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レスベラトロール 美容効果や含有食品、サプリの選び方・飲み方まで徹底解説

長寿遺伝子を活性化させて、延命効果をもつ可能性が期待されている成分「レスベラトロール」。ポリフェノールの一種でもあるレスベラトロールは、その抗酸化作用からアンチエイジング効果や美肌効果だけでなく様々な健康効果が報告されています。

この記事では、レスベラトロールの効果や含有食品、サプリメントの選び方のポイント・注意点を解説します。

レスベラトロールとは

まずはレスベラトロールがどんな成分かについてご説明します。

レスベラトロールって何?

レスベラトロールは、ブドウの皮や赤ワイン、落花生の種皮などに含まれるポリフェノールの一種です。2006年に世界的権威のある学術誌「Nature」で哺乳類での延命効果が報告されたことから一躍注目を集めました。

赤ワインの消費量が世界一であるフランス人が、高脂肪食なのにもかかわらず心臓血管の病気が少ないという“フレンチパラドックス”の鍵を握る成分ではないかとも言われています。

数千の論文で動物実験による様々な効果が期待できることが報告されていますが、ヒトでの臨床試験も徐々に進められており、その効果が実証されはじめています。

レスベラトロールの種類

レスベラトロールは化学構造の違いでトランス型とシス型に分けられます。

トランス-レスベラトロール
ワインや野菜など自然の食材から取れる安定した分子構造を持っています。
多くの研究・論文報告においてはトランス型が用いられており、実際に細胞の若返りや老化を防ぐ効果が期待できるのはこのトランス型であると言われています。そのため、サプリメントにはトランス-レスベラトロールとして何㎎含有しているかを表記されていることが多いです。

シス-レスベラトロール
太陽の光や熱、酸化などに対して不安定な構造です。

レスベラトロールの効果

さまざまな作用が報告されているレスベラトロールですが、具体的にどのような効果が期待できるのかをご説明します。

健康に対する効果

長寿

食事のカロリーを制限すると、サーチュインと呼ばれる長寿遺伝子が活性化されることが知られています。サーチュインは遺伝子の末端部分にあるテロメアと呼ばれる部分が加齢とともに短くなるのを防ぐことで、細胞の修復を促し寿命を延ばす効果があります。

レスベラトロールには、カロリー制限をしなくてもサーチュインを間接的に活性化する作用が確認されており、延命効果が期待できると言われています。この働きをもつことでレスベラトロールは注目を浴びることとなりましたが、実際のところはヒトでの臨床試験データはまだ少なく、ヒトでも延命効果があるかどうかは研究段階のようです。

メタボリックシンドロームの予防

メタボリックシンドロームは、お腹の内側や内臓の周りに脂肪が蓄積されており、動脈硬化や糖尿病などの様々な生活習慣の引き金になると考えられています。

肥満のヒト被験者に対して、レスベラトロールを150㎎/日で30日間摂取させたところ、収縮期血圧の低下や血糖値・インスリン抵抗性の改善などの変化が認められました。そのほか代謝の変化を促しカロリー制限をしたときと同様の効果が示されたことから、レスベラトロールはメタボリックシンドロームや動脈硬化・糖尿病などの生活習慣病を予防する効果が期待できると報告されています。*¹

血液の流れを良くして心臓病などの予防

血液中の悪玉コレステロールが活性酸素によって酸化され、蓄積することで血管の弾力が失われて動脈硬化や心臓病の原因になると言われています。
レスベラトロールは抗酸化作用をもつことから、悪玉コレステロールの酸化を抑制して心臓病や動脈硬化を防ぐ効果が期待できます。

また、一酸化窒素(NO)合成酵素を活性化し血管を拡張させる作用もあるため、からだ全体の血液の流れを改善することにより心臓病や脳血管疾患を防ぐ効果も期待できます。大阪大学の研究によると、この作用により陰茎動脈も拡張させるため、EDを改善して男性機能の低下を抑える効果も報告されています。

