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葉酸の効果と必要性は?妊娠時に必要な理由と摂取方法について

葉酸はビタミンB群の一つで、体内の細胞生成をうながす働きをします。胎児の先天的な障害・病気のリスクを減らす働きや貧血の予防に効果があるとされており、とくに妊娠・出産を控えている女性にとって欠かせない成分です。

この記事では、葉酸に期待できる効果や効果的な取り入れ方、摂取時の注意点などを解説します。葉酸を豊富に含む食品も紹介するので、普段の食生活に取り入れて、健康的な体を作りましょう。

葉酸とは

葉酸は水溶性のビタミンで、ビタミンB群の1種です。体内の赤血球の生成を助けたりDNAやRNAなどの核酸やたんぱく質の生合成をうながしたりする働きがあり、細胞の生成や再生に密接に関わっています。

胎児の先天的な障害リスクを減らす効果も期待されることから、とくに妊娠中の女性に必要不可欠な栄養成分です。葉酸は体内で合成できない成分のため、普段の食事やサプリメントなどで計画的に取り入れる必要があります。

葉酸に期待できる効果

葉酸には人間の体の働きを助けるさまざまな作用があり、とくに妊娠中の女性にとっては母子の健康にとって欠かせない成分です。ここからは、葉酸を取り入れることで期待できる効果について解説していきます。

赤ちゃんの障害リスクを減らす

葉酸に期待できる一番の効果として、赤ちゃんの障害リスクの軽減が挙げられます。葉酸の働きによって防げる可能性のある「神経管閉鎖障害」とは、脳や脊髄などに必要な神経管が正常に作れない障害のことで、妊娠初期とされる妊娠4週目〜12週目に起こる先天異常の1つです。

主に脊髄や脳に異常をきたし、先天的な下半身の障害や脳の発達の遅れの原因となるほか、最悪の場合流産・死産にも至ります。葉酸は細胞の増殖や分裂に必要な成分の合成をうながす作用があるため、胎児の神経管の正常な生成が期待できます。

貧血の予防

葉酸は、葉酸やビタミンB12の欠乏により起こる「巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)」の予防に効果的です。体内の葉酸が不足すると、骨髄から未熟で大きな赤血球が生成されるようになります。未熟な赤血球は骨髄内で壊れるため血液として体内に送り届けることができず、貧血症状を引き起こすのです。

巨赤芽球性貧血は疲れや動悸・息切れなどの症状が出るほか、消化器系の異常や神経症状を引き起こすケースもあります。普段から葉酸を継続的に摂取し、貧血のリスクを軽減することが大切です。

成長の促進

葉酸には、人間の成長や健康維持に必要な細胞やたんぱく質の増殖・分裂を促す働きがあります。とくに、妊娠中の女性の胎内で行なわれる胎児の細胞分裂には、葉酸の力が欠かせません。さらに、葉酸は妊娠中の胎児の成長に加えて、授乳期の乳児の正常な成長にも関わっています。

また、葉酸は細胞の新陳代謝が激しい口腔内や粘膜の状態を維持するためにも必要なため、胎児や新生児だけでなく、成人にとっても欠かすことができない成分です。

精神の安定

葉酸は、脳内の神経伝達物質の一つで、幸せホルモンとも呼ばれている「セロトニン」の生成に必要な栄養素でもあります。セロトニンは不安やストレス、イライラなどのマイナス感情を取り除き、人間の精神を安定させる働きのある大切な物質です。

とくに妊娠中の女性は、葉酸を体内に取り入れることで、妊娠・出産のストレスを軽減させたり、不眠症状や不安な気持ちを和らげたりする効果が期待できます。

動脈硬化の予防

葉酸は、ビタミンB6やビタミンB12と一緒に、血栓を作る危険因子(ホモシステイン)を別のアミノ酸(メチオニンやシステイン)に変換させる「メチオニン代謝」とよばれる働きをうながします。

葉酸が欠乏するとホモシステインが増加・他の危険因子と結合し、動脈硬化を引き起こすおそれがあるため注意が必要です。葉酸を摂取することで、ホモシステインの増加を抑制し、動脈硬化や妊娠高血圧のリスクを軽減することができます。

認知症や聴力障害の予防

神経細胞に傷をつける危険因子ホモシステインは、動脈硬化の原因となるだけでなく、脳や聴力にもダメージを与えるおそれがあります。葉酸が不足してしまうと、ホモシステインが増加し、脳の血行不良に起因する認知症やアルツハイマー、聴力障害を引き起こす原因となります。

葉酸はホモシステインの増加を抑制し、体内の酸素と栄養を運ぶ手助けをしている成分です。認知症や血流不足・加齢による聴力障害は、葉酸を摂取することで予防できると期待されています。

