グラブリジンは美白に効果的？ハイドロキノンとの違いや、安全性についても解説
近年、その高い美白効果が話題のグラブリジン。
シミやそばかす対策に使ってみたいけれど、本当に効果があるのかや、安全性に不安がある方も多いのではないでしょうか。
今回は、グラブリジンがどういった成分なのかや、働き、効果についても解説します。また、気になる安全性についても説明するので、ぜひ参考にしてみてください。グラブリジンに対する疑問や不安が解決するでしょう。
教えてくれたのは
薬剤師 稲嶺千春 さん
大学卒業後、製薬企業で健康食品の品質保証に携わる。その後、調剤薬局の薬剤師へと転職して心療内科の処方を中心とした臨床経験を積む。会社員として働くなかで、自分の力だけで人々に価値提供していくことに興味をもち、もともと興味のあった美容や健康分野を中心に執筆活動をしている。
グラブリジンとは
グラブリジン（Glabridin）とは、マメ科の植物である「カンゾウ（甘草）」の根から抽出される成分のひとつで、ポリフェノールの一種です。
甘草（カンゾウ）は、漢方薬によく使われる生薬で、世界中で食べ物として利用されてきた植物です。ヨーロッパでは甘草のことを「リコリス」と呼んでおり、ハーブキャンディといったお菓子にもよく使用されています。
グラブリジンにはどんな効果があるの？
グラブリジンには、肌に対する美白効果や抗酸化作用、抗炎症作用などがあります。また、からだの脂肪を分解して蓄積しにくくする働きや、筋肉を増やす働きも持ち合わせています*¹。
ここでは、グラブリジンの美容効果や健康への効果について詳しく解説します。
肌への効果
グラブリジンの美容効果のなかでも、特に注目されているのが美白効果です。そのほかにも、抗酸化作用や抗炎症作用があり、肌の美容や健康の維持に役立つとされています。
美白効果
グラブリジンは、シミやそばかすの原因であるメラニンをつくる酵素（チロシナーゼ）を阻害します*²。さらに、メラニンが合成されて排出される過程を抑制するため、高い美白効果が期待できるのです。
美白成分といえば、ビタミンCやアルブチンなどがよく知られていますが、グラブリジンはこれらの一般的な美白成分と比べても、強いメラニン抑制作用を発揮します。
実際に、グラブリジンを50%含むクリームを用いて肝斑（メラニンの蓄積が関与する皮膚疾患）への臨床効果を検討したところ、グラブリジン含有のクリームを塗ったグループでは、色差計（色を数値化する機器）によって肌の明るさの上昇が確認されています*³。
つまり、実験系だけでなく、ヒトを対象とした臨床試験においても、グラブリジンのメラニン生成抑制効果が確認されているのです。
抗炎症効果
グラブリジンは、活性酸素の一種であるスーパーオキシドアニオンの産生や、シクロオキシゲナーゼ（炎症に関する酵素）活性を抑えるため、抗炎症効果があるといわれています*⁴。
実際にマウスを使った実験では、グラブリジンを皮膚に塗ることで、UVB（紫外線B波）による色素沈着や、肌の赤み（炎症）が抑制されることが示されています*⁴。
抗酸化効果
グラブリジンは強い抗酸化作用をもっており、活性酸素の生成を抑えることで、UVBによる酸化的肌ダメージを抑制します。
グラブリジンの抗酸化作用は、UVBが強くなるとともに増加し、主にダメージが大きいときに保護効果を発揮することも確認されています*⁵。
健康への効果
グラブリジンには、肌への美容効果に加えて、「脂肪を減らす効果」や「筋肉を増やす効果」もあります。
脂肪を減らしつつ、筋肉が増えて基礎代謝が上がるので、グラブリジンを利用することで効果的なダイエットが期待できるでしょう。
脂肪を減らす効果
グラブリジンは、脂肪を分解する酵素を活性化し、体脂肪の増加を抑えることが報告されている成分です。そのため、体脂肪が気になる方や肥満気味の方に適しています*⁶。
実際に、肥満気味の日本人男女を対象としてグラブリジン9mgの12週間の継続摂取を行ったところ、腹部の内臓脂肪量やウエストサイズが減少し、腹部の皮下脂肪や全身の脂肪（腕や背中、お尻、脚などを含む全身の脂肪量の合計）の増加が抑えられたという研究結果が出ています*⁸。
ただ、グラブリジンを摂取しただけで劇的に体脂肪が減るわけではありません。グラブリジンは、運動と組み合わせることでさらにその威力を発揮するという特徴があります。ダイエット効果を期待する場合は、運動や適切な食事を心がけた上で利用することが大切です。
筋肉を増やす効果
グラブリジンには、体内の糖代謝を調節することで、筋肉（骨格筋）を増やす働きもあります。糖は筋肉のエネルギー源になるため、糖代謝が改善されることで筋肉の増加につながる可能性があるのです。
実際に、大学アメフト選手男性31名を対象にした研究において、グラブリジン9mg又はプラセボ（偽薬）を合宿中にトレーニングと併用して2ヶ月摂取させ、筋肉の厚さといった変化を測定したところ、グラブリジンを摂取したグループでは太ももや腕、腹部の筋肉量の増加が確認されています*⁷。