不妊症の改善

卵子の中には、通常の細胞の100倍以上の数のミトコンドリアが存在します。ミトコンドリアは細胞内でエネルギーを作り出すいわば“発電所”のような役割を果たしており、産生されたエネルギーを受け取って卵子は正常に成熟し、子宮に着床します。しかし加齢とともにミトコンドリアの数が減ってしまうことで卵子の質が落ちてしまうと言われています。

レスベラトロールがサーチュイン遺伝子を活性化させると、ミトコンドリアの働きも活発になります。その結果、卵子の質が改善されるため、レスベラトロールは生殖医療の現場で用いられることもあります。
一方で2020年に報告された論文によると、卵子が子宮に着床する時期に摂取すると流産や卵子の着床率の低下につながる可能性があるようです。そのため、妊娠を希望される方は、必ず服用時期を医師と相談してからレスベラトロールを摂取するようにしましょう。*²

女性ホルモン様作用と乳がんの予防

レスベラトロールは、合成女性ホルモンであるジエチルスチルベステロールと同様に化学構造にスチルベン骨格をもつため、女性ホルモン様作用があると言われています。
そのため、更年期症状の改善に効果が期待できます。

また、乳がんの約7割は、女性ホルモンであるエストロゲンと結合して増殖する性質があります。そのため治療にはエストロゲンを抑えるホルモン療法が用いられますが、続けるうちに治療抵抗性が現れ、乳がんが再発する場合があります。再発に関与する遺伝子は研究で明らかになっており、女性ホルモン様作用のあるレスベラトロールがこの遺伝子の働きを抑えることで、再発乳がんに効果が期待できるという研究結果が一部で報告されています。*³

美容に対する効果

レスベラトロールは、サーチュイン遺伝子活性化作用、抗酸化作用、血行促進作用、女性ホルモン様作用などをもつことから、以下のような美容効果も期待できます。

肌の弾力改善

レスベラトロールによって、サーチュイン遺伝子が活性化されると、細胞の生成や修復が促進されることで肌のターンオーバーが正常化します。

また、紫外線やストレスで発生した活性酸素を除去してコラーゲンやエラスチンの分解を防ぐだけでなく、女性ホルモン様作用でコラーゲンの生成を促進する働きももつため、肌の弾力を改善する効果が期待できます。

レスベラトロールには血行促進作用もあるため、肌の細胞に栄養分や水分が行き渡りやすくなり、肌の潤いやくすみの改善も期待できるでしょう。

シミ予防

紫外線やストレスにより発生した活性酸素でメラノサイトが刺激を受けると、シミの元であるメラニンが肌の中で生成します。

レスベラトロールは、抗酸化作用でメラノサイトへの刺激を抑えるだけでなく、メラニンを生成する酵素であるチロシナーゼの働きも抑える作用ももつため、シミを効率よく予防してくれる効果が期待できます。

白髪防止

白髪の原因は、主に加齢による遺伝子損傷やストレス・紫外線による活性酸素の影響です。これらが毛髪の色素幹細胞にダメージを与えた結果、メラノサイトが毛髪に色をつけるメラニン色素を生成することができなくなるために白髪が生えます。そのほか頭皮の血行不良や栄養不足も白髪の原因のひとつと考えられています。

レスベラトロールによって、細胞の修復や活性酸素の除去、血行促進による栄養供給が促進されるため、白髪が生えにくくなる効果が期待できます。

レスベラトロールの取り入れ方

健康・美容に幅広い効果が期待できるレスベラトロールですが、効率良く摂取するためにどのような食品・サプリメントを選べば良いかをご説明します。

食品

サンタベリー

真っ赤な果実をつけるツツジ科の植物で、リンゴンベリー、コケモモとも呼ばれます。トランス-レスベラトロールをブドウよりも豊富に含む食材として知られています。

赤ワイン

ワインの種類には、主に赤・白・その中間のロゼワインがあります。
白ワインは、レスベラトロールが多く含まれる皮を取り除いて発酵・濃縮して作られます。一方、赤ワインは皮を含んだままの製法で作られるため、品質により差はあるものの白ワインの数倍の量のレスベラトロールが含有されると言われています。

