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【薬剤師監修】ニキビの種類や医療機関で処方される薬、市販薬との違いは?

ニキビは多くの方が経験する肌トラブルの一つです。
軽症の場合は、日頃のスキンケアや市販薬を使用してご自身で対処することもできますが、悪化すると炎症や化膿を伴う痛みが出たり、色素沈着やニキビ跡が残ってしまったりする場合もあります。
ニキビは、医療機関で健康保険を適応して治療ができます。

この記事ではニキビの種類や医療機関で処方される薬、市販薬との違いについて解説します。

教えてくれたのは

薬剤師 藤原 智沙恵 さん

研修認定薬剤師、1児の母。
メーカーで化粧品・医薬部外品の研究開発職に従事し、スキンケア製品や衛生用品の開発に携わる。
薬事申請や2度の特許出願なども経験した後に、調剤薬局の薬剤師へと転職。
薬局で様々な皮膚疾患をもつ患者さんの服薬指導にあたり、さらに多くの人に正しい情報を発信していきたいという思いを持ち、医療・美容分野を中心に執筆活動を始める。
薬剤師やメーカー勤務時代に取得した化粧品成分上級スペシャリストの資格を活かし、化粧品成分の安全性や美容サプリメントの正しい服用方法などを伝える記事の執筆・監修に積極的に取り組んでいる。

ニキビの種類

ニキビは、色の違いで症状の進行度が分かります。
ここでは4段階に分けてご説明します。

白ニキビ(閉鎖面皰(へいさめんぽう))

ニキビの初期の段階で、毛穴の中に皮脂や古い角質、洗い残した皮膚の汚れが入り込んで詰まり、毛穴がふさがってしまった状態です。
表面は薄い皮膜で覆われており、白~乳白色の発疹に見えます。

黒ニキビ(開放面皰(かいほうめんぽう))

白ニキビから少し進行し、毛穴に詰まった過剰の皮脂や角質が盛り上がって、毛穴の入り口が開いている状態です。皮脂や角質が空気中の酸素に触れて酸化され、黒ずんで見えます。

赤ニキビ(赤色丘疹(あかいろきゅうしん))

黒ニキビからさらに進行して悪化した状態です。毛穴の詰まった部分にアクネ菌が繁殖し、炎症を起こしてニキビの周りが赤く腫れあがります。炎症が長引くことによりメラニン色素が肌に沈着して茶褐色のシミが残ることがあります。

黄ニキビ(膿疱(のうほう))

ニキビがかなり進行し、繁殖した菌の死骸が膿となり、黄色く見えている状態です。
アクネ菌が作る酵素(リパーゼ)が毛包の壁を壊すことで、炎症が周りに広がり真皮層まで達します。そのため、治療をせずに長期化させると、ニキビ跡と言われる陥凹性瘢痕や肥厚性瘢痕が肌に残ることがあります。

ニキビが悪化する原因とは?

ニキビの主な原因菌であるアクネ菌は、普段から皮膚に存在する常在菌の一種です。
空気中の酸素を苦手とする嫌気性菌のため、毛穴が詰まって酸素に触れない環境ができると急速に増殖します。すると体が過剰に増殖したアクネ菌を異物と認識して免疫反応が誘発されるため、炎症が起こってしまうのです。

また、アクネ菌は皮脂をエサに増殖します。
男性ホルモンには、この皮脂の分泌を高める作用があることが分かっています。
“男性”ホルモンという名前ですが、実は女性の体内でもコレステロールを元にして合成されます。そして、その男性ホルモンを元に女性ホルモンが作られるのです。
そのため、ストレス・月経異常・睡眠不足などでホルモンバランスが崩れたり、糖分・油分の多い食生活が続いたりすることで、皮脂分泌が促進され、ニキビが悪化する原因になります。

医療機関で処方されるニキビの薬にはどんなものがある?

ここでは、医療機関で処方される具体的な医薬品についてご紹介します。

塗り薬

・抗菌薬
ダラシンT ゲル/ローション(成分:クリンダマイシン1%)
ゼビアックス ローション(成分:オゼノキサシン2%)
アクアチム 軟膏/クリーム/ローション(成分:ナジフロキサシン1%)

【特徴・効果】
繁殖したアクネ菌を殺菌し、炎症や紅斑を抑えて赤ニキビや黄ニキビを改善する効果があります。一方で、白ニキビ・黒ニキビはまだアクネ菌が増殖していない状態のため、抗菌薬では改善せず使用は推奨されません。

【使用上の注意】
ニキビの炎症がおさまったら使用を中止します。また、4週間で効果が認められない場合も、耐性菌の発現が懸念されるため、漫然と使用を続けるのは避けましょう。

