女医によるファミリークリニックでは、育児経験をしている女性医師が、お子さまだけでなくお母さんの健康や美容医療にも対応しています。今回は、患者様のことはもちろん、常に働く女性医師や看護師、スタッフのことも考えておられる院長の大井(竹中)美恵子先生に、クリニック開院の経緯やこだわり、プライマリーケアなどについてお話を伺いました。
産後の女性医師だけでタイムシェアワーキングして出来るクリニックを立ち上げたい
――なぜご自身のクリニックを開院しようと思われたのですか?
大井(竹中) 広島市民病院の小児科に勤務をしていたのですが、私は小児科の中で唯一の女性医師で、性的虐待の子供など、非常に重い患者様を受け持たせていただいたので、十分な産休を取得することができませんでした。もちろん仕事は大事ですが、生後2週間ぐらいから子供を預けて仕事をしていたら、一生後悔するだろうなと思って、自分の思い通りに働きたいと思ったことが開業した一番の理由です。
――仕事と子育てを両立してバランスよく働くことが難しい環境だったんですね。
大井(竹中) そうですね。院内保育でしたが、子供と会えるのは授乳の時だけでした。母親として何もできない自分が情けなく思いました。ただ、悩んでいるのは私だけではなかったんです。子供を預けて復帰するか、辞めるかのどちらかしかなくて、同じように出産した女性医師が辞めていくんですよ。それを見ていて、すごく残念だなと…。子育て中で一人前の働きができないのなら、子育て中の女医が複数人集まれば一人前の仕事ができるのではと思ったんです。そこで、産後の女性医師だけでタイムシェアワーキングして出来るようなクリニックを立ち上げたいと思ったんです。
――その想いが「女医によるファミリークリニック」というクリニック名になっているんですね。
大井(竹中) はい。最初は自分の名前を入れたクリニック名にしようと思ったのですが、開業する時にお世話になった方々にお話したところ、私の想いをそのまま入れた方がいいと言われて、「女医によるファミリークリニック」にしました。
働いている人たちが幸せでないと患者様を幸せにできない
――貴院のこだわりや特徴について教えてください。
大井(竹中) 今もお話したように、一番は働く女性医師の環境作りですね。例えば、子供の参観日に遠慮なく休みが取れるようなシステムを作るとか、働きやすい職場です。これは女性医師だけでなく、看護師やスタッフも一緒です。クリニックを子供が多い住宅街ではなく駅前にしたのも、医師や看護師、スタッフが子育てをしながら通勤しやすい場所を考えた時に、やはり駅前だなと思ったからです。
私は、働いている人たちが幸せでないと患者様を幸せにすることはできないと思っています。患者様のことを考えて診察、治療にあたるのは大前提として、一緒に働く人たちの幸せを一番に考えたいと思っています。
――美容皮膚科を診察するようになったのはなぜですか?
