【薬剤師監修】ビタミンCを過剰摂取するとどうなる?主な症状や適切な摂取量について解説
日頃から美容や健康のために、食事やサプリメントから積極的にビタミンCを摂取している方も多いのではないでしょうか。
しかし、身体にいいからといって摂りすぎると、かえって身体の不調をまねく可能性も。
この記事では、ビタミンCを摂りすぎることで起こる症状や、適切な摂取量について詳しく解説します。ビタミンCを豊富に含む食材や効率的に摂取する方法についても紹介しているので、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
教えてくれたのは
薬剤師 稲嶺千春 さん
大学卒業後、製薬企業で健康食品の品質保証に携わる。その後、調剤薬局の薬剤師へと転職して心療内科の処方を中心とした臨床経験を積む。会社員として働くなかで、自分の力だけで人々に価値提供していくことに興味をもち、もともと興味のあった美容や健康分野を中心に執筆活動をしている。
ビタミンCを過剰摂取するとどうなる?
ビタミンCを摂りすぎても、、基本的には身体への悪影響はないと考えられています。
ビタミンCは水溶性(水に溶けやすい性質)のため、余分に摂取した分は体内に蓄積されずに排出されるような仕組みになっているためです。
しかし、大量に摂取しすぎた場合には、身体の不調が現れることも。具体的な症状については、次の項目で詳しく説明します。
健康や美容にいいとされている成分であるビタミンCでも、たくさん摂ればいいというわけではなく、適切な量を摂取することが大切なのです。
ビタミンCを摂りすぎた場合の一般的な症状
ビタミンCを摂りすぎた場合、腹痛や下痢といった胃腸の症状に加えて、だるさや関節の痛みなどを引き起こす可能性があります。
胃腸の症状(腹痛や下痢など)
ビタミンCを摂りすぎると、腸における水分吸収がさまたげられるため、腹痛や下痢などの胃腸症状を引き起こしやすくなります。
だるさや関節の痛み
体内に鉄が過剰にたまる「鉄過剰症(ヘモクロマトーシス)」と呼ばれる病気の方では、鉄の過剰状態が悪化して、だるさや関節の痛みといった症状を引き起こす可能性があります。
ビタミンCは食品に含まれる鉄の身体への吸収を促進するので、摂りすぎると鉄過剰症の症状がでやすくなってしまうのです。
そもそもビタミンCが必要な理由とは?
「ビタミンCは健康にいい」というイメージをもっている方は多いかと思いますが、具体的にはどのような働きがあるのでしょうか。ここでは、ビタミンCがもつ働きを健康面と美容面にわけてご紹介します。
健康面
・免疫力向上
・身体の酸化を防止する
・血中のコレステロールを下げる
・鉄分の吸収を促進する など
美容面
・ハリ・弾力アップ(コラーゲンの合成)
・シミの予防・改善(メラニンの生成を抑える)
・シワの予防・改善(活性酸素を取り除く)
・ニキビ・肌荒れの予防・改善(皮脂の分泌量をコントロールする) など
このように、ビタミンCは私たちの健康の維持にはもちろん、美容面においてもさまざまな働きをもっています。
しかし、そんな重要な栄養素であるビタミンCはヒトの体内では作れないため、食事やサプリメントから適切な量を摂取する必要があるのです。
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適切なビタミンCの摂取量はどれくらい?
