美容医療のかかりつけ わたしの名医

顔にできるニキビとは違って、背中ニキビは自分で見ることが難しく、なかなか気づけないものです。そのため、知らないうちに悪化していたり、痕になって残ってしまったりするケースがあります。

この記事では医師の宇井先生に監修いただき、背中ニキビができる原因や予防のためのケア、医療機関での治療についてご紹介します。背中ニキビにお悩みの方、久しぶりの旅行で水着を着たい方、背中が見える服で夏のおしゃれを楽しみたい方は、ぜひ参考にしてください。

監修者

やさしい美容皮膚科・皮フ科
秋葉原院 院長


医師 宇井 千穂 先生

準ミス日本受賞。全日空客室乗務員を経て、北里大学医学部を卒業し、皮膚科医、美容皮膚科医として勤務。
web雑誌での連載やサプリメント、化粧品の監修など、多方面で活躍中。

◆当コラムの掲載記事に関するご注意点
※本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

背中ニキビの原因とは?

背中ニキビは年齢や性別に関係なくできるのが特徴ですが、特に20〜30代に多く見られるので、大人ニキビの一つと考えられています。

そもそも、背中は皮膚の面積が広いので皮脂腺が多く、ニキビが発生しやすい部位の一つです。皮脂が過剰分泌されたり、古くなった角質などが毛穴に詰まって角質層が厚くなったりすると、アクネ菌が増えて炎症を起こし、ニキビになります。

また、睡眠不足や食生活といった生活習慣や、ストレス、ホルモンバランスの乱れ、肌の乾燥なども背中ニキビの原因に関係すると言われています。そのため、生活習慣の見直しやリラックスできる時間の確保などを心がけることも大切です。

ニキビの原因は種類によってさまざま

清潔にしているつもりなのにニキビができる、また、ニキビがなかなか改善しないという場合は、正しいケアができていない可能性が考えられます。ニキビの予防や改善のためには、原因に合った方法でケアすることが重要です。

そのために、背中ニキビの種類と状態を知っておきましょう。ニキビはその色の状態によっても症状の進み度合いをみることができます。それぞれどういう状態なのか、特徴や注意点を簡単に説明します。

白ニキビ

毛穴に皮脂がたまって、白っぽく見えます。小さな白い点に見えるので、見逃してしまうかもしれません。まだ初期段階で炎症はなく、ニキビ予備軍と言えますが、皮膚の内側ではアクネ菌が増え始めている状態です。

黒ニキビ

皮脂や毛穴につまった老廃物のかたまりが押し出され、毛穴の入り口で酸化して黒く変色している状態です。いちご鼻も黒ニキビの一種です。炎症は起きていませんが、シミや小さなホクロのように見えたり、汚れているように感じたりするため、気になり始めます。

赤ニキビ

白ニキビや黒ニキビが悪化し、毛穴に溜まった皮脂にアクネ菌が繁殖して炎症が起きている状態です。一度赤ニキビになった毛穴は、炎症が繰り返されます。そのたびに毛穴の周りの皮膚組織が崩れて元に戻りにくくなり、ニキビ痕になることがあります。

黄ニキビ

赤ニキビの炎症がさらに悪化し、黄色い膿が見えるように。炎症を起こす物質が一気に毛穴の外へ出ようとして、毛穴周りの皮膚組織にも大きな炎症を起こしています。ニキビが治っても、肌は炎症によるダメージで色素沈着や凹凸などが残りやすくなります。

紫ニキビ

最も悪化した状態です。毛穴の周りに血や膿、老廃物がたまって炎症が起こっているので、赤黒くあるいは赤紫に見えます。ここまで進んでしまうと、自宅でのケアだけでは改善が難しいため、できるだけ早く皮膚科を受診しましょう。

実はニキビじゃなくてカビが原因かも

背中にできる小さなぶつぶつ全てがニキビというわけではありません。ケアをしているのになかなか症状が改善しない場合は、真菌(カビ)や細菌が原因の皮膚疾患を起こしている可能性があります。

その場合は、自宅でのケアや生活習慣の見直しだけでは症状を改善するのは困難です。自分で判断せずに皮膚科に相談しましょう。

一見すると背中ニキビに似ている症状や皮膚疾患には、次のようなものがあります。

マラセチア毛包炎

肌に存在する常在菌の1つであるマラセチア菌が、毛根を包んでいる皮膚組織の中で増殖して発症します。膿をもつことがありますが、赤ニキビに似ているので見た目だけでは判断しにくく、注意が必要です。かゆみを伴う場合もあります。

