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【薬剤師監修】シナールはシミに効くって本当?効果的な飲み方や副作用についても解説

「シミやそばかすに悩んでいるので、シナールを飲んでみたい」
「ただのビタミン剤なら、あまり効果がないのでは?」
「シナールの副作用にはどんなものがあるの?」

このような悩みや疑問を抱えていませんか? シナールとは、シミ予防やニキビの色素沈着の改善などに用いられる複合型ビタミン剤です。

今回は、シナールの効果や効果的な飲み方について解説します。また、錠剤と顆粒の違いや、気になる副作用についても説明するので、ぜひ参考にしてみてください。

教えてくれたのは

薬剤師 稲嶺千春 さん

大学卒業後、製薬企業で健康食品の品質保証に携わる。その後、調剤薬局の薬剤師へと転職して心療内科の処方を中心とした臨床経験を積む。会社員として働くなかで、自分の力だけで人々に価値提供していくことに興味をもち、もともと興味のあった美容や健康分野を中心に執筆活動をしている。

そもそもシナールとはどんなもの?

シナールとは、美容医療の分野でよく使用される内服薬で、主成分である「アスコルビン酸」に「パントテン酸カルシウム」が配合された複合型ビタミン剤です。

シナールは主に皮膚科で処方されるほか、市販薬としても販売されています。

シナールの効能効果

主にシミの予防や、炎症後の色素沈着の改善、ビタミンが欠乏しやすい方に対する補給目的などで使用されます。

それぞれの効果について、詳しく見ていきましょう。

シミを薄くして肌を白くする

シナールに含まれるアスコルビン酸とは「ビタミンC」のことです。

シミの原因となるメラニンの生成を抑止するだけでなく、メラニンの還元を促進することで、すでにできてしまったシミを薄くする働きもあります(※1)。

添付文書の効能効果には「炎症後の色素沈着」を改善する旨も記載されているため、ニキビ跡の色素沈着に対する効果も期待できます。

また、パントテン酸は「ビタミンB5」のことであり、アスコルビン酸のからだへの吸収を促進して働きを高める作用があります。

実際に、モルモットを使用して皮膚における酸化還元作用を調べた実験によると、アスコルビン酸+パントテン酸を投与したグループと、それぞれ単体でアスコルビン酸およびパントテン酸を投与したグループとでは、両成分を組み合わせたほうがより大きな酸化還元作用を発揮することが明らかになっています(※1)。

継続的に服用することでシミやくすみが出にくく、肌の美白作用も期待できるでしょう。

肌のハリを保つ

シナールに含まれるアスコルビン酸は、コラーゲンの生成と保持にも関わるため、肌のハリを保つ効果が期待できます(※1)。

実際に、線維芽細胞を用いた多くの実験では、ビタミンCの欠乏によってコラーゲンの合成量や安定性が低下することが明らかになっています(※2)。

ビタミンが不足しがちな場合の補給

シナールはシミやそばかすの予防といった肌への効果だけでなく、がんなどの消耗性疾患や妊産婦・授乳婦など、ビタミンが不足しがちな場合のビタミン補給薬としても用いられています。

シナールの剤型

シナールには錠剤と顆粒剤の2種類があり、錠剤1錠と顆粒剤1g(1袋)に含まれる有効成分の量や効果はどちらも同じです。

シナール配合錠1錠とシナール配合顆粒1g(1袋)に含まれる有効成分の量は、アスコルビン酸が200mg、パントテン酸カルシウムが3mgです(※3)。

顆粒剤は服用する際に酸っぱい味が広がるため、苦手な方は錠剤タイプを選ぶとよいでしょう。

シナールの効果的な飲み方

基本的には、錠剤では1回1〜3錠、顆粒では1回1〜3g、どちらも1日1〜3回に分けて服用します。

シナールに含まれるアスコルビン酸とパントテン酸カルシウムは水溶性ビタミンです。

そのため、より高い効果を期待して多く摂取したとしても、体内に吸収される量は限られており、余分なものは尿と一緒に体外へ排出されてしまいます。

そのため、1日数回に分けてこまめに摂取することが大切です。

また、喫煙習慣がある方がシナールを効果的に服用する際には、禁煙した方がよいでしょう。

喫煙するとビタミンCの吸収率が低下して代謝が早まるため、せっかくシナールを服用しても効果を感じにくくなる可能性があります。

シナールの副作用や使用上の注意点

シミ予防や色素沈着の改善などでよく処方されるシナールですが、副作用や安全性の問題はないのでしょうか。
また、使用する上での注意点についても気になるところです。 それぞれ詳しく見ていきましょう。

