L-システインとは?成分の特徴や効果的な取り入れ方、副作用について解説
薬局やドラッグストアでL-システインの薬やサプリメントを見かけたことはあるけれど、どんな特徴があるのか具体的にはわからない方もいるでしょう。
なんとなく肌に効果がある成分だという印象を持っている方もいるかもしれません。
そこで今回は、L-システインの特徴や効果、上手な取り入れ方、注意すべきことについて解説します。
L-システインとは
L-システインとは、タンパク質を構成するアミノ酸の1つです。
ビタミン類とともに医薬品やサプリメントへ配合されていることが多いため、アミノ酸であることに意外な印象を受ける方もいるかもしれません。
L-システインは、アミノ酸のなかでも体内で合成される「非必須アミノ酸」にあたり、髪や皮膚にも存在している美容にかかせない成分です。
L-システインの働き
L-システインは、主に皮膚の代謝や肝臓の解毒作用に関係しています。
皮膚への働き
①肌のターンオーバーの促進
肌のターンオーバーは、約28日周期で生まれ変わります。
しかし、加齢や環境の変化、ストレスなどの影響によりこのサイクルは乱れてしまいます。
L-システインはこの肌のターンオーバーを正常化することで、健やかな肌を保ってくれます。
②コラーゲン生成を助ける
コラーゲンとは肌の土台となる組織のこと。
L-システインはコラーゲンの主成分でもあり、またコラーゲンの生成をうながすことでハリのある肌へとサポートします。
③抗酸化作用
しみやしわの原因といわれる活性酸素は、紫外線やストレスなどによって体内で生産される物質です。
L-システインは、この活性酸素を取り除くことで、肌荒れやニキビなどの肌トラブルの改善に役立ちます。
④メラニン色素の生成抑制
L-システインは、皮膚の色素沈着の原因であるメラニン色素の生成を抑えたり、体外へ排出をうながしたりする作用があります。
そのため、しみやそばかす、日焼け対策として、ビタミンB類やCとあわせて用いられます。
肝臓への働き
①アルコール分解作用
L-システインは、体内でアルコールを分解する酵素であるアルコール脱水素酵素、アセトアルデヒド脱水素酵素を活性化します。
そのため、二日酔いの改善として用いられます。
②エネルギー代謝
代謝とは、食事などから得た栄養素をエネルギーに変換することです。
このエネルギー産生の役割を担っているのが「TCAサイクル」です。
エネルギー産生には「SH酵素」が重要な働きをしています。
L-システインの構造にはSH基が含まれています。
TCAサイクル中のSH酵素にL -システインのSH基を供給することで、エネルギー産生を助けます。
疲れているときやストレスなどで活性酸素によるダメージを受けやすい状態では、TCAサイクルが滞り、エネルギーが作られにくくなります。
しかし、L-システインにてエネルギー産生を助けることで、疲れにくい、だるさを感じにくい体へとサポートしてくれます。
L-システインの効果
髪や皮膚にとって欠かせないL-システインは、それぞれの場所でどのような効果があるのでしょうか。部位別に詳しく解説しましょう。
髪のコシにかかせない
髪は、大部分がタンパク質でできており、他には脂質やメラニン色素があります。
髪のタンパク質に特徴は、「シスチン」というアミノ酸を多く含まれていることです。
このシスチンは、L-システインが2つ結びついた構造をしています。
L-システインの構成をみると、イオウが含まれています。
L-システインはこのイオウによって「SS結合」で結びつき、シスチンとなってタンパク質の構造を安定させます。
そのため、L-システインは髪をつくる非常に丈夫なたんぱく質の成分で、髪にコシを与えてくれる効果があるのです。
年齢肌にかかせない
L-システインは、美肌に欠かせないアミノ酸です。
まずは、先ほどL-システインの働きでも解説したように、メラニン色素の生成を抑制します。
皮膚には「チロシン」という物質が皮膚の奥に存在しています。
肌が紫外線の刺激を受けると、「チロシナーゼ」という物質が生成され、「チロシン」から「メラニン色素」に変化するように働きかけています。
L-システインはこの「チロシナーゼ」の物質の生成を抑制し、「チロシン」が「メラニン色素」に変化するのを抑制することで、シミやそばかす、日焼けによる色素沈着に効果があるのです。
また、肌のターンオーバーのサイクルを整えて、生成されたメラニン色素を体外へ排出させる効果もあります。
そのためシミやそばかすなどを新たに作らせないだけでなく、今あるシミやそばかすを薄くすることも期待できるのです。
さらに、肌の土台となるコラーゲンの生成もうながしてくれます。
そのため、ハリのある肌を保つことができるのです。