グラブリジンとハイドロキノンの違いは？
美白成分として有名なハイドロキノンは、グラブリジンと比較されやすい成分です。ここでは、両成分の美白効果の違いや、安全性などについてご紹介します。
ハイドロキノンとは
ハイドロキノンは、非常に強い美白作用をもつ成分で、その効果はアスコルビン酸やアルブチン、エラグ酸の60～100倍だといわれています*⁹。
食品ではイチゴや紅茶、コーヒーなどにも含まれており、「肌の漂白剤」とも呼ばれている成分です*⁹。
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グラブリジンとの具体的な違い
ここでは、ハイドロキノンとグラブリジンにおける、美白効果や安全性の違いをご説明します。
美白効果の違い
グラブリジンとハイドロキノンは、どちらもメラニン色素の生成を阻害して、シミやくすみの改善に効果があるとされている美白成分です。
ただ、グラブリジンは、ハイドロキノンよりもメラニン産生の抑制率が高く、より高い美白効果があるといわれています*¹⁰。さらに、グラブリジンの抗チロシナーゼ活性作用は、ビタミンCの270倍、コウジ酸の50倍あるといわれています*¹¹。
安全性の違い
ハイドロキノンは、濃度に依存して肌への刺激が高まる成分です。そのため、一部の方には刺激性が強く、肌トラブルを引き起こす場合があります。また、高濃度のハイドロキノンを使用した場合には、白斑の副作用が起こりやすいともいわれています*⁸。
一方で、グラブリジンの抽出元である甘草は古くから漢方や食用として親しまれており、安全性の高い成分です。そのため、総合的に見ると、グラブリジンはハイドロキノンよりも美白効果が優れており、安全性も高い成分であるといえます。
ただ、どちらを使用するかは個人の肌の状態や目的によって異なりますので、使用前には専門家に相談することをおすすめします。
グラブリジンの副作用や安全性について
グラブリジンは、一般的には安全で、これまで副作用報告がない成分です*¹。さらに、グラブリジンはアメリカのFDA（米国食品医薬品局）の厳しい審査を受け、安全性に問題ないことが確認されています*¹。
また、グラブリジンの抽出元が「甘草」であり、古くから食用として親しまれてきたことからも、安全性の高い成分だといえるでしょう。
グラブリジンを使った製品
グラブリジンを使った製品には、美白効果をうたった化粧品や、機能性表示食品として、脂肪燃焼や筋肉の増加をサポートするサプリメントなどがあります。
化粧品
高い美白効果があるグラブリジンは、美容液や乳液などのスキンケア用品、メイクアップ用品、日焼け止めなどに使用されています。
近年では、成分を肌に浸透させやすくする「リポソーム化技術」を使って、グラブリジンの肌への効果を高めた化粧品も発売されています*¹²。
サプリメント
「ぽっこりお腹をなんとかしたい」「お腹まわりの脂肪が気になる」という方へ向けて、グラブリジン配合のサプリメント（機能性表示食品）も発売されています*¹。
ただ、グラブリジン脂肪減少効果は、運動と合わさることでより発揮されます。毎日少しずつでも、ウォーキングといった運動を併せて取り入れることが大切です。
グラブリジンの効果的な使い方は？
ここでは、グラブリジンが配合された製品を効果的に使うためのポイントをご紹介します。
化粧品
グラブリジンを含む化粧品は、とくに朝出かける前に使うとよいでしょう。メラニンを作る酵素であるチロシナーゼは、紫外線を浴びることで活性化しやすくなるためです*¹³。
グラブリジンはメラニンの生成を抑制する効果がありますが、紫外線を完全にカットするわけではありません。そのため、美白効果をより高めるためには、日焼け止めもしっかりと使用することが必要です。
サプリメント
運動による脂肪燃焼効果を高めたい方は、トレーニング前に摂取しましょう。グラブリジンは、摂取から約4時間後に最も血中濃度が高くなるといわれているためです*¹⁴。
多く飲めばより効果を感じるというものでもないので、適量を毎日続けることが大切です。
グラブリジンの美白効果でシミ知らずの美肌に
高い美白効果で注目されているグラブリジンは高い安全性が評価され、あらゆる肌悩みにアプローチしてくれる美容成分です。さらに、脂肪を減らす働きや筋肉を増やす働きもあり、健康面でも役立つ成分です。
現在も研究が進められているグラブリジンは、今後さらなる進化が期待されている注目の成分といえるでしょう。
気温が暖かくなり、夏に向けてシミ予防やダイエットを意識している方も多いのではないでしょうか。今まで以上にきれいな自分で夏を迎えたい方は、日常生活にグラブリジンを意識して取り入れてみてはいかがでしょうか。
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