ビサボロールの肌への効果とは？抗炎症作用や美白作用、安全性についても解説
ビサボロールという美容成分をご存知でしょうか。
カモミールの精油から抽出される天然成分であり、すぐれた抗炎症作用や、メラニン色素の合成を抑制して美白へ導く作用などが知られています。
また、ビサボロールは肌への刺激が少なく安全性の高い天然成分であるため、化粧品成分による肌荒れが心配な方も安心して使用できるでしょう。
今回は、ビサボロールがどういった成分なのかや、働き、効果についても詳しく解説します。また、気になる副作用や安全性についても詳しく説明するので、ぜひ参考にしてみてください。
ビサボロールとは
ビサボロール（α-ビサボロール）とは、ハーブティーなどによく用いられる、カモミール（和名：カミツレ）の花からとれる精油に含まれる成分のことです。
別名「レボメノール」とも呼ばれ、数百年前から民間に語り継がれる伝承薬として用いられてきました。
ビサボロールはもともと医薬品にしか使用できない成分でしたが、その後化粧品成分としても使用されるようになりました（※1）。
ビサボロールの構造や性質
ビサボロールは炭素数15からなる、単環式セスキテルペンと呼ばれる化合物であり、水に溶けにくく、アルコール（エタノール）に溶けやすいという性質をもっています。
セスキテルペンとは、医薬品や香料として広く使われている天然成分のことです。
カミツレエキスとの違い
カミツレエキスとは、カモミール（カミツレ）の花や茎、葉などを混ぜたものから抽出される成分のことです。
カミツレエキスのなかにはビサボロールやカマズレン、フラボノイドなどの成分が含まれています。
つまり、ビサボロールは、カモミールから抽出されるカミツレエキスに含まれる成分のひとつということです。
また、ビサボロールとカミツレエキスの違いには、美白効果が認められているかどうかという点も挙げられます。
カミツレエキスは、美白成分として厚生労働省に承認されている成分です。
ビサボロールにはシミやくすみの原因となるメラニンの抑制作用があるものの、美白成分として承認を受けているわけではありません。
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ビサボロールにはどんな効果がある？
ビサボロールは美容だけでなく健康にも役立つ成分であり、国内外の多くの研究では、抗がん、神経保護、心臓保護、抗菌などの作用があることが示されています（※2）。
ここでは、下記のような美容に役立つ作用について詳しく解説します。
・抗炎症作用
・メラニン抑制作用
・抗酸化作用
・シワ改善作用
・静菌作用
ビサボロールの美容効果について詳しく知り、美肌を目指したい方はぜひ参考にしてみてください。
抗炎症作用
ビサボロールには抗炎症作用があるため、鎮静剤としてよく化粧品に使用されてます。
実際に、ヒトの軟骨細胞を用いた研究では、炎症に関わるCOX-2やNF-α、プロスタグランジンE2（PGE2）などの因子を抑制することで、抗炎症作用を発揮することが明らかになっています（※2）。
そのため、肌荒れに悩んでいる方は、ビサボロールを含む化粧品によって炎症の緩和が期待できるかもしれません。
メラニン抑制作用
ビサボロールには、メラニン生成に関わる「チロシナーゼ」という酵素を抑制する作用があるため、紫外線によるシミを防いだり、肌の透明感をアップさせたりする働きが期待できます。
実際に、32～52歳の韓国人女性28人を対象とした研究によると、ビサボロールが入ったクリームを1日1回、8週間続けて塗布することによって、人工的な紫外線照射によって変化した肌色が改善されて明るくなったという結果が示されました（※3）。
ビサボロールのチロシナーゼ活性阻害作用は、美白化粧品によく配合されている美白成分の「アルブチン」と比較しても強力であり、その分より美白効果が高いといわれています（※4）。
ただし、美白成分として厚生労働省の認定しているアルブチンとは異なり、ビサボロールは美白成分としては認められていません。
アルブチンとは、梨やサンタベリーなどの植物に含まれている天然成分であり、ビサボロールと同じように、メラニンの生成を抑えてシミやそばかすを防ぐ働きをもっている天然成分です。
アルブチンについても詳しく知りたい方は、アルブチンの効果や安全性などについて詳しく書かれている下記の記事を参考にしてみてください。
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抗酸化作用
ビサボロールには抗酸化作用もあるため、ビサボロール含有の化粧品を使用することで肌のエイジングケアも期待できるでしょう。
ビサボロールの抗酸化作用を調べた実験によると、ビサボロールは老化の原因のひとつだと考えられている「フリーラジカル」を除去することにより、酸化除去作用を示すことが明らかになっています（※2）。
フリーラジカルとは、体内の代謝によってつくられる物質であり、過剰に生産されると細胞を傷つけたり老化を促進したりする働きをもっています。
肌の老化を抑えるエイジングケアをしたい方にも、ビサボロールは有用な成分だといえるでしょう。
シワ改善作用
ビサボロールには、コラーゲンの合成を促進する働きや、コラーゲンの分解酵素を抑制する働きがあるため、皮膚のシワの改善や予防に役立つといわれています（※4）。
実際に、ヒトの線維芽細胞を用いた研究によると、実験に用いたビサボロールの濃度が濃くなるにつれてコラーゲン合成が促進され、コラーゲンの分解酵素の活性も抑制することが明らかになっています（※4）。
つまり、ビサボロールは肌のコラーゲンを守ることによってシワの改善に役立つといえるでしょう。
静菌作用
ビサボロールには、肌の炎症を緩和したり、シミやシワを防いだりする作用のほかにも、静菌効果があります（※5）。
そのため、化粧品の安定性を高める防腐剤としてもよく用いられています。
