美容医療のかかりつけ わたしの名医

脱毛後はレーザーや光の照射による肌ダメージが原因で、肌の炎症や赤いブツブツ・かゆみなどの症状を引き起こすことがあります。脱毛後の肌は普段以上に乾燥しやすく肌バリアも低下するため、毛包炎や毛嚢炎と呼ばれる皮膚疾患を発症する方もいます。

この記事では医師の宇井先生に監修いただき、脱毛後にできた赤いブツブツやかゆみの対処法や、脱毛前後にできる予防方法などについて詳しく解説します。肌の保湿や入念な紫外線対策を行い、脱毛後の肌を健康に保ちましょう。

監修者

やさしい美容皮膚科・皮フ科
秋葉原院 院長


医師 宇井 千穂 先生

準ミス日本受賞。全日空客室乗務員を経て、北里大学医学部を卒業し、皮膚科医、美容皮膚科医として勤務。
web雑誌での連載やサプリメント、化粧品の監修など、多方面で活躍中。

◆当コラムの掲載記事に関するご注意点
※監修者は「選び方」について監修・制作をおこなっています。掲載商品の監修には関わっておりません。
※掲載商品は選び方で記載した効果・効能があることを保証したものではありません。

脱毛後にできる赤いブツブツの正体とは?

脱毛後に肌にできる赤いブツブツの正体は、毛嚢炎(もうのうえん)または毛包炎(もうほうえん)と呼ばれるものです。これらは肌の表面に存在する、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などの常在菌が毛穴から肌の内部の毛包部分に侵入することで起こる炎症で、肌ダメージや肌バリアの低下が起こる脱毛後に多く見られます。

肌の表面までの炎症でとどまっている場合を毛包炎、肌内部の毛包の奥まで炎症が進んでいる場合を毛嚢炎と呼び、悪化すると化膿やしこりなどをともなった重大な皮膚疾患に繋がる可能性があります。

毛包炎や毛嚢炎は見た目がニキビとよく似ていますが、炎症を引き起こす原因が異なるため、治療方法や効果的な薬の種類も異なります。

脱毛で赤いブツブツやかゆみが出る原因

まずは、脱毛後に肌にできる赤いブツブツやかゆみの原因を知りましょう。1番に挙げられるのは脱毛による肌ダメージですが、ほかにも脱毛前の剃毛や脱毛後の毛の成長など、複数の原因が考えられます。

レーザー脱毛や光脱毛による肌の炎症

レーザー脱毛や光脱毛は、どちらも毛根のメラニン色素を狙って照射を行う脱毛法です。しかし、レーザーや光を肌に照射する際に、毛根だけでなく肌にもダメージが加わる可能性があります。それによって、肌が軽いやけどのような炎症を起こすことがあるのです。

とくに、レーザー脱毛は照射によって熱エネルギーが発生することで肌の表面温度が一時的に上昇し、肌内部の水分が奪われます。脱毛レーザー機器にはすべて冷却装置が付いていますが、肌の水分が失われると肌が乾燥してバリア機能が低下するため、肌が炎症を引き起こしやすい状態になります。

これらは脱毛を行うにあたって避けられないリスクなので、脱毛を始める前によく理解しておくことが重要です。

肌が傷ついている

脱毛を行う際、クリニックによっては来院前の毛の自己処理を求められます。カミソリを使ってシェービングをすると、誤って肌を傷つけてしまったり、肌表面の必要な角質まで削ってしまったりする可能性があります。また、毛抜きも毛穴へダメージを与えるため肌にとってよくありません。

カミソリや毛抜きによって肌や毛穴が傷つけられると、肌が外的刺激に弱くなるほか、細菌などを取り込みやすい状態になります。この肌状態で脱毛を行うと肌のバリア機能が正常に機能しにくいため、赤いブツブツやかゆみなどの症状を引き起こしやすくなります。脱毛前にシェービングを行う場合は、肌負担の少ない電気シェーバーを用いるのがベターです。