毛のう炎

皮膚表面にできた小さな傷などから黄色ブドウ球菌などの細菌が入り、毛根を包んでいる皮膚組織に起こる炎症です。軽いかゆみを伴い、赤みのある小さな膿をもったものが1つだけ、もしくは広い範囲にできます。頭皮にできることもあります。

おでき(癤)

毛のう炎が進行して、皮膚組織の深い部分とその周辺が炎症を起こし化膿したものです。硬いしこりのようになり、ズキズキとした強い痛みや圧迫感、赤みや熱を伴います。ここまで進んでしまうと、切開して膿を出す処置が必要になることがあります。

背中ニキビの予防と改善

背中ニキビには、いくつか種類があります。ニキビができていると気づいた時にしっかり対処しないと、ニキビ痕になってしまうケースがあるので、予防や改善には原因に合わせたケアを行うことが大切です。

もともと背中は皮脂腺が多くニキビができやすい場所です。汗はもちろん、衣服や身体を洗う時の摩擦、石鹸などの洗浄剤の刺激も、ニキビを悪化させることがあります。他にも、肌の乾燥や生活習慣、ストレスなど、様々な原因が重なって背中ニキビを引き起こすことがあります。

背中ニキビは、できてからのケアも重要ですが、できないように予防することも大切です。ここでは具体的な予防方法と、原因に合わせたホームケアについて見ていきましょう。

皮脂や汗が原因の場合

夏などの暑い季節は皮脂や汗の分泌が盛んになります。アクネ菌はそれらを養分に増えるので、清潔な状態を保つことが大切です。マラセチア菌も、衣類で蒸れやすくなる春や夏に増えやすいと言われています。

ニキビの原因となるアクネ菌は酸素が少ない環境を好む嫌気性菌のため、通気性に優れたインナーを選ぶと良いでしょう。汗をかいた後は放置せずに拭きとることも大切です。

しかし、清潔に保とうとしてゴシゴシ洗うと、摩擦による刺激で悪化してしまうこともあります。洗浄剤はよく泡立て、泡で肌をなでるように洗うと良いでしょう。

シャンプーなどのすすぎ残しに注意

シャンプー後のすすぎが不十分だと、シャンプーの成分が刺激となり、背中ニキビができてしまうことがあります。髪を洗う時は前かがみになって、髪を顔の前に持ってくるようにしたり、お風呂から出る前に背中を流したりするなど、洗い方や順番を工夫してみましょう。

生活習慣の乱れが原因の場合

不規則な生活や睡眠不足も背中ニキビができやすくなる原因です。睡眠時間を確保するだけでなく、毎日決まった時間に就寝することが大切です。また、食生活の乱れによる栄養の偏りも背中ニキビの原因になります。美容効果が期待できるビタミンなどを積極的に摂取することやバランスの良い食事を心掛けましょう。

食生活から改善

強い香辛料や、脂質の多いナッツ類の食べ過ぎでニキビができやすくなります。そこで、脂肪の代謝を促し、肌の調子を整えてくれるビタミンB群やビタミンC、抗酸化作用があるビタミンAやビタミンEなどを積極的に摂りましょう。

栄養素 主な食材
ビタミンA 卵黄、うなぎ、にんじん、ほうれん草、かぼちゃ、春菊
ビタミンB群 レバー、マグロ、貝類、焼き海苔、にんにく、干ししいたけ
ビタミンC パプリカ、ブロッコリー、キウイ、レモン、オレンジ
ビタミンE イカ、アーモンド、納豆、豆苗、アボカド、さつまいも

ストレスが原因の場合

ストレスを感じるとホルモンバランスが乱れて皮脂が過剰に分泌されます。過剰に分泌された皮脂は背中ニキビを引き起こす原因となります。ストレス発散は肌の健康を左右する大切な時間です。リラックスできる環境を作ったり、趣味や運動などで気分をリフレッシュしたりして、ストレスを溜めないように上手く付き合っていきましょう。

肌の乾燥が原因の場合

背中も顔と同じように保湿が大切です。保湿が十分でないと乾燥しやすくなり、かえって皮脂が多く分泌されてニキビができやすくなります。保湿には化粧水を取り入れてみましょう。低刺激性でさっぱりとした、ニキビができにくい「ノンコメドジェニックテスト済み」と表示されている商品を選ぶと良いでしょう。

背中ニキビにおすすめの治療

炎症がひどくない軽度の背中ニキビなら、スキンケアや市販薬、生活習慣の見直しなどで徐々に改善していくことがあります。しかし、炎症がひどいものやすでに痕になってしまった場合は、早めに医療機関に相談して適切な治療を受けましょう。

