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AHA(アルファヒドロキシ酸)のピーリング作用と美肌効果

ニキビやエイジングケアとしてよく目にするようになった「AHA」。主にピーリング剤に配合されているスキンケア成分で、古くなった角質層を除去してくれる効果があります。

この記事ではAHAの美容効果や使用する際の注意点について詳しく解説します。

AHAとは

AHAは、アルファヒドロキシ酸(Alpha Hydoroxy Acid)の英語の頭文字をとった略称で、「エーエイチエ―」と読みます。AHAはりんごや柑橘類などの発酵液に含まれている天然由来成分であり、別名「フルーツ酸」と呼ばれることもあります。
比較的刺激が少なく日本人の肌に合っていることから、多くの化粧品に配合され、医療機関のケミカルピーリングとしても使用されています。

AHAのピーリング作用

ピーリング(peeling)とは、「皮をむく、剥ぐ」という意味。
例えば玉ねぎの皮をむくと、つるんとしたキレイな面が出てきます。
肌のピーリングも同じようなイメージで、肌表面の不要な角質を剥ぐことで、透明感のあるツルツルした肌へと導くことができます。
AHAは酸(H+)の力で皮膚の角質細胞間を接着しているタンパク質を分解して、古くなった角質層が剥離しやすくなるように導く作用があります。
そのため荒い粒子で物理的にこすって落とすスクラブと比較すると、肌が傷つきにくいという特徴があります。

ピーリング剤として用いられるAHAの種類

AHAはα位にヒドロキシ基をあわせ持つカルボン酸の総称であり、その中でもピーリング成分として使用されるAHAには以下のようなものがあります。

・グリコール酸
・乳酸
・酒石酸
・クエン酸
・リンゴ酸


特に分子量の小さいグリコール酸や乳酸は肌への浸透性が高く、低濃度で効率よく効果を発揮することから、多くの製品に配合されています。

期待できる効果

AHAを使うとピーリング作用により肌のターンオーバーが活性化されます。 ここでは肌のターンオーバーとAHAの美肌効果との関係について解説します。

ターンオーバーとは

肌のターンオーバーとは、肌の細胞が一定の周期で生まれ変わる仕組みのことです。
肌の内側で新しい細胞が作られ、やがて角質層まで押し上げられて肌のバリア機能として働き、古くなった角質層は垢となって剥がれ落ちる…その一連の流れをターンオーバーといい、約4週間のサイクルで起こると言われています。

しかしターンオーバーは以下のような原因で周期が乱れることがあります。

・加齢
・生活習慣の乱れ(睡眠不足、運動不足、栄養バランスの偏った食事など)
・紫外線
・乾燥
・ホルモンバランスの乱れ
・間違ったスキンケア


肌のターンオーバーが乱れてしまうと健康な細胞を作ることができず、不完全な形の角質細胞ができてしまいます。するとキメが荒くバリア機能の低い角質層となり、肌の水分が蒸発しやすくなったり(=乾燥肌)、外界からの刺激を受けやすくなったり(=敏感肌)します。

どんな肌悩みに効果があるの?

AHAはターンオーバーが乱れた肌に使用することで、肌の代謝を活性化し、ターンオーバーの周期を正常に戻してくれる働きがあります。
そのため、AHAは以下のような肌悩みに効果があると言われています。

◆くり返すニキビ肌に
皮脂や角質が毛穴に詰まると、その中でアクネ菌が繁殖し炎症を起こしてニキビの原因になります。AHAは肌の新陳代謝を促すことで、毛穴の詰まりを取り除いてニキビを改善・予防する効果があります。
また、毛穴に詰まった角栓がなくなることで、毛穴の広がりや黒ずみも改善する効果が期待できます。

◆肌のくすみやシミが気になる肌に
通常、メラニンはターンオーバーと共に肌の外へと自然と排出されますが、新陳代謝が滞ると肌の中にメラニンが残ってしまい、シミやくすみを引き起こします。
AHAにはメラニン色素を還元する作用はありませんが、肌のターンオーバーを促すことで肌の奥深くにあるメラニンを押し出して肌のくすみやシミを改善する効果があります。
さらに肌表面に残っている古い角質を除去することで肌のキメが整い透明感がアップします。

◆乾燥や小じわが気になる肌に
AHAの働きで健康な角質細胞が作られるようになるため、肌本来の保湿機能やバリア機能を改善し乾燥を改善する効果が期待できます。
またAHAの濃度や作用時間によっては酸が真皮まで浸透し、線維芽細胞を刺激してコラーゲンやエラスチンの生成が促されるため、肌にハリが出てみずみずしい状態になります。使い続けることで小じわの改善や肌のゴワつき・乾燥を改善する作用があります。

主な副作用

様々な美肌効果が期待できるAHAですが、過度のスキンケアや使用時の肌の状態によっては以下のような症状が出る場合があります。ここではAHAの副作用とその対策について解説していきます。

起こりうる副作用

①ピリピリとした刺激感
使用時の肌のバリア機能が低下している場合に刺激を感じやすいです。また使用初期に肌に問題がなくても、過度の使用により必要な角質層まで剥がれてしまった場合に刺激を感じるようになることもあります。

②赤み
使用初期もしくは使用頻度が多過ぎた場合に赤みが生じることがあります。
赤みのもとは肌の炎症で、この炎症が続くと、炎症性色素沈着の原因にもなるため注意が必要です。

③乾燥
主に使用初期にみられます。角質層が剥がれて一時的にバリア機能が低下し、肌の水分が蒸発しやすくなるため、乾燥の症状が出ることがあります。

どうすれば副作用が起こりにくくなる?

