UPFとは?SPF、PAとの違い、正しいUVカットの方法まで詳しく解説!
UVカット効果のある商品を選ぶ際に、よく目にする「UPF」という言葉。ほかにも「SPF」や「PA」といった指数がありますが、それぞれの意味や効果をよく知らないまま「とにかく数値の高いほうがいいのだろう」と、なんとなく選んでいる人も多いのではないでしょうか。
正しく日焼け対策を行うには、各数値の意味を知り、用途に合った商品を選ぶことが大切です。今回は、UPFの意味や類語との違い、紫外線防止効果を高めるためのポイントなどを詳しく紹介します。
UPFとは
UPFは「UltraViolet Protection Factor」の略語であり、「紫外線保護指数」と訳されます。
「UV-A」「UV-B」などの紫外線に対する相対的な保護能力を表している指標で、紫外線加工を施した衣服などに表示されています。
UPFは「15、20、25、30、35、40、45、50、50+」の9つの段階で格付けされ、数値が高いほど肌の保護能力が高くなります。例えば「UPF40」と書かれている商品であれば、着用すると紫外線量を40分の1までカットでき、素肌で日に当たったときと同じように日焼けするまで40倍の時間がかかるという意味です。
UPFはオゾンホールの破壊が進むオーストラリアやニュージーランドで考案された規格で、現在では国際的な基準となっています。
紫外線遮蔽率とは
紫外線遮蔽率とは紫外線を遮る力を示す数値で、日本独自の規格です。「UVカット率」ともいわれています。紫外線を吸収したり反射したりする物質を生地に練り込むなど紫外線加工が施された製品に記載されており、衣類、帽子、日傘、手袋などにUPFとセットで表示されることが多いです。
紫外線遮蔽率は紫外線の透過率によって算出され、3段階で評価されます。
・90%以上:A級
・80%以上:B級
・50%以上:C級
一般的に、遮蔽率99%以上だと高い効果が期待できる製品だといわれています。
SPFとは
SPFは「Sun Protection Factor」の略語であり、肌の炎症を引き起こす「UV-B(紫外線B波)」に対する防止効果を表す指標です。日焼け止めやスキンケア用品などの効果を示すのに使われます。
SPFの数値は、UV-Bによって炎症が生じるのをどのくらいの時間防げるのかを示しています。1~50の数値で示され、数値が高いほどUV-Bを防ぐ力が強いということです。「SPF1」だと効果の持続時間は約20分間といわれていますので、「SPF50」の持続時間は約1000分(約16時間)となります。
とはいえ、どんなに数値が高い製品でも、塗り方にムラが合ったり塗ってから時間が経ったりすると効果は落ちてしまいます。数値の大きさを過信せず、こまめに塗りなおすことが大切です。
PAとは
PAとは、シワやたるみの原因になる「UV-A(紫外線A波)」に対する防止効果の指標です。効果を数値化することが難しいため「+」の数によって4段階でランク付けされています。
・+(プラス):効果がある
・++(ツープラス):かなり効果がある
・+++(スリープラス):非常に効果がある
・++++(フォープラス):極めて効果が高い
こちらも「+」の数が増えるほど効果の持続時間が長くなりますが、やはりこまめな塗り直しが大切です。
また数値が高いほど肌への負担が大きくなりますので、「とにかく数値の高いものを使えば良い」というわけではありません。「レジャーのときは数値の高いもの」「買い物に行くだけなら数値の低いもの」など、用途にあった日焼け止めを選ぶと良いでしょう。
紫外線の種類
紫外線とは、人の目で見ることができる「可視光線」よりも波長の短い光です。波長の違いによって「UV-A(紫外線A波)」「UV-B(紫外線B波)」「UV-C(紫外線C波)」に3つに分けられます。
紫外線というと夏場に強くなるイメージがありますが、実は1年を通して肌にダメージを与える存在です。真冬の1月でも、ピーク月に比べてUV-Aは2分の1、UV-Bは5分の1の強度を保っています。「夏じゃないから」と油断せず、1年を通して紫外線ケアを続けることが大切です。
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UV-A
UV-Aは、太陽光のうち約9割を占めており、シミや肌のたるみの原因になる紫外線です。
波長の長いUV-Aは肌の深部まで浸透して、コラーゲンやエラスチンなど肌のハリを保つ成分を破壊し、肌の弾力を失わせます。弾力を失った肌は重力に耐えられず、垂れてシワになってしまうのです。また紫外線によって生成されたメラニン色素を酸化させる働きもあり、肌のくすみを引き起こします。
UV-Aは窓を透過して家や車の中まで届きやすいことから「生活紫外線」とも呼ばれています。家の中でも油断せず、SPFやPAが低めの日焼け止めで紫外線対策をするといいでしょう。
UV-B
UV-A以外の残り1割を占めるのがUV-Bです。UV-Bは肌にヒリヒリとした炎症を引き起こす紫外線で、太陽光を浴びてから数日後に肌を黒くしたり赤くしたりする作用があります。