・ディフェリンゲル(成分:アダパレン0.1%)

【特徴・効果】
アダパレンはレチノイド(ビタミンA誘導体)と似た作用をもち、皮膚の角化(細胞が生まれてから皮膚表面の角質細胞になるまでの過程)を調節し、毛穴の詰まりを改善します。
そのため、白ニキビや黒ニキビの発生を防ぐだけでなく、赤ニキビへと悪化するのを防ぐ効果があります。

抗菌作用はないため、炎症が強い赤ニキビ・黄ニキビの場合は、抗菌薬の塗り薬・飲み薬と併用して使用するのが推奨されています。
また、再発予防の維持療法として継続する場合も、アダパレンは推奨されています。

【使用上の注意】
使用開始から数週間以内に皮むけ、赤み、乾燥、刺激感の副作用が80%の高頻度でみられます。
しかし短期間でおさまる場合がほとんどで、保湿剤と併用することで症状が軽くなることもあります。

動物実験で、妊娠中に塗り薬として使用すると胎児の骨に異常を引き起こす可能性が報告されているため、妊娠または妊娠している可能性のある女性は使用できません。
また、授乳中の使用も避けた方が良いとされています。

・ベピオゲル(成分:過酸化ベンゾイル2.5%)

【特徴・効果】
過酸化ベンゾイル製剤は、アクネ菌を酸化することで強い殺菌作用を示します。他の外用抗菌薬と違い、2022年現時点での耐性菌の発現は報告されておらず、耐性菌を作らない抗菌薬として長期連用することも可能です。
また、ピーリング作用があるため、毛穴の詰まりの原因となる角栓を除去して、ニキビの発生を防いでくれる効果もあります。
そのため、白ニキビから黄ニキビまで幅広く使用できます。

【使用上の注意】
ピーリング作用があるため、副作用として40%の頻度で皮むけや皮膚の乾燥、刺激を感じる場合があります。しかし、多くの場合は初期の短期間(数週間程度)でおさまり、薬を塗布する前に肌の保湿をしっかりすることと、薬は就寝前に塗布して日中も強い紫外線に当たらないようにすることである程度対処できます。

また、25℃以下の涼しい場所(基本は冷蔵庫)で保管する必要があります。 過酸化ベンゾイルは漂白作用もあるため、衣服や髪に付着しないように注意しましょう。

・デュアックゲル(成分:クリンダマイシン1%・過酸化ベンゾイル3%)

【特徴・効果】
抗生物質と殺菌剤(酸化剤)の合剤で、強い抗菌作用と抗炎症作用をもつため、赤ニキビ・黄ニキビの治療に頻用されます。さらに、過酸化ベンゾイルのピーリング作用で白ニキビなどのニキビの初期の段階からでも使用できます。

【使用上の注意】
ベピオゲルと同様に、過酸化ベンゾイルのピーリング作用で乾燥や刺激感などの副作用が30%の頻度でみられます。また漂白作用もあるため、衣服や髪に付着しないようにしましょう。 非常にまれですが、重大な副作用として大腸炎や下痢などの副作用が報告されています。
また過酸化ベンゾイルによるアレルギー性接触皮膚炎にも注意が必要です。 薬剤耐性の可能性があるため、効果が出ない場合は12週間で使用を中止します。
冷蔵庫(2〜8℃)で保管します。

エピデュオゲル(成分:アダパレン0.1%・過酸化ベンゾイル2.5%)

【特徴・効果】
ディフェリンゲルとベピオゲルが一つになった合剤です。 それぞれを単剤で使用しても効果が不良であった時に使用される場合や、耐性菌の心配がないことから維持療法としても使用される場合があります。
中等症~重症のニキビに対して数週間から3ヶ月程度継続して治療することで、高い効果が期待できます。 日本では2016年11月に販売が開始された比較的新しいお薬です。
室温(1〜30℃)で保管できます。

【使用上の注意】
10%の頻度で刺激感や痛み、かぶれなどの副作用がみられ、単一成分であるディフェリンゲルやベピオを使用した場合よりも強い症状が起こる可能性があります。
基本的には数週間以内におさまりますが、痛みが強く我慢できない場合は、「ショートコンタクト療法」として、塗布後15分で洗い流したり、使用を2日に1回の頻度に下げたりすることで治療を継続することもあります。

刺激を悪化させないように、治療中はこまめに保湿ケアをして、日焼け止めや帽子・日傘を使用して紫外線対策をきちんと行いましょう。
また、それぞれの単剤の場合と同様に、妊娠中の使用はできないほか、漂白作用などにも注意が必要です。

