ミノキシジルとは?女性も安全に使用できる?効果や副作用について徹底解説
ミノキシジルと聞くと、男性用の脱毛予防や薄毛治療の医薬品を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
いまや、薄毛に悩むのは男性だけではありません。産後、ホルモンバランスが崩れて脱毛が増えることや、年齢を重ねるごとに薄毛に悩む女性が増えたこともあり、女性用のミノキシジル含有医薬品も世に多く出るようになりました。
「もともと男性用しかなかったし、女性が使っても大丈夫?副作用はないの?」と、心配な方もいるかもしれません。
今回は、ミノキシジルについて効果や副作用など詳しく解説していきます。
気になっていたけど、副作用などが心配で手が出せなかったという方もぜひ参考にしてみてください。
ミノキシジルとは
ミノキシジルは、1960年代にアメリカのファルマシア・アップジョン社(現ファイザー社の一部)が血管拡張剤(血管を広げることで血圧を下げる薬)として開発しました。しかし、治療中の患者さんに多毛の副作用があることがわかり、発毛剤として新たに開発されました。
現在、世界90カ国以上で医薬品として使用されています。一方、日本では医療用医薬品としてではなく、一般用医薬品として販売されています。
発毛のメカニズムは、毛乳頭細胞や毛母細胞の活性化と説明されていますが、詳細はまだ分かっていません。
日本では、男性型脱毛症(AGA)の治療薬として外用薬が承認されています。
AGAとは、Androgenetica Alopeciaの略で、「男性型脱毛症」のことです。成人男性によく見られる進行性の脱毛症で、遺伝や男性ホルモンの影響によって引き起こされます。
女性の場合も、抜け毛や薄毛が起こることがあるため、「Female(女性の)」の頭文字をとって、「FAGA(Female Androgenetic Alopecia)」と呼ばれています。
AGAは生え際や頭頂部、あるいはその両方が薄くなるのが特徴で、FAGAは頭髪全体が薄くなるのが特徴です。
ミノキシジルは、FAGAの治療にも有効であることが認められています。
AGAは発症する年代によって「若年性脱毛症」「壮年期脱毛症」「老人性脱毛症」という別の呼び名がありますが、ミノキシジルは「壮年期脱毛症」に効果があります。
ミノキシジルの効果
ミノキシジルの外用薬は、頭皮に直接塗布し、毛母細胞の分裂を刺激することで発毛を促進します。
発毛作用
ミノキシジルはもともと血管拡張剤なので、塗布すると頭皮の血管が広がります。これにより、頭皮の血行が良くなり、毛母細胞のひとつひとつに栄養が行き渡るようになるのです。ミノキシジルの血行促進効果により、毛髪を作り出す細胞である毛母細胞が活性化し、発毛を促進します。
ミノキシジルは、日本で唯一、発毛効果が認められている成分です。
ミノキシジルの内服薬と外用薬
ミノキシジルには内服薬と外用薬がありますが、厚生労働省が認可しているのは外用薬のみです。外用薬はドラッグストアで購入することが可能ですが、内服薬は国内製造も販売も禁止されています。
一方、医師の責任で内服薬を個人輸入し処方することは医師法において認められているため、医師の診察を受けて内服薬を処方してもらえるAGAクリニックは多くあります。
内服薬
ミノキシジルの内服薬は「ミノキシジルタブレット」と呼ばれています。
ミノキシジルタブレットの内服薬は、外用薬と異なり、体内に吸収されるため効果が高いのですが、副作用も多く、日本では製造・販売が許可されていません。
ミノキシジルの外用薬が効きにくく、ミノキシジルの内服薬を試したい場合は、医療機関を受診し医師に相談してください。
特に女性はミノキシジルタブレットを使用する際には注意が必要です。
妊娠中(または妊娠の可能性がある場合)、授乳中は服用することはできません。内服薬を使用する場合は、必ず医師に相談するようにしましょう。
外用薬
ドラッグストアで市販されている女性用のミノキシジル外用薬の多くは、濃度1%(100mlあたりミノキシジル1mg含有)です。
それ以上の濃度のミノキシジル外用薬を使用する場合は、クリニックなどの医療機関を受診し、処方箋をもらう必要があります。女性用の外用薬の濃度は5%が上限です。
医療機関でのカウンセリングや診察の後、遺伝子検査などを行い、ご自身に最適な外用薬を処方してもらうことで、優れた効果を期待できます。
ミノキシジルはどこで買える?
ミノキシジルを含む医薬品は、主にドラッグストアで購入することができます。第一類医薬品であるため、ドラッグストアで購入する場合でも薬剤師から説明を受け、使用しても問題ないか確認してもらう必要があります。
一方、ドラッグストアで売っているよりも高濃度のミノキシジルを購入したい場合は、医療機関で医師の診察を受け、自分の状況にミノキシジルが有効かどうかを判断してもらう必要があります。あなたの症状に合った濃度を処方してもらうとよいでしょう。
日本では販売されていないミノキシジル配合の医薬品をインターネットで輸入できるようになりましたが、インターネットで販売されている医薬品が必ずしも安全とは限りません。ラベルに記載されている成分が含まれていなかったり、発がん性物質など体に有害な物質が含まれていたりする場合があります。
日本のドラッグストアで市販されているミノキシジル配合の外用薬は、ミノキシジル濃度が2~5%(男性用も含む)です。しかし、インターネット上では5%以上の濃度の薬剤が数多く販売されており、高い効能を謳っていることも少なくありません。
日本で承認された医薬品には副作用の救済措置がありますが、個人輸入で購入した医薬品には副作用の救済措置がありません。自己責任で使用することになります。
海外製で安全性が認められているものでも日本人の体に合わない場合もありますので、安全のため、インターネットでの医薬品の購入は避けましょう。
ミノキシジルの副作用は?