化粧品にビサボロールを配合することで、パラベンやフェノキシエタノールなどの防腐剤の量を減らせるため、肌への刺激も軽減できます。
そのため、敏感肌の方や、防腐剤による肌への刺激を心配している方は、防腐剤不使用のものや、ビサボロール入りの化粧品を試してみるとよいでしょう。
ビサボロールの副作用や安全性
ビサボロールは植物の精油から抽出される天然成分であり、化粧品として数十年以上の長い使用実績があるため、比較的安全性は高いといえます（※）。
日本でいう厚生労働省にあたる機関である「米国食品医薬品局（USFDA）」でも、ビサボロールは毒性が低く安全性の高い化合物であると認められている成分です（※2）。
実際に、健康な30人の腕に1日おきに合計9回、24時間の累積パッチテストを行い、ビサボロールの皮膚刺激性を調べた研究では、ビサボロールによる皮膚の反応レベルは低く、安全な成分であることが示されています（※4）。
いくつかの試験データにおいても、皮膚刺激性やアレルギー性もほとんどないことがわかっているため、敏感肌やアトピー肌の方でも安心して使用できるでしょう。
ただし、人によっては赤みやかゆみなどのアレルギー反応が出る可能性もあるため、肌が弱い方は使用前にパッチテストをするとよいでしょう。
ビサボロールを使った化粧品
抗炎症作用やメラニン抑制作用、防腐作用などをもつビサボロールは、主に以下のようなさまざまな化粧品に使用されています。
・クレンジングや洗顔フォーム
・化粧水や美容液、乳液、クリーム、フェイスマスクなどのスキンケア用品
・シャンプーやヘアコンディショナー、トリートメントなどの頭皮ケア用品
・ボディーソープ、ハンドソープ
・日焼け止め
・メイクアップ用品 など
ビサボロールは透明の液体であり、フルーティーな甘い香りがすることから、化粧品の香料や香水としても使用されることがあります。
ビサボロールは美肌づくりに役立つ低刺激成分
本記事では、ビサボロールの特徴や効果、安全性などについて詳しくご紹介しました。
ビサボロールは、カモミール（カミツレ）の花からとれる精油に含まれる天然由来成分であり、抗炎症作用にすぐれています。また、美白成分として厚生労働省に承認されているわけではありませんが、アルブチンといったほかの美白成分よりも高い美白作用をもっています。
肌荒れが気になる方や、シミやそばかすを防ぎたい方は、ビサボロールが配合された化粧品を試してみてはいかがでしょうか。
ビサボロールは天然の低刺激成分であるため、敏感肌の方や肌が弱い方でも、比較的使用しやすい成分だといえます。
ビサボロールはスキンケア用品やメイクアップ用品など、さまざまな化粧品に含まれている成分です。うまく取り入れることで、美肌づくりに役立てていきましょう。
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【参考文献】
1）薬食審査発 第 0524001号 各都道府県衛生主管部 (局)長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知 化粧品に配合可能に配合可能な医薬品な医薬品の成分について(平成19年)
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/444896.pdf
2）Lujain Bader Eddin, Niraj Kumar Jha, Sameer N. Goyal, Yogeeta O. Agrawal, Sandeep B. Subramanya, Salim M. A. Bastaki, and Shreesh Ojha Health Benefits, Pharmacological Effects, Molecular Mechanisms, and Therapeutic Potential of α-Bisabolol(2022)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9002489/
3） LEE J. (Biospectrum Life Sci. Inst., Gyunggi Do) , JUN H. (IECKorea Skin Res. Center, Suwon, KOR) , JUNG E. (Biospectrum Life Sci. Inst., Gyunggi Do) , HA J. (IECKorea Skin Res. Center, Suwon, KOR) , PARK D. (Biospectrum Life Sci. Inst., Gyunggi Do) アジア系の女性におけるα-ビサボロールの美白効果(2010)
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201002273802457420
4）Compositions for Improving Skin Conditions Comprising Alpha-Bisabolol as an Active Ingredient (2007)
https://patents.google.com/patent/US20100015071A1/en
5）Diane L McKay 1, Jeffrey B Blumberg A review of the bioactivity and potential health benefits of chamomile tea (Matricaria recutita L.) (2006)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16628544/
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