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トラネキサム酸の服用をやめたらシミや肝斑は戻る?美容効果と副作用を解説

年齢を重ねるごとに増えるシミや肝斑などの肌トラブルに悩んでいる方は多いのではないでしょうか。シミや肝斑の治療にはトラネキサム酸の服用が効果的で、一次治療の薬にも選択されています。

トラネキサム酸は風邪薬と一緒に処方されることもあり、一般的に用いられている成分でもあります。一方で、実際の美容効果や副作用について気になる方もいるでしょう。

そこでこの記事では、トラネキサム酸の美容効果や副作用について解説します。トラネキサム酸について正しい知識を得て、美容に役立てていきましょう。

トラネキサム酸とは

トラネキサム酸はアミノ酸の一種です。タンパク質を構成する必須アミノ酸のリシンを元に、人工的に合成されました。炎症を引き起こす酵素「プラスミン」の働きを抑制する抗プラスミン作用があります。

プラスミンは、シミや肝斑のもととなるメラニンの生成を促す酵素でもあります。トラネキサム酸がプラスミンの働きを抑制することで、シミ・肝斑の予防や改善に効果を発揮するのです。トラネキサム酸はこのほかにも、喉の腫れ・口内炎の炎症をやわらげる治療薬や、止血薬、毎日使う歯磨き粉などにも幅広く使われています。

トラネキサム酸の効果

トラネキサム酸はシミや肝斑の改善以外にもさまざまな効果があるのをご存じでしょうか。ここでは、トラネキサム酸の主な効果について解説します。

シミ・肝斑の改善

トラネキサム酸は、メラニンの生成を活性化させるプラスミンを抑える作用があり、シミや肝斑の予防・改善に役立ちます。シミは、メラニン細胞から生成されるメラニン色素が肌に沈着したものです。

通常であればメラニンは、紫外線や摩擦などから肌を守り、肌の新陳代謝とともに体外に排出されます。しかし、生活習慣の乱れや加齢などの影響で肌に蓄積すると、シミとなって現れるのです。

肝斑もシミの一種ですが、原因は紫外線ではありません。女性ホルモンのバランスが乱れてメラニンが多く作られることです。いずれにしても、トラネキサム酸はプラスミンの働きを抑制するので、服用中はメラニンそのものが生まれにくくなります。この間に新陳代謝が進むと、シミや肝斑ができにくい肌となっていきます。

ニキビ跡の改善

トラネキサム酸はメラニンの過剰な生成を抑えるほか、炎症を抑制する作用があるので、ニキビの炎症を抑えてニキビ跡を改善します。ニキビ跡が黒ずむ原因は、ニキビによって炎症を起こし、肌が色素沈着しやすくなっているため。そこへ紫外線を浴びることで、さらに肌でメラニンが過剰に生成されてしまうためです。

ニキビができている際にトラネキサム酸を服用すると、メラニンの過剰な生成を抑えるため、ニキビ跡が酷くならずに済みます。日焼け止めをしっかり塗るなどの紫外線予防も取り入れると、よりニキビ跡の改善に効果的です。

止血効果

トラネキサム酸には血を止める効果もあります。炎症やメラニンの生成を促すプラスミンは、血のかたまりを溶かす働きも持っている酵素です。血管内の血の流れを良くしますが、プラスミンの働きが活発すぎると血が止まらなくなることもあります。

トラネキサム酸はプラスミンの働きを抑制するので、服用すると出血を止められます。医療分野では、白血病による出血や再生不良性貧血、肺出血などの抑制のほか、生理が重い際に経血量を減らす際にも利用されています。

抗炎症作用

トラネキサム酸には炎症を抑える抗炎症作用があります。 例えば、のどの痛みや口内炎などの炎症が起こっているとき、患部はウイルスなどの影響で細胞が破壊されている状態です。破壊された細胞からは、炎症を招く酵素プラスミンが放出されます。プラスミンは痛みのもとになる物質を誘発するので、のどや口内炎が痛み、炎症が起こるのです。

トラネキサム酸を服用すれば、プラスミンの働きが抑制され、のどの痛みや口内炎の症状を改善できます。もともとトラネキサム酸は抗炎症・抗アレルギー・止血作用のある医療薬として広く用いられてきました。現在も風邪薬に配合されていたり、のどが痛む際に処方されたりすることがあります。

トラネキサム酸をやめたらシミや肝斑はどうなる?