肌トラブルの改善

葉酸は新陳代謝を高める作用があることから、肌のターンオーバーサイクルを整えることにも効果的です。肌のターンオーバーが正常に機能していると、肌バリアが向上するほか、古くなった角質が正常に排出されることで、ニキビやシミ・くすみなどの肌トラブルの改善効果が期待できます。

また、葉酸は血行促進作用もあるため、血流不足による顔のくすみや青クマ、顔色の悪さの改善にもアプローチできるでしょう。

髪の成長を促す

葉酸とビタミンB12によって新しい血液が作り出されると、頭皮に栄養が届き、髪の成長をうながす働きが期待できます。ハリ・コシのある健康的な髪の毛が作れるため、紫外線などのダメージからも守ることが可能です。

また、葉酸には頭皮の血行を促進させる作用もあることから、抜け毛や薄毛の原因となる血流不足を防ぐことにも繋がります。妊娠中や産後の女性はホルモンバランスなどの影響を受けて抜け毛になりやすいといわれているため、葉酸を取り入れて髪の毛のケアを行いましょう。

葉酸の摂取量

葉酸の1日の摂取推奨量は、男女ともに240μgです。葉酸の吸収率は加齢の影響を受けないため、年齢によって推奨摂取量が変わることはありません。ですが、妊娠中の女性や妊活中の女性はこれよりも多い摂取量が必要です。

厚生労働省では、妊娠を計画している方や妊娠初期の方は、胎児の先天異常を予防するために1日の推奨量+400μg/日の摂取を推奨しています。妊娠中期〜後期になると、体内での葉酸の分解や排せつが促されるため、推奨量+240μg/日ほどの摂取が適切です。

過剰摂取について

さまざまな効果のある葉酸ですが、摂りすぎも体に良くありません。葉酸を過剰摂取してしまうと、亜鉛の吸収障害やビタミン12が欠乏することによる神経障害の発見が遅れるおそれがあります。

葉酸の最大摂取量は、30〜49歳の男女ともに1000㎍です。食品から摂る場合、過剰分は排泄されるため過剰摂取は起こりません。しかし、サプリメントで補う場合は過剰摂取が起こりうるため、摂取目安を超えないように注意してください。

葉酸を摂取しやすい食品

ここからは、葉酸の含有量が多く、日々の食事で摂取しやすい食品を紹介します。野菜や果物・魚や海藻・肉類などのジャンルごとに分類しているので、ぜひ普段の献立作りに役立ててみてください。

野菜類

葉酸を豊富に含む野菜は、ブロッコリー・芽キャベツ・ホウレンソウ・菜の花などの色の濃い葉物や、枝豆・アスパラガス・サツマイモ・トマトなどです。とくに枝豆には100gあたり260µgもの葉酸が含まれており、食事で取り入れるのに適しています。

調理をする際は、水に溶けやすく熱に弱いという葉酸の性質を利用し、スープにして汁ごと食べたり、電子レンジで加熱したりすると、より多くの成分を摂取しやすくなります。

穀物

穀物の中では、玄米・ベーグル・コッペパン・ナン・ロールパンなどが葉酸を豊富に含んでいます。白米を玄米に、食パンをベーグルに置き換えるなど、主食となる穀物で効率的に葉酸を取り入れることができると理想的です。

また、南米原産のスーパーフード、キヌアも葉酸を豊富に含んでいます。日本ではあまり馴染みのない食品ですが、輸入食品店やネットストアで手に入るので、スープ・サラダ・ヨーグルトなどに入れて食べるのもよいでしょう。

魚・海藻

葉酸を豊富に含む魚介類は、のり・いくら・エビ・生うに・すじこなどです。ただし、妊娠中の女性は生の魚介を控えることが望ましいため、別の食材から葉酸を摂取するのが良いでしょう。

この中でも、とくに焼き海苔は100gあたり1900µgと葉酸が豊富です。朝食のプラス1品やおにぎり、サラダのトッピングなどで意識的に取り入れてみましょう。また、葉酸はうなぎの肝にも豊富に含まれているので、機会がある方は食べてみてはいかがでしょうか。

豆類

葉酸を豊富に含む豆類は、ひよこ豆・納豆・落花生・いりごま・きな粉などです。納豆やごまは普段の食事でも取り入れやすいほか、ひよこ豆はスープやサラダ、きな粉はヨーグルトや豆乳などに混ぜることで簡単に摂取できます。

また、豆類は葉酸だけでなく、カルシウムも豊富です。カルシウムも葉酸と同じく、健康な体や妊娠中の女性にとって必要不可欠な成分ですから、葉酸と合わせて効率的に摂取しましょう。

