プラセンタ注射の効果とは？メリット・デメリットや効果的な打ち方を解説
プラセンタ注射は、人間の胎盤から抽出した、栄養や成長因子などを含んだ薬剤を注射する施術です。プラセンタには美肌や疲労回復、免疫力の向上などの効果が期待できます。また、プラセンタはホルモンバランスを整える作用があるため、更年期に悩む40〜50代の方はぜひ検討したい施術のひとつです。
この記事では、プラセンタ注射のメリット・デメリットや、効果的な打ち方について解説します。
- 1. プラセンタ注射とは
- 1-1. 含まれている成分
- 2. プラセンタ注射の種類
- 2-1. メルスモン
- 2-2. ラエンネック
- 3. プラセンタ注射に期待できる4つの効果やメリット
- 3-1. 美肌効果
- 3-2. 更年期障害や生理不順の改善
- 3-3. 疲労回復
- 3-4. その他の不調にも効果的
- 4. プラセンタ注射の3つのデメリット
- 4-1. 献血ができなくなる
- 4-2. 効果は長く続かない
- 4-3. 効果を実感できないこともある
- 5. プラセンタ注射のリスクと副作用
- 6. プラセンタ注射の効果的な打ち方
- 7. こんなお悩みを持っている方に
- 8. プラセンタ注射と点滴・サプリとの違い
- 8-1. プラセンタ点滴
- 8-2. プラセンタサプリ
- 9. プラセンタ注射の効果に関するQ＆A
- 9-1. プラセンタ注射の効果が出るまでどのくらいかかりますか？
- 9-2. プラセンタ注射がアメリカで禁止されているのはなぜですか？
- 9-3. プラセンタ注射は1回にたくさん打ってもいいですか？
- 9-4. プラセンタ治療の効果がないときはどうすればいいですか？
- 9-5. プラセンタ注射は保険適用になりますか？
- 10. まとめ
プラセンタ注射とは
プラセンタ注射とは、ヒトの胎盤から抽出した成分を注射によって体内に取り込む施術で、美肌や健康をサポートする効果が期待できます。成分を注射で体内に届けることで、効率よくアプローチできるのが特徴です。
プラセンタの有効性は古くから知られており、古代ギリシャ時代より美容や医療に用いられてきました。日本では1950年代に更年期障害や肝硬変などの治療薬として普及し、現在ではプラセンタ注射やサプリ、化粧品など美容目的で広く使用されています。
プラセンタ注射に使われるヒト由来の胎盤は日本国内で正常分娩し、エイズやC型肝炎などの感染症の検査結果が陰性の胎盤だけが使用されます。さらに、さまざまなウイルスを不活性化する高圧蒸気滅菌処理を行い、無菌試験と動物試験をクリアしたものだけが注射の薬剤として使用されるため、安全性は高いと言えるでしょう。
含まれている成分
プラセンタには、さまざまな成分が含まれています
| 成分 | 特徴や働き |
|---|---|
| 五大栄養素（糖質・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラル） | 健康を保つのに欠かせない栄養素。 |
| 成長因子・核酸 | 新陳代謝をサポートする成分。 |
| 酵素 | 体内の酵素の働きを促進する効果が期待できる。体内で代謝・消化吸収・排泄などを促す。 |
| ムコ多糖 | 保湿効果が期待できる。 |
五大栄養素は、細胞の生成やエネルギーを効率よく生み出すのに不可欠な成分です。成長因子と核酸は、新陳代謝をサポートする働きがあります。
また、プラセンタには約100種類もの酵素が含まれており、美容や健康に良い影響を与えます。ムコ多糖は、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などのムコ多糖類の総称です。高い保湿効果が期待できます。
プラセンタ 期待できる美肌効果は？目指すのは内面からの美しさ
プラセンタ注射の種類
