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肌のゴールデンタイムは都市伝説?睡眠との深い関係について解説

「最近ニキビや肌荒れがひどいのは睡眠不足が原因かも」
「肌のためには早く寝たほうがいいと思うが、実際は難しい」

このような悩みを抱える現代人は多くいます。

これまで22時から2時の間が肌のゴールデンタイムと言われてきました。しかし近年、肌のゴールデンタイムの定説が変わったのをご存じでしょうか。最新の定説なら、忙しい方も肌のゴールデンタイムを活用できます。ここで、最新の説について詳しく解説します。

肌のゴールデンタイムとは?22時〜2時は嘘?

肌のゴールデンタイムは22時から2時までの4時間であり、この時間の就寝が美肌に結びつくという説が定説でした。これは美容に影響を与える成長ホルモンが、この時間帯に大量に分泌されると考えられていたためです。しかし、子育て中の方や遅くまで仕事をしている方にとって、22時までの就寝習慣は困難な場合も多くあります。

最新の研究では、美容に関わるホルモンの分泌には、具体的に何時に寝るかは関係ないことが示されました。つまり美容のためには質の良い睡眠をとることが重要で、必ずしも特定の時間帯に寝る必要はないのです。

最新の定説とは?入眠直後の3〜4時間が美肌に導く

「眠りに就いてから最初の3〜4時間が美肌に繋がるゴールデンタイムである」というのが新しい定説です。体内ではこのタイミングで成長ホルモンが分泌され、肌細胞の修復が促進されます。この生理現象がピークを迎えるのは入眠後、最初の90分間です。このフェーズはノンレム睡眠に分類されます。

美肌に重要な役割を果たすホルモンは、成長ホルモンだけではありません。様々なホルモンを効果的に引き出すには、入眠から3〜4時間、特に最初の90分間に良質の睡眠を確保することが重要なのです。

ゴールデンタイムの根拠!睡眠中に美肌に導く代表的なホルモンは3つ

最新の研究では、何時に眠ったとしても、就寝直後の3~4時間が肌のゴールデンタイムといえます。その根拠は、睡眠に関連する3つのホルモンです。ここで、それぞれのホルモンの働きや睡眠との関係を解説します。

① 成長ホルモン

成長ホルモンは、睡眠中に脳下垂体から分泌され、全身に様々な影響を与える重要なホルモンです。成長ホルモンは肝臓からIGF-1という成長因子を介して、肌の保湿成分やコラーゲンといった美肌成分の生成を促進します。こうして私たちの肌は、日中にダメージを受けても夜間に回復し、健やかな肌を保っているのです。

肌への効果

成長ホルモンは、抗利尿作用によって体内の水分の蒸散を防ぐ効果があります。その結果、肌の乾燥を防ぎ、ツヤが維持されます。肌の水分保持量を増やす役割も、成長ホルモンの効果の一つです。このような効果によって、肌はしっとりとした質感を保っています。

皮膚のターンオーバーを促進するのも、成長ホルモンが担っている重要な役割です。これにより古いダメージを受けた肌細胞は、新しい健康な細胞へと生まれ変わっています。

睡眠との関係

成長ホルモンの分泌は睡眠の状態に大きく影響を受けています。成長ホルモンは睡眠中に分泌され、特に集中して分泌されるタイミングが深いノンレム睡眠です。

ノンレム睡眠は睡眠が進むと発生し、深いノンレム睡眠は通常、入眠後の約90分後に訪れます。この時間帯が成長ホルモン分泌のピークです。不眠症などの睡眠障害があると、深いノンレム睡眠を十分に得られず、成長ホルモンの分泌量は低下してしまいます。

② 睡眠ホルモン|メラトニン

メラトニンは、「睡眠ホルモン」とも呼ばれ、脳の中心部に位置する松果体から分泌されます。このホルモンの主な役割は、睡眠と覚醒のリズムを調整することです。メラトニンには抗癌作用や抗酸化作用があり、体の健康維持を助けています。免疫系を活性化させる効果もあり、感染症に対する抵抗力強化のサポートもメラトニンの役目です。

肌への効果

メラトニンの役割は質の良い睡眠を促進することです。前述のとおり、質の良い睡眠は成長ホルモンの分泌に欠かせません。メラトニンが適切に分泌されると、体はより深い睡眠状態に入り、肌の再生に必要な成長ホルモンの分泌が増加するのです。

メラトニンは活性酸素の除去にも関与しています。活性酸素は肌の老化を早める一因です。効率的に除去できれば肌の若々しさを保てます。

睡眠との関係

メラトニンの分泌は体内時計の影響を大きく受けています。人間の体内時計の周期は25時間です。1日は24時間なので、普通にしているとずれが発生してしまいます。この1時間のずれを正す光線が朝日です。

朝日を浴びて体内時計をリセットできれば、メラトニンは起床から15~16時間後に分泌されはじめます。分泌のピークは夜中。それから起床に向けて分泌量は減少していきます。暗い場所だとメラトニンがより多く分泌されるため、寝る前は部屋の明かりを落とすなど環境を調整しましょう。

③ 幸せホルモン|セロトニン

セロトニンは、私たちの脳内に存在する神経伝達物質の一種です。興奮した際に分泌されるノルアドレナリンやドーパミンなどの物質の働きを抑え、心の安定を促進します。セロトニンが幸せホルモンと呼ばれるのは、このような特性があるためです。

