医薬部外品は効果がない?医薬品や化粧品との違いは?
「医薬部外品という名前はよく目にするけど、実際のところ効果はあるの?」
「医薬品や化粧品とは何が違うの?」
こんな疑問を抱える方は少なくないでしょう。一方で「医薬部外品だから効果がある!」と期待している方もいるはずです。しかし、実際はどうなのでしょうか。
毎日のスキンケアを始め、美容や健康に役立つ製品を選ぶには、それぞれの違いや効果を知ることが大切です。そこでこの記事では、医薬部外品と医薬品、化粧品、薬用化粧品の違いについて詳しく解説します。ぜひ毎日のスキンケア選びにお役立てください。
医薬部外品は効果がない?
医薬部外品は、医薬品と化粧品の間に位置するものです。肌の保湿や洗浄などの化粧品の役割に加え、肌や頭皮などの特定のトラブルを改善に導きます。
これは、厚生労働省が認めた特定の有効成分が配合されているためです。例えばシミで悩んでいる方は、有効成分にトラネキサム酸が配合されている医薬部外品を使うと、効果を実感しやすいでしょう。
このように、医薬部外品には国が認めた成分が一定量配合されているため、効果がないわけではありません。効果を実感したいなら、目的に合った成分が配合された医薬部外品を使うことが大切です。
「医薬部外品」「医薬品」「化粧品」の違い
薬や化粧品を購入する際、「医薬部外品」「医薬品」「化粧品」というワードを見て「そもそも何が違うのだろう」と思ったことはありませんか。実は、これらの違いは薬機法(医薬品医療機器等法)に基づいて明確に区分されています。
区分 | 定義 |
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医薬品 | 疾患の診断・治療・予防に効果・効能があるもの。 |
医薬部外品 | 化粧品として期待される効果に加え、肌あれやにきびの予防、美白、体臭予防などの効果がある「有効成分」を配合しているもの。 |
化粧品 | 美容や清潔を目的とし、肌や髪に直接使用するもの。 |
医薬部外品は、効果や効能を表示できる点で、化粧品とは一線を画しています。一方、医薬品と比べると、効果・効能の範囲や強さが限定されている点が特徴です。
定義
定義 | |
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医薬品 | 人の病気の診断、治療、予防に使用される。OTC(一般用医薬品)と処方薬の2つがある。 |
医薬部外品 | 人体に対する作用が医薬品よりも緩和されているもの。医師や薬剤師に処方してもらう必要はない。 |
化粧品 | 人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの |
医薬品は、具体的な病状の治療や予防に特化しています。病院での処方が必要となることも多く、使用の際はしっかり指示を守ることが大切です。
医薬部外品は、ちょっとした肌の悩みの改善や予防を目的としています。化粧品は、美しさや健康を維持する目的で親しまれているアイテムです。
効果・効能
効果・効能 | |
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医薬品 | 身体の機能を増強・増進する目的の効能効果。(例)疲労回復・老化防止・新陳代謝の向上など。 |
医薬部外品 | 承認された効果や効能を持つ。(例)除毛・シミの改善・歯を白くするなど。医薬部外品の化粧品はさらに56の効能効果の中から表示可能。 |
化粧品 | 薬機法で認められている56の効能効果の中から、該当するものであれば表記可能。 |
医薬品は、私たちの体の機能や健康を増強・増進するためのものです。
医薬部外品は、特定の効果や効能が科学的根拠に基づき承認されている製品で、シミの改善や歯を白くするなどの具体的な効果を期待できます。医薬品ほどの効果はありません。
化粧品は主に美容やケアを目的としており、薬機法で認められている効能効果があれば、ラベルに記載できます。
有効成分
有効成分とその特性 | |
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医薬品 | 有効成分は第1類~第3類に分けられる。副作用のリスクがあるため注意が必要。 例:風邪薬の有効成分:第2類:アスピリン、アセトアミノフェンなど 眠気防止薬の有効成分:第3類:ビタミンB1、ビタミンB12など |
医薬部外品 | 承認された特定の有効成分のみ表示が可能。 例:シャンプーの有効成分:アラントイン、サリチル酸など 化粧水の有効成分:グリチルリチン酸ジカリウム、尿素など |
化粧品 | 薬機法の規定により、有効成分を公表できない。 |
医薬品の有効成分は、人体に強力な作用を及ぼすため、時には副作用のリスクが伴います。健康を守るには指示を守って使用しなければなりません。
医薬部外品には、効果・効能をサポートする承認された特定の有効成分が含まれています。化粧品は美容やケアを主目的としているため、特定の有効成分の公表はできません。
成分表示
成分表示のルール | |
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医薬品 | 有効成分、その分量、および添加物をすべて必ず表示する。 |
医薬部外品 | 有効成分のみ表示するか、メーカー判断で全成分を表示することが可能。 |
化粧品 | 配合量の多い順に全成分を表示することが義務づけられている。 |