毛が成長している

肌のかゆみや炎症は、脱毛後に新たに生えてくる毛の成長によるものの可能性もあります。とくにVIO部分などの粘膜組織は、皮膚が薄く毛が濃いパーツは刺激を感じやすいため、毛が成長するときにかゆみを感じることがあります。

脱毛による赤いブツブツやかゆみの対処法

次は、脱毛後に赤いブツブツやかゆみが起きてしまった場合の対処法について解説します。もし脱毛後に症状が現れた場合は、このような処置をおこなって症状の悪化を防ぎましょう。

冷却

脱毛後に赤いブツブツやかゆみが起きたら、患部を冷やすのが効果的です。症状の出ている部分にタオルで巻いた保冷剤や冷やしタオルなどを当て、10〜20分ほどアイシングしましょう。症状の出ている部分は肌が炎症を起こしている状態なので、アイシングを行うことで肌の内側にこもった熱を逃すことができ、症状を落ち着かせることができます。クーリングするときには低温火傷に気をつけましょう。

保湿

肌を保湿することは、症状の有無に関わらず、脱毛後のケアとして非常に重要です。特に乾燥しやすいのはお風呂を出てからの10分です。赤いブツブツやかゆみが出ているときはとくに肌が乾燥している状態なので、入浴後や洗顔後のスキンケア・ボディケアを念入りに行いましょう。また、エアコンや外気の風でも肌は乾燥してしまうため、日中のこまめな保湿ケアも大切です。

薬を塗る

脱毛後に赤いブツブツやかゆみの症状が出たら、肌の炎症を抑える薬を塗るのも効果的です。クリニックによっては、施術後に炎症止めの軟膏を処方してもらえる場合もあります。

<脱毛後の炎症に効果的な薬>
・ステロイド薬(肌の炎症や赤みを抑える薬。弱いものから強いものまである)
・抗菌薬(脱毛後の毛嚢炎に効果的な薬。皮膚感染での細菌に対する薬)
・保湿剤(肌の乾燥を防ぎ、症状の予防改善を行うもの。ヒルドイドが有名)

これらの薬の中には効き目が強いものや副作用が出るものもあるので、使用前に必ずクリニックの指示を仰ぐようにしましょう。

清潔にする

肌のブツブツ・かゆみの症状が出てしまったら、患部を清潔に保って症状の悪化を防ぎましょう。汗をかいたらこまめに拭く、吸汗性・吸湿性の高い綿や絹の下着を使用するなどして、肌がサラサラの状態をキープするのがポイントです。とくにVIO部分は肌が蒸れやすいので、脱毛後用に通気性の高い下着を数着持っていても良いかもしれません。

クリニックに相談する

脱毛後から1週間ほど経っても赤いブツブツやかゆみが治まらない場合は、症状が悪化していたりほかの皮膚疾患を併発していたりする可能性があるため、すぐにクリニックへ相談しましょう。脱毛後に肌トラブルが起きたときのためにも、皮膚科の診察に対応しているクリニックで脱毛を受けると、診察から処方までがスムーズで便利です。

脱毛による赤いブツブツやかゆみを予防する方法

ここからは、脱毛後の赤いブツブツやかゆみを予防する方法について解説します。脱毛後に症状を引き起こさないためにも、脱毛前後にしっかりと対策を行うことが重要です。

血行を促す行動は控える

脱毛後は、血行を促すような行動は控えるのが好ましいです。血液の流れがよくなると、脱毛後のかゆみや炎症が鎮静できず、症状が悪化しやすくなってしまいます。

また、血行が促進されると汗をかきやすくなるため、汗によって肌の表面に雑菌が増えることで、赤いブツブツがさらにひどくなってしまう可能性もあります。

脱毛直後は長風呂やサウナ・激しい運動・マッサージ・飲酒などの血行が促される行動を控えるようにしましょう。

紫外線対策をしっかり行う

脱毛後は、紫外線対策をしっかり行うこともとても重要です。脱毛後は肌がダメージを受けることで肌バリアが低下しているため、紫外線ダメージを普段以上に受けやすい状態になっています。

外出時には顔や体にしっかりと日焼け止めを塗り、帽子や日傘、アームカバーなどを着用するなどして紫外線対策を行いましょう。とくに皮膚が軽い炎症を起こしている場合は、これ以上悪化させないためにも、普段以上に気を遣う必要があります。

