レチノールを朝に使うとどうなる?美肌効果をアップする使い方と注意点
加齢によるシワ・たるみや毛穴トラブルの改善に効果的と言われるレチノールですが、朝に使うと効果が発揮できないというウワサがあります。肌に嬉しい効果が期待できるレチノールは、本当に朝使うと効果が発揮できないのでしょうか?
この記事ではレチノール配合化粧品の正しい使い方や高い効果を実感するために工夫するポイントなどについて詳しく解説します。日々のスキンケアにレチノールを効果的に取り入れ、健やかで美しい肌を目指しましょう。
目次
レチノールを朝に塗っても良い?
せっかくレチノールを毎日のスキンケアに取り入れるなら、しっかりと効果を発揮する使い方をしたいもの。よく耳にする、レチノールは朝に顔に塗るとシミや紫外線トラブルを引き起こしたり、夜に使うよりも効果を発揮しなかったりするという情報は本当なのでしょうか。まず、レチノールの使い方に関する3つのウワサについて解説します。
① 朝塗るとシミができやすくなる?
レチノールを使ったスキンケアをしている肌は、光感受性が強くなり、通常の肌よりも紫外線に過敏で日焼けしやすい肌状態になっています。そのため、レチノールによって日焼けが原因のシミができやすくなります。しかし、レチノールを塗った直後だけが光感受性が高くなるわけではありません。
レチノールは朝に使うか夜に使うかは関係なく、継続使用している間は常に光感受性が高く、日焼けしやすい状態になっています。レチノールをスキンケアに取り入れる場合は、使う時間帯に関わらず、紫外線対策もあわせて行うことが重要です。
② 朝塗ると効果がない?
化粧品に使われているレチノールは、「純粋レチノール」とレチノールと別の物質を結合させて安定化した「レチノール誘導体」の2種類に分けられます。どちらもレチノールとして肌にはたらきかけますが、紫外線への反応は対照的です。
純粋レチノール
純粋なレチノールは肌に取り入れたときの効果が高く、シワやたるみの改善に非常に効果的です。しかし、そのままの状態だと不安定という弱点があります。
純粋レチノールは紫外線や熱に当たると分解や変質が起こりやすく、紫外線に当たると効果が失われるのが難点です。そのため、化粧品に安定した状態で配合するのが難しく、一般的な化粧品にはほとんど使用されていません。もし化粧品に配合する場合は、酸素に一切触れず、一度中身を取り出したら中に戻せない構造の容器を使用する必要があります。
レチノール誘導体
レチノール誘導体は、レチノールを安定して肌に取り入れやすい状態にした成分です。酢酸と結合させた酢酸レチノール、パルミチン酸と結合させたパルミチン酸レチノールなどが化粧品によく使われています。レチノール誘導体は肌の中に取り入れられるとレチノールに分解され、純粋レチノールと同じように肌に作用します。
レチノール誘導体は純粋レチノールと比べると効果は穏やかですが、紫外線に対して比較的安定しており、紫外線に当たっても分解されないのが強みです。レチノール誘導体を配合した化粧品と日焼け止めを併用すれば、レチノールの効果の維持が見込めます。
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③ 紫外線で肌トラブルになる?
