肌断食とは?メリット・デメリットや正しいやり方について紹介
肌断食は、普段行っているスキンケアや洗顔、メイクを止めて肌本来の力を高める美容方法です。やり方次第では肌を乾燥やニキビなどから守ることができます。
スキンケアやメイクによって肌が荒れやすい人や、過剰なスキンケアを行って肌に美容成分を与えすぎてしまっている人は、肌断食を行うことで肌のターンオーバーバランスや肌バリアが改善される可能性があります。今回は肌断食の効果やメリット、実際に行う方法や期間などについて詳しく解説していきます。
肌断食とは
肌断食とは、普段行っているスキンケアやメイクを止めて、肌に何も施さない状態で過ごすことを指します。
スキンケアやメイクを行うときは、どんなにやさしく触れるように意識していても、気付かないうちに肌に摩擦を与えているものです。肌断食は、普段のスキンケアやメイクで肌にダメージがかかっているとしたうえで、あえて肌を休ませることで肌本来の再生力を引き出すことを期待しています。
肌断食は、取り入れ方によって「本格的な肌断食」と「プチ肌断食」の2つの方法に分かれます。
肌断食のメリット
肌断食を行うと、肌や生活にさまざまなメリットがあります。ここでは、肌断食を上手く取り入れた場合に得られるメリットについて解説します。
肌が本来持つ力を引き出せる
肌が健康な状態でいるためには、肌を乾燥・紫外線・摩擦などの外的刺激から守る「肌バリア」が正常に働いていることが必要不可欠です。私たちが普段行っているスキンケアでは、水分・油分・美容成分などを取り入れることで肌のバリアを高める効果が期待できます。
自分の肌に合ったスキンケアをしていれば問題ありませんが、必要以上にアイテムを使うなどの過剰なスキンケアを続けてしまうと、かえって肌本来の力がうまく発揮できなくなることがあります。そのような場合、あえてスキンケアをせずに過ごすことで、肌のバリアが向上することがあります。
肌のターンオーバーサイクルが整う
スキンケアは肌のバリアを高めるほかにも、肌についた汚れや古い角質を取り除いてターンオーバーをうながす役割を担っています。しかし、こちらもスキンケアを必要以上に行うのは逆効果で、かえってターンオーバーサイクルを乱してしまうおそれがあります。
肌断食は過剰なスキンケアを行わないことで、肌が本来持っている力によってターンオーバーサイクルを整えるのをサポートします。
肌への負担が減る
実は、私たちが普段スキンケアやメイクをするたびに、肌には摩擦が起きています。顔の肌は皮膚が薄くデリケートなため、強く擦らなくても摩擦によってニキビができたり、赤みがでたりすることがあります。
肌断食は肌に触れる機会そのものが少なくなるため、肌負担が軽減され、肌トラブルが起きにくくなるという見方もできます。
節約になる
1世帯における年間で化粧品にかかる費用は、平均35,162円というデータがあります(日本化粧品工業会・2020年時点)。こちらは男女含めた平均の金額のため、日常的にメイクを行う人や、アイテムにこだわりがある人は、もっとかかっていることが多いのではないでしょうか。
肌断食ではスキンケアアイテムやメイクアイテムが必要ないため、その分の費用が浮くというメリットもあります。
肌断食の注意点
さまざまなメリットのある肌断食ですが、すべての人に適しているとは言えません。やり方やもともとの肌質によってはかえって肌に負担がかかるおそれがあるため、始める前に注意が必要です。
肌トラブルを起こす可能性がある
肌断食は、人によっては自分の体質・肌質に合わず、肌トラブルを起こすおそれがあります。肌断食を行うことによって乾燥やニキビ、毛穴の開きが悪化したり、場合によっては深刻な肌疾患につながる可能性もないとは言えません。
肌断食を始めるときは、初めから完全にスキンケアを断つのではなく、少しずつ取り入れるようにしましょう。また、肌断食が自分の肌に合うか不安な人は、事前に医師に相談すると失敗しにくいでしょう。
もともと皮膚疾患のある人にはリスク大
普段行っているスキンケアやメイクによって肌が荒れやすい人は、肌断食による効果を実感しやすいでしょう。一方で、もともと皮膚疾患のある人が肌に何も与えない方法をとることは、効果よりもリスクの方が大きいといえます。
敏感肌やアトピー性皮膚炎の人など、もともと肌のバリアが弱い人にとって、肌の乾燥は大敵です。肌断食によって本来肌に必要な水分や油分も絶ってしまうと、症状を悪化させるおそれがあります。
肌断食のやり方
ここからは、実際に肌断食を始める場合の方法について解説します。肌断食には、スキンケア・メイクを完全に断つ「本格的な肌断食」と、できる範囲でゆるやかに行う「プチ肌断食」の2種類のやり方があります。
本格的な肌断食
本格的な肌断食は、クレンジングや洗顔、スキンケアなどを一切行わず、肌に何も施さない方法です。洗顔は水やぬるま湯で行い、肌の乾燥が気になる場合は、白色ワセリンを塗布するのみにとどめます。
これを期間は決めずに24時間365日行い続け、肌断食の状態を習慣化させるのがこのやり方です。スキンケアやメイクだけでなく洗顔フォームも使えないため、さまざまな制限がかかるでしょう。
プチ肌断食
プチ肌断食は本格的な肌断食よりもゆるく、最低限の化粧品は使っても構いません。メイクはすべて石鹸で落ちる商品であれば可能、洗顔は無添加のせっけんであればOKです。肌が乾燥したときは、ワセリンやホホバオイルなど天然由来のアイテムを使うなど、できる範囲で肌断食を行います。