ミノキシジルはもともと血管拡張剤として開発されたものなので、注意すべき副作用があります。
特に、内服薬の場合は、より効果を得られる分、気を付けなければならない副作用がありますので、きちんと確認しておきましょう。
初期脱毛
AGA治療では、治療を始めたときに脱毛が起こることがあります。
髪の成長サイクルは「成長期」→「退行期」→「休止期」→「成長期」を繰り返していますが、成長期が短くなると、生えてくる髪の毛が細く、短くなってしまいます。
なぜ初期脱毛が起こるのかというと、「成長期」の髪が成長し、そのときに古い髪が抜けてしまうからです。ミノキシジルは、髪の成長サイクルを正常に戻す働きがあるため、抜け毛の状態が発生します。これは副作用ではありませんが、育毛剤を使用しているのに髪の毛が抜けている…と不安になるかと思いますが、効果が出ている証拠です。
脱毛は2週間から1カ月ほど続きますが、これには個人差があり、人によっては初期脱毛がない場合もあります。髪の長い女性は、抜け毛が多くなったと感じるかもしれませんが、不安を感じたら医師や薬剤師に相談しましょう。
動悸・息切れ
ミノキシジルはもともと、血管を拡張させるために開発されました。
血管が拡張されると血流がよくなるので、血圧が下がります。血圧と心臓には密接な関係があります。
ミノキシジルは血管を拡張しますが、すべての血管に作用するわけではなく、動脈だけを拡張します。動脈は心臓から全身に血液を運ぶ血管で、静脈は心臓に血液を戻す血管です。
血管が拡張すると、心臓から全身に血液を送り出すときの抵抗が少なくなり、より多くの血液を送り出すことができるようになります。しかし、静脈は拡張しないため、送り出された血液がそのまま心臓に戻ってくることになります。
その結果、心拍数が上がり、動悸や息切れが起こるのです。
動悸・息切れを感じたら、ミノキシジルによる副作用の可能性があります。
普段と違ったり、休んでも治らないようであれば、医師や薬剤師に相談しましょう。
不整脈
不整脈は心臓が不規則な動きをして、脈が遅くなったり(徐脈)、反対に脈が速くなったり(頻脈)、または不規則になることがあります。
不整脈は健康な人にも起こる可能性がありますが、ミノキシジルの副作用でもあるため、軽く考えてはいけません。
また、ミノキシジルは、心臓を取り囲む血管である冠動脈を広げます。冠動脈は通常、収縮と弛緩を繰り返して血液を流していますが、ミノキシジルの血管拡張作用によって常に血管が弛緩していると、血管が機能不全(働かない状態)に陥ってしまいます。
その結果、不整脈を引き起こす可能性があります。
重度の不整脈は命に関わるため、注意が必要です。
狭心症
先ほど説明した副作用である不整脈は、ひどくなると狭心症に発展する可能性があります。
ミノキシジルによって胸の痛みを訴える人は多くいますが、これは狭心症の初期症状です。
狭心症になると、血管が収縮して狭くなり、心臓に酸素が供給されなくなります。その結果、「胸が痛い」=「胸痛」が起こることになります。
かゆみ、発赤
ミノキシジルの外用薬を使用すると、直接頭皮に塗ることになるので、炎症を起こしてかゆみや発赤が起こることがあります。外用薬を使用すると一番多い副作用です。
かゆみなどが起こった場合は使用を止めて、医師や薬剤師に相談しましょう。
ミノキシジルに注意が必要な人
ミノキシジルを使用してはいけない人もいます。
・高血圧症
・低血圧症
・狭心症などの心疾患
以上のような疾患を持っている方はミノキシジルを使用する前に必ず医師に相談しましょう。
また、人工透析を受けている方や、腎機能障害、肝機能障害のある方も使用を控える必要があります。
女性の場合は、
・妊娠している(妊娠の可能性がある)方
・授乳中の方
も、使用することはできません。ミノキシジルは母乳への移行が認められています。
他にも、避妊用ピルの使用をやめたことによる脱毛や甲状腺疾患・急激なダイエットによる脱毛など、他の原因がある場合も使用することはできません。
まとめ
ミノキシジルによって発毛・育毛効果が実感されても、使用を中断してしまうと元に戻ってしまいます。また、AGAの場合は進行性のため、症状が進んでしまう可能性があります。
ミノキシジルは脱毛の進行を抑制することはできますが、完治させることはできません。
一方で、ミノキシジルによる効果を実感できるようになるには継続的な使用が重要とも言われておりますので、すぐに効果が出ないからといって使用をやめず、継続して使用してみるようにしましょう。
女性でも薄毛に悩む人が増えています。
デリケートな問題なので、なかなか相談できずにひとりで悩むこともあるかもしれませんが、いまは治療薬もありますし、女性専用のAGAクリニックも多く存在します。
発毛剤、育毛剤と聞くと男性用をついつい思い浮かべますが、今は女性も安心して使用できるものがあります。
医師や薬剤師に相談し、自分にあった医薬品を選択するようにしましょう。