医薬品は使用者の安全を考慮し、有効成分やその分量、添加物まで全てを詳細に表示します。一方、医薬部外品は有効成分のみの表示か、全成分の表示かをメーカー側が選べるのが特徴です。
化粧品は、配合量の多い順に全成分の表示が義務づけられており、製品の特性や安全性を確認するための重要な情報源となっています。
薬事申請
申請に必要な情報 | |
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医薬品 | 成分・分量、用法・用量、効果・効能、そして副作用の情報が必要。 |
医薬部外品 | 販売名、成分、製造方法、用法・用量、効能・効果、試験方法などを詳細に申請する。 |
化粧品 | 販売責任者や責任技術者の情報提供が求められる。 |
製品はいずれも、これらの申請手続きを通じて安全性や効果が確認され、私たちの手元に届きます。
医薬部外品のメリット・デメリット
「特定の効果・効能に期待できるのであれば、医薬部外品にはメリットが多いのでは」と感じる方も多いのではないでしょうか。もちろん医薬部外品にはメリットがありますが、一方でデメリットもあります。
メリット
医薬部外品のメリットは、厚生労働省の承認を受けた有効成分を堂々と表示できる点にあります。有効成分と効果・効能は、製品のパッケージだけでなく、広告にも表記が可能です。
有効成分や効果・効能を表記しておけば、消費者は製品の効果を具体的に知ることができます。いろいろな媒体に認められた効果・効能を記載できるので、医薬部外品であるというだけで大きなアピールポイントとなるでしょう。
有効成分には、ビタミン各種やトラネキサム酸、アルブチンなど様々な成分があります。医薬部外品だと成分名も発信されるので、情報が透明性を持って伝わるのが大きな魅力です。
デメリット
医薬部外品のデメリットは、新しい成分や独自の配合を導入する際に制約が多いということです。そもそも医薬部外品は、特定の成分のみを使用するよう許可されています。
これは医薬部外品原料規格(外原規)というもので、ここに記載されていない成分は使用できません。このため、市場に新しい成分や独自の配合を登場させることが困難です。
新しい成分を採用したくても、申請や認証を取得する過程は複雑で、多くの時間とコストがかかります。これが製品開発者にとっての大きなハードルとなっています。
「薬用化粧品」と「化粧品」は同じ?
薬用化粧品は医薬部外品として扱われる特別な化粧品です。一方で普通の化粧品は、美容やケアを主目的とします。それぞれ違いがあるため、特徴や選び方を把握し、目的にふさわしいアイテムを探せるようになりましょう。
特徴
薬用化粧品 | 化粧品 | |
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主な特徴 | 厚生労働大臣が承認した有効成分を含む。具体的な効果や効能を製品に表記できる。 | 肌の美容やケアを目的とする。配合する成分の種類や分量はメーカーの自由。 |
例 | 美白、シワ改善など | 保湿クリーム、リップバームなど |
薬用化粧品は、特定の効果・効能を得るために使用される成分が厚生労働大臣により承認されています。
これに対し化粧品は、美を追求する商品です。こちらは、肌や髪、爪などをキレイに見せる、またはケアすることを主な目的としています。成分はメーカーが決められるため、使用感や香りなど、ユーザーの好みに合わせてさまざまなバリエーションで作られています。
選び方
特定の肌の悩みを持つ方は薬用化粧品を使うと良いでしょう。例えば、かゆみ、肌荒れ、抜け毛、薄毛といった問題を抱えている場合です。それぞれの悩みに合う薬用化粧品には、これらのトラブルを解決するための有効成分が配合されています。
日常のスキンケアや、肌のトーンアップ、保湿を目的とする方は、化粧品を選びましょう。いろいろな美容成分や香り、使用感にこだわったり、季節や気分に合わせて様々な製品を試したりしたいときにも向いています。
医薬部外品の種類
医薬部外品は、日常生活のさまざまなシーンで役立つ製品として、役用化粧品以外にも多岐に渡り登場しています。一般的な商品よりも特定の効果や効能を持つことが期待されるため、きちんとした承認を受けて市場に出ているのが特徴です。
▼医薬部外品の例
・殺虫剤
・虫よけ剤
・整腸薬
・消化薬
・しもやけ(あかぎれ)用薬
・コンタクトレンズ装着薬
・のど清涼剤
・染毛剤
・除毛剤
・育毛剤
・薬用せっけん
・薬用はみがき類 など
医薬部外品は長期間使い続けても大丈夫?
医薬部外品の長期間の使用は、基本的に問題ありません。医薬部外品は、シミの予防や肌荒れの改善、育毛効果などを目的として特定の有効成分が配合されています。
これは治療を目的とした医薬品とは異なり、美容や予防のサポートが目的です。そのため長期間使用しても、副作用のリスクは低いと考えられています。
まとめ
医薬部外品は、その特性上、医薬品と化粧品の中間に位置し、効果が認められた有効成分が一定の濃度で配合される製品です。そのため長期間使うことで、シミやそばかすの改善、育毛の促進、ニキビの予防などの特定の効果に期待できます。
ただし医薬部外品は、医薬品よりも効果が穏やかです。配合できる成分の種類や量が限られている、という特徴もあります。
一方、化粧品は有効成分の効果を表示できません。基準を守っていれば、メーカーは自由に成分を配合できます。
医薬部外品と化粧品のどちらを選ぶかは、特定の効果を求めるか、使用感や成分の多様性を求めるかによって違います。自分のニーズを把握し、ふさわしいアイテムを探しましょう。