プラセンタ注射には「メルスモン」と「ラエンネック」の2種類があり、どちらも厚生労働省の認可を受けた医薬品です。それぞれ特徴が異なるため、目的に合わせて選びましょう。
メルスモン
メルスモンは、ヒトの胎盤から抽出されるエキスのみを使って作られる薬剤です。1965年に厚生省の認可を受け、更年期障害や乳汁分泌不全の治療を目的として使用されてきました。
下記に当てはまる場合、メルスモンが適していると言われています。
・肌の代謝を促進したい
・シミをケアしたい
・ホルモンバランスの乱れに悩んでいる
・疲れやすい
40〜50代で更年期の不調に悩んでいるなら、一般的にメルスモンが使用されます。
ラエンネック
ラエンネックはヒトの胎盤だけでなく、臍帯や羊膜も使用して作られる薬剤です。1974年に厚生省の認可を受け、主に慢性の肝臓疾患による肝機能の低下を改善するために使用されてきました。
そのため、ラエンネックは飲酒が多い方や肝臓の調子が気になる方に使用されます。
プラセンタ注射に期待できる4つの効果やメリット
プラセンタ注射は、美容と健康にさまざまな効果が期待できます。プラセンタ注射の効果とメリットをまとめました。
美肌効果
プラセンタに含まれる成長因子や核酸には、新陳代謝をサポートする働きがあります。そのため、肌バリアの低下を防ぎ、肌トラブルを防止する効果が期待できます。肌のくすみやごわつきの改善にもつながるでしょう。
また、プラセンタは肌のハリ・ツヤのもととなるコラーゲンの生成を促す効果も期待できるため、エイジングケアにも効果的です。プラセンタは、肌の調子を整えたい方や美肌をめざす方にぴったりの成分と言えます。
更年期障害や生理不順の改善
プラセンタは女性ホルモンのバランスを整える作用や、自己治癒力を高める作用があります。そのため、生理不順や生理痛の緩和、自律神経失調症や40〜50代の女性の多くが悩まされる更年期障害の改善が見込めます。例えば、ホットフラッシュやほてり、イライラする、疲れやすいなどの不調の改善に効果的です。
なお、更年期障害の治療としてプラセンタ注射を行う場合、保険が適用となるケースがあります。
疲労回復
プラセンタは、アミノ酸やビタミンなどの栄養素が豊富に含まれるのが特徴です。そのため、血行促進や新陳代謝の向上が期待でき、老廃物が効率よく排出されることで疲労が溜まりにくくなります。
また、疲労回復には肝臓の働きも重要です。肝臓でうまく有害物質を解毒できないと、有毒物質が体内に蓄積してだるさや疲れの原因となります。プラセンタには肝臓の機能をサポートする働きがあるため、肝臓の機能を向上させ疲労回復につながります。
その他の不調にも効果的
美肌効果や疲労回復、ホルモンバランスを整える働き以外にも、プラセンタには多くの効果が期待できます。例えば、下記のような不調に効果があるとされています。
・肩こりや頭痛
・うつ病
・パニック障害
・冷え性
・生理前の不調
・アレルギー
・2日酔い
プラセンタ注射は成分を直接体内に届けられるため、サプリメントよりも効率よくアプローチできます。プラセンタのサプリメントで効果を感じられなかった方も、試す価値のある方法です。
プラセンタ注射の3つのデメリット
さまざまなメリットがあるプラセンタ注射ですが、当然ながらデメリットもあります。施術を受ける前に、デメリットについても理解しておきましょう。
献血ができなくなる
献血を実施している日本赤十字社は、プラセンタ注射をはじめとする胎盤エキスを注射したことがある方は献血できないというルールを設けています。
プラセンタ注射によって、血液に悪影響が及ぶわけではありません。しかし、安全性をできるだけ高めるため、献血で採取した血液から輸血製剤や血液製剤をつくる工程は厳重に管理されています。プラセンタ注射をすると献血ができないのは、安全を確保するための取り組みの一つなのです。
効果は長く続かない
プラセンタ注射の効果は、個人差があるものの長くても数週間程度と言われています。そのため、効果を持続させたい場合は定期的にプラセンタ注射を受ける必要があります。