L-システインの上手な取り入れ方
L-システインは体内で生成することができるアミノ酸です。
しかし、加齢や生活習慣の乱れなどにより必要量を生成することが困難になります。
そのため、さまざまな方法で補う必要があります。
食品から摂取する
まずは日々の食事から補うことが大切です。
L-システインを含む食品としては、例えば、高野豆腐、小麦胚芽、ごま、卵、ブロッコリー、ニンニクなどがあります。
しかし、食品からL-システインを摂取できる量はごくわずかです。
そのため、L-システインを体内で合成させる必要があります。
L-システインは、アミノ酸の1種である「メチオニン」から生成することができます。
ただ、この「メチオニン」は体内で生成することができず、外から取り入れる必要のある「必須アミノ酸」であるため、積極的に食事から補う必要があります。
肉や魚、乳製品、大豆製品などさまざまなタンパク質に「メチオニン」が含まれています。
・魚類:マグロ、カツオ、イワシ、サケ
・肉類:鶏肉、牛肉、豚肉
・乳製品:牛乳、チーズ
・大豆製品:納豆、豆腐
・ナッツ類:カシューナッツ
また、L-システインはビタミンCとあわせて摂取することで、働きが活発になるといわれています。
そのため、葉物野菜やフルーツなどとあわせて普段の食事から取り入れると良いでしょう。
日頃からバランスのよい食事を意識していれば、不足することはまずないでしょう。
医薬品から摂取する
L-システインは医療用医薬品としてだけでなく、一般用医薬品としてもドラッグストアなどで販売されています。
医療用医薬品としては、効能効果として「湿疹、中毒疹、薬疹、じん麻疹、尋常性ざ瘡、多形滲出性紅斑、放射線障害による白血球減少症」の適応があります。
一般用医薬品としては、L-システインだけでなく、アスコルビン酸(ビタミンC)、パントテン酸カルシウムが含有しています。
効能効果は「しみ・そばかす・日やけなどの色素沈着、全身倦怠、二日酔、にきび、湿疹、じんましん、かぶれ、くすりまけ」の適応があります。
またビタミンB類をはじめとした数種類のビタミンを配合し「肌荒れ」に特化した商品もあります。
目的や用途にあわせて、一般用医薬品や必要であれば医療用医薬品を処方してもらうのがよいでしょう。
その場合は必ず医師の診断の元、処方してもらいましょう。
美白内服薬– 体の中から効果を発揮する医薬品
化粧品で摂取する
L-システインは化粧品としては、医薬部外品の添加物の成分として配合されています。
主に美白化粧品やヘアコンディショニング剤に、酸化防止剤や還元剤の目的で配合されています。
L-システインのしみやしわへの効果は、化粧品として外側からよりは食事や医薬品、サプリメントなど内側から補うことがよいでしょう。
化粧品に含まれるL- システインに関しては、あくまでも酸化防止剤や還元剤の役割であり、記事内の美白などの効果はありません。
L-システインの副作用や注意点
L-システインは、一般的に副作用は起きにくい成分と知られています。
しかし医薬品成分のため、副作用が起こる可能性は否定できません。
では、L-システインの副作用や注意点についてどのようなことに気をつけるべきか解説しましょう。
主な副作用とは?
L-システインにて考えられる主な副作用は以下のとおりです。
悪心(0.1〜5%未満)
下痢(0.1%未満)
口の渇き(0.1%未満)
軽度の腹痛(0.1%未満)
重篤な症状の副作用は報告されていません。
もしも、L-システインの服用により副作用が現れた場合は、一旦服用を中止し、クリニックで医師に相談するようにしましょう。
L-システインを過剰摂取すると白髪が増える?
L-システインの副作用で、白髪にやすいと耳にしたことがある方もいるかも知れません。
しかし、実際に白髪とL-システインの関係性は立証されていません。
たしかに、L-システインは色素沈着を薄くする効果が期待できます。
しかし、そもそも白髪については明確なメカニズムが解明されていないため、L-システインの摂取と白髪の因果関係は認められていません。
L-システインを積極的に取り入れて、疲れ知らずの健やかな肌や体を目指そう
L-システインは私たちの肌や髪にとってかかせない成分です。
また、日々の疲れた体のケアにも必要な成分でもあります。
加齢やストレスなどを積み重ねていくことで、普段の食事から補うだけでは間に合わないかもしれません。
いつまでも美しく健やかな見た目を維持するために、医薬品やサプリメントも上手に取り入れていきましょう。
年齢による肌のしみやしわが気になる、髪のコシが気になる、アルコールが残りやすくなったり疲れにくくなったりと体調が気になる方は、ぜひL-システインを取り入れていきましょう。