肉類

肉類では、豚肉・鶏肉・牛肉のどれも豊富に葉酸を含んでいます。肉は体を作るタンパク質や鉄分の含有量も多いため、積極的に摂取して健康な体を目指しましょう。

肉の中でも、とくにレバーには葉酸が豊富に含まれているので、葉酸を効率的に取り入れたい方はレバーがおすすめです。ただし、妊娠初期の女性はレバーに多く含まれる動物性ビタミンAの過剰摂取を避ける必要があるので、食べる際は注意しましょう。

果物

葉酸が豊富に含まれる果物は、イチゴ・バナナ・さくらんぼ・キウイ・ライチ・ドライマンゴー・アボカドなどです。とくにドライマンゴーは生のマンゴーよりも葉酸の含有量が多く、100gあたり260㎍もの葉酸を摂取することができます。

フルーツは間食やデザートなどで気軽に取り入れられるほか、食欲がないときでも食べやすいのが魅力です。普段の食事に葉酸を取り入れたい方は、フルーツから始めてみると良いでしょう。

葉酸はサプリメントからも摂取できる

葉酸は食品からだけでなく、サプリメントからも摂取が可能です。食品に含まれる葉酸は天然葉酸である「ポリグルタミン酸型葉酸」、葉酸サプリメントに含まれる葉酸は合成葉酸の「モノグルタミン酸型葉酸」といいます。

サプリメントに含まれている合成葉酸は天然葉酸に比べて体内への利用率が高く、効率的に葉酸を取り入れることができます。栽培・収穫時の品質のばらつきや個体差にも左右されないため、安定して葉酸を摂取できるのがメリットです。

葉酸サプリメントの効果的な飲み方

サプリメントは、胃の中に食べ物がない状態で飲むと体内への吸収率が高まります。葉酸サプリメントを体内に効率的に取り入れたい方は、空腹時・食前に飲むのがおすすめです。しかし、空腹時に飲むと、胃腸が弱い方にとっては負担になる可能性も。体調の良い日は吸収効率の良い食前に、胃腸を労りたい日は食後に飲むなど、その日のコンディションに合わせて飲み分ける方法もあります。

サプリメントを飲む際は、お茶やジュースで飲むと栄養素の働きを邪魔する可能性があるため、水または白湯で飲むようにしましょう。

飲み始めるタイミング

葉酸サプリメントは、妊娠の約1か月前から取り入れると先天性異常の発症リスクを抑えられることから、そのタイミングで飲み始めることが推奨されています。

とはいえ、妊娠はいつ発覚するかわかりません。そのため、妊娠を計画している方や妊活をしている方、妊娠の可能性がある方は今から飲み始めていても問題ないのです。赤ちゃんを迎え入れる心の準備ができている人は、早めのうちから葉酸サプリメントを飲み始めて体のケアをしておきましょう。

葉酸を効果的に摂取するポイント

葉酸は食品だけでなく、サプリメントからも摂取できることがわかりました。葉酸を取り入れるにあたって、押さえておきたいポイントや効果的な摂取方法についても知っておきましょう。

1日の摂取量を守る

葉酸は過剰に摂取すると消化器系に負担がかかり、発熱・蕁麻疹・かゆみ・下痢・嘔吐などを発症するおそれがあります。そのため、1日の摂取量をしっかりと守ることが大切です。

1日あたりの葉酸摂取量は18〜29歳、65〜75歳が900μg、30〜64歳が1,000μgまでとされています。(1μg=1000分の1mg)食事・サプリメント両方での摂取量を上限までに収めるようにしましょう。

食品とサプリメントの両方から摂取する

先ほど解説したように、食品から摂取する葉酸はポリグルタミン酸(天然葉酸)、サプリメントで摂取する葉酸はモノグルタミン酸(合成葉酸)に分類されます。

天然のポリグルタミン酸は水溶性ビタミンのため熱で分解されやすく、さらに消化の過程でモノグルタミン酸に分解されるため、体内での利用率は50%ほどです。そのため、食品だけでなく吸収効率の良いサプリメントからも摂取し、体内の葉酸量を確保するのが望ましいでしょう。

葉酸を効果的に取り入れて赤ちゃんとママの健康を守ろう

葉酸は血液を作るために必要な要素であるほか、貧血の予防や肌荒れの改善などの効果が期待されており、全女性の美容と健康に効果的です。また、赤ちゃんの神経管閉鎖障害を防ぐ働きがあることから、妊娠中の女性にとって欠かせない成分でもあります。

葉酸は食品からも摂取できますが、サプリメントを活用するとより効率的な摂取が可能です。妊娠前から飲み始めると病気の予防や成長の促進効果を実感しやすくなるので、妊娠の可能性がある方はぜひ今から取り入れてみてください。

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