美容医療のかかりつけ わたしの名医

乳酸菌 期待できる5つの効果とは?生活での上手な取り入れ方を解説

乳酸菌は腸内環境を整える菌として知られています。腸内環境は美肌づくりだけでなく、アレルギーやアトピー性皮膚炎など、免疫疾患との関係も指摘されている場所です。すこやかな毎日のために、ヨーグルトの摂取を習慣としている人もいます。

近年は、免疫やストレス対策、睡眠をサポートする乳酸菌を配合した商品も登場しています。しかし、なぜ乳酸菌にはこのような効果が期待できるのでしょうか。

「乳酸菌を取り入れて生き生きとした生活や美容に役立てたい」と考えている人は、ぜひこの記事で詳細をご確認ください。

乳酸菌とは

乳酸菌とは、腸内の環境を整えている嫌気性微生物の総称です。乳酸菌という名前の菌がある訳ではありません。

乳酸菌の特徴は、糖類を発酵させて乳酸という物質を生み出すことです。人の腸内だけでなく皮膚や口の中、発酵食品や土、植物、海にも存在しています。

乳酸菌は「善玉菌」の一種

乳酸菌は腸の中で良い働きをする善玉菌の一種です。これに対し、腸内で増えると体に悪さをする菌を悪玉菌といいます。悪玉菌の特徴は腸内をアルカリ性にする物質を作ることです。乳酸菌が糖類を分解して乳酸が作られると、腸のpHは酸性になるため、悪玉菌が増えにくい環境となります。

乳酸菌の種類

腸内以外にも様々な場所に存在する乳酸菌の種類は、200以上あるといわれています。よく目にするビフィズス菌やブルガリア菌も乳酸菌の一種です。種類によって球状や棹状、らせん状など、形もいろいろあります。

乳酸菌に期待できる効果

乳酸菌は腸内環境を整えることで知られていますが、期待できる効果はそれだけではありません。近年、知られるようになった様々な効果があります。ここでは、乳酸菌に期待できる5つの効果をご紹介します。

腸内のバランスを整える

乳酸菌に期待できる大きな効果のひとつが、腸内環境のバランスを整えることです。前述の通り、乳酸菌は糖類から乳酸という物質を生み出すことで、腸内のpHを酸性にします。その結果、腸に悪影響を及ぼす悪玉菌が増えにくくなるのです。

腸内に悪玉菌が増えると、腸は動きが鈍くなり便秘がちになります。便秘になると、おなかの不調を感じる他、肌が荒れたり、イライラしやすくなったりといった悪影響があります。肌を美しく保ち、生き生きと過ごすためにも、腸内環境を整えることが大切です。

免疫バランスを整える

乳酸菌には、人の免疫細胞に働きかけて風邪をひきにくくするような働きを持つものもあります。

たとえば、国立研究開発法人 理化学研究所の運営する菌株バンクJCMで発見されたプラズマ乳酸菌もそのひとつです。人の血液に含まれる免疫細胞(pDC)に働きかけ、免疫細胞全体を整えることがわかっています。

腸には人の免疫に関係する細胞の70%が集っており、腸内環境と免疫との間には相関関係があります。

乳酸菌の力を借りて腸内環境を整えておくと、風邪やインフルエンザに負けない体づくりに役立ちます。

血糖値の上昇を抑える

乳酸菌には血糖値の上昇を抑える効果が期待できる種類もあることが、数々の臨床試験によって証明されてきました。

乳酸菌によって作られるヨーグルトでも、血糖値の抑制効果を期待できます。糖質を摂取する前にヨーグルトを食べると、血糖をコントロールするGLP-1の分泌が活発になるという結果もあります。

そもそも血糖値の急上昇は、インスリンの大量分泌に繋がり、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中のリスクを高めます。血糖値をコントロールし、健やかな毎日を維持するために、乳酸菌を取り入れるのも選択肢のひとつです。