レチノールには紫外線に当たることで肌に危害を及ぼす「光毒性」があるという噂がありますが、これはまったくの誤解です。レチノールを使用することによって、肌トラブルを引き起こす危険性はありません。
光毒性がある成分として挙げられるのが、グレープフルーツやレモンに含まれる「ソラレン」です。グレープフルーツやレモンの精油を塗った肌が紫外線を浴びると、シミができやすくなるといわれています。これらの柑橘類とレチノールは同じビタミン類というイメージからよく誤解されていますが、レチノールに光毒性はないため心配は不要です。
結論!朝より夜の使用が良い
レチノールは紫外線に当たることによって肌トラブルを引き起こす性質ではありませんが、紫外線の影響を受けやすく、日光の下では不安定であるという特性を考慮する必要があります。レチノールの効果をより高く実感するためには、朝に使用するよりも夜に使用するほうが適切です。
ただし、紫外線に当たったからといって、瞬時にすべてのレチノールが分解されるということではありません。朝にレチノールを使いたい場合は、比較的安定しているレチノール誘導体を配合した化粧品を使い、日焼け止めや日傘などの紫外線対策もあわせておこないましょう。
レチノール化粧品の注意点と対策
レチノールを配合した化粧品を使う際は、朝の使用を控える以外にも注意すべきポイントがいくつかあります。継続使用によって肌が光感受性の高い状態になるほか、肌質やそのときの肌の状態によってはA反応(レチノイド反応)という副反応を起こしたり肌バリアが低下したりするため、慎重に取り入れるようにしましょう。
徐々にステップアップする
レチノールをはじめとしたビタミンAを急に大量に肌に取り入れたとき、まれにA反応(レチノイド反応)という症状が現れることがあります。A反応は肌の新陳代謝が急速に促進されることで起こる反応のことです。
一時的に肌が乾燥して皮剥けが起きたり、赤みやかゆみが生じたりしますが、皮膚がビタミンAに慣れていくにしたがって自然におさまります。しかし、強い反応が出ると回復に時間がかかってしまうため、できるだけA反応が起こらないよう、少しずつレチノールを慣らしていくことが大切です。はじめは週に2〜3回だけ使い、徐々に頻度を増やしていきましょう。
季節を問わず日焼け対策する
レチノールを配合した化粧品を使っている期間は、肌にビタミンAが蓄えられることで光感受性の高い状態になっています。紫外線の強さや季節によっては、雲や窓ガラスを通り抜けて紫外線を浴びることも考えられるでしょう。
レチノールによる光感受性への影響は、使う時間帯が朝か夜かに関係なく、レチノールを使うすべての人が注意すべき点です。通常時よりも日焼けをしやすく、日焼けによる肌ダメージやシミの発生などが起こりやすくなっているため、季節を問わずしっかりと日焼け対策をしましょう。
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指定量を守って使用する
レチノールをたっぷり肌に塗れば、そのぶん効果が大きくなるような気がするかもしれません。しかし、レチノールは塗りすぎるとかえって肌に悪影響を与えてしまうおそれがあります。なぜなら、急に大量のレチノールを取り入れると、肌にひどいA反応が起こる可能性があるからです。
A反応の症状の重さは肌質や肌の状態にもよりますが、重ければ肌荒れがおさまるまでに数週間ほどかかってしまうこともあるでしょう。レチノールの効果をより実感したいなら、1回で取り入れる量を増やすのではなく、地道に使い続けることが大切です。
たっぷり保湿する
レチノールは肌のターンオーバーを促進する効果があるため、レチノールを使っている間は肌バリアが低下しやすくなったり、肌が乾燥しやすくなったりします。肌バリアとは、肌が健やかな状態を維持するために、刺激となる外的物質やアレルギー物質などから肌を守り、肌が乾燥しないように水分を保持するはたらきをするものです。
レチノールによって肌バリアが低下すると、肌の水分量が減少して乾燥しやすくなるほか、通常時よりも肌が敏感になって肌トラブルの原因となります。レチノールを使用する際は、保湿剤を十分に使用して乾燥を防ぎましょう。皮膚のバリア機能因子である、ヒト型セラミドやNMFを配合した化粧水や乳液を使うのも一つの手です。
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レチノールの美肌効果をアップさせるコツ
レチノールは、使用する順番や化粧品などに工夫をすれば、高い美肌効果を実感することができます。使用量や使い方の注意点に気をつけながら、レチノールのパワーを最大限発揮させましょう。レチノールは即効性もありますが、長期的に使い続けることでエイジングケアの効果がさらに高まります。
睡眠中の肌の回復時間を利用する
レチノール(ビタミンA)には肌のターンオーバーを促進させる作用がありますが、夜に取り入れることでより高い効果を発揮することが可能です。人間が寝ている間の数時間は肌の回復時間とよばれており、肌の再生力を高め、健やかな肌をキープするのに欠かせない成長ホルモンの分泌が活性化します。睡眠中の肌の回復時間にレチノールが肌に浸透していくことで、肌のターンオーバー効果を感じやすくなるでしょう。
スキンケアの順番を工夫する
スキンケアでレチノール化粧品を使用する場合は、スキンケアの順番に注意しましょう。レチノールは脂溶性ビタミンで、オイル系成分との相性がよいという特性があります。レチノール化粧品を使用するときの基本の順番は、化粧水→乳液→レチノールの順です。洗顔後に化粧水よりも先にレチノールを使用すると、水性成分の多い化粧水の美容成分が肌に浸透するのを阻んでしまうため、オイル成分の多い乳液の後に使用するのが適しています。
ドクターズコスメのレチノールを使う
より効果の高いレチノール化粧品を使いたい方は、ドクターズコスメのレチノール化粧品を選びましょう。ドクターズコスメとは、皮膚科の医師や皮膚の専門家が治療経験や知識・研究データを元に研究・開発をおこなった化粧品のことです。
皮膚科の専門的な知見を生かして開発されているため、普通の化粧品よりも高い効果が期待できるほか、肌への安全性が高いというメリットもあります。皮膚科で医師の診療後に購入することで、肌トラブルのリスクを抑えながら、肌状態や悩みに合ったレチノールを選ぶことが可能です。
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できるだけ長く使う
レチノールは、できるだけ長期間使い続けることで美肌効果がアップします。人間の肌は一般的に20代後半からシミやシワなどのエイジングサインが現れ始めますが、その時期からレチノールを取り入れ始めることが重要です。
はじめはなかなか効果を実感できなかったとしても、数年以上にわたって地道に使い続けることで、肌のハリやみずみずしさを長くキープし続けることができるでしょう。
朝レチノールによくある質問
ここからは、レチノールの朝の使用に関するよくある質問について解説します。レチノールを取り入れようとしている方も、すでに使っている方も要チェックです。
レチノールを朝塗ってしまった!対処法はある?
