイミングや回数など、正しい使い方を知っておくことが大切です。育毛剤を使う際のポイントを紹介します。

朝・晩の1日2回使用する

製品によっても異なりますが、多くの育毛剤は朝晩の1日2回使用することを推奨しています。

また、育毛剤は寝る前に塗った方が効果的なイメージがあるかもしれませんが、頭皮が清潔なお風呂上りに塗るのが望ましいです。朝はワックスなどの整髪料を付けると成分が浸透しづらくなるため、髪をセットする前に育毛剤を塗りましょう。

正しくシャンプーをする

育毛剤は、頭皮の汚れをしっかり落とした状態で塗った方が、成分が浸透しやすくなります。そのため、正しくシャンプーをして頭皮の汚れを落とさないと、育毛剤の効果が十分に発揮されません。正しいシャンプーの手順は、以下の通りです。

1. ブラシでとかし、髪の毛の汚れを落とす
2. ぬるま湯で予洗いする
3. シャンプーをよく泡立て、地肌をマッサージするように洗う
4. シャンプーをよく洗い流す

気になる部分に直接塗る

育毛剤の成分を浸透させるためには、薄毛や抜け毛が気になる部分に直接育毛剤を塗ることが大切です。

薬剤が髪の毛に付いて無駄にならないよう、手で髪の毛を分けてから塗布するといいでしょう。頭頂部、前頭部、側頭部、後頭部など、大まかに分けながら塗布していくとスムーズに塗れるだけでなく、塗り漏れを防ぐこともできます。

使用容量を守る

育毛剤に記載されている使用回数や使用量は必ず確認し、適切な使用を心がけましょう。育毛効果を高めたいからといって、規定の回数や量より多く使ってしまうと、頭皮に負担をかけてしまい、トラブルにつながる可能性があります。多く使うほど効果が高まるわけではありませんので、推奨されている使用方法には従うようにしましょう。

継続して使用する

配合されている成分にもよりますが、育毛剤は効果が実感できるまでに平均で2~3ヶ月かかるとされています。途中で使用をやめてしまったり、ほかの育毛剤に変えたりすると、いつまでも効果を実感できません。数ヶ月は育毛剤を継続して使うと、徐々に効果を実感できるでしょう。

アデノシンでよくある質問

最後に、アデノシンについてよくある質問に答えていきます。

カフェインは髪に悪い?

カフェインにはアデノシン受容体に対する拮抗作用があり、アデノシンの働きを阻害してしまいます。日本ではカフェインの摂取量について具体的な目安量が定められていませんが、1日数杯程度に留めて、過剰摂取しないよう心がけましょう。また、カフェイン含有量の多いエナジードリンクなども、飲みすぎには注意が必要です。

アデノシンとミノキシジルの併用はできる?

アデノシンとミノキシジルの併用は推奨されていません。異なる成分であっても同様の作用を持っており、副作用のリスクが高まるためです。市販の育毛剤は効果を得られるよう、配合成分が調整されていますので、自己判断せず、記載されている使用方法を守って適切に利用するようにしましょう。

FAGAや薄毛は遺伝する?

女性の薄毛は「FAGA(女性男性型脱毛症)」と呼ばれています。更年期前後に女性ホルモンが減少し、男性ホルモンであるテストステロンが「5aリダクターゼ」という酵素によって別の男性ホルモンに変化することで発症します。

この5aリダクターゼの分泌量に遺伝的要素が関わっているという説が有力ですが、FAGAについてはまだ研究段階であり、はっきりとした因果関係は立証されていません。男性のAGAに関する研究から、遺伝的要素だけでなく、生活習慣や環境の影響も大きいことがわかっています。

妊娠中でも使えますか?

アデノシンに限らず、育毛を促す成分はホルモンに作用するものが多いことから、妊娠中や授乳中の女性が使用することは推奨されていません。また、アデノシンが胎盤に過剰蓄積すると妊娠高血圧症の原因になるという研究結果があるため、妊娠中の方は使用を控えた方がいいでしょう。

AGAだけじゃない!アデノシンを取り入れて美髪・美肌に

アデノシンは薄毛治療に使われる代表的な成分の一つで、男性だけでなく女性の薄毛にも効果的です。また、シミやソバカスを防止したり、コラーゲンの生成を促進してハリ感をアップしたりなど、美容効果も期待できます。医薬部外品であるため、ドラックストアなどでアデノシン配合の育毛剤や化粧品が手軽に購入できるのも嬉しい点です。

ただし、正しく使用しないと十分な効果を得ることができません。使用するタイミングや頻度、容量などをよく確認した上で使用し、美髪や美肌を目指しましょう。

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