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【薬剤師監修】肌が弱酸性だと何がいいの?アルカリ性や中性だとどうなる?

「肌のためにも弱酸性に保とう」と言われることがありますが、なぜ弱酸性にすると肌に良いのか、弱酸性ではなくなるとどのような影響が出るのか気になっている方が多いのではないでしょうか。

テレビのCMでも弱酸性が謳われている商品を目にすることが少なくありません。今回は、弱酸性に保つことがなぜ肌に良いのか、アルカリ性や中性になるとどのような影響が出るのかについて解説します。肌を弱酸性に保つ方法も紹介しているので、こちらも参考にご覧ください。

教えてくれたのは

薬剤師 岡本妃香里 さん

2014年に薬学部薬学科を卒業し、薬剤師の資格を取得。大手ドラッグストアに就職し、調剤やOTC販売を経験する。2018年に退職し、その後はライター活動を開始。現在は医薬品や化粧品、健康食品など健康と美に関する正しい情報を発信中。医療ライターとしてさまざまなジャンルの記事執筆を行っている。

肌のpHバランスとは?

私たちの肌は、適切なpHバランスに自然と保たれるようにできています。しかし、何らかの原因によってpHバランスが乱れてしまうこともよくあるものです。

そもそもpHとは?

pHとは「ペーハー」や「ピーエッチ」と呼ばれており、水素イオンの濃度を表す指標のことです。pHは1~14の数字で表されます。中央値は7です。

pH3未満は酸性、pH3以上~6未満は弱酸性、pH6以上~8以下が中性、pH8以上~11以下は弱アルカリ性、pH11を超える場合はアルカリ性とされます。pHの数字が小さいほど酸性度が強く、大きいほど強いアルカリ性となることが特徴です。

肌は皮脂膜によって弱酸性に保たれている

肌はもともと、pH約4.5~6の弱酸性に保たれています。弱酸性に保つために活躍しているのが皮脂膜です。皮脂膜は天然の保護膜とも呼ばれており、肌の表面を覆うことで外部の刺激から守る働きをしています。健康な肌は皮脂膜によって守られているため、肌のpHは弱酸性に保たれているのです。

ただし、汗をかいたり洗顔したりするとpHバランスが崩れるため一時的にアルカリ性に傾きます。アルカリ性に傾いてしまった場合でも、通常は皮脂膜のアルカリ中和能によって弱酸性に戻ります。しかしアルカリ中和能が弱くなると、pHバランスが崩れて肌トラブルが増えやすくなるので注意しましょう。

肌のpHがアルカリ性に傾くと起こる影響

肌のpHは弱酸性に保たれている状態がもっとも健康的です。アルカリ性に傾いた状態が続くと、肌トラブルを起こすことがあります。では、具体的にどのような影響があるのでしょうか。

黄色ブドウ球菌が増えて肌荒れしやすくなる

肌には存在している常在菌は約20種類以上にものぼり、その数は数百億個にも及びます。数多くいる常在菌のうち、表皮ブドウ球菌は美肌菌とも呼ばれており、肌を健康に保つ働きをしていることで有名です。

表皮ブドウ球菌が作り出す脂肪酸は肌を弱酸性に保ち、さらに抗菌ペプチドを酸性にすることで黄色ブドウ球菌から肌を守っています。

しかし、肌が中性やアルカリ性になると表皮ブドウ球菌の数が減り、肌に悪影響を及ぼす黄色ブドウ球菌が増えてしまうのです。その結果、皮膚炎が起きたり傷が化膿したりすることがあります。

肌が乾燥しやすくなる

pHバランスの乱れは、肌のバリア機能の乱れにもつながります。バリア機能とは、外部の刺激から肌を守るための防御機能のことです。

肌が弱酸性を保てなくなると、バリア機能が低下して肌の水分が蒸発するため、乾燥肌を招きやすくなります。乾燥が進むと赤みやかゆみの原因ともなるため注意したいものです。

老化が進みやすくなる

pHバランスの乱れによって肌のバリア機能が乱れると、肌が乾燥して紫外線の影響をより強く受けやすくなります。紫外線は、シミやしわの原因です。UV-Aは肌の奥まで侵入してしわの原因に、UV-Bは肌の表面に影響してシミを作り出す原因になります。

老化の原因の約8割は紫外線の影響による光老化だと言われているため、pHバランスの乱れは老化を促進させると言えるでしょう。

アトピー性皮膚炎になりやすくなる

pHの上昇、すなわちアルカリ性に近づくことはアトピー性皮膚炎を発症させる原因になると考えられています。肌がアルカリ性になると免疫反応に変化が起きるため、アトピー性皮膚炎になりやすい状態になってしまうのです。

アトピー性皮膚炎になる原因はpHの上昇だけではありませんが、一つの原因となり得ることがわかっています。

アルカリ性の洗顔料は肌に悪いの?

「肌には弱酸性」という認識が浸透しているため、アルカリ性の洗顔料は肌に悪いと思っている方もいるでしょう。

しかし、アルカリ性だからといって肌に悪いことはありません。肌にはアルカリ性を弱酸性に戻すアルカリ中和能があります。一時的にアルカリ性になったとしても自然と弱酸性に戻るため心配はいりません。

ただし、肌が乾燥しやすい方や敏感肌の方は、アルカリ性の洗顔料を使うことで乾燥しやすくなってしまう可能性があります。アルカリ性の洗顔料は洗浄力が強く古い角質や毛穴汚れをしっかり落とせるメリットがありますが、乾燥しやすい方は弱酸性の洗顔料を選ぶようにするとよいでしょう。

肌を弱酸性にするためにはどうしたらいい?