肌を刺激しない

脱毛後は、肌の炎症や赤いブツブツ・かゆみの発生を防ぐために、肌に刺激を与えないように心がけましょう。

肌を掻いたり擦ったりすることはもちろん、締め付け感の強い下着や衣服も摩擦によって肌を刺激する可能性があるため、なるべく避けるのがベターです。

また、シェービングを行う場合は、刺激の強いカミソリや毛抜きを使うと皮膚を傷つけたり肌バリアを弱めたりする原因になるため、肌を傷つけにくい電気シェーバーを使用すると良いでしょう。

体調を整える

脱毛後の肌を健康に保つためには、体調を整えておくことも重要です。人間は体調が悪くなると肌の調子も悪くなり、肌バリアが低下します。

例えば夜更かしをして肌を十分に休められない日が続くと、ターンオーバーサイクルが乱れて肌荒れが起こることがあります。脱毛前後はしっかりと睡眠をとって生活リズムを整え、健康的な肌をキープすることが大切です。

脱毛後に赤いブツブツやかゆみが出やすい部位

脱毛後の赤いブツブツやかゆみは、部位によって症状の出やすさが異なります。とくに、皮膚の薄い顔部分や衣服による蒸れが起こりやすい脇・VIOは炎症を引き起こしやすいため、脱毛前後は注意が必要です。

顔は全身のなかでもとくに皮膚が薄いために脱毛による熱を感じやすく、脱毛後の炎症を起こしやすいパーツです。

また女性の場合、顔まわりの毛はほとんどが細く柔らかい産毛で、ほかの部分に生えている毛と比べて脱毛器を照射した際のメラニンの反応が弱くなります。

そのため、顔の脱毛を行う際はメラニンにしっかりとアプローチするためにレーザーや光の出力を通常時よりも上げたり、レーザーの種類を変えて行うことが多く、ほかのパーツの脱毛に比べて肌負担や肌ダメージが大きくなります。

脇は全身のなかでもとくに汗をかきやすく、さらに皮膚が重なっているために蒸れやすいという特性があります。下着や洋服で覆われているパーツでもあり、蒸れによるかゆみも感じやすいでしょう。

また、脇は肌の内側に熱がこもりやすく、熱を発散するときに同時に肌の水分も奪われてしまうため、乾燥による肌のかゆみを引き起こす場合もあります。

脱毛後は蒸れや熱のこもりを抑えるために、締め付けが少なく通気性の高い衣服を身につけると良いでしょう。

VIO

VIO部分は下着が肌に密着し、さらに上からストッキングやスカート・パンツなどを重ね着するため、蒸れや摩擦が起こりやすいパーツです。

蒸れや摩擦によって肌が刺激されると、脱毛した部分にかゆみを感じたり、赤いブツブツができたりする場合があります。

脱毛後は通気性や吸湿性の高い綿100%の下着を身につけたり、縫い目のないシームレスタイプの下着を身につけたりして、蒸れや摩擦を防ぎましょう。

脱毛後の赤いブツブツやかゆみはいつ落ち着く?

脱毛後に起きた赤いブツブツやかゆみなどの症状は、人によって落ち着くまでにかかる期間に差があります。赤みだけの症状は3日ほどで落ち着きやすいですが、肌全体が炎症を起こしている場合は、1〜2週間ほどかかることもあるでしょう。

肌のうるおいを守ることでブツブツやかゆみは抑えられる

脱毛後の肌に赤いブツブツやかゆみが起こる原因は、肌の乾燥や肌バリアの低下によって引き起こされる炎症が関係していることがわかりました。このような症状を改善するためには、患部を冷やしたり保湿を入念に行ったりすることが効果的です。

また、日頃から日焼け止めや日傘などの紫外線対策を行い、脱毛前は体調や生活リズムを整えておくと、脱毛による肌の炎症を予防しやすくなるでしょう。これから脱毛の施術を控えている方は、ぜひ今回ご紹介した方法を実践してみてはいかがでしょうか。

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