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【薬剤師監修】ビタミンDの生成には日光浴が重要!目安時間や健康と肌に与える影響についても解説

「シミ予防のために外出を控えているが、日光に当たらないと病気になるって本当?」
「日光浴でビタミンDがつくられる仕組みって?」
「そもそもビタミンDってどんな栄養素なの?」

このような疑問を抱えていませんか?

実は、健康や美容の維持に欠かせない栄養素であるビタミンDは、食事から摂取するほかにも、日光浴によって体内で生成されます。

今回は、ビタミンDの働きや日光浴との関係、ビタミンDが肌に与える影響についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

教えてくれたのは

薬剤師 稲嶺千春 さん

大学卒業後、製薬企業で健康食品の品質保証に携わる。その後、調剤薬局の薬剤師へと転職して心療内科の処方を中心とした臨床経験を積む。会社員として働くなかで、自分の力だけで人々に価値提供していくことに興味をもち、もともと興味のあった美容や健康分野を中心に執筆活動をしている。

ビタミンDとは

ビタミンDは、油に溶けやすい性質をもつ「脂溶性ビタミン」のひとつで、腸からのカルシウムの吸収をサポートしたり、骨の形成に関与したりします。

本来、ビタミンとは食べ物からしか得られない微量物質を指しますが、ビタミンDは自身の体内で合成できる珍しい物質です。

十分な量のビタミンDを食事のみで摂取することは難しいため、適度な日光浴によるビタミンDの生成が必要</b.なのです。

ビタミンDが不足する原因

近年、紫外線による肌老化への影響が広く知られたことから、日焼け止めや日傘などでしっかり紫外線対策をしている方が多く見られます。

そのため、日光に当たらないことでビタミンDが不足している方も増えているといわれています。

さらに、あまり外出しない方や夜型の生活を送っている方なども、日光に当たる機会が少ないためビタミンDが不足しがちです。

ビタミンDの摂取の目安量

日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、ビタミンDの一日の目安量は、成人の男女ともに8.5μgです(※1)。

厚生労働省が出している「平成30年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、日本人の一日あたりのビタミンDの摂取平均量は6.6μgであり、目安量に対して不足していることがわかります(※2)。