アルカリ性に傾いた肌は、肌がもつアルカリ中和能によって徐々に弱酸性へ戻っていきます。しかし、できるだけ早く弱酸性へ戻して肌の負担を減らしたいと考える方もいるでしょう。

弱酸性の洗顔料を使う

アルカリ性に傾いた肌は、肌がもつアルカリ中和能によって徐々に弱酸性へ戻っていきます。しかし、できるだけ早く弱酸性へ戻して肌の負担を減らしたいと考える方もいるでしょう。

洗顔後すぐに化粧水を馴染ませる

多くの化粧水は弱酸性でできていることから、洗顔後に化粧水を馴染ませることで肌を弱酸性にできます。
そのため、よほど肌が荒れやすい方でない限りは無理に弱酸性の洗顔料を使う必要はありません。また、洗顔後は肌が乾燥しやすくなっているので、できるだけ早めに化粧水で保湿をしましょう。

肌を弱酸性に戻す食べ物はある?

毎日の食事で肌を弱酸性にできれば、日頃から肌のpHケアができるので嬉しいものですよね。では、食べ物から肌を健康へ導く方法はあるのでしょうか。

食べ物だけで弱酸性に戻すのは難しい

食べ物だけで肌を弱酸性にするのは難しいと考えられています。むしろ、人間の体は弱アルカリ性に保たれているため、アルカリ性の食べ物を摂ると体に良いと言われているほどです。

しかし、アルカリ性の食べ物を食べても血液がアルカリ性になることはありません。同様に、酸性の食べ物を食べても肌が弱酸性になることもありません。体には恒常性維持機能(ホメオスタシス)が備わっているため、外からあれこれと力を加えても簡単には変化を起こさないようになっているのです。

肌に良い栄養素を摂ろう

食べ物で肌を弱酸性にすることはできませんが、健康的な肌作りに食事は欠かせません。まずは、肌のハリを保つ働きのあるたんぱく質をしっかり摂りましょう。細胞膜の主成分となる脂質も不足しないように気をつけます。

活性酸素の働きを抑えるビタミンAやビタミンC、ビタミンEなども効果的です。腸内環境が悪くなると肌にも影響が出るため、食物繊維も意識して摂りましょう。

肌が乾燥しやすい方は洗顔方法に問題がある場合も

肌が乾燥しやすい、トラブルを起こしやすいという方は肌のpHではなく洗顔方法に問題がある場合もあります。一度、自分の洗顔方法を見直してみましょう。

しっかり泡立てていない

洗顔するときにしっかり泡立てていますか?泡立てずに手で肌をこすると、肌が刺激を受けて荒れてしまうことがあります。刺激を受けた肌はメラニン色素を生成するため、シミやそばかすの原因になる可能性もゼロではありません。肌を守るためにも、洗顔料はしっかり泡立てて使用します。

洗うときにゴシゴシこすっている

どんなにしっかり泡立てても、ゴシゴシこすって洗顔していては意味がありません。肌に摩擦が加わり潤いを保つのに必要な角質まで落としたり、刺激を与えて肌荒れを起こしたりする可能性があります。洗顔するときは泡でなでるようにし、手が触れないように洗うことがポイントです。

時間をかけて洗っている

丁寧に洗顔をするのは良いことですが、時間のかけすぎには注意してください。長い時間洗っていると、肌を保湿するのに必要な成分まで取り除いてしまうため肌の乾燥を招くことがあるのです。できるだけ手短にさっと洗うことで肌に負担をかけにくい洗顔ができます。

肌を健やかに保つための洗顔方法

肌を健やかに保つためには、pHバランスを気にすること以外に正しい洗顔方法を身につけることも大切です。

手を清潔にする

手には肌荒れを引き起こす菌が付着していることがあります。洗顔する前にまず手を清潔にし、きれいな状態で洗い始めるようにしてください。

洗顔料をよく泡立てる

洗顔料はよく泡立ててから使用するようにしましょう。洗顔ネットを使うと簡単に泡立てることができるため、取り入れてみるのもよいでしょう。しっかり泡を立てて、肌に手が触れないように泡で洗うことを意識して汚れを落としていきましょう。

ぬるま湯でお湯を流す

洗い流すときは、ぬるま湯を使用してください。お湯の温度が高すぎると、肌の保湿に必要な皮脂まで洗い流してしまうため、乾燥肌を招くことがあります。触っても熱くない程度の温度(約30~40度)が最適です。

タオルで水分を拭き取る

タオルで水分を拭き取る際は、こすらずにタオルを肌にポンポンと当てて水分を取り除きます。いくら丁寧な洗顔をしても、タオルでこすってしまうと意味がありません。吸水性の良いタオルを使えば、こすらなくても肌に当てるだけで十分に水分を取り除けます。

まとめ

肌はもともと弱酸性に保たれています。弱酸性を保つことで、肌の健康を維持しているのです。アルカリ性に傾くと肌の常在菌のバランスが変わって肌荒れを起こしやすくなったり、乾燥しやすくなったりします。

しかし、肌にはアルカリ中和能があるため、一時的にアルカリ性に傾いても自然に弱酸性へpHを戻すことが可能です。そのため、弱酸性かアルカリ性かを過度に気にしすぎる必要性はありません。どうしても肌荒れや乾燥が気になる方は、弱酸性の洗顔料を選んで使うとよいでしょう。

【参考文献】
(※1)pHとは? | 鈴研株式会社
https://www.suzuken-ltd.co.jp/choose/ph/
(※2)顔の常在菌を大切にしよう|スキンケア講座|持田ヘルスケア株式会社
https://hc.mochida.co.jp/skincare/acne/acne1.html
(※3)皮膚の常在細菌について | 東京医療保健大学
https://www.thcu.ac.jp/research/column/detail.html?id=110
(※4)pH in Atopic Dermatitis
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30130778/

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