肌のバリア機能?セラミドについて徹底解説!

肌の潤いを保つと言われ、肌のバリア機能を維持するために重要な成分セラミド。
セラミドには、健康的な肌へ導くための重要な働きがあります。
今回は、セラミドの具体的な効果やセラミド不足が原因の肌トラブル対策について解説。
セラミドの働きを知り、疑問を解決しましょう。

今回、セラミドについて教えてくれたのは
薬剤師 小浦枝里さん
薬剤師。総合病院門前薬局・クリニック門前薬局・新規開局薬局・大手調剤薬局等さまざまな規模の薬局にて認定薬剤師として勤務を経験。のべ8万人の薬物治療をサポートしてきた。分かりやすい服薬指導はもちろん、患者様の心に寄り添って悩みを解決し、「あなたに相談してよかった」と言われる薬剤師であることを一番心がけている。
自身も4人の子供を育てるママであることから、小児科領域の患者様より「かかりつけ薬剤師」に指名いただくことが多い。
現在は病院薬剤師として勤務する傍ら、接遇指導や記事執筆だけでなく一般向けに健康フェアを開催し、生活習慣病をテーマに人々の健康のサポートや、薬剤師の仕事に興味を持ってもらえるよう小中高校生向けにワークショップを行うなど多方面で活躍中。
セラミドとは
セラミドとは、皮膚の一番上を構成している角質層に存在する脂質のことです。 セラミドは、肌を紫外線や摩擦から守る役割があり、健康的な状態をキープしています。 しかし、年齢によって失われていく成分であるため、年齢に応じたケアが必要です。

セラミドの種類
セラミドの種類は大きく分けて、ヒト型・植物性・動物性・疑似の4種類です。
ヒト型セラミド
ヒト型セラミドは、酵母から作られ、体内に存在するセラミドと近い構造をしています。
ヒト型セラミドはさらに以下の7種類に分類され、主に保湿効果や肌を保護する効果に優れています。
・セラミドEOP(セラミド1)
・セラミドNG(セラミド2)
・セラミドNP(セラミド3)
・セラミドEOH(セラミド4)
・セラミドAG(セラミド5)
・セラミドAP(セラミド6)
・セラミドAH(セラミド7)
植物性セラミド
植物性セラミドは、米やトウモロコシなどの植物から作られた天然のセラミドです。
「コメヌカスフィンゴ糖物質」や「植物性セラミド」と記載されることが多いですが、植物性セラミドを指しています。
原材料にアレルギーがある方は使用できないため、使用前に十分確認しましょう。
動物性セラミド
動物性セラミドは、牛や馬などから抽出され、「ビオセラミド」や「セレブロシド」などと表示されます。
人体に存在するセラミドに近い構造をしているため、肌の角質層へ浸透しやすく高い保湿効果が期待できるでしょう。
他のセラミドよりも値段が高く、高価な成分です。
疑似セラミド
疑似セラミドは、人体のセラミドに近づくように人工的に作られており、他のセラミドよりも角質層への浸透力は劣ります。
しかし、石油から合成されているため、大量生産が可能で安価に購入できるのが特徴です。
疑似セラミドの成分表示は「ヘキサデシロキシPGヒドロキシエチルヘキサデカナミド」と化学名で記載されます。
よく比較されるペプチド・プラセンタ・ヒアルロン酸との違い

ペプチド・プラセンタ・コラーゲンは、美容成分として人気がありますが、セラミドとは働きが異なります。 ペプチド・プラセンタ・コラーゲン・セラミドの主な働きは以下の通りです
ペプチド:アミノ酸の集合体の一種であり、健康的な肌を保つ効果
プラセンタ:コラーゲンやヒアルロン酸などの美肌成分の働きを助ける効果
コラーゲン:肌に弾力を与える効果
セラミドに:高い保湿効果と外部刺激から肌を保護する効果
肌の乾燥やトラブルが気になる場合は、保湿効果に優れたセラミドが効果的です。
効果・働き

セラミドの主な効果には、高い保湿力や外部の刺激から肌を守るバリア機能のサポートなどがあります。
肌のバリア機能がサポートされるため、肌荒れを防ぐ効果も期待できるでしょう。
セラミドは、肌に塗るか飲むことで使用できます。
セラミドを飲む場合、食事かサプリメントで摂取可能です。
セラミドを含む食品には、米・小麦・乳製品・大豆などがあります。
また健康食品であるサプリメントは、薬ではないため、副作用の心配もありません。
セラミドの減少で起こる肌トラブルと対策