ストレスを軽減する

近年は、ストレスケアや睡眠ケアにおすすめの乳酸菌も登場してきました。しかし、なぜ乳酸菌でストレス軽減や睡眠をサポートできるのでしょうか。

それは乳酸菌によって、セロトニンという脳内物質が活発に分泌されるためです。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、イライラの原因になるドーパミンやノルアドレナリンの分泌を抑制します。セロトニンが十分に分泌されていると精神が安定すること、またセロトニンが「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンの材料となるため、質の良い睡眠が促されます。

セロトニンのもとになる「トリプトファン」は小腸に多く存在するため、乳酸菌で腸内環境を整えることが、ストレス対策や質の良い睡眠につながります。ただし、乳酸菌は便として定期的に排泄されてしまうため、毎日摂取することが大切です。

アレルギー症状を抑え緩和する

腸内環境とアレルギーとの相関関係も指摘されています。アレルギーやアトピー性皮膚炎の人の便には、アレルギー疾患を持たない人と比べて乳酸菌などの善玉菌が非常に少なく、腸内は悪玉菌が優勢です。悪玉菌が優勢になった腸内は、アレルギー物質を体内に侵入させやすい状態となり、食物アレルギーを発症させやすくなることもわかっています。

前項でも触れたように、腸は人間の免疫をつかさどる最大の臓器です。アレルギーやアトピーの体質を緩和するには、乳酸菌の摂取が大いに役立ちます。

乳酸菌を増やす方法

人の体に様々なうれしい効果をもたらすと期待される乳酸菌。効果的に増やすには、以下の2つのアプローチが重要です。

1.乳酸菌を摂取する
2.腸内の乳酸菌を増やす


ここで詳しく解説します。

生きた乳酸菌を含むものを食べる

生きた乳酸菌を含む食べ物を摂取することで、腸内の乳酸菌を増やせます。乳酸菌といえばヨーグルトが有名ですが、それだけではありません。それぞれの特徴を確認して、日常に取り入れてみましょう。

ヨーグルト
牛乳に乳酸菌を加えて発酵させたヨーグルトには、生きた乳酸菌がたっぷり含まれています。タンパク質やカルシウム、ビタミン、ミネラルも多く含まれており、健やかな生活を送るために取り入れている人も大勢います。

ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、製品によって様々です。「免疫を高めたい」「血糖値を抑えたい」など、期待する効果が決まっている場合は、表示を確認して選んでみましょう。

チーズ
チーズにも乳酸菌が含まれています。ただし、乳酸菌が含まれるのはナチュラルチーズのみです。ナチュラルチーズは、乳を乳酸菌などで固め、液体部分(ホエイ)の一部を除去して作られます。プロセスチーズは、ナチュラルチーズを加熱して溶かし、再び成形したものなので、生きた乳酸菌はいません。

チーズから乳酸菌を補給したいときは、ナチュラルチーズを選びましょう。ただし、チーズは高脂肪、高カロリーな食品です。過剰な摂取は肥満や高血圧などの健康リスクに繋がるため、ご注意ください。

発酵食品
ヨーグルトやチーズ以外に、キムチなどの発酵食品にも生きた乳酸菌がたっぷり含まれています。

わたしたちに馴染み深い日本食にも、発酵食品は豊富です。たとえばぬか漬けは、乳酸菌の発酵によって作られるお漬物。料理に欠かせない醤油や味噌、朝食の定番である納豆も乳酸菌が不可欠な、発酵によって生まれた食品です。

あまり知られていませんが、実は鰹節も発酵食品の一種です。乳酸菌の種類はとてもたくさんあり、効率的に乳酸菌を摂取するにはどれかひとつではなく、様々な発酵食品を毎日食べることが大切であるといえます。

乳酸菌飲料
乳酸菌飲料は、牛乳などを発酵させ、甘味料や香料などを加えて飲みやすくしたものです。含有の無脂乳固形分と乳酸菌・酵母の量によって「乳製品乳酸菌飲料」と「乳酸菌飲料」の2種類に分類されます。

