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鉄分の貧血予防効果は?効率の良い摂取方法や食べ合わせについて解説

「健康診断で貧血と言われた」
「なんとなく倦怠感を感じる」
「生理前や生理中に頭がクラクラする」

近頃、このようなことで悩んでいませんか?もしかしたら、鉄分不足が原因かもしれません。

鉄分は体の健康を保つのに必要不可欠なミネラルで、貧血予防だけでなく様々な健康効果をもたらします。この記事では、鉄分の役割や不足する原因、効率的に摂取する方法を解説しました。効果的に鉄分をチャージして、健康や美容に役立てたい方は、ぜひ参考にしてください。

鉄分とは

鉄分は、美しく健康な身体を作るために欠かせないミネラルの一種です。血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンや、筋肉に含まれるミオグロビンと結合し、全身へ酸素を運ぶ役割を果たしています。

大人の体内に約3~5g存在する鉄分のうち、約70%は酸素の運搬役です。残りの30%はタンパク質と結合し、体内に蓄えられる貯蔵鉄となり、筋肉や肝臓、骨髄などに貯められます。

鉄分と共に酸素を運ぶ赤血球は、約120日で寿命を迎えますが、鉄分は再利用されるのが特徴です。ただし怪我をしたり、月経や出産を経て出血したりすると、鉄分は不足し、貧血をはじめとした体調不良を招きます。鉄分は体内で生成できません。食べ物から日常的に摂取する必要があります。

鉄分がもたらす効果

鉄分が十分に摂れていると、身体にはどのような効果が期待できるのでしょうか。ここでは、鉄分がもたらす3つの効果を解説します。

貧血の予防

鉄欠乏症貧血の原因は、鉄分不足のせいで、酸素の運搬役であるヘモグロビンの数が少なくなることです。ヘモグロビンが足りないと、酸素が身体に行きわたらなくなり、必要なエネルギーが作られません。その結果、疲労感や立ちくらみ、めまい、頭痛、動機、息切れといった症状が出ます。

女性は、鉄欠乏症貧血による不調が月経前や月経中に起きやすいのが特徴です。しかし月経前や月経中でも、体内に鉄分が十分にあれば貧血を予防できます。

肌の老化予防

実は、鉄分は肌の老化予防にも効果的であることが分かっています。鉄分は肌の新陳代謝にも大きく影響しているためです。

鉄分が不足すると、肌の細胞に十分な酸素が行きわたらず、肌の新陳代謝が悪化してしまいます。新陳代謝が悪くなると、肌のターンオーバーが乱れ、メラニン色素がなかなか排出されません。すると、シミやソバカスなどの色素沈着ができる可能性があります。

また鉄分は、肌のハリと弾力を保つコラーゲンの生成にも欠かせません。鉄分が不足すると、コラーゲンの生成がうまくできず、肌のハリや弾力が失われ、シワができやすくなります。

丈夫な髪や爪をつくる

鉄分は、髪や爪を作るタンパク質の一種、ケラチンを構成する成分でもあります。ケラチンは、髪や爪の強度の維持に欠かせません。鉄分が不足すると、髪の根源である毛乳頭や、爪の成長を支える爪母(そうぼ)へ十分な酸素や栄養が届かず、髪や爪が成長できないためです。

ケラチンの生成がうまくできないと、髪が細くなる他、抜け毛や爪の縦線、ひび割れに悩むことが増えるかもしれません。コシのある美しい髪や丈夫な爪を保つには、鉄分が必要不可欠です。

鉄分が不足する原因

鉄分は体内で再利用できるミネラルですが、鉄分不足による貧血に悩む方は少なくありません。事実、鉄分不足による貧血の症状を示している女性の割合は約40%です。月経のある20~40歳の女性に絞ると約65%にまで上がります。

男性が貧血になる割合は女性ほど多くありません。しかし、病気やケガにより体内の鉄分が不足すると、鉄分不足による貧血になります。ここからは、鉄分が不足する主な原因について詳しく説明します。