ビタミンCを過剰に摂取すると、腹痛や下痢といった症状がでることがあるため、適切な量を摂ることが大切です。ここでは、年齢や性別などによるビタミンCの摂取量の基準や、一日に摂ってもいいビタミンCの最大量もご紹介します。
一日に摂るべきビタミンCの量
ビタミンCの適切な摂取量は年齢や性別によっても異なりますが、成人(15歳以上)で1日あたり100mgほどが望ましいとされています。ビタミンCをサプリメントで摂取する場合は、1日あたり1,000mg以下になるようにしましょう。
ビタミンCの1日の平均摂取推奨量
ライフステージ | 摂取推奨量 |
---|---|
生後6カ月 | 40 mg |
幼児7-12カ月 | 50 mg |
小児1-3歳 | 15 mg |
小児4-8歳 | 25 mg |
小児 9-13歳 | 45 mg |
10歳代14-18歳:(男子) | 75 mg |
10歳代14-18歳:(女子) | 65 mg |
成人(男性) | 90 mg |
成人(女性) | 75 mg |
妊婦 | 85 mg |
授乳婦 | 120 mg |
参照: eJIM 厚生労働省
喫煙習慣がある方や、日頃から副流煙にさらされている方は、非喫煙者よりもビタミンCを1日につき35mg多く摂取する必要があります。これは、タバコに含まれるニコチンといった有害物質が体内のビタミンCを破壊してしまうためです。
一日の最大摂取量
成人(15歳以上)は、ビタミンCの摂取量を1日あたり2000mg未満にしましょう。これまで食事からの過剰摂取の報告はありませんが、大量に摂取すると腹痛や下痢などの胃腸症状を引き起こす場合があります。
日頃から食事に加えてサプリメントでビタミンCを摂取する習慣がある方は、最大摂取量を超えないように注意しましょう。
ビタミンCが不足するとどうなる?
ビタミンCはヒトの体内で作ることができないので、食事やサプリメントから補う必要があります。そのため、摂取量が足りないとビタミンC欠乏症である「壊血病」になることも。
体内でビタミンCが不足すると、以下のような心身の不調があらわれることがあります。
【ビタミンCの不足で起こりうる症状】
・皮膚の乾燥
・だるさ
・うつ
・疲れやすさ
・貧血
・歯茎からの出血
・免疫力の低下 など
ビタミンCが不足すると、コラーゲンの合成ができなくなることで血管がもろくなり、全身のさまざまな部位から出血することもあります。
ビタミンCが豊富な食材
ビタミンCは、調理されていない野菜や果物に多く含まれます。ここでは、ビタミンCが豊富な野菜や果物と、それぞれに含まれるビタミンCの量を紹介します。
ビタミンCが豊富な食材とビタミンC含有量
食品名 | 食品名 100gあたりのビタミンC(mg) |
---|---|
赤ピーマン | 170 mg |
ブロッコリー | 120 mg |
菜の花 | 110 mg |
キウイフルーツ(緑) | 69 mg |
イチゴ | 62 mg |
ネーブル | 60 mg |
レモン果汁 | 50 mg |
ジャガイモ | 35 mg |
サツマイモ | 29 mg |
参照: 日本食品成分表 文部科学省
野菜や果物を食べる代わりに、普段からビタミンCのサプリメントをよく飲む方もいるかと思います。しかし、ビタミンC基本的には食材から摂取した方が吸収効率がいいとされています。
日頃から野菜や果物をしっかり摂る習慣をつけた上で、足りない分をサプリメントで補いましょう。
ビタミンCの効果的な摂取方法
ビタミンCを含む食材は、できるだけ生の状態で食べましょう。ビタミンCは水溶性(水の溶けやすい性質)で熱に弱いため、調理の際に洗ったり、加熱したりすることによって減少してしまいます。
そのため、ビタミンCを含む食材を炒めたりゆでたりする場合は「水や熱に接する時間を短くする」、「スープにして汁ごと摂取する」といった工夫も効果的です。
ただ、野菜の中でも、じゃがいもやさつまいもなどに含まれるビタミンCはでんぷんで保護されているので、調理後にもビタミンCが残りやすいという特徴があります。
ビタミンCは一度に摂りすぎても吸収率が下がってしまうので、一日の中で100~300mgの量を数回にわけて摂取してみてください。
ビタミンCは適切な量を効率的に摂取することが大切
ビタミンCは、健康や美容に欠かせない栄養素のひとつであり、免疫力向上や肌の美容効果などが期待されています。ビタミンCは水溶性なので、余分なものは体外に排出されますが、過剰に摂取することで腹痛や下痢といった不調が起こる場合も。
食品から摂る場合は一日あたり100mg、サプリメントから摂取する場合は一日あたり1000mgを目安にしましょう。健康な身体を維持するためには、適切な量のビタミンCをこまめに摂取することが大切です。