さらに、UV-Bは細胞の核内にあるDNAに吸収され、DNAを傷付けてしまいます。DNAは細胞の設計図ですので、傷付くと細胞にとっては大きなダメージです。長期間浴び続けると、皮膚がんや慢性皮膚障害になる可能性も懸念されます。
UV-Bは「レジャー紫外線」とも呼ばれています。プールや海などで遊んだ後にやってくる日焼けや乾燥はUV-Bが原因です。
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UV-C
UV-Cは最も波長の短い紫外線で、人体に対しても強い影響力を持っています。直接肌に当たり続けるとやけどのような症状が出てしまい、目に当たると角膜炎や結膜炎を引き起こすリスクがあるのです。
一方、細菌やウイルスのDNAやRNAを破壊して、増殖を抑える効果も持っているため、強い殺菌作用があるとして、殺菌装置などに応用されています。
とはいえ、UV-Cは通常、大気圏にあるオゾン層に吸収されるため、地表にはほとんど届きません。しかし、オゾン層の破壊によってオゾンホールが形成されてしまった南半球においては、UV-Cが地上に到達することが懸念されているのです。
オーストラリアやニュージーランドにおいて紫外線に対する危機意識が高まっていることから、UPFという国際基準が設けられました。
衣類で紫外線対策するときのポイント
衣服やアームカバーで肌を覆っていても、紫外線遮蔽率が低い製品ではUV-Aがすり抜けてしまい、日焼けを完全に防ぐことはできません。
衣服でしっかり紫外線対策をしたい場合は、できるだけ織り目の詰まった素材のものを選びましょう。また、生地自体に厚みのあるポリエステルが紫外線を通しにくいといわれています。薄手のシルクやナイロンは紫外線を通しやすい素材ですので、夏場は避ける方が良いでしょう。
中には「紫外線対策に!」などとアピールしている商品もありますが、具体的な数値がない物は本当に効果があるかどうかわかりません。UPFや紫外線遮蔽率などが表記されているものを選ぶと良いでしょう。
UVカットについての気になる疑問
紫外線防止を目的に衣類を選ぶとき、どれを選べばいいのか疑問を感じた経験がある人は多いでしょう。ここでは、UVカットに関してよくある疑問に回答します。
黒と白、どっちがいい?
白い服の方が光を反射してくれるイメージがあるかもしれませんが、紫外線を通しにくいのは黒い服です。そのほかにも、ダークグレーやネイビーなど濃いめの色であれば紫外線遮蔽率が高いため、日中や夏場には向いています。
ただし、黒は熱を吸収しやすい色でもあるため、夏場に着るのは避けたいという人もいるかもしれません。その場合は、日傘などで黒系の物を選ぶと良いでしょう。また色の薄い服でもUVカット加工されているものなら紫外線対策として身に付けられます。
洗濯するとUVカット効果は落ちる?
UVカット加工がされていても衣類は洗濯する度に効果が薄れてしまいます。
特に、紫外線を吸収する成分を布に浸透させているタイプの製品は、洗濯によって成分が流れてしまうため、効果が落ちやすいです。一方、紫外線を反射する素材を生地に織り込んでいる製品は、洗濯しても効果が持続しやすいといわれています。できるだけ長く愛用したい場合は、後者のタイプを選ぶと良いでしょう。
また衣類用の紫外線防止スプレーを併用する方法もあります。ただし、何度もスプレーを使用すると衣類を痛めてしまいますので、大事なお洋服に使用するのは避けた方が無難です。
UV対策はアイテム+日焼け止めで
しっかりUV対策をしたいなら、長袖や長ズボンなどで肌を露出させないだけでなく、次のようなアイテムを併用するとより効果的です。
・サングラス
・帽子・サンバイザー
・UVカットマスク
・日傘
・手袋・アームカバー
・ストール
・フェイス・ネックカバー
・ラッシュガード
特に、サングラスや帽子などで目を守ることは重要です。目から紫外線を吸収するとメラニン色素の生成が促進されるといわれており、シミやくすみの原因になる可能性があります。
また日傘は直射日光を遮ってくれるため、体感温度を下げる効果があります。夏場に長袖やアームカバーをしていると余計に暑く感じますので、日傘を併用すると良いでしょう。
とはいえ、これらのアイテムを使用しても紫外線を100%防ぐことはできず、肌のダメージは避けられません。UVカットアイテムを使っているからと油断せず、日焼け止めも併用した方が紫外線防止効果を高められます。
肌が露出している部分だけでなく隠れている部分にも日焼け止めを塗ると、衣服を透過してくる紫外線も防ぐことができます。
まとめ
UPFは、UVカット加工などが施された衣服に表記される、紫外線の防止効果を表す指標です。UVカットのアイテムを選ぶ際は、UPFの高いものを選んだほうが紫外線防止効果が期待できます。
ただし、UPFや紫外線遮蔽率が高い商品であっても、紫外線を100%遮断できるわけではありません。また洗濯や着用する頻度が高いほどUVカット効果が低下してしまいますので、過信は禁物です。
UVカットアイテムを合わせて日焼け止めを使用し、しっかり肌の健康を守っていきましょう。
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