セラミドは、加齢や過度な洗顔などさまざまな要因で減少します。
セラミドが不足した肌は、どんどん乾燥し、年齢による悩みや肌荒れが起こりやすくなるでしょう。
特に乾燥性敏感肌の方は、セラミド不足が原因でさらに乾燥が進み、より肌荒れが起こりやすい状況になります。
そこで、失われたセラミドをしっかり補給し、こまめな保湿ケアが大切です。
セラミドは、化粧品で肌に塗ったりサプリメントを飲んだりして、補給できます。
自分に最適な方法でセラミドを補給し、健やかな肌を維持しましょう。
よく併用される3つの成分

セラミドは、コラーゲンとよく併用されています。
コラーゲンで肌に弾力を与えつつ、セラミドで肌を保湿しバリア機能をサポートすることが期待できるためです。
このように、他の成分とセラミドを併用することで、より良い効果が得られます。
ここではコラーゲン以外で、セラミドとよく併用される成分3つについて解説しましょう。
ヘパリン類似物質
ヘパリン類似物質は、体内に存在するヘパリンに近い成分のことであり、ヒルドイドの有用成分です。 主に高い保湿効果や肌を保護する作用があるため、乾燥肌や肌荒れなどへ効果が期待できます。
ヒルドイド
ヒルドイドは、肌の保湿や肌荒れ予防に効果的です。 形状には、ソフト軟膏・クリーム・ローション・ゲルタイプの4種類があり、使用目的で使い分けます。 たとえば、肌の保湿に使用する場合は、軟膏・クリーム・ローションを使用することが多いです。
メチルグルセス-20
メチルグルセス-20は、トウモロコシを由来とした水性保湿剤です。 肌に膜を張ったような感覚があり、肌を保湿する効果があります。
セラミドを含む化粧品の効果的な使い方

セラミドを配合している化粧品の効果的な使い方は、毎日数回使うことです。
継続してしっかり肌に塗ることで、効果を得やすくなります。
セラミドを塗ることが目的の場合、化粧品に配合されているセラミドの配合率をチェックしましょう。
セラミドの配合率があまりに少ないと、毎日失われていくセラミドを十分に補給できないためです。
化粧品を選ぶ際はセラミドの配合率に着目し、高濃度のものが良いと言われています。
ラボガールの内緒話
多くのドクターズコスメを処方・製造してきたラボで働く女性、通称「ラボガール」にセラミドの内緒話を教えてもらいました!

教えてくれたラボガールは
北川さん
北川さんの座右の銘は『明日死ぬと思って生きる』
いつもフットワークが軽くてバイタリティーがある人から、「なんでそんなに行動力があるの?」と訊いて教わった言葉だそうです。明日死ぬと思ったら、今やりたいこと全部やらなきゃ!と思って毎日を過ごしている元気いっぱいなラボガール!!
当ラボで使用しているセラミドは、白い粉末でニオイはありません。
ヒトの肌が持つセラミドは300種類以上のセラミド分子が発見されています。その形と似た構造を持つセラミドはヒト型セラミドと呼ばれます。酵母など微生物由来のヒト型セラミドが知られています。
疑似セラミドは石油から作られたセラミドです。安定的に大量生産できるため、安価なセラミドです。
動物性セラミドは馬や牛乳、卵由来などのセラミドです。植物セラミドはとうもろこしや米、小麦、大豆、コンニャク、きのこ、などから生成します。動物性、植物性は天然由来ではありますが、ヒト型セラミドの構造とは違うことがわかっています。しかし近年では和栗から植物由来のヒト型セラミドが発見されたそうです。
化粧品によく使われるのは疑似セラミド、微生物・植物由来のセラミドです。

セラミドと一口に言ってもいろんな種類があるので迷いますよね。
実はセラミドというのは、「スフィンゴイド塩基」と「脂肪酸」がくっついた構造をしていれば「セラミド」なんです。このスフィンゴイド塩基と脂肪酸の形もいくつか存在していて、この組み合わせの違いでセラミド1、セラミド2…と名前がついています。今では数字から表記の仕方が変わり、セラミドEOS、セラミドNPとアルファベットに置き換わっています。それぞれのセラミドについては以下のような効果があると考えられています。
セラミド1(EOS):水分を保つ働きがあり、外部の刺激を防ぐバリア機能がある
セラミド2(NS):保湿力が強い
セラミド3(NP):水分を保ち、シワを抑えつつ減少させる
セラミド6Ⅱ(AP):セラミド3と同じ働きを持ち、肌のターンオーバーを促す