シミや肝斑と間違いやすい「ADM」。
ADMはの色はグレーや褐色っぽく、頬やまぶたなどにできやすいという特徴があります。
しかし、「ADMなのか、普通のシミなのか見分けがつかない」「ADMと肝斑を見分けるにはどうしたらいいの?」とお困りの方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、医師の宇井先生に監修いただき、ADMの特徴やシミとの違い、治療法について詳しくご紹介します。「シミ」と一言で言っても気になり始めた年齢や色などによって種類は異なります。
この記事を読んで、気になっている肌トラブルがADMなのかどうかを判断し、適切なケアや治療を取り入れていきましょう。
監修者
やさしい美容皮膚科・皮フ科
秋葉原院 院長
医師 宇井 千穂 先生
準ミス日本受賞。全日空客室乗務員を経て、北里大学医学部を卒業し、皮膚科医、美容皮膚科医として勤務。
web雑誌での連載やサプリメント、化粧品の監修など、多方面で活躍中。
【医人VOICE】やさしい美容皮膚科・皮フ科 秋葉原院
◆当コラムの掲載記事に関するご注意点
※本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。
ADMとは?
ADM(エーディーエム)は、皮膚深部の真皮層に見られるシミの一種です。上まぶた、頬、額に左右対称に小さな斑点のように現れる後天性のシミです。ADMは皮膚の深い部分にできることから「あざ」と呼ぶこともあります。
ADMは以下のような異なる名称で呼ばれることもあります。
・後天性両側性太田母斑様色素斑
・後天性真皮メラノサイトーシス
・対称性真皮メラノサイトーシス
上記のようなさまざまな呼び名がありますが、一般的には総称してADM(Acquired Dermal Melanocytosisの略語)と呼ばれることが多くあります。
ADMの特徴
ADMは点状、網目状で、早い方で13歳頃から発生するケースもありますが、ほとんどが20歳前後に現れ始めます。
ADMは色がややグレーがかってた灰褐色なのが特徴です。
現れやすい部位は、上まぶた、頬、額に多いとされています。尾翼(小鼻の脇)や目の下にできることもあり、目の下に帯状にできるとクマのように見えることもあります。
また、額に現れることもあります。その場合は点状ではなく面で広い面積で現れることが多いとされており、現れる場所により点状や面状など形はさまざま。そばかすや肝斑など、他のシミと混じって現れることもあります。
ADMは全世界の人種に現れるものではなく、アジアの中でも日本、韓国、中国に多いとされています。
ADMができる原因は?
ADMは遺伝的な要因が関連しているといわれる場合もありますが、明らかな原因ははっきりしていません。
発症時期が20歳前後の女性ホルモンが活発な時期と重なることから、女性ホルモンの分泌環境によるのではないかとも考えられています。
他にも、紫外線の影響によりメラノサイトが刺激を受けてメラニンを作り出すことでADMになると考えられており、ADMに関する今後の究明が期待されています。
ADMとシミ・肝斑の見分け方は?
ADMは、治療する上で肝斑との識別がとても重要です。なぜならシミの種類によって最適な治療法が異なるからです。
ここでは、ADMと一般的なシミや肝斑との見分け方について解説します。
シミ(老人性色素斑)とADMの違い
一般的なシミとADMとの違いは、色や発症年齢を参考にしましょう。
シミは茶色い色で加齢とともに現れ始めます。皮膚の浅い部分にでき、20代後半から徐々に目立ち始めます。
ADMはグレーや褐色などの色をしているのが特徴です。ファンデーションを塗布すると紫灰色がかって見えます。皮膚の深い部分にでき、発症年齢は20歳代に現れる例もありますが、多くは中高年になって出現します。左右ほぼ対称に現れることが多いです。
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肝斑とADMの違い
ADMと肝斑は、左右対称に両頬にできるという特徴から肝斑と間違われることが多くあります。
見分けるときには色調や表れている場所、発症年齢などを参考にしましょう。
肝斑は、赤茶色の色調で、頬骨・額・鼻下などに多く見られます。
肝斑は接触(触れること)によって濃く現れるともいわれていますが、詳しい原因は不明とされています。
ADMの場合、発症年齢は20歳前後のことが多く、グレーにも近い色で、目の下から頬に左右対称に点状に出ることが多くあります。
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ADMの治療法は?
老人性色素斑や雀卵斑(そばかす)は皮膚の浅い層にできますが、肝斑やADMは皮膚の深い層にあります。
そのためADMは、Qスイッチレーザーのレーザー治療が有効です。Qスイッチレーザーはピンポイントにショットして、短時間でメラニン色素をレーザー照射するため、効率的に真皮にできたシミへの破壊効果が期待できます。
ただし、レーザー治療は照射してすぐに効果が実感できるわけではありません。皮膚の深い層までアプローチする必要があるため、一度だけの施術ではなく、複数回の照射が必要になることもあります。
レーザーの種類によってそれぞれ特徴が異なるため、ADMの状態にあわせて、最適なマシンをドクターに相談して決めてもらいましょう。
レーザー治療のデメリットとしてダウンタイムがあり、一週間程度のカサブタができることもあります。また、その後にも数か月赤みや茶色味がでることもあります。念頭に置いて、治療スケジュールを考えるようにしましょう。
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ADMに関する気になるQ&A
ここでは、ADMに関する気になる疑問をまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
ADMは保険適応される?
ADMと診断された場合は保険でレーザー治療を行える場合もあります。ただし、保険適用で治療する場合は治療回数や治療期間には制限があるため、適用条件や内容などをあらかじめクリニックで確認しましょう。
ちなみに、一般的なシミ(老人性色素斑)やソバカスと診断された場合は保険治療はできないため、全額自己負担になります。
ADMに美白化粧品は有効?
ADMはメラニン色素が皮膚の深いところにあるため、一般の美白化粧品を使っても効果は期待できません。ADMを改善したい場合はレーザー治療が有効です。
美白化粧品は一般的なシミには有効です。ADMとシミが混ざっている場合もあるので、美白化粧品を使うことで全体的に目立ちにくくなると感じることもあるでしょう。
ADMを予防するにはどうしたらいい?
セルフケアでADMを予防する場合は紫外線対策・生活習慣の見直し・スキンケアの見直しが重要です。ADMの原因は明らかになっていないものの、紫外線などの影響によりメラノサイトが刺激を受けてメラニンを作り出していると考えられています。
そのため、メラニンが過剰につくられないように紫外線対策を徹底するなど日頃から心がけることが大切です。
ADMにレーザーを照射すると濃くなる?
レーザーは照射すると一時的に炎症性色素沈着(※)が起こることがあります。場合によっては治療前よりシミが濃くなったような印象を受けることもありますが、レーザーのダメージによる一時的なもので自然と消えるため、心配はありません。
※炎症性色素沈着...やけどや虫刺されなどの炎症の後に皮膚が黒くなる現象のこと
ADMとシミを見分けて適切な対策をしよう
ADMは20歳前後にできるグレーや褐色がかったシミを指しますが、一般的なシミと見分けがつきにくいケースもあります。また、ADMやシミ、肝斑が混ざって現れていることも考えられます。
シミの種類によってアプローチする方法も異なるため、正確な判断をしたいならいつ頃気になりだしたのかなどを踏まえ医師に診断してもらうことをおすすめします。
ADMの治療は一般的なシミに対する塗布剤や内服薬では満足できる効果を期待することはできません。
ADMにはレーザーが有効ですが、肌状態により施術が必要になる回数やレーザーの機器も異なるため、信頼できるクリニックでカウンセリングを受けてから納得のいく選択をしていきましょう。