ビタミンDが豊富な食べ物

ビタミンDは、マグロやサバなどの魚類や、シイタケやキクラゲなどのきのこ類に多く含まれています。

魚類では、とくに魚の皮にビタミンDが多く含まれているため、皮も残さず食べましょう。

また、紫外線が当たることでビタミンDの含有量が増えるため、きのこ類のなかでも天日干しした干しシイタケを選ぶとよいでしょう。

ビタミンDは脂溶性なので、油とともに摂取できる炒め物や揚げ物にすると効率的に摂取できます。

日光浴でビタミンDが生成するメカニズム

日光浴によって皮膚に紫外線が当たると、皮膚に存在する「7-デヒドロコレステロール」と呼ばれる物質を材料としてビタミンDが生成されます。

紫外線は、波長の長さによって「UV-A、UV-B、UV-C」の3つに分けられますが、このうちビタミンDの生成に関わるのは「UV-B」です。

UV-Bは家のなかには透過しないため、ビタミンDの生成のためには屋外での日光浴が必要です。

ただし、紫外線を長時間浴びすぎるとシミやシワ、皮膚がんなどの原因となる可能性があるため、日光浴は肌に悪影響を及ぼさない範囲でおこないましょう。

日光浴の目安時間

ビタミンDの生成に必要な日光浴の目安時間は季節や地域などによって異なりますが、環境省によると、日向なら一日約15分、日陰なら一日約30分とされています(※3)。

肌の露出部分が多ければ短時間でよいですが、日陰にいる場合はより長時間の日光浴が必要です。

普段から日中になかなか外出しない方は、散歩やウォーキングなど、適度に外に出る習慣をつくるとよいでしょう。

ビタミンDの働き

ここでは、「そもそもビタミンDにはどんな効果があるの?」と疑問に思っている方に向けて、ビタミンDの働きを健康面と美容面にわけて紹介します。

健康面での効果

ビタミンDには、骨を丈夫にしたり、からだの免疫力を調整したりする働きがあります。

骨を丈夫にする

ビタミンDには、骨の材料であるカルシウムの吸収率を高めて骨を丈夫にする働きがあります。

「骨を丈夫にするにはカルシウムを摂ればいい」というイメージをもっている方も多いかもしれませんが、ビタミンDも骨の健康維持に欠かせない栄養素のひとつです。

免疫力を調整する

ビタミンDには、からだの免疫力を調整する働きもあります。

免疫細胞を活性化させることで、体内に侵入してきた細菌やウイルスを排除したり、免疫機能が過剰になってしまった場合に抑制したりするのです。

美容面での効果

ビタミンDには上述した健康面での効果のほか、肌のバリア機能を高めたり、シワやたるみを防いだりする働きもあります。

肌のバリア機能を高める

ビタミンDには、肌のバリア機能を高める効果があるといわれています。

肌のバリア機能がしっかりしていると、肌の水分の蒸発を抑えて乾燥を防ぐほか、大気中の汚れや細菌などの外部刺激から肌を守ってくれます。

乾燥肌や敏感肌の方は肌のバリア機能が弱まっている可能性があるため、積極的にビタミンDを摂取するといいでしょう。

シワやたるみを防ぐ

骨を丈夫にする働きをもつビタミンDが不足すると顔の骨が痩せ、その分皮膚が余って肌のシワやたるみにつながる可能性があるといわれています(※4)。

骨の健康と美容は一見関係ないようですが、いつまでも若々しい肌を保つためにはビタミンDの摂取によって骨密度を保つことも重要なのです。

日光に当たらないことで起こりうる病気

「シミやシワなどの肌トラブルを防いで美しくいたい」という気持ちから、極端に日光を避ける生活をしていないでしょうか?

白くて美しい肌を手に入れたとしても、病気になってしまっては本末転倒ですよね。

ここでは、日光に極端に当たらないことで起こりうる病気について解説します。

骨粗鬆症

ビタミンDには骨を丈夫にする働きがあるため、不足すると骨粗鬆症や骨軟化症といった病気を引き起こす可能性があります。

骨粗鬆症とは、骨がもろくなって折れやすくなる病気であり、骨軟化症とは骨の石灰化がうまくできずにもろい骨ができ、痛みや骨折を生じる病気です。

とくに更年期を過ぎた女性は、女性ホルモンが減少することで骨粗鬆症になりやすいので注意しましょう。

女性ホルモンであるエストロゲンには、骨密度の低下を抑制する働きがあるためです。

骨粗鬆症になると転倒や骨折の危険性が高まり、寝たきりになってしまうケースもあります。

うつ

「日照時間の短い冬は、なんとなくゆううつな気分になる」と感じた経験のある方も多いのではないでしょうか。

実際に、日光浴とうつには関係があるといわれています(※5)。

日光浴をすると、精神を安定させるホルモンである「セロトニン」の合成が促進されますが、セロトニンが不足すると、うつや意欲低下、不眠などの症状を引き起こすこともあるのです。

ビタミンDに関するよくある質問

ここでは、ビタミンDや日光浴に関する次の質問についてお答えします。

Q1. ガラス越しの日光浴でもビタミンDは生成される?

ビタミンDを生成するUVBは窓ガラスを透過しないため、窓越しの日光浴ではあまり効果は望めません。

ビタミンDを生成するためにはベランダや庭で日光浴をしたり、窓越しではなく外で直接当たったりするといいでしょう。

Q2. 手のひらや足だけでも日光に当たればビタミンDは生成される?

ビタミンDの生成を目的とする場合、手のひらや足だけでも日光浴の効果は得られます。

手のひらを太陽にかざすだけでも効果が見込めるので、ほかの部位は日焼け対策していても問題ありません。

手のひらや足に日焼け止めを塗ってしまうと、いくら露出していても日光浴によるビタミンDの生成効果が薄れる可能性があるため注意しましょう。

ビタミンDの生成には日光浴が必要

本記事では、ビタミンDの働きや日光浴との関係、ビタミンDが不足する原因などについてご紹介しました。

ビタミンDは丈夫な骨をつくるために必要な栄養素であるほか、免疫機能の調整や肌の健康を守るうえでも欠かせません。

ビタミンDは魚類やきのこ類などの一部の食べ物にも含まれていますが、そのほかの多くの食材にはあまり含まれていないため、通常の食生活では不足することも。

ビタミンDの生成は手のひらや足のみの日光浴でも期待できるため、美容のために日焼け対策したい方でも実践しやすいでしょう。

通勤や通学の時間や、軽く散歩するついでに日光浴を取り入れ、ビタミンDの十分な摂取を心がけてくださいね。

【参考文献】
※1)ビタミンDの働きと1日の摂取量|健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-d.html
(※2)平成30年 国民健康・栄養調査結果の概要|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000688863.pdf
(※3)3.紫外線とビタミン D|第2章 紫外線による健康影響|紫外線環境保険マニュアル2008
https://www.env.go.jp/chemi/uv/uv_pdf/02.pdf
(※4)9. 運動・食事・精神(睡眠・脳)・環境|山田秀和|見た目とアンチエイジングの考え方ー美から健康ー |Vol. 44, No. 2, pp. 99–104 (2020)|日本香粧品学会誌
https://www.jstage.jst.go.jp/article/koshohin/44/2/44_440203/_pdf
(※5)1.背景|体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定|国立研究開発法人 国立環境研究所
https://www.nies.go.jp/whatsnew/2013/20130830/20130830.html

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