【薬剤師監修】サプリメントを飲みすぎるとどうなる?実際に起きた健康被害や注意点を解説
「サプリメントを飲みすぎると何か影響があるの?」
「たくさんの種類のサプリメントを使用しているけど問題はない?」
このような悩みを抱えていませんか?サプリメントは私たちの生活にとって、とても身近なものです。健康のために飲んでいる方も多いのではないでしょうか。
しかし、サプリメントの飲み過ぎはかえって健康に害を与える可能性があります。今回は、サプリメントを飲みすぎるとどのような影響が出る可能性があるのかについて、詳しく見ていきましょう。
サプリメントを何種類までなら飲んでもよいのか、選ぶときに何に注意をしたらよいのかについても紹介しているので、こちらも参考にしてみてください。
目次
教えてくれたのは
薬剤師 岡本妃香里 さん
2014年に薬学部薬学科を卒業し、薬剤師の資格を取得。大手ドラッグストアに就職し、調剤やOTC販売を経験する。2018年に退職し、その後はライター活動を開始。現在は医薬品や化粧品、健康食品など健康と美に関する正しい情報を発信中。医療ライターとしてさまざまなジャンルの記事執筆を行っている。
そもそもサプリメントとは?
サプリメントと聞いてどのようなイメージをもちますか?「健康に良いもの」「病気を予防するもの」など、それぞれイメージをおもちかと思います。しかし実は、サプリメントについて厳密な定義はありません。
一般的に、サプリメントは特定の成分が濃縮された錠剤やカプセルなどの製品を指します。錠剤やカプセルなどの形をしていますが、扱いとしては食品と変わりません。つまりサプリメントは、何か特別な効果や効能があるわけではなく、厳密には食品と同じなのです。
ただし、不足した栄養素を手軽に補えることから、食生活が乱れている方などにはとても役立つアイテムだと言えるでしょう。
ちなみに、厚生労働省が公表している「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、20歳以上でサプリメントのような健康食品を使用している方は、男性で30.2%、女性で38.2%に及びます。男女を合計すると、約3人に1人がサプリメントなどを使用しているのです。
日本人で不足しやすい栄養素は?
不足しやすい栄養素を補うためにサプリメントはとても役立ちます。では、日本人はどのような栄養素がとくに不足しやすいのでしょうか。
厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準」や「国民健康・栄養調査結果」によると、次の栄養素が不足しやすいことがわかります。
・食物繊維
・ビタミンA
・ビタミンD
・ビタミンB1
・ビタミンB2
・ビタミンB6
・ビタミンC
・カリウム
・マグネシウム
・鉄
・亜鉛
人によって食生活が異なるため必要な栄養素も違いますが、上記の栄養素を参考にサプリメントを摂取するとよいでしょう。マルチビタミンやマルチミネラルなどを利用すると効率良く不足しやすい栄養素を摂取できます。
サプリメントの飲み過ぎで起こる可能性があること
サプリメントにはパッケージに摂取目安量が必ず記載されています。しかし、目安量を守らずに飲みすぎてしまうと、さまざまな影響が出る恐れがあるので注意しましょう。
また、摂取目安量を守っていたとしても健康被害を完全に防ぐことはできません。サプリメントは決して100%安全なものではないのです。
健康被害が出る恐れがある
国民生活センターには、サプリメントの使用によって健康被害が出た方からの相談が寄せられています。2022年度の相談件数は770件でした。直近では、次のような健康被害の相談が集まっています。
・下痢になった
筋肉増強用のサプリメントを購入したところ、飲んだ直後から下痢を発症しました。ダイエットサプリで下痢が続いたとの相談もあります。
・発疹が出た
筋肉増強のサプリメントを購入し飲んだところ、発疹が出ました。定期購入だったこともあり、4回購入するまで解約できないと言われたそうです。
・アレルギー症状が出た
インターネットで生酵素のサプリメントを購入して飲んだところ、喉がイガイガするなどアレルギー症状が見られました。
このように、サプリメントを使用して健康被害が出た例がいくつかあります。これらは、飲み過ぎによって起きた事例ではありません。摂取目安量を守っていてもこういった症状が出る可能性があります。飲み過ぎると健康被害が起こるリスクがさらに高まるため注意が必要です。
肝臓に負担をかけやすくなる
肝臓は、薬やサプリメントなどの代謝を行っている臓器です。飲み過ぎると必要以上に肝臓に負担をかけるため、肝臓の機能が落ちてしまう可能性があります。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれており、機能が落ちても初期の段階ではほとんど症状が出ません。知らず知らずのうちに肝臓に負担をかけないよう、サプリメントの飲み過ぎには気をつけましょう。
薬との相互作用が出やすくなる
薬と薬に相性の良し悪しがあるのと同じで、サプリメントと薬にも飲み合わせがあります。
サプリメントの成分名 | 薬への影響 |
---|---|
ビタミンB6 | 抗てんかん薬であるフェニトインの効果を低下させる |
葉酸 | 抗がん剤のフルオロウラシルやカペシタビンの排泄を遅らせる |
ビタミンC | ワルファリンの効果を低下させる |
ミネラル類 | テトラサイクリン系やニューキノロン系などの抗生物質の効果を低下させる |
コエンザイムQ10 | 降圧薬や糖尿病治療薬の効果を増強させる |
適切な治療が遅れることがある
サプリメントの飲み過ぎにより、適切な治療が遅れることもあります。「これだけサプリメントを飲んでいるから大丈夫だろう」と過信してしまい、何か症状が出ても受診をしないケースがあるのです。
サプリメントは何種類まで飲んでいいの?