月経や妊娠で血液が必要になる

実は男性でも女性でも、1日あたりおよそ1mgの鉄分が失われています。女性の場合、さらに月経や妊娠の影響を大きく受けるので、鉄分が不足する可能性が高いのです。

女性が月経になると失われる鉄分の量は、1日あたり約0.46~0.55mgです。妊娠中は、初期から末期にかけて1日当たり約0.32~3.64mgの鉄分が失われています。これは妊娠期間中、胎児へ栄養を供給するために、普段よりも多くの血液が必要とされるためです。赤ちゃんを育てるために必要な母乳は血液から作られているため、授乳期間も鉄分が不足しやすくなります。

栄養バランスの偏り

現代社会では、忙しい日常やダイエット目的から食事のバランスが崩れがちです。インスタント食品やジャンクフードが多い食生活、または極端な食事制限をすると、十分に鉄分を補給できません。

特にインスタント食品やスナック菓子、加工肉には注意が必要です。これらに含まれるリン酸ナトリウムなどの添加物は、鉄分の吸収を邪魔するので、食べ過ぎないようにすることも大切です。鉄分不足を防ぐには、肉や魚、野菜などの食品をバランスよく食べるようにしましょう。

病気による出血

病気やケガも鉄分不足の一因です。ウイルスや細菌の感染による長期的な胃腸炎や、子宮や月経に関連する疾患などで大量に出血すると、鉄分も大量に失われます。細菌の感染や免疫の異常は赤血球そのものを破壊するケースもあり、該当する場合は貧血にも注意しなければなりません。

赤血球そのものを作れなくなる病気もあります。このように病気が原因で鉄分が不足する場合は、適切な治療と同時に貧血への対処も必要です。

過剰な運動量

意外かもしれませんが、過度な運動は鉄分不足による貧血を引き起こす可能性があります。負荷をかけすぎると筋肉が多くの鉄分を消費し、体内の鉄分が不足してしまうのです。また、汗でも微量の鉄分が失われます。

いきなり激しいトレーニングをしたり、足裏への強い衝撃がある運動をするときは、特に注意が必要です。運動量を調整する、鉄分を豊富に含む食品やサプリメントで補給するといった対策をする必要があります。

食べ物から摂取できる鉄分の種類

食べ物から摂取できる鉄分には、ヘム鉄と非ヘム鉄という2種類があるのをご存じでしょうか。それぞれの違いを理解すれば、より効率的に鉄分を摂取できます。ここで、ヘム鉄と非ヘム鉄について解説します。

ヘム鉄

ヘム鉄は主に肉や魚などの動物性食品に多く含まれています。特に多く含まれているのが、レバー、牛肉、鶏肉、魚です。ヘム鉄は、ヘムと言われるタンパク質に包まれているという特徴があります。体内の吸収率は10~30%で、非ヘム鉄よりも身体に吸収されやすいのがメリットです。

▼ヘム鉄が含まれている主な食品
・レバー(鶏、豚、牛)
・牛肉(特に赤身部分)
・鶏肉(特に砂肝)
・魚(マイワシ、マグロ、カツオなど)
・貝類

非ヘム鉄

非ヘム鉄は、野菜や豆類、海藻などに含まれています。ヘム鉄との違いは、タンパク質に結合していないことです。ヘム鉄よりも非ヘム鉄のほうが体内への吸収率は低く、5%以下と言われています。ただし、ビタミンCや他の動物性たんぱく質と一緒に摂取すれば、吸収率を高めることが可能です。

▼非ヘム鉄が含まれている食品
・野菜(ほうれん草、サラダ菜、水菜など)
・豆類(レンズ豆、そら豆)
・海藻(ひじき、昆布など)
・納豆
・厚揚げ

鉄分を効果的に摂取する方法

1日あたりの鉄分の推奨摂取量は、成人男性で7.5mg、成人女性で10.5mg、月経のない女性は6.5mgです。今の食生活だと難しいと感じる方もいるかもしれません。しかし吸収率を上げる工夫をしたり、サプリを活用したりすると、手軽に鉄分の摂取が可能です。ここからは、効果的に鉄分を摂取する方法を紹介します。

吸収率を上げる栄養素を一緒に摂取する

非ヘム鉄はヘム鉄よりも吸収率は低いのですが、吸収を助けるにはビタミンC、クエン酸、動物性たんぱく質が有効です。

ビタミンCは柑橘類やブロッコリー、パプリカに多く含まれ、非ヘム鉄が腸から吸収されやすい形に変えてくれます。クエン酸も主に柑橘類に含まれ、ミネラルを包み込んで吸収しやすくするのが特徴です。動物性タンパク質は魚や肉、卵に多く含まれ、非ヘム鉄の吸収を促進します。