副作用

シナールに含まれる成分は水溶性ビタミンであるため、過剰に摂取したとしても体外へすみやかに排泄され、副作用が起こりにくいといわれています。

ただし、まれに胃の不快感や吐き気、下痢などの消化器症状があらわれる場合があります。

これらの副作用は、アスコルビン酸の下剤のような働きや、パントテン酸カルシウムの腸管運動を促進作用に由来すると考えられています(※1)。

これらの症状が出た場合は一旦服用を中止し、様子をみるとよいでしょう。
それでも症状が回復しない場合は、無理せず処方された医療機関や薬剤師に相談しましょう。

使用上の注意点

ここでは、シナールの使用に関する注意点を解説します。 検査時におけるシナールの影響や、妊娠中・授乳中の服用可否について知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

尿検査や便検査への影響

シナールを服用中の方は、糖尿病や肝機能障害を確かめるためによく行われる、尿検査や便検査の結果に影響する可能性があります(※1)。

たとえば、尿中に含まれる糖を調べる尿糖検査を行う場合、シナールに配合されているビタミンCの強い還元作用によって試験紙と反応してしまい、尿検査に影響をおよぼす可能性があります。

その結果、本当は異常があるのに「異常なし」と誤った検査結果が出てしまう場合があるのです。
また、便検査を行う場合は、潜血(せんけつ)を検出できずに見逃す可能性があります。
潜血とは、目には見えないほど少量の血液のことです。
シナールに含まれるビタミンCによって着色した尿では、潜血を目視確認することが難しく、酸化還元反応によっても潜血の検出に影響する可能性があります。

間違った検査結果が出てしまわないためにも、シナールの服用中に検査を受ける際には、前もって医師に相談しましょう。

妊娠中・授乳中の服用について

薬の服用に注意が必要な妊娠中や授乳中でも、シナールの服用は基本的に問題ありません。

実際に、妊娠中や授乳中にはビタミンが不足しやすいため、補給目的でシナールを処方されることもあります(※1)。

ただし、体質や妊娠中・授乳中の体調には個人差があるため、服用を希望する際は医師に相談すると安心でしょう。

シナールに関するよくある質問

ここでは、シナールに関する以下の質問についてお答えします。

・シナールの効果はいつ頃から実感できる?
・白髪や太る原因になるって本当?
・シナールを処方してもらうにはどうしたらいいの?


シナールの効果や副作用、入手方法に関して詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

Q1. シナールの効果はいつ頃から実感できる?

シナールの効果を実感するには、肌のターンオーバーの周期である1~1.5か月は服用する必要があります。

シナールには即効性がないため、数日間といった短期間で劇的な変化が期待できるわけではありません。

効果には個人差もありますが、3か月服用してもまったく効果を実感できないようであれば一度かかりつけの医師に相談し、ほかの治療法を検討したほうがよいでしょう。

Q2. 白髪や太る原因になるって本当?

現在、シナールの服用によって白髪や体重が増える原因になるといった報告はありません。

シナールの成分である水溶性ビタミンは、服用しても速やかに体外へ排泄されるため、副作用についての過度な心配は必要ないでしょう。

Q3. シナールを処方してもらうにはどうしたらいいの?

シナールは処方が必要な医薬品であるため、皮膚科や美容皮膚科といった医療機関において医師による診察が必要です。
ただし、美容目的での処方は自費になるため注意が必要です。

処方薬と比較すると成分の含有量は少ないものの、シナールは薬店やドラッグストアなどで市販薬としても販売されています。

医薬品の方がより効果を感じやすいことは事実ですが、市販のシナールでも、継続することで効果を実感できるでしょう。

シナールを正しく使用して理想の美肌を手に入れよう

シナールとは、アスコルビン酸(ビタミンC)とパントテン酸カルシウム(ビタミンB5)を主成分としたビタミン複合剤であり、主に皮膚科や美容皮膚科で処方されます。

継続的に服用することで、シミやそばかすによる色素沈着の予防や改善、肌のハリの保持などの効果が期待できるでしょう。

アスコルビン酸にパントテン酸カルシウムを加えることによって、アスコルビン酸のメラニン抑制作用や抗酸化作用などを高めているため、サプリメントなど他のビタミン剤よりも高い効果を期待できます。

安全性の高い薬であるため、副作用の心配はほとんどありませんが、まれに消化器系の副作用が起こる場合があるため、服用の際は医師や薬剤師の指示に従いましょう。

【参考文献】
※1)医薬品インタビューフォーム 配合錠:日本薬局方 アスコルビン酸・パントテン酸カルシウム錠
https://image.packageinsert.jp/pdf.php?mode=1&yjcode=3179115D1096
(※2)Department of Pathology, University of Otago, Christchurch, P.O. Box 4345, Christchurch 8140, New Zealand The Roles of Vitamin C in Skin Health (2017)
https://www.mdpi.com/2072-6643/9/8/866
(※3)シナール配合錠/シナール配合顆粒
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3179115D1096_2_02/

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