プチ肌断食では、断食を行うのは休日や夜だけなど、期間を限定することもできます。自分の生活スタイルに合わせて柔軟に取り入れられるのが魅力です。
肌断食を成功させるポイント
肌断食を成功させるためには、専門家に相談したり、スキンケア以外の保湿を徹底したりすることが大切です。ここでは、肌断食を始める際に押さえておきたいポイントについて解説します。
肌断食をする前に専門家に相談する
最初から自分の判断で肌断食を行うと、肌が乾燥しすぎてしまったり判断を間違ったりして、深刻な肌トラブルを引き起こす可能性があります。特に本格的な肌断食は極端にスキンケア・メイクに制限を行うため、間違った方法で進めてしまうと大変危険です。
肌が弱い方や疾患を持っている方はもちろん、特に肌トラブルのない肌質の人でも、始める前に肌の専門家などに相談しておくとよいでしょう。
プチ肌断食から始める
いきなり本格的な肌断食を始めるのではなく、プチ肌断食から始める方法もあります。今まで普通に行ってきたスキンケアの習慣を突然断ってしまうと、かえって肌に負担がかかってしまうかもしれません。特に肌が乾燥しやすくなり、それによって肌荒れが起きる可能性があります。
プチ肌断食では使っていくアイテムを少しずつ減らすことができるため、肌の様子をみながら徐々に取り入れることが可能です。
肌に異常を感じたら中止する
肌断食は、すべての人に適している方法ではありません。肌断食を始めてから肌のかゆみや炎症が4〜5日間続いたり、肌荒れがひどくなったりした場合は、無理せずすぐに中止するようにしてください。肌に異常が起きているまま放置していると、治療に時間がかかってしまいます。
もし少しでも違和感を感じたり、これで本当にあってる?と不安に思ったりした時には肌断食が自分の肌に合っていない可能性があります。早めに病院を受診するようにしましょう。
化粧品以外で保湿をする
肌の保湿は、スキンケア以外でも補うことができます。こまめに水分補給を行い、加湿器で部屋の湿度を維持したり、エアコンや外の風を浴びすぎないようにしたりすると乾燥を防げます。水分補給のために水筒を持ち歩くのもよいでしょう。ただし、水やお茶以外の飲み物は糖分が多く、水分補給目的として適していないため避けるのがベターです。
肌断食を行っていないときでも、日常生活では肌が乾燥しやすいシーンが多いもの。水分補給を習慣化すれば、肌の乾燥を防げるでしょう。
日焼け止めを使用する
肌断食をしている場合でも、日焼け止めは必須です。外出する際は日焼け止めを塗った後にパウダーを重ねると、肌にほこりや花粉が付きにくくなります。
日焼け止めを選ぶときは、以下の3つのポイントに着目して選びましょう。
・紫外線吸収剤不使用
・クレンジングを使わずに落とせる
・SPFやPAの数値が低い(普段使いならSPF20〜30、PA++〜+++程度で十分)
肌断食中でも以上の3つを満たしている日焼け止めであれば、肌負担を少なく抑えることができます。
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紫外線対策を行う
日焼け止めに加えて、日傘・アームカバー・帽子などのUVカットアイテムを使うと、紫外線によるシミやしわを予防しやすくなります。
日傘や帽子は直射日光を避けることができるため、単に紫外線を防ぐだけでなく、体感温度が低くなるのも魅力です。近年は遮光率やUVカット率の高い日傘や帽子が多く販売されています。
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生活習慣を見直す
肌断食と同時に、食事や睡眠などの生活習慣を見直すことも大切です。
生活習慣改善のポイント
・食事は、たんぱく質やビタミンなどをバランスよく摂取する
・お菓子や脂質が高い食べ物を控える
・寝る4時間前には食事を終わらせる
・寝る前は携帯をいじらない
・良い睡眠習慣を取り入れる
肉・野菜・果物をバランスよく食べ、質の良い睡眠を取るために寝る前には食事やブルーライトを避けるのが効果的です。今日から実践できるポイントもあるので、ぜひ参考にしてください。
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肌断食が向いていない人
以下の条件に当てはまる人は、肌断食が向いていない可能性があります。
・化粧をする必要がある
・アトピー・敏感肌など、もともと肌が乾燥しやすい
日常的に化粧をする人は、それに伴ってクレンジングや洗顔料を用いた洗顔が必要になります。肌断食は中途半端に行うと失敗しやすいため、このような場合は適していません。
アトピーや敏感肌などの肌が乾燥しやすい人は、まずは医師の指導に従うようにしましょう。自己判断で肌断食を進めることは、症状を悪化させたり、思わぬ肌トラブルが起こったりするおそれがあるため注意が必要です。
「肌断食」の本当の目的を理解して素肌美人を目指そう
今回は、スキンケアやメイクを行わない肌断食という美容法について解説しました。肌断食を上手く取り入れれば、日頃のスキンケアやメイクでの肌負担が軽減されるほか、ターンオーバーサイクルが整って肌本来の力が発揮されやすくなります。
ただし、すべての人に適している方法ではないことを認識することが大切です。もし実際に肌断食を始めたことによってかゆみや炎症が起きた場合は、すぐに専門家へ相談してください。
肌断食には「本格的な肌断食」と「プチ肌断食」の2種類がありますが、手軽に始めてみたい人は、使う化粧品を徐々に減らしていく「プチ肌断食」から取り入れてみましょう。