また、プラセンタ注射を打ったからといって、すぐに効果が出るわけではありません。施術が2〜3回必要なこともあれば、人によっては効果を実感できない可能性もあります。
効果が実感できない場合は他の施術を併用する、もしくは注射の頻度を医師に相談しましょう。
効果を実感できないこともある
プラセンタ注射を受ければ、必ず効果が実感できるわけではありません。効果の実感には個人差が大きく、毎日注射をする方もいます。
また、プラセンタ注射の効果が持続するのは、2〜3日から数週間程度です。プラセンタ注射の効果を継続させるには、定期的に注射を行う必要があります。
プラセンタ注射の効果が感じられない時は、まずは医師に相談してみましょう。注射の頻度や1回の量を増やす、他の施術と併用するなどの対応をしてもらえるはずです。
プラセンタ注射のリスクと副作用
プラセンタ注射は、これまでに重篤な副作用の報告はありません。しかし、ごくまれに注射した部分に痛みや内出血が起きたり、人によっては吐き気や寒気、発熱などが出る場合があります。
また、プラセンタに含まれるタンパク質によるアレルギー反応や、閉経後の方がプラセンタ注射をすることによる月経の再開などが起きることもあります。ほとんどの場合、プラセンタ注射を止めればおさまると言われています。
プラセンタ注射による副作用のリスクは低いですが、他の複数の薬剤を混ぜ合わせたクリニック独自の注射を受ける場合には注意が必要です。薬剤同士が作用し合い、血圧低下やホルモン異常、けいれんなど重い副作用があらわれるリスクがあります。
プラセンタ注射を受けて異常を感じたら、すぐに医師に相談しましょう。
プラセンタ注射の効果的な打ち方
プラセンタ注射の効果をあまり感じない方は、プラセンタの量や頻度が足りていないことがほとんどです。プラセンタ注射は通常1A（アンプル）が2mlですが、効果が実感できない場合は2〜3A（4〜6ml）をまとめて打つ方法をとることもあります。
| メルスモン | ラエンネック | |
|---|---|---|
| 打つ場所 | 皮下注射 | 皮下又は筋肉内 |
| 頻度 | 通常は1日1回、2mlを毎日または隔日に注射する。 | 1日1回、2mlを注射する。 症状によっては1日2〜3回注射できる。 |
毎日クリニックに通うのは現実的に難しい方も多いため、クリニックによっては「1回2Aを週2回」「1回3Aを週1回」といった方法をとる場合もあります。
プラセンタ注射を一度にたくさん打っても、打ち過ぎになることはありません。しかし、プラセンタ注射は適量を分けて打った方が効果的です。医師に相談の上、自分に合った量と頻度で施術を受けましょう。
こんなお悩みを持っている方に
プラセンタ注射は、美容や健康に多くのメリットがある施術です。具体的には、下記にあてはまる方に適しています。
・年齢を重ねるにつれ、肌のハリがなくなってきた
・肌が乾燥しがちだ
・ニキビが治らない
・肌のシミやくすみが気になる
・白髪が増えたような気がする
・更年期障害が原因の肩こりや自律神経失調症に悩んでいる
・生理のリズムが乱れている
・なんとなく疲れが取れない
・気持ちが落ち込むことがある
・冷え性を改善したい
・肝機能障害を改善したい
・免疫を高めたい
上記に複数あてはまる場合は、プラセンタ注射が向いています。一度検討してみてはいかがでしょうか。
プラセンタ注射と点滴・サプリとの違い
プラセンタは注射だけでなく、点滴やサプリメントで摂取することも可能です。それぞれの特徴を理解して、自分に合った方法を選びましょう。
プラセンタ点滴
プラセンタ点滴はプラセンタ注射と同じ薬剤を使用しますが、効果を早く感じやすいのが特徴です。
プラセンタ点滴は、静脈に針を刺して体内に成分を入れるので、注射よりも一度に多量のプラセンタを取り入れられます。そのため注射に比べて血中濃度が上がりやすく、早く効果を感じられるのがメリットです。