トラネキサム酸には肌にうれしい様々な効果がありますが、服用をやめるとどうなるのでしょうか。ここでは、トラネキサム酸の服用について解説します。

トラネキサム酸の服用をやめたらもとに戻る?

トラネキサム酸の服用をやめてしまうと、シミや肝斑の症状が再度現れ、肌の調子がもとに戻る可能性があります。これは、トラネキサム酸によって抑制されていたプラスミンの作用がもとに戻ってしまうからです。

トラネキサム酸はプラスミンに働きかけることで、シミや肝斑の原因の一つであるメラニンの生成を初期の段階で阻害するという特徴があります。トラネキサム酸の服用をやめると、プラスミンの働きが活発になっていくので、メラニン生成の阻害効果はなくなってしまうのです。

効果を実感するには、トラネキサム酸の服用を自己判断でやめないようにしましょう。市販薬であれ医薬品であれ使用上の注意を読み、使用期間を確認して服用してください。

トラネキサム酸は長期服用しても大丈夫?

では、トラネキサム酸は長期的に飲み続けても問題はないのでしょうか。

結論から言うと、トラネキサム酸は長期的に服用しても問題ありません。個人差はありますが、トラネキサム酸の効果は服用から数か月で現れます。短期間の服用では効果が現れにくい上、飲むのをやめるとシミや肝斑の症状が元に戻ってしまう可能性が高くなるため、注意しましょう。

トラネキサム酸は長く飲み続けることで、シミや肝斑の予防・改善の高い効果が期待できます。副作用の少ない薬ですが、体質によっては服用の期間や量が制限されるケースもゼロではありません。市販薬でも休薬期間を設定しているものもあります。市販薬でも処方薬でも、使用上の注意を読んで正しく服用するようにしましょう。

トラネキサム酸と併用してはいけない薬

トラネキサム酸には止血作用があるため、同じく止血作用のある薬(「トロンビン」など)と併用してはいけません。トロンビンは胃の出血を抑えるために比較的よく処方される薬です。トラネキサム酸にも止血作用があるため、併用すると体内に血栓ができる可能性が高まります。

処方された風邪薬にトラネキサム酸が含まれており、飲み合わせが心配という方もいるでしょう。トラネキサム酸は、ロキソニンなどの痛み止めとの併用は問題ありません。ただし、普段からトラネキサム酸を服用している場合、風邪薬として出された分も飲んでしまうと、一日の服用量をオーバーする可能性があります。診察時や処方の説明の際は、すでにトラネキサム酸を服用している旨を相談しましょう。

トラネキサム酸の副作用と注意点

トラネキサム酸の副作用について心配な方のために、ここではトラネキサム酸の副作用や注意点について解説します。

副作用のリスクは低い

トラネキサム酸は、個人差はあるものの副作用のリスクが低い薬です。仮に症状の無い方が服用したとしても、大きな問題はありません。ただし、副作用がまったくないわけではないことも念頭に置いておきましょう。主な副作用は食欲不振、嘔吐、下痢、胸やけ、悪心などです。このような症状が出た際は服用を中止し、医療機関に相談しましょう。

体調を崩しやすい妊娠中や授乳中などは副作用が出る可能性が高まるため、トラネキサム酸の服用前に医師に相談してください。人によっては服用できない場合もあるため、持病がある方もかかりつけ医に相談しましょう。

血栓ができやすい人は相談を

トラネキサム酸は、心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症の方は医師の診断なしで服用できません。心筋梗塞や脳梗塞は、血栓という血の固まりが血管に詰まって発症します。一度、心筋梗塞や脳梗塞になった方は、血栓ができやすい状態となっているケースがあります。このような状態でトラネキサム酸を服用すると、再び血栓ができ、病気が再発しかねません。

また症状がなくても、血栓ができやすい体質の方は、トラネキサム酸の服用によって血栓症になるリスクが高まります。持病を持っている方や心配な方は、トラネキサム酸を飲む前に医師に必ず相談しましょう。

白髪が増えるってホント?

