従来のレーザー治療よりも肌ダメージや痛みを軽減しながら、高い効果が期待できる「ピコトーニング」。ピコ秒の短いパルスを照射する治療法ですが、気になるのはリスクや副作用ではないでしょうか。特に、「シミや肝斑を治療していたら、いつの間にか白斑ができてしまった」「ピコトーニングで白斑になるリスクについて詳しく知りたい」という方も多くいらっしゃるでしょう。
この記事では医師の寺井 美佐栄 先生にご監修いただき、ピコトーニングによる白斑などのリスクや、発生した場合の対処法について詳しく解説いたします。ピコトーニングのリスクをしっかり理解した上で、施術を選択していきましょう。
監修者
ミサクリニック六本木本院
医師 寺井 美佐栄 先生
複数の大手美容皮膚科での院長経験を経て、満を辞して2022年9月にミサクリニック六本木本院を開業。
メスを使わずに「ナチュラルなキレイ」を引き出す技術に定評がある寺井先生。「メスを使わない美容施術、必見!!Dr.みさえの素敵になり隊」というYouTubeで美容医療に関する情報を毎週配信しています。
◆当コラムの掲載記事に関するご注意点
※本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。
ピコトーニングとはどんな施術?
ピコトーニングは、非常に短いパルス幅(照射時間)のレーザーを使用するため、従来のレーザーと比べて肌にほとんど負担をかけず、痛みも軽減できる治療です。1回でも肌のトーンアップ効果などを実感できますが、複数回続けることでさらなる効果実感が期待できます。
ピコトーニングは、以下の方に向いています。
・肌をトーンアップしたい方
・シミや肝斑を治療したい方
・肌のハリ、ツヤ感がほしい方
肝斑や炎症性色素沈着などにもアプローチができ、周囲の細胞に過度な刺激を与えません。肌への負担を最小限に抑えながらさまざまな効果を期待できる治療といえます。
ピコトーニングで肝斑やシミ、くすみを改善し透明感あふれる肌へ
ピコトーニングの効果は?
ピコトーニングは肌に幅広い効果をもたらすことができます。具体的には以下の効果が期待できます。
ハリを出す
ピコトーニングはハリや弾力を司るコラーゲンやエラスチンの生成を促します。そのため、細かなシワへの効果が期待でき、肌にハリ・ツヤを出す働きがあります。頬の毛穴やシワが目立つ方にも向いている施術です。
低出力で広範囲に照射できるため肌の質感を向上させ、滑らかで若々しく見える肌に導きます。
シミや肝斑
ピコトーニングはシミや肝斑などの色素沈着を薄くする効果が期待できます。
肝斑とは、目尻の下や頬などを中心に左右対称にできる色素沈着のことで、主に女性ホルモンの乱れや紫外線が原因とされています。肝斑は高出力のレーザー照射により悪化する恐れがありますが、ピコトーニングは低出力なレーザーのため治療が可能です。メラニンを徐々に破壊し、肌のトーンアップや透明感ある肌へ導きます。
毛穴の黒ずみ
ピコトーニングは、黒い色素に反応して破壊する特徴があります。毛穴に蓄積した黒い皮脂の分解を促すため、毛穴の黒ずみにお悩みの方に向いている施術です。
また、肌のターンオーバーを正常化し、色素や皮脂の排出を促進することで肌改善をサポートしてくれます。毛穴の詰まりが解消され、肌を引き締める効果も期待できます。
ピコトーニングで起こりうるリスク
ピコトーニングは低出力のレーザーで肌負担は少ないものの、リスクが全くないわけではありません。ピコレーザーで起こりうるリスクもしっかり理解しておきましょう。
白斑
ピコトーニングを短期間に繰り返し照射することで、白斑のリスクがあります。白斑とは皮膚の一部が白抜けしてしまうことで白く目立つ状態です。
多くの場合、ピコトーニングは10〜15回など複数回照射が必要になります。しかし、肌に必要以上に照射したり、高出力で当てたりすると肌ダメージにつながり、メラノサイトを壊してしまう恐れがあるのです。それにより色素が作れなくなってしまい、白斑を引き起こしてしまいます。
炎症
ピコトーニングは従来のレーザーに比べて肌ダメージの少ない治療といわれています。しかし、照射の刺激により肌が過敏になり、治療後に肌に赤みや痛みが現れることがあります。個人差はありますが、通常、数時間から数日程度で症状が治るとされています。
炎症している間は、洗顔やメイクで肌を強くこするなど刺激を与えないように注意しましょう。
色素沈着
ピコトーニングの施術後に色素沈着が起こることがあります。ピコトーニングは熱発生が少ないため、通常、炎症後の色素沈着リスクは低い治療法ですが、完全にゼロではありません。
ただし、この色素沈着は一時的なもので、多くの場合、数か月で自然に薄くなります。施術後は紫外線対策をしっかり行い、色素沈着している部位を太陽の光から守るように心がけましょう。
ピコトーニングで白斑ができる原因は?