特に紫ニキビができている場合、皮膚だけでなく身体の内側にも何か原因が隠れているかもしれません。医療機関なら詳しく検査をすることや、ニキビの種類や状態によっては抗生物質による治療も可能です。また処方だけでなく、医療機関専用の機器でニキビができにくい肌質への改善や治療を行うこともできます

ここでは、美容皮膚科で受けられる主な治療方法について簡単にご紹介します。

ハイドラフェイシャル

専用の美容医療機器で毛穴汚れや古い角質を取り除く、水流を利用したピーリングです。乾燥や肌荒れのリスクが低く、毛穴の奥の汚れも無理なく洗い流します。汚れを取り除いた後は、保湿と鎮静を行い、肌の環境を整えます。施術中の痛みが少ないため麻酔クリーム等は不要です。

ケミカルピーリング

専用のピーリング剤を使って皮膚表面の厚くなった不要な角質を柔らかくし、ターンオーバーをサポートする方法です。1回の施術で効果を実感される方もいらっしゃいますが、2週間から1ヶ月に1回ほど、肌の状態に合わせて複数回行うことが推奨されています。ピーリングは医療行為なので、自宅で行うにはリスクを伴います。必ず医療機関で受けるようにしましょう。

ピコトーニング

低出力のレーザーを照射してターンオーバーを促す方法です。コラーゲンやエラスチンの生成を促す働きがあるので、肌のくすみや色ムラを軽減し軽度のニキビ痕も改善に導いてくれます。痛みが少なく、ダウンタイムも短いのが特徴です。施術直後は紫外線に対して敏感になるため、保湿と紫外線対策を忘れずに行いましょう。

ダーマペン

極細の針で皮膚を刺激してターンオーバーを促す方法です。皮膚の真皮層まで達する小さい穴をあけることでコラーゲンの生成を促進します。穴はとても小さいのですぐにふさがりますが、赤みは2〜3日残るので注意した方が良いでしょう。

この方法はニキビ痕の凹凸をなめらかにする効果があり、約2週間から1ヶ月に1回、複数回受けることでニキビの状態の変化が期待できます。

ジェネシス

極細の針で皮膚を刺激してターンオーバーを促す方法です。皮膚の真皮層まで達する小さい穴をあけることでコラーゲンの生成を促進します。穴はとても小さいのですぐにふさがりますが、赤みは2〜3日残るので注意した方が良いでしょう。

この方法はニキビ痕の凹凸をなめらかにする効果があり、約2週間から1ヶ月に1回、複数回受けることでニキビの状態の変化が期待できます。

プラズマ治療

窒素ガスをプラズマ状態にして、アクネ菌を死滅させながら皮膚を引き締め、老廃物などを除去する治療方法です。コラーゲンの生成やターンオーバーを促すことが期待でき、特にニキビ痕にお悩みの方は、効果を実感しやすい治療です。約3週間に1回、合計5回ほどを目安に施術を行います。施術後は紫外線の影響を受けやすいため、日焼け対策を忘れずに行いましょう。

LED治療

医療用のLEDを照射し、光エネルギーを皮膚の深部まで到達させることでアクネ菌の殺菌や増殖、皮脂の過剰な分泌を抑える方法です。ニキビの予防だけでなく、炎症を抑えたり、ニキビ跡の改善に繋がったりと、幅広い症状に対して効果が期待できます。施術中の痛みや重大な副作用はありません。

外用薬・内服薬

ニキビの原因や種類、肌の状態などを考慮して、医師の診断によって処方されます。内服薬を処方された場合は、自分の判断によって途中で止めたり、症状が改善されたのに服用を続けたりするのは避けましょう。内服薬を使用する際の注意点は、必ず医師に相談するということです。外用薬も目的別に様々な種類があります。症状や肌質を見極めて処方されるので、医師に相談しながら使用しましょう。

それでも改善しない場合

治療を続けても肌の状態が改善されない場合は、内臓疾患のサインである可能性もあります。糖尿病やホルモンの働きの低下などでも、肌の状態に影響が出ることがあるからです。また、ニキビによく似ている別の皮膚疾患である可能性も考えられます。一人で悩まずに皮膚科を受診して、適切な治療を受けるようにしましょう。

まとめ

背中ニキビと言ってもその種類や原因は様々です。顔にできるニキビと同じように、保湿や生活習慣の改善が予防につながります。規則正しい生活を心がけるとともに、自宅での適切なケアを行いましょう。

もし背中ニキビができている事に気がついたなら、炎症を起こしたり、痕になったりする前に正しいケアをすることが大切です。ニキビに似た皮膚疾患である可能性もあります。

まずは自宅でのケアで予防を心がけましょう。ニキビが気になるのなら、できるだけ早く皮膚科クリニックもしくは美容皮膚科を受診して、自分にあった治療を受けるようにしましょう。

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