しかし、施術時間が長く点滴中は動けないため、時間に余裕のない方には向きません。プラセンタ注射と点滴を両方扱っているクリニックもありますので、どちらが良いか相談すると良いでしょう。
プラセンタサプリ
プラセンタサプリメントは通院の手間がなく、誰でも気軽に利用できるのが大きなメリットです。これまで通り献血もできます。
しかし、プラセンタサプリは成分量が少なく、注射や点滴に比べて効果は緩やかです。市販のサプリの場合、万が一トラブルがあった際に迅速な対応ができない可能性もあります。
また、プラセンタサプリメントは、ヒト以外のプラセンタも使用されているのが特徴です。ブタやウマなど動物性由来のものや、植物性や海洋性のプラセンタも使われています。植物性や海洋性のプラセンタサプリには成長因子が含まれていないため、ビタミン・ミネラル・アミノ酸の栄養補給を目的として摂取するのが良いでしょう。
高い効果を求める方や、クリニックで安心して施術を受けたい方は、プラセンタ注射や点滴の方が向いています。
プラセンタ注射の効果に関するQ＆A
プラセンタ注射の効果や打ち方について、よくある質問をまとめました。疑問や不安を解消してから、施術を受けてください。
プラセンタ注射の効果が出るまでどのくらいかかりますか？
個人差がありますが、2〜3回注射を繰り返すと効果を実感する方が多いと言われています。プラセンタ注射の効果が感じられないのは、プラセンタの量と頻度が足りないことがほとんどです。医師に相談の上、注射の回数や頻度を増やすと満足のいく結果が出る可能性があります。
また、プラセンタ注射の効果が持続するのは、2〜3日から数週間程度です。プラセンタ注射の効果を継続したい場合は、定期的に注射を行う必要があります。
プラセンタ注射がアメリカで禁止されているのはなぜですか？
アメリカでは過去に製造工程に問題があり、製造禁止になりました。
日本のプラセンタ注射は厚生労働省の認可を受けているもので安全性は高く、ウイルス感染のないことが証明されている胎盤が使用されています。また、製造過程で滅菌処理も行われ、安全性に十分に配慮して製造されています。これまでプラセンタ注射による重篤な事故や副作用は報告されていません。
プラセンタ注射は1回にたくさん打ってもいいですか？
プラセンタ注射はヒトの胎盤を原料としています。1回の投与は1〜10Aが一般的です。
1回でたくさん打ったからと言って、すぐに効果が出るわけではありません。プラセンタ注射の効果を実感するには、自分に合った量と頻度で打つことが大切です。
プラセンタ治療の効果がないときはどうすればいいですか？
施術を受けたクリニックに相談し、プラセンタ注射の頻度を増やしたり、1回の投与量を増やしたりする方法があります。ただし、プラセンタ注射はピンポイントで効果を実感できる治療ではないことには、理解が必要です。プラセンタ注射の効果を持続させたいなら、定期的に施術を受けましょう。
プラセンタ注射は保険適用になりますか？
プラセンタ注射は病名がついたときのみ保険適用になります。
・メルスモン
45～59歳までの更年期障害（1回につき1A）
産後乳汁分泌不全（1回につき1A）
・ラエンネック
慢性肝疾患における肝機能の改善（1回につき1A～2A）
保険適用となる病名は限られているため、詳しくはクリニックへお問い合わせください。
まとめ
プラセンタ注射は、美肌や疲労回復、更年期障害や生理不順などの改善に効果が期待できます。施術が短時間で終わり副作用のリスクも低いため、忙しい方でも受けやすいでしょう。
ただし、献血ができなくなる、効果が長期間持続しないと言ったデメリットもあります。また、プラセンタ注射は量や頻度が不足していると効果が実感できない可能性があります。医師に相談の上、自分に合ったペースで行うことが大切です。
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