還元力が強い「アスタキサンチン」の効果とは?上手な取り入れ方も紹介

ここ数年でサプリメントや化粧品などでもよく見かけるようになった「アスタキサンチン」。強い還元力のある成分で、美容業界からも注目されています。しかし「名前を聞いたことはあるけど、どんな効果があるのかわからない」といった人も多いでしょう。
そこで今回は、美肌効果も期待できるアスタキサンチンについて徹底解説します。使用にともなう副作用やアレルギーなどもご説明しますので、自分が飲める成分なのか気になる人はぜひチェックしてみてください。
アスタキサンチンとは
「アスタキサンチン」とは、日頃の食事から自然と摂取している天然色素「カロテノイド」の一種です。カロテノイドとは緑黄色野菜に含まれている赤い色素であり、たとえばトマトに含有している「リコペン(リコピン)」や、ニンジンに含まれている「橙色成分βーカロテン」などが挙げられます。

そしてアスタキサンチンは、下記のような「赤い海洋生物」に含まれています。
・エビ
・カニ
・鯛
・鮭
・イクラ
これらの海洋生物たちの餌は、アスタキサンチンを豊富に含んだプランクトンである「オキアミ」です。栄養満点なオキアミを食べることで体の健康をサポートして、厳しい自然界から卵を守っています。赤い色素を多く含んだ餌を食べているため、上記のような海洋生物たちは体が赤くなるのです。
また天然色素であるアスタキサンチンは人間の体内で合成できないため、体の外から摂取しなければなりません。
アスタキサンチンの特徴
非常に強い「還元力」があるといわれているアスタキサンチン。その強さはビタミンEの約1,000倍、ビタミンCの約6,000倍とされています。そもそも還元力とは、酸素と栄養素が結びついて大きな変化を引き起こす原因となる「活性酸素に関与する力」を表します。

活性酸素はバリア機能をサポートするため、私たちの体には必要不可欠です。しかし、毎日の生活によるダメージなどの要因で活性酸素が大量発生すると、身体に影響を与えます。
活性酸素に関与するのが「還元力」です。とはいえ活性酸素があまりにも多い状態では体内にある還元力だけでは足りません。加えて還元力は加齢とともに減少してしまいます。
こうしたことから、高い還元力を持っているアスタキサンチンを体外から積極的に取り入れていく必要があるのです。
アスタキサンチンの効果
続いて、アスタキサンチンの「身体への効果」と「美容への効果」について解説します。
身体への効果

アスタキサンチンは、おもに次のような効果を身体にもたらすといわれています。
・目を良く使う方の健康サポート
・生活習慣や良く食べる方の健康維持効果 など
アスタキサンチンは栄養が届きにくい部位の健康維持にも役立つ還元力のある成分です。このため、目を良く使う方の健康をサポートしてくれます。
また、還元作用にも優れているアスタキサンチンは、年齢による目の影響への予防も期待されています。
ほかにも、脂っぽい食事が好きな方の健康維持や、運動中の脂質利用に関与する働きがあることから生活習慣対策などにも有用です。
美容への効果

アスタキサンチンは年齢による深い悩みへのアプローチや肌荒れの予防といった、女性には嬉しい美容効果も期待できる成分です。
先にもご紹介した、バリア機能をサポートする活性酸素には複数の種類がありますが、活性酸素の一つである「一重項酸素」だけは体の中にある還元力で除去できません。しかしアスタキサンチンには一重項酸素に関与する力があります。
この一重項酸素は体内で増殖するとコラーゲンに影響し、肌の弾力やハリが失われ、肌の年齢サインなどの悩みにつながります。
またアスタキサンチンは、活性酸素によって引き起こされる年齢による肌の深い悩みを予防効果もあります。ほかにも体内に取り込んだ糖に関与する働きがあるため、ダイエットもサポートするでしょう。
このようにさまざまな美容効果を引き出してくれるアスタキサンチンは「エイジングケア成分※」としても広く知られています。
※年齢に応じたケアのこと
効果的な取り入れ方
次に、アスタキサンチンの効果的な取り入れ方をご紹介します。アスタキサンチンは基本的に下記3つの方法で摂取可能です。
・日常の食事
・サプリメント
・化粧品
日常の食事

まず「日常の食事」からみていきましょう。冒頭でも述べたとおり、私たちが普段食べている食事からも少しずつアスタキサンチンが摂れています。
従来の摂取目安は「1日6mg以上が目安料」でしたが、最近の研究結果によると「1日12mg以上の目安料」を摂取するとサポート力を体感しやすいことがわかっています。しかしこの目安を食事だけで摂ろうとすれば、次のような量が必要です。
・イクラ:どんぶり4杯程度
・鮭の切り身:12切れ程度
・たらこ:12腹程度 など
上記の例を見ていただくとわかるように、毎日この量の食事をすることは到底できません。そのため基本的にはバランスを考えた食事をメインにして、アスタキサンチンを含有したサプリメントを併用していくとよいでしょう。
サプリメント

前述のとおり、普段の食事にプラスしてアスタキサンチンのサプリメントを飲むと効率的です。サプリメントは各製品で1粒に含有されているアスタキサンチンの量が異なるため、ご自身の食生活などに合わせて選んでみてください。
ただしサプリメントには、アスタキサンチン以外の成分が含有されているケースも多いため、ほかのサプリメントと併用する場合には注意が必要です。両方のサプリメントに同じ成分が含まれていた場合、その成分を過剰摂取してしまう可能性があるからです。
アスタキサンチンのサプリメント以外にも服用している人は、被っている成分がないかを事前にチェックしておきましょう。もし不安な場合には、かかりつけ医に相談してみるのもよいでしょう。
化粧品