「何種類までにしなければならない」または「何種類までなら飲んでいい」ということはありません。とくに飲む種類の量については制限がないのです。
ただし、飲む量が多くなればなるほど、薬と飲み合わせが悪いものが出てきたり体に何かしらの影響をもたらしたりする可能性が高くなります。そのため、無闇やたらにサプリメントに頼るのは良くありません。本当にそのサプリメントが必要なのかを考え、必要なもののみを摂取するようにしましょう。
サプリメントを選ぶときの注意点
サプリメントの扱いは食品と同じですが、成分が凝縮されて配合されていることが多いのもあり、選ぶときにはいくつか注意すべき点があります。
薬の代わりに使用しない
サプリメントは不足しやすい栄養素を補うものであり、薬の代わりになるものではありません。サプリメントで病気が治ることはないため、治療を目的に使うのは避けてください。「これを飲めば病気が治る」と謳っているサプリメントはすべて違法です。
薬との飲み合わせに気をつける
サプリメントは薬と相互作用を起こすことがあります。しかし、相互作用を起こすことについてはあまり一般的には知られていません。サプリメントの影響で治療が適切に進まないこともあるため、医師や薬剤師に相談してからサプリメントを摂取するのがおすすめです。
サプリメントを多く飲むほど効くわけではない
サプリメントは薬ではありません。いかにも何かの病気に効きそうな文言が書かれているものもありますが、飲み過ぎても効果が増大することはないので必ず摂取目安量を守りましょう。サプリメントを多く飲んでも健康被害や薬との相互作用が出やすくなったりするだけで、メリットは一切ありません。
サプリメントに関するQ&A
では、最後にサプリメントに関して良く聞かれる質問にお答えします。
サプリメントを飲み始めて一時的に具合が悪くなったのは「好転反応」ですか?
サプリメントを使用して具合が悪くなった場合、それは好転反応ではなくサプリメントが体に合っていないのだと考えられます。そもそも、好転反応というものに科学的根拠は存在しません。サプリメントで具合が悪くなった場合はすぐに使用を中止してください。
不足しやすい栄養素はサプリメントで摂るべきですか?
不足しやすい栄養素をサプリメントで摂っても構いません。食生活の見直しが難しい場合は、サプリメントを使うのも一つの方法です。ただし、必ずしもサプリメントを摂らなければならないとは言い切れません。サプリメントによっては吸収率が悪く、せっかく摂ってもあまり体内で利用されないものもあります。
子どもにサプリメントを飲ませてもいいですか?
子ども用のサプリメントであれば、飲ませても大丈夫です。飲ませる場合でも食事からの栄養摂取を基本とし、サプリメントだけに頼らないようにしましょう。
ちなみに乳幼児がサプリメントを摂取した際に体へどのような影響があるかは、まだわかっていない部分が多くあります。安易にサプリメントに頼らず、まずは食生活の見直しを行うことが大切です。
サプリメントは飲み過ぎに注意して適切に使おう
サプリメントの飲み過ぎは、下痢や発疹などの健康被害の原因になったり肝臓に負担をかけやすくなったりする原因となります。飲み過ぎても病気が治ることはありません。あくまで食品の一種であり、医薬品とは異なるものです。薬と相互作用を起こすこともあるため、服用中の薬がある方は医師や薬剤師に相談してサプリメントを使用するようにしましょう。飲み過ぎても体にとって良いことは何一つありません。使用する場合は摂取目安量をきちんと守ることが大切です。
【参考文献】
(※1)健康食品やサプリメントの名称について 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/dl/pamph_healthfood_d.pdf
(※2)日本人の栄養過不足
http://www.sankaico.com/pdf/clm_200414.pdf
(※3)健康食品の危害(各種相談の件数や傾向)_国民生活センター
https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/hf_harm.html
(※4)食物と薬の相互作用(サプリメント編) | e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-06-003.html
(※5)健康食品の正しい利用法 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/dl/kenkou_shokuhin00.pdfl
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