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日焼け止めの新基準「耐水性」って何?

日常の紫外線から私たちの肌を守ってくれる日焼け止め。

皆さんが日焼け止めを購入される際、ほとんどの方は「SPF値」「PA値」「ウォータープルーフか否か」を確認されると思います。
例えば夏の海水浴に持参する日焼け止めを選ぶとき、SPFやPAは明確な数値や+の数で商品を比較できるのに対し、ウォータープルーフはその程度が明確に示されていないために、比較しにくい印象を受けたことがありませんか?

実はこの問題を解消すべく、2022年12月1日から、日焼け止めに新しい表示が追加されることが決まりました。
このコラムでは、日焼け止めの新基準「耐水性」について、わかりやすくご説明します。

新しく追加される「UV耐水性」の表示とは?

従来の日焼け止めの表示「SPF」「PA」

新しいUV耐水性の表示基準のお話をする前に、まずは、従来の日焼け止めに表示されているSPFとPAの記載についてご説明します。

・SPF
Sun Protection Factorの略で、肌の炎症につながるUVBの防止効果を表しています。何も塗らない場合に比べてUVBによる炎症をどれくらい長い時間防止できるかを示しています。数値が大きいほど防止効果が高く、最高数値は50で、それ以上の製品はSPF50+と表示します。

・PA
Protection grade of UVAの略で、肌の黒化につながるUVAの防止効果の程度を表します
防御指数に基づいて防御指数2~4の場合+、防御指数4~8の場合++、防御指数8~16の場合+++、防御指数16以上の場合++++の4種類で表記されます。

新しく追加される表示「UV耐水性」

今回新しく導入される「UV耐水性」は、水浴後にどれくらい「SPF」を保持できているかを表す表示になります。耐水性の保持能力によって、★(☆)、★★(☆☆)の2段階で表記されます。

注意点としては、「UV耐水性」は、紫外線(UVB)防止効果の耐水性を表しており、メイクアップの耐水性(メイクが水に落ちにくい)という意味ではありません

例えば、UVカットファンデーションのように、メイク品でありながら紫外線防止効果をもつ商品については、耐水性の意味について勘違いしやすいため注意が必要です。

耐水性の決め方は?

UV耐水性の決め方は、日本化粧品工業連合会により、以下のように定められています。

(試験方法)
ヒトの背中に試料を塗布し、紫外線を照射して16〜24時間後に紅斑の有無を測定します。この結果からSPFを測定し、水浴前のSPFとします。
別に、ヒトの背中に試料を塗布し、水浴をした後に、紫外線を照射して16〜24時間後に紅斑の有無を測定します。この結果からSPFを測定し、水浴後のSPFとします。

そして、水浴前後のSPFを比較し、SPFの保持率が50%以上(※)であれば耐水性効果ありと判定され、以下の表示を用いて表記します。

(※)正しくは水浴前後の SPF から得られる耐水性(SPF の保持率)の平均値の 90%信頼限界の下限値が 50%以上

(試験結果の表記)
水浴条件によって2段階の表記方法があります。

・合計 40 分(20 分× 2 回)の水浴をクリアした場合
耐水性効果ありと判定され、「UV 耐水性★」または「UV 耐水性☆」と表記されます。

・合計 80 分(20 分× 4 回)の水浴条件の場合
耐水性効果ありと判定され、「UV 耐水性★★」または「UV 耐水性☆☆」と表記されます。

水浴後の紫外線(UVB)防止効果の強さは、耐水性だけでなく元のSPFの高さにも依存します。そのため、UV耐水性の表記は必ずSPF表示と合わせて記載しなければならないことになっています。

ウォータープルーフと何が違うの?

ウォータープルーフも「耐水性」を示した化粧品の用語です。
従来では、日やけ止め化粧品のほか、ファンデーション、夏用・スポーツ用のメイクアップ製品、マスカラなどのアイメイクアップ製品などを中心に表示されており、「汗や涙、水などに強く落ちにくい」という意味で用いられていました。

しかし、UV耐水性表示が導入されて以降は、「ウォータープルーフ」の言葉の使われ方が製品の種類によって異なります。

・日焼け止め効果のある化粧品の場合(日焼け止め、UVカットのファンデーションなど)

UV耐水性表示の運用開始(2022年12月1日)から2年間の処置期間が経過した2024年11月30日以降に出荷される製品は、「UV耐水性★」または「UV耐水性★★」の表示がない状態でのウォータープルーフの表記は認められなくなります。

・メイクアップ化粧品の場合(通常のファンデーション、マスカラなど)

メイクアップ製品の化粧持ち性能に関しては、従来通り、汗や涙、水などに強く落ちにくいという意味で、単独で「ウォータープルーフ」と表記される場合があります。

耐水性の選び方

耐水性表記が追加されることによって、日焼け止めを選ぶ際の選択肢が増え、どのように選べばいいのか迷われる方もいると思います。ここでは耐水性の選び方についてお伝えします。

普段使いでは、耐水性なしでもOK

普段使いであれば、耐水性なしでもこまめに日焼け止めを塗り直すことで十分に日常の紫外線に対応できます。目安としては2〜3時間に一度の頻度で塗り直すと良いでしょう。石鹸だけでオフできる製品も多いため、洗浄の手間や肌への負担を軽減できます。

屋外プールや海水浴に行くときにはUV耐水性★または★★を選ぶ

長時間、屋外で水に浸かると予想される場合は、UV耐水性★または★★の日焼け止めを選ぶと安心です。
その場合でも、水中で日焼け防止効果がずっと持続するわけではなく、UV耐水性★で40分、★★で80分程度がSPF50%を保持できる目安となります。そのため、従来の日焼け止めと同様に、2時間に1回程度はこまめに塗りなおすことが必要です。

UV耐水性★や★★の製品を落とすときはクレンジングが必要??

耐水性のある日焼け止めの場合、通常の洗浄剤だけでは落とせないことがほとんどです。
耐水性のある日焼け止めには、主に以下のような成分が配合されています。

・ジメチコン
・シクロメチコン
・アモジメチコン
・ジメチコンコポリオール など


これらは“シリコン”という成分に分類され、製品の効果を持続させたり、肌への密着を高めたりする役割を果たします。
一般にシリコンは油性成分であるため、落とすときにはクレンジングを使用するか、ボディオイルなどでなじませてから洗浄することでより効果的に落とすことができます。

シチュエーションに合わせて自分に合った日焼け止めを選ぼう!

2022年12月からはUV耐水性を表記した日焼け止めが徐々に増えていくことでしょう。最初は表記内容が増えることで戸惑ってしまう方もいるかもしれませんが、「UV耐水性」の意味を理解できれば、水浴中でどれくらい紫外線防止効果を維持できるかがより分かりやすくなり、日焼け止めがさらに選びやすくなると思います。
日焼け止めは、私たちの肌を紫外線から守り、肌トラブルや光老化、皮膚がんからも守ってくれる重要な美容アイテムです。
使用するシチュエーションに合わせて、適切な日焼け止めを選択するようにしましょう。

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