レチノールを朝に塗ってしまったとしても、すぐに肌トラブルが起こったりシミができたりするわけではありません。一度朝に塗ってしまったからといって、必要以上に気にしなくても問題ないでしょう。
とはいえ、レチノールをスキンケアに取り入れている間は、朝に使用していても夜に使用していても肌の光感受性が高まっています。紫外線による肌トラブルを防ぐためにも、外出時は日焼け止めを塗ったりつばの広い帽子や日傘を身につけたりして紫外線対策を徹底することが重要です。
レチノールを塗った翌朝は、しっかり洗顔したほうが良い?
夜のスキンケアで肌に塗ったレチノールの成分が、朝まで肌の表面に留まっていることはあまり考えにくいといえます。ただし、健やかな肌状態を保つためにも、寝ている間に分泌された余分な皮脂や汚れは毎朝洗顔でオフするのが効果的です。
オイリー肌の方は、洗顔料を泡立ててしっかりと汚れを落としましょう。乾燥肌の方や敏感肌の方は、コットンに化粧水を含ませてやさしく拭き取るだけでも大丈夫です。
ビタミンCとレチノールの併用はダメ?
スキンケアの際に、ビタミンCを配合した化粧品とレチノールを配合した化粧品を併用することは問題ありません。ただし、使う順番に気をつける必要があります。
ビタミンCは水溶性、レチノールは脂溶性の成分のため、2つの成分を肌にしっかりと取り入れるためには、ビタミンC→レチノールの順番で使うことが重要です。正しい順番で取り入れれば、ビタミンCとレチノールの両方の美容効果を得られるでしょう。
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朝ビタミンC、夜レチノールが良いって本当?
朝にビタミンCを配合した化粧水、夜にレチノールを配合した美容液を使うスキンケア方法は「朝C夜A」ともよばれており、これはとても肌に効果的なスキンケア方法です。
ビタミンCを朝に取り入れると、日中に紫外線を浴びたときのメラニンの生成を防ぎ、シミを予防することができます。レチノールを夜に取り入れると、紫外線のはたらきに邪魔されず、睡眠中の肌にしっかりと行き渡らせることが可能です。2つの美容成分を適切なタイミングで取り入れることで、高い美肌効果を発揮します。
結局どれくらいの頻度で使うのがいいの?
レチノールを配合した化粧品の使用頻度は、肌の状態に合わせて徐々に調整していくことが大切です。使い始めは乾燥・赤みなどのA反応が起こる方も多く、最初から毎日取り入れたり濃度の高いレチノール化粧品を使ったりすると、肌に強い負担がかかってしまうおそれがあります。
レチノールを初めて使う方は、まずは週に1〜2回のスペシャルケアとして使い始め、肌が慣れてきたら毎日使うようにするなどして、徐々に使用頻度を上げていきましょう。
レチノールは朝より夜のほうがベター!紫外線対策を徹底しよう
レチノールは、肌のターンオーバーを促進させ、加齢によって現れたシワやたるみを改善させる効果がある美容成分です。光毒性はありませんが、紫外線によって不安定になりやすい特性があるため、朝よりも夜に使うほうが適しています。
スキンケアにレチノールを取り入れている間は光感受性が高まって日焼けをしやすいほか、肌バリアが低下することで肌が乾燥しやすくなることに注意が必要です。レチノールを使っている期間は普段以上に日焼け対策を心がけ、化粧水などでしっかり肌を保湿するようにしましょう。