ピコトーニングによってなぜ白斑が起こるのか、原因は未だ明確になってはいません。
しかし、一つの仮説として、メラノサイトの機能障害が関連していると考えられています。メラノサイトが正常に機能しないと、皮膚の色素が一部欠如することで白く抜けてしまいます。
ピコトーニングはメラノサイトを直接破壊することはありませんが、繰り返し照射する刺激によってメラノサイトにダメージを与えてしまう可能性があると考えられています。
ピコトーニングで白斑ができたときの対処法
今のところ、セルフケアや医療でも白斑を完全に治療する方法はないとされています。基本的には時間が経つのを待つことが大切です。個々の状況によって経過が異なることもあるため、医師の指導に従いましょう。
また、年齢とともに肌がくすんだり、日焼けしたりすると白斑が目立つことがあります。肌が明るいと白斑が目立ちにくいかもしれませんが、肌がくすんだり日焼けをしたりしていると白斑が際立ちます。白斑を目立たなくするために、くすみや日焼けを予防することが大切です。</b.
ピコトーニングで失敗しないためには?
白斑などのリスクを回避するには以下の2つのポイントがあります。
・必要以上の照射は避ける
・医師の指示の下、照射回数の判断を行うこと
本来は、ピコトーニングを複数回照射するかどうか、施術途中で医師が診察して決定していく必要があります。しかし、場合によっては医師が入らず、看護師が照射し続ける体制の美容クリニックもあります。
施術を受ける際は医師の指示に従い、過度ではない回数を照射することが重要です。
また、白斑は見た目では分からなくても、肌内部にできている可能性もあります。複数回施術を受ける場合は、必ずネオヴォワールなどの肌分析器を使用して、肌状態を確認することをおすすめします。その結果により治療が必要であれば継続し、白斑がみられる場合はしばらくお休みするなどの対応が必要です。
ピコトーニングはダウンタイムが少なく、肌全体に透明感のでる満足感の高い治療ですが、知らないうちに自分の肌にダメージを与えていることもあります。リスクがあることもしっかり念頭に置いた上で施術を受けましょう。
ピコトーニングで白斑が起こるリスクを理解して施術を受けよう
ピコトーニングは満足感の高い治療ですが、リスクがあることを十分に理解し、慎重に進めることが重要です。
施術は医師の管理下で行われるべきで、治療途中で肌状態を確認しながら進めることが大切です。複数回の施術を受ける場合、肌の状態をネオヴォワールなどの肌分析器を用いて確認し、治療の必要性や白斑の状態を注意深くチェックしてもらいましょう。
リスクを回避するためには、クリニック選びを慎重に行うことが重要です。信頼できる医師に相談し、ご自身の肌に合うのかどうかをしっかりチェックしながら治療してもらえるクリニックを選びましょう。