トラネキサム酸の副作用として「白髪が増える」という話を目にしたことのある方も多いようです。しかし、トラネキサム酸と白髪の因果関係について医学的な根拠は報告されていません。

シミや肝斑などの肌トラブルが出てくる年齢は、おおよそ30代から40代で、このタイミングにトラネキサム酸を服用し始める方は多くいます。白髪が気になってくる年齢と時期が重なるので「トラネキサム酸を飲み始めたら白髪が増えた」という話が広がったと考えられます。実際は、トラネキサム酸を服用しても白髪が増えることはありません。

女性ホルモンへの影響は?

肝斑の原因は女性ホルモンの乱れとも言われています。そのため、肝斑をケアできるトラネキサム酸は、女性ホルモンに影響を与えるのだろうか、と疑問に思ったことはありませんか。結論から述べると、トラネキサム酸は女性ホルモンに影響を与える薬ではありません。

トラネキサム酸は、体内の酵素のプラスミンの働きを抑制することで、メラニン生成の活性化や炎症を抑えたりします。これは、女性ホルモンの分泌に直接影響を与えるホルモン剤とは全く異なるメカニズムです。

トラネキサム酸を購入するには

トラネキサム酸は病院で処方される医薬品のほか、市販薬も販売されています。購入する前に、ここで医薬品と市販薬の違いを確認しておきましょう。

医薬品で購入

シミや肝斑の悩みをしっかり解決したい場合は、医薬品のトラネキサム酸を購入しましょう。トラネキサム酸は医薬品だけでなく、市販薬としてドラッグストアなどでも販売されています。市販薬は医師の処方がなくても入手できるのがメリットです。一方で、医薬品ほどの効果が見込めない可能性があります。

医薬品は医師の診察が必要ですが、その分、個人の症状に合わせた処方によって適切な治療を受けられます。高い効果を期待する方は、医療機関でトラネキサム酸を処方してもらいましょう。

市販薬と医薬品の違い

市販薬と医薬品の大きな違いは、主成分や含有量が異なるところです。医薬品はトラネキサム酸のみが含有されているのに対して、市販薬はトラネキサム酸以外の成分も含まれています。市販薬に良く含まれている成分は、肌のターンオーバーやメラニンの生成抑制にアプローチするL-システインやビタミンCなどです。医薬品は個人の肌質やシミの状態に合わせて処方されるため、効果を得やすくなる点も大きな違いと言えます。

トラネキサム酸の1日あたりの服用量

トラネキサム酸の1日あたりの服用量の上限は、医薬品が2,000mgまで、市販薬は750mgまでと定められています。トラネキサム酸の効果を得たい場合は、医療機関を受診し、自身の肌の状態に合わせた医薬品を処方してもらいましょう。

なお、効果に期待できるからといって、処方された医薬品にプラスしてトラネキサム酸を飲むのは控えてください。あまりないとはいえ、副作用などのリスクが高まる恐れがあります。

トラネキサム酸でクリアな肌を目指そう

トラネキサム酸は、シミや肝斑などの予防や改善に非常に高い効果が期待できます。ただし、服用をやめると症状が戻ってしまう場合があることも把握しておきましょう。副作用は少ないとはいえ、人によっては服用できない場合もあります。

シミや肝斑をしっかりと改善していきたい場合は、医師の診断のもと、トラネキサム酸を処方してもらいましょう。肌状態や症状に合った適切な治療を受けられます。トラネキサム酸を正しく服用し、シミや肝斑のない美しいクリアな肌を目指しましょう。

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