▼非ヘム鉄の吸収率を上げる栄養素と食材
ビタミンC:柑橘類、ブロッコリー、パプリカなど
クエン酸:グレープフルーツ、オレンジ、レモンなど
動物性タンパク質:魚、肉、卵など

胃酸の分泌を促す

食事から摂取した鉄分はそのままでは吸収されにくい性質があります。そこで活躍するのが胃酸です。胃酸が十分に分泌されると、鉄分は吸収されやすい形に変化します。これが小腸で特殊なタンパク質に結合し、血液へと運ばれていくのです。

すっぱい食べ物を食べると、胃酸の分泌が促進されます。レモンをはじめとした酸味の強い果物や、酢などを使った料理などのすっぱい食べ物が効果的です。また、よく噛むと食べ物がより細かくされ、消化の際に胃酸の分泌が促されます。

鉄製の調理器具を使用する

鉄製の鍋やフライパンを使用すると、鉄分が水や食品に溶け出すので、摂取できる鉄分の量を増やせます。お湯を沸かす際にポンと入れるだけで使える、調理用の鉄の塊も、扱いが手軽で人気です。

鉄製の調理器具を使うときは、トマトやお酢などの酸性の食品を調理すると、鉄分がより多く溶け出しやすくなります。調理器具を変えるだけでトライできる鉄分摂取法なので、日常生活に取り入れてはいかがでしょうか。

サプリメントを利用する

食事だけだと上手く鉄分が摂取できない場合は、サプリメントに頼るのも一つの方法です。吸収率の高いヘム鉄が配合されているサプリを選ぶと、効率よく補給できます。サプリには鉄分の含有量も記載されているので、選ぶときの参考にしてください。鉄分の摂りすぎには気をつけましょう。詳細については後述します。

鉄分を含むサプリの形状は、錠剤タイプやドリンクタイプ、グミなど、さまざまです。味の好みやライフスタイルに合うものを選びましょう。

鉄分を摂取するときの注意点

鉄分は食事やサプリメントから補えるミネラルです。しかし、鉄分の摂取の仕方には、いくつか注意が必要です。ここでは鉄分摂取の注意点について詳しく解説します。

鉄分を過剰に摂取しない

鉄分が多く含まれている食品を食べすぎたり、大量のサプリメントを飲んでしまったりすると、過剰摂取となるリスクがあります。ただし、日本人の鉄分の平均摂取量は男性8.0mg/日、女性7.3mg/日です。普段の食生活で鉄分を過剰に摂取する可能性はほとんどありません。

鉄分を過剰摂取すると、便秘や胃のむかつきの他、亜鉛の吸収を阻害します。鉄分は、体内に蓄積されやすい性質があるため、長期的な過剰摂取は体調不良につながる可能性があります。

鉄分の吸収率を下げる成分がある

非ヘム鉄を摂取する際は、タンニン、フィチン酸、食物繊維が含まれている食品や飲み物を避けましょう。これらの成分は鉄分の吸収を阻害します。

タンニンを含む飲み物は、鉄分を摂取した後2時間以上は避けるようにしましょう。フィチン酸を含む食品は、発酵させたり加熱したりすることでフィチン酸の量を減らせます。食物繊維は便秘の予防や血糖値のコントロールなどに有効な成分なので、摂取自体を控える必要はありません。鉄分と同時に摂取しないようにしましょう。

▼非ヘム鉄の吸収を阻害する成分と代表的な食品
タンニン:お茶、コーヒー、赤ワイン
フィチン酸:穀物、種子、ナッツ
食物繊維:野菜、果物、全粒穀物、海藻

まとめ

鉄分は人間の身体に欠かせないミネラルです。体内で生成されないため、食べ物やサプリメントなどから摂取しなければなりません。鉄分をきちんと補給できていると、貧血の予防や健康的で美しい肌・髪の維持に役立ちます。

鉄分の種類は、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類です。ヘム鉄の吸収率は非ヘム鉄よりも高い特徴があります。しかし一緒に食べる食品に気を配れば、非ヘム鉄の吸収率は上げられます。健康維持に重要な鉄分を適切に摂取し、健やかな毎日を過ごしていきましょう。

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