大井(竹中) 小児科医として勤務していた時に、子供の鬱病や不登校などの心身症を診ていて、ある共通点があるなと思ったんです。それは、お母さんなんですよ。お母さんが明るい元気な家は、子供も真っ直ぐ育つ印象があったんですね。逆に、子供が鬱になったり不登校になったりするときは、お母さんが病んでいることが多かったので、これはお母さんを元気にする病院でないといけないと思ったんです。
お母さんを元気にするためには、まずは見た目からなんですよ。「顔色がよくなりましたね」「肌艶がいいですね」など、褒められると女性は元気になります。ですから、お子様の診察に来られたついでに、気軽に美容をできるようにしようと思ったのが、私が美容点滴を取り入れたキッカケです。レーザーとか大掛かりにやらなくても、美容点滴だけをやって、お母さんが元気になると子供も元気になるんです。ですから、手軽に美容ができる、お母さんのための美容医療をしようと思ったのが始めたキッカケです。
一人の医者としてトータルで診ることを大事に
――貴院で行っているプライマリーケアについて教えてください。
大井(竹中) 「身体を良くしたい」「精神的に安らぎたい」「予防医療を目指している」など、人によって求めるものは違います。ですから、じっくりとお話した上でそれを見極めていくことを大事にしています。簡単に言えば、いろいろなことについて相談に乗って診察するようなイメージですかね。
医学だけで治せるわけではないので、治療だけが全てではないんですよ。開業する前に開業医のクレームについていろいろ調べた時に、「話を聞いてくれない」「薬の説明がない」など、すべてコミュニケーションに含まれるものだなと思ったんです。ですから当院は、患者様の話を聞くことが9割、診察が1割ぐらいのイメージで、患者様が何を求めているのかをよくお聞きするようにしています。
――プライマリーケアとは、どんなことでも親身になって相談に乗ってくれる総合医療みたいな感じですね。
大井(竹中) その通りです。私は臨床研修医システムが導入された後に医者になったので、初期研修はすべての科を回るんですね。ですから、内科、形成外科、眼科、皮膚科など全て診られるように学びました。今は専門医の時代ですが、あえて総合医療ができるところを強みにしています。何科という垣根を設けずに一人の医者として診て治療したいという想いで診察しています。私で対応できなければ専門の先生をご紹介する必要がありますが、自分のできるところまでは一人の医者としてトータルで診させていただくというアメリカ的なスタイルですね。そこはすごく大事にしています。
患者様からの問い合わせに24時間電話で対応
――貴院が考える美容医療におけるホームケアの役割・重要性についてお聞かせください。
大井(竹中) 当院は院内で化粧水やクリームなどお化粧品を作っています。ビタミンCローション、レチノールなどを毎日コツコツ使っていただくホームケアグッズをお勧めしています。とにかく毎日続けていただくことが大事なので、使いやすさと値段、そしてトラブルがあった時にいつでも相談できることを重視しています。
当院は、小児救急をやっているので24時間電話が繋がるようにしているんです。ですから、化粧品を使っていて何かトラブルがあれば、いつでも電話でご相談していただけますので、患者様も安心して使っていただけます。
――どのようなご相談が多いですか?
大井(竹中) 小児科ばかりではなくて、例えば、キャンプ地でアブやハチに刺されてどうしたらいいかとか、顔が腫れてしまったとか、いろいろなお問い合わせがあります。皮膚科の110番ってあまりないですからね。全体的には、小児科、内科、皮膚科、アレルギー科が、それぞれ1/4ずつぐらいだと思います。
――今後の展開について教えてください。
大井(竹中) 女性医師の働きやすい環境をもっと整えていきたいです。あとは海外のように、かかりつけ医を持ってもらえる世の中にしていきたいです。内科だったらここに行く、外科だったらここに行くとかではなく、まずはかかりつけ医の先生に診てもらうといった信頼してもらえる医師像を構築していきたいと思います。また、病気にならない予防医療にも力を入れていきたいです。
女医によるファミリークリニック
院長 大井(竹中) 美恵子
おおい(たけなか) みえこ
経 歴
広島大学附属幼稚園/広島大学附属小学校/広島大学附属中学校/広島大学附属高等学校卒業
平成21年3月金沢医科大学医学部医学科卒業
平成21年4月〜平成23年3月医療法人あかね会 土谷総合病院
平成23年4月〜広島市立広島市民病院小児科
他:広大前皮フ科内科・アーバンビューグランドタワーメディカルコート・重症心身障害児施設 ときわ呉・日本赤十字社等で勤務
資格・所属学会
資格
難病指定医・キレーション認定医
小児慢性特定疾患指定医子どもの心相談医
高濃度ビタミンC点滴療法認定医
所属学会
日本小児科学会
日本周産期新生児医学会
日本小児神経学会
日本リウマチ学会
抗加齢医学会
高濃度ビタミンC点滴療法学会日本アレルギー学会
日本小児皮膚科学会
日本小児科医会
広島県小児科医会
赤ちゃん成育ネットワーク
点滴療法研究会
女医によるファミリークリニック
〒732-0822 広島県広島市南区松原町5-1 ビッグフロントひろしま4F
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