肌への効果

セロトニンが適切に分泌され、活性化すると、私たちの体では血行や代謝が促進されます。すると肌細胞の新陳代謝が活発になるので、健やかな肌を維持できるのです。血行が良いと、栄養素や酸素が肌細胞へ効率的に運ばれるので、ハリや弾力の維持にも役立ちます。

セロトニンによりポジティブな気分になれば、表情が明るくなり、動作が活発になることもあります。これも若々しくイキイキとした見た目に繋がっています。

睡眠との関係

セロトニンは、前述の睡眠ホルモン「メラトニン」の原料となるため、質の良い睡眠に欠かせません。日中、私たちの体内ではセロトニンが生成され、活性化しています。これが夜間にメラトニンへと変換されるので、深い眠りが促されているのです。

つまり、日中に十分な量のセロトニンが生成・活性化されれば、夜ぐっすりと眠れます。反対に、日中のセロトニンの生成が不十分だと、メラトニンは十分に生産されません。これが睡眠障害や不眠症を招くケースもあります。

肌をイキイキ整える!良質な睡眠をとる方法3つ

イキイキとした肌を育むには、就寝後最初の3時間のゴールデンタイムにぐっすり眠ることが重要です。そのためにはメラトニンを減らさない、かつセロトニンを増やす行動をしましょう。ここで、 良質な睡眠をとるための3つの方法を解説します。

寝る2〜3時間前に入浴する

体温の変動は質の良い眠りに直結しているのをご存じでしょうか。1日の中で体温がもっとも低いのは起床前でそれから徐々に上昇し、夕方から夜にピークを迎えます。ピークから体温が下がることで、自然と眠気が訪れるのです。体温が0.5度変化するだけでも眠りへの効果が認められています。

このメカニズムを利用するには、寝る2〜3時間前の入浴が効果的です。お風呂で体を温めると、その後、体温が下がって眠りにつきやすくなります。温度や時間は38度のお湯だと約30分、42度の熱めのお湯だと5分程度です。体調や好みに合わせましょう。

寝る1時間くらいには部屋を暗くする

睡眠の質を高めるには、寝る1時間前には部屋を暗くしましょう。光が脳に届くとメラトニンが減り、睡眠が浅くなってしまいます。部屋が暗いとメラトニンの増加が促されるので、睡眠の質を上げられるのです。

寝る1時間前には、携帯電話やパソコン、コンビニの街頭などの人工的な光を避けることも重要です。家でリラックスして入浴やストレッチに取り組むなど、目に光を入れないようにして過ごしましょう。

太陽の光を浴びて軽い運動をする

睡眠の質を上げて肌のゴールデンタイムを迎えるには、日中に太陽光を浴びて運動するのも効果的です。日光に当たりながら、ウォーキングなどのリズム運動をすると、セロトニンの分泌が促進されます。これが睡眠ホルモンであるメラトニンに変化するので、深い睡眠に入れるのです。

運動は、出勤時に日光を浴びて一駅歩く、昼休みに散歩するといった簡単な方法で構いません。日光と運動を組み合わせ、睡眠の質を向上させましょう。

美肌に逆効果?良質な睡眠が遠のく3つのNG行動

美肌を手に入れるには良質な睡眠が欠かせません。しかし何気ない行動が、大切な睡眠を阻んでしまう場合があります。そこでここからは、良質な睡眠を遠ざける3つのNG行動を解説します。

寝る前にカフェインやアルコールをとる✕

カフェインはお茶やコーヒーなどに含まれており、覚醒作用を持つことで知られています。この覚醒作用の持続時間は約4~5時間。寝る前に摂取すると質の良い睡眠を妨げてしまいます。

アルコールも同様です。「寝酒」という言葉があるようにアルコールは一時的に眠気をもたらしますが、これは一時的な効果に過ぎません。アルコールには利尿作用があり、摂取後はトイレで起きやすくなります。これにより睡眠は浅くなりやすく、美肌に必要な深い眠りが得られなくなるのです。

寝る前に激しい運動をする✕

適度な運動を習慣化している人は、そうでない人に比べて睡眠の質が高いと言われています。しかし運動によっては、良質な睡眠が邪魔される可能性があるため注意しましょう。

特に避けたいのが、就寝前の激しい運動です。ハードな運動は交感神経を活発にし、心身を興奮状態にするため、寝つきが悪くなる可能性が高まります。心拍数を上げるような筋トレやエクササイズなどの激しい運動は、就寝の3時間前までに終えておくようにしましょう。

起床や就寝の時間がバラバラ✕

美肌の糧となる良質な睡眠をとるには、起床や就寝の時間が毎日バラバラである状態を避けましょう。理想的な睡眠とは、夜に自然に眠り、朝自然と目覚めることです。起床や睡眠の時間が不規則になると、体内時計が乱れ、昼間に眠くなったり、夜眠れなくなったりする原因となります。

いつも起床や就寝の時間を整えておくだけでなく、休日でも普段と変わらず朝に起きる習慣を身に付けましょう。生活リズムが安定し、質の良い睡眠を確保しやすくなります。

良質な睡眠でハリつや肌を手に入れよう

美肌を目指すなら、肌の再生の鍵となる肌のゴールデンタイムを活用しましょう。ただし、就寝時間と肌のゴールデンタイムは関係ありません。重要なのは良質な睡眠です。睡眠が深まると、肌の修復やターンオーバーを促進するホルモンが分泌されます。

良質な睡眠をとるには、普段の生活を整えるよう心がけましょう。理想は朝日を浴び、夜になったら眠ることですが、ライフスタイルにより難しい場合もあります。例えば、夜勤の方は遮光カーテンを利用するなど、できることからトライしましょう。

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