・使用頻度を守ること
AHA化粧品は使いすぎると肌に必要な角質層まで失われ、肌トラブルの原因になります。
必ず商品に記載されている使用頻度を確認して使うようにしましょう。また肌の状態によって刺激を感じる場合は、使用をいったん中止するかさらに頻度を落として使い肌の負担を減らしましょう。

・使用後は紫外線対策をきちんと行うこと
AHA化粧品を使った後はしっかりと肌を保湿し、外出するときは必ず日焼け止めを塗りましょう。肌のターンオーバーが活性化されることで一時的にバリア機能が低下するため、きちんと紫外線対策をすることが大切です。また、なるべく日光に当たる時間が短くなるように注意しましょう。

AHA化粧品の使用を避けた方がよい人

肌が敏感な状態になっているときはAHAによる肌トラブルが起こりやすいです。
特に、以下のような方は使用を避けましょう。

・妊娠中、授乳中の方
・日焼け直後の方、日光過敏の方
・脱毛・顔そり直後の方
・皮膚にキズ・手術既往のある方
・皮膚に感染症がある方

敏感肌、ピ-リング初心者の方がAHA化粧品を選ぶときのポイント

敏感肌、ピーリング初心者の方は弱いピーリング化粧品からスタートして徐々に強いものにステップアップするのが基本です。
では、具体的にどんな化粧品を選ぶと良いのでしょうか。ここでは商品選びに不安を感じている方向けに選び方や各製品の特性について解説します。

AHA化粧品を選ぶときのポイント

AHAのピーリング作用の強さは「濃度」「pH」「作用時間」によって変わります。

「濃度」が濃い、「作用時間」が長い、「pH」が低い(=酸性が強い)ほど、作用は強くなります。期待できる効果も高くなりますが、その反面ピリピリ感や肌の赤み、皮剥けなどの副作用も強くなります。

~選ぶポイントまとめ~
①pH:酸性度。数字が大きいものを選ぶ。
②濃度:濃度が低いものを選ぶ。高濃度でもpHが高ければ刺激が少ない場合もある。
③接触時間:肌に触れている時間が短いものを選ぶ。すぐに洗い流す「石鹸」は初心者向き。


★AHAは日本では自主規制で濃さや酸性度が決められており、一般的な製品はpH3.5以上濃度10%未満になります。一方美容クリニックでは医師の管理のもとpH3.0以下濃度30%以上の強いものが使われる場合もあります。

AHA化粧品の種類

◆洗顔石鹸
石鹼などの洗い流すタイプは作用時間が短い分、低刺激のものが多く、マイルドなピーリング効果が期待できるため、初めての方でも使いやすいです。週に1~3回程度が基本ですが、必ず商品の説明欄をよく読み、記載された量・使い方を守るようにしましょう。また、肌のコンディションが良くない時は肌トラブルが起こりやすいため、使用を控えるようにしましょう。

◆ジェル・クリーム
商品に記載されている量を顔やボディの気になる箇所に塗り、円を描くようにマッサージをすることで古い角質を落としてくれます。カスが出るため効果を実感しやすく、つい使いすぎてしまいそうになりますが、洗顔石鹸よりも刺激が強いものが多いので頻繁に使用するのは控えるようにしましょう。

◆化粧水
ピーリング化粧水には、コットンなどに含ませて拭き取るタイプのものと、肌に直接つけてなじませるだけのタイプのものがあります。拭き取りタイプの場合はコットンに汚れが付着するため効果が実感しやすい反面、肌への負担や刺激が大きいです。一方肌になじませるだけのタイプは刺激が少ない反面、ピーリング効果が穏やかで効果を実感しにくいというデメリットがあります。

★AHA化粧品といっても使用頻度や効果は商品によって異なります。自分のお肌状態やライフスタイルにあったAHA化粧品を選びましょう。

よくある質問

・AHAとBHAの違い
BHAは、ベータヒドロキシ酸(Beta Hydoroxy Acid)の英語の頭文字をとった略称で、主に「サリチル酸」をさします。BHAには角質を柔らかくしてニキビの初期の状態である角栓の詰まりをなくす働きのほか殺菌作用もあることから、AHAよりもニキビ治療に効果的だという報告があります。
またBHAは脂溶性のためAHAよりも肌への浸透性が高くピーリング効果も高いですが、その反面、刺激が強く市販の化粧品には0.2%までしか配合してはならないという規制があります。

・AHA(グリコール酸)とレチノールをいっしょに使ってもいい?
敏感肌やピーリング初心者の方は、まずはグリコール酸などのAHAとレチノールの併用は避けた方が無難です。両成分とも肌のターンオーバーを促す作用があるため一時的に肌のバリア機能が低下し刺激を感じやすくなります。
ただし、グリコール酸によって古い角質層を除去して肌のコンディションを整えた後にレチノールを使用することで、レチノールがより肌に浸透しやすくなり、レチノールの効果を高めることは期待できるでしょう。

・併用してはいけない成分はある?
AHAやBHAは、ビタミンCとの相性が悪いです。酸性のAHAやBHAと併用することでビタミンCのpHが変化して、肌への浸透が著しく低下すると考えられます。

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