ピーナッツ

薄皮の部分にレスベラトロールが多く含まれます。抗酸化作用のあるビタミンEやミネラル、食物繊維を多く含むため生活習慣病の予防が期待できる食材です。

サプリメント

レスベラトロールは多くのメーカーでサプリメントが販売されています。

海外製の商品の場合、タデ科植物のイタドリを原料に製造されているものがあります。しかし日本では、薬効・副作用の観点から医薬品区分となるためサプリメントへの配合は認められていません。また、イタドリにはエモジンというお腹が緩くなる成分が含まれていることもあり注意が必要です。

サプリメントを選ぶ際は、原材料やトランス-レスベラトロールの含有量をきちんと確認してから購入するようにしましょう。

レスベラトロールの副作用や安全性は

レスベラトロールを正しく摂取するために、副作用や注意点について確認します。

副作用はあるの?

レスベラトロールの摂取量の目安は1日に30~150㎎とされており、この範囲で摂取した場合の健康被害は現在のところ報告されていません。

しかし、健常人を対象にした臨床試験で、毎日グラム単位の高容量(2~5g)のレスベラトロールを摂取した場合、腹痛や下痢などの症状が現れることが確認されているほか、腎障害などを引き起こすリスクがあるとも言われています。*⁴

安全に摂取するための注意点

妊娠・授乳中はサプリメントの服用を避ける

レスベラトロールを含むサプリメントを妊娠・授乳期に摂取した場合の安全性のデータは現在のところありません。レスベラトロールを通常の食事から摂取する場合は問題ありませんが、サプリメントでの高容量の摂取は念のために避けるようにしましょう。

ホルモン療法、抗血栓薬を服用中の方は服用を避ける

レスベラトロールは一部で抗エストロゲン作用や抗血栓作用も報告されているため、ホルモン療法や抗血栓薬を服用されている方は、治療に影響を与える可能性があります。サプリメントで高容量に摂取することは避けましょう。

服用中の薬がある場合は医師・薬剤師に相談する

レスベラトロールは、複数の薬物代謝酵素(CYP1A2、CYP3A4、CYP2D6、CYP2C9など)に影響を与えることが報告されています。飲み合わせによっては、お薬の効果が必要以上に強くなってしまったり、逆に弱くなって効果が出にくくなってしまったりする可能性があります。

病気の治療で医薬品を服用している場合は必ず医師・薬剤師に相談の上、サプリメントを服用するようにしましょう。

レスベラトロールで若返りが期待できるかも?

長寿遺伝子サーチュインを活性化して、さまざまな健康・美容効果が報告されているレスベラトロール。適切に取り入れることで、からだの細胞を元気にして若返り効果が期待できるでしょう。

しかし、レスベラトロールをヒトが摂取した場合の病気の治療・予防効果についての臨床データの量はまだ十分とは言えません。レスベラトロールはあくまでも食品であるということを忘れずに、治療中に摂取する際には医師・薬剤師に相談するようにしましょう。

【参考文献】
1)Restriction-like Effects of 30 Days of Resveratrol Supplementation on Energy Metabolism and Metabolic Profile in Obese Humans.Cell Metab. 2011 Nov 2;14(5):612-22.
2)The actions of resveratrol in decidualizing endometrium: acceleration or inhibition?Keiji Kuroda,et al, Biology of Reproduction, ioaa172
Published: 21 September 2020
3)日本医療・健康情報研究所/創新社ホームページ
https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2019/008546.php
4)日本薬学会ホームページ
https://bukai.pharm.or.jp/bukai_kanei/topics/topics35.html

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