先にもお伝えしたとおり、アスタキサンチンはエイジングケア成分※とも呼ばれており、美肌効果が期待されています。そのため美容業界からも高い注目を集め、各ブランドからアスタキサンチンを含んださまざまな化粧品が発売されています。
※年齢に応じたケアのこと
そこでアスタキサンチンを化粧品から取り入れたいと考えている人は、アスタキサンチン以外に「整肌成分」や「保湿成分」が含まれている製品を選ぶとよいでしょう。整肌成分や保湿成分は美肌を作るうえで大切な成分のため、アスタキサンチンと一緒に摂っておけばさらなる効果を実感できる可能性があります。
たとえば下記のような成分を探してみてください。
アスタキサンチン以外で見るべき成分 | 成分名 |
---|---|
整肌成分 | ・ビタミンC誘導体 ・レチノール ・フラーレン ・プラセンタ など |
保湿成分 | ・セラミド ・ヒアルロン酸 ・コラーゲン など |
ただし化粧品を使うときは、その製品がご自身の肌に適しているかどうかをパッチテストなどでチェックしてから使用しましょう。
副作用や注意点は?
最後にアスタキサンチンの副作用や注意点を解説します。
主な副作用
現時点でアスタキサンチンの副作用は報告されていません。天然成分をメインに使用していることから、やさしい成分として知られています。
インターネットで検索すると「頭痛」や「下痢」といったワードを目にするかもしれませんが、アスタキサンチンを飲んだからといって引き起こされた症状とは限りません。たまたまアスタキサンチンを飲んだタイミングと重なってしまった可能性も考えられるでしょう。
甲殻類アレルギーの人が使っても大丈夫?

基本的には、甲殻類アレルギーの人でもアスタキサンチンのサプリメントや化粧品を使用しても問題ありません。
なぜなら現在販売されている多くのアスタキサンチン含有製品は、そのほとんどがエビやカニといった海洋生物からではなく、淡水生の単細胞藻類である「へマトコッカス藻」からアスタキサンチンを抽出しているからです。
へマトコッカス藻に含まれているカロテノイドはほとんどがアスタキサンチンであり、世界中に分布していることからサプリメントなどの大量生産に使用されています。このため甲殻類アレルギーの人でも安心してアスタキサンチンのサプリメントや化粧品を利用できます。
もし不安な場合には、サプリメントや化粧品に「へマトコッカス藻由来」などと表記されている製品を選びましょう。
アスタキサンチンを摂りすぎたらどうなるの?

アスタキサンチンは天然色素ですので上限は設けられておらず、過剰摂取してしまってもとくに問題ありません。
「富士化学工業株式会社LS事業部」「金沢大学大学院医薬保健学総合研究科」「臨床研究開発補完代替医療学講座」によると、1日30mgのアスタキサンチンを4週間摂取する過剰摂取の実験を行ったところ、臨床上問題となるような症状は見られませんでした。
またアスタキサンチンは普通の食事からは少量しか摂取できません。このため普段の食事でアスタキサンチンの量を気にする必要はないでしょう。ただしサプリメントを飲むときは、必ず目安量を守って使用するようにしてください。
アスタキサンチンを飲んだら便が赤くなってしまう?

アスタキサンチンを摂取すると、まれに便が赤くなるケースがあります。これは血便ではなく、吸収されなかったアスタキサンチンが原因ですのでご安心ください。
通常、小腸で吸収されるアスタキサンチンですが、摂取量のたった5%程度しか吸収されず、残りは腸管内にとどまります。腸管内に残ったアスタキサンチンは悪玉菌や善玉菌に関与し、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)のバランスをサポートするのが仕事です。
加えて腸内で発生してしまった活性酸素をへの関与も期待されています。しかし身体に吸収されるわけではないため、仕事を終えたアスタキサンチンは便に混じって排出されます。
ここで「吸収されなかった」と聞くと「アスタキサンチンの摂取量が多いのでは?」と不安に感じる人もいるでしょう。腸管内に残っているアスタキサンチンは健康に良いとされる働きをしてくれるため、目安料を守って摂取していれば問題ありません。
年齢が気になる髪に効くって本当?

活性酸素に関与するアスタキサンチンは、年齢が気になる髪の健康維持にも効果的といえるでしょう。
そもそも人間の髪の毛は「毛母細胞」という場所で生成されます。
しかしストレスや暴飲暴食、喫煙などのさまざまな要因により活性酸素が増えると、髪の毛毛の健康維持がしづらくなり、結果的に年齢による髪の悩みが出てきてしまうのです。
そこで年齢による髪の悩みを持つ人がアスタキサンチンを摂取すると、強力な還元作用により活性酸素に関与し、頭皮をすこやかに保つ手助けしてくれます。このことからアスタキサンチンは年齢による髪の悩みにも効くと考えられています。
美肌になれるアスタキサンチンを積極的に摂取しよう

アスタキサンチンとは、エビやカニ、鮭といった赤い海洋生物から摂取できる天然の色素です。アスタキサンチンには活性酸素に関与する「高い還元力」や「健康サポート力」があります。
現在では毎日12mgを目安に摂取するとよいとされていますが、普段の食事から摂るのはなかなか難しいでしょう。そのためアスタキサンチンを含んだサプリメントなどを上手く活用しながら摂取していくことを推奨します。サプリメントや化粧品を使用する場合には、必ず目安量を守ってご使用ください。