飲み薬

・抗菌薬
ビブラマイシン(成分:ドキシサイクリン)
ミノマイシン(成分:ミノサイクリン)
ルリッド(成分:ロキシスロマイシン)
ファロム(成分:ファロペネム) など

【特徴・効果】
飲み薬は、耐性菌の発現を防ぐため、炎症の強い赤ニキビ・黄ニキビに対してのみ、長くても3ヶ月以内の服用にします。
特に、テトラサイクリン系のミノマイシン・ビブラマイシンやマクロライド系のルリッドにはニキビの炎症そのものを抑制する抗炎症効果もあるとされ、ニキビ治療に多く用いられます。
ファロムは、ペネム系の抗菌薬で小児用ドライシロップもあることから15歳未満の小児にも使用しやすい薬です。テトラサイクリン系やマクロライド系で効果がない場合に使用します。

【使用上の注意】
飲み薬で多い副作用として、胃部不快感、腹痛、下痢、嘔吐などがあります。気になる症状がある場合は、すぐに医師・薬剤師に相談しましょう。

飲み合わせの悪い薬があるため、薬を併用する場合は必ず医師・薬剤師に伝えます。
例えば、テトラサイクリン系の飲み薬は、金属イオン(アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄)により吸収が低下することが報告されています。これらの成分を含む医薬品・サプリメントと同時に摂取することは避け、2〜4時間程度の間隔をあけて服用しましょう。

また、テトラサイクリン系の抗菌薬は、妊娠後期の服用で胎児に一過性の骨発育不全や歯のエナメル質形成不全を引き起こす可能性があります。母乳から移行して乳児にも影響を与える可能性があるため、妊娠・授乳中の服用は避けましょう。

・漢方薬

他の治療が無効あるいは他の治療が実施できない場合の選択肢として使用されます。
ニキビの種類により、以下のように推奨される漢方が異なります。

【赤ニキビ・黄ニキビ】
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)


【白ニキビ・黒ニキビ】
荊芥連翹湯

市販薬と医療機関で処方される薬との違い

医療機関では、主に「アダパレン」や「過酸化ベンゾイル」を有効成分とした塗り薬が治療に使われますが、同じ成分の薬は市販薬にはありません。
また、抗菌薬の飲み薬も市販薬にはありません。


一方で、医療機関で処方される薬よりも効果は落ちますが、ニキビ初期であれば以下のような成分を配合した市販薬で十分対応することができます。

ピーリング作用のある成分

・イオウ
・サリチル酸(BHA)


古い角質をやわらかくして取り除くことで、毛穴の詰まりを改善し、白ニキビ・黒ニキビに効果があります。
ピーリング作用に加えて、殺菌作用もあるため、赤ニキビの予防・改善効果も期待できます。

炎症を抑える作用

・イブプロフェンピコノール
・グリチルレチン酸
・グリチルリチン酸ジカリウム


炎症を起こして赤みを帯びている赤ニキビ・黄ニキビに効果があります。
ニキビの炎症は長引くと炎症性色素沈着の原因にもなるため、早めの対策が重要です。

殺菌作用のある成分

・イソプロピルメチルフェノール
・クロラムフェニコール
・レゾルシン


アクネ菌が増殖している炎症の強い赤ニキビ・黄ニキビに対して使用します。ただし、市販薬での対応が難しい場合も多いため、5~6日間使用しても症状が良くならなければ医療機関を受診しましょう。

ビタミン剤

・ビタミンB2(リボフラビン)
・ビタミンB6(ピリドキシン)
・ビタミンC(アスコルビン酸)


肌荒れの予防に特に重要なのはビタミンB群です。ビタミンB2にはニキビの原因となる過剰な皮脂分泌を抑える効果、ビタミンB6には皮膚炎の予防効果があります。
また、ビタミンCには肌のターンオーバーを正常化する作用や、メラニンの生成を抑制する作用があるため、色素沈着を防いだりニキビ跡を薄くしたりする効果が期待できます。

ニキビの状態に合わせて、早めの対策を!

ニキビの種類や医療機関で処方される薬と市販薬の違いについてご紹介しました。

ニキビはその進行度によって、治療に有効な成分も異なります。

合わない治療を続けることでニキビが長期化し、色素沈着やニキビ跡が肌に残ったり、抗菌薬による耐性菌の発現を招いたりすることにつながります。 炎症や化膿がひどく市販薬で対応できない場合や、ニキビがどうかご自身で判断できず対応が分からない場合は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

【参考文献】
・日本皮膚科学会 尋常性痤瘡治療ガイドライン
・各医薬品添付文書

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