無脂乳固形分が3.0%以上、乳酸菌数又は酵母数が1000万/ml以上のものが「乳製品乳酸菌飲料」。無脂乳固形分が3.0%未満、乳酸菌数又は酵母数が100万/ml以上のものが「乳酸菌飲料」です。

ヨーグルトと同じく、含有する乳酸菌は多種多様です。期待できる効果に応じて選びましょう。

サプリ
乳酸菌を含有したサプリは、生きた乳酸菌の活動を一時的に止めて乾燥させ、粒状にしたものです。液状の乳酸菌サプリもあります。いずれも乳酸菌は、死滅しているわけではないため、おなかに入ると再び活動を始めます。

サプリは乳酸菌が凝縮されているため、食品よりも効率良く、必要な量を摂取できるのも特徴です。食品からの摂取は脂質や糖質を摂りすぎてしまう懸念もあります。しかし脂質や糖質が含まれないサプリなら気にする必要はありません。

美容やダイエットのために食事制限をしている人は、サプリで乳酸菌を補給してはいかがでしょうか。

乳酸菌の餌になるものを食べる

腸内の乳酸菌を増やすには、乳酸菌が働きやすい環境を整える食事をして、今いる菌を増やすアプローチも有効です。食品として乳酸菌を取り入れても半分は腸内で死んでしまうため、摂取した乳酸菌を増やし、体の中から効率良く美と健やかさを支えていきましょう。

オリゴ糖を多く含む食品

乳酸菌も生き物のため、食べものがないと死んでしまいます。乳酸菌の活動をサポートする成分のひとつがオリゴ糖です。オリゴ糖は、大豆や玉ねぎ、ねぎ、ゴボウ、バナナなどの食品にたくさん含まれています。ぜひ毎日の食事に取り入れてください。

オリゴ糖は糖液や、粉末もしくはタブレット状のサプリメントとしても販売されています。食べすぎるとおなかが緩くなることがあるため、サプリメントを摂取する際は推奨量を目安にしてください。

食物繊維を多く含む食品

オリゴ糖と並んで乳酸菌の働きをサポートするのは食物繊維です。食物繊維の特徴は、人の消化酵素では消化されずに大腸まで届くということです。大腸まで到達した食物繊維は、乳酸菌をはじめとした善玉菌の餌となり、善玉菌の数を増やすのに役立ちます。

それ以外にも食物繊維に期待できる効果はたくさんあります。たとえば便の体積を増やす他、食後の糖の吸収を緩やかにする、血中コレステロール値を下げるというものです。日本人の平均食物繊維摂取量は減少しており、乳酸菌と合わせて意識的に摂ることが必要です。

乳酸菌についてのよくある質問

乳酸菌にはわたしたちにとってうれしい、様々な効果が期待できることがわかりました。最後に「生きた菌でないと効果なし?」「摂りすぎるとどうなる?」など、乳酸菌についてのよくある質問にお答えします。気になる疑問はここで解消してください。

ビフィズス菌と乳酸菌はどう違う?

ビフィズス菌と乳酸菌はどちらも善玉菌ですが、生息できる場所が異なります。ビフィズス菌は編性嫌気性菌と呼ばれるタイプの菌で、酸素がある環境では死滅してしまいます。これに対して乳酸菌は、通性嫌気性菌と呼ばれ、酸素があっても生きることが可能です。

乳酸菌は生きていないと効果ないの?

乳酸菌は生きていないと効果がない訳ではありません。死んだ菌でも腸内環境を整える種類がある他、死んだ菌は免疫の向上に役立つと考えられています。

乳酸菌は腸まで届かないってホント?

確かに生きた乳酸菌は、胃酸や胆汁などの消化液の影響を受け、腸に達するまでに一部は死滅してしまいます。ただしすべての乳酸菌が腸まで届かない訳ではありません。乳酸菌の種類によっては生きたまま腸に届きます。

乳酸菌を取りすぎると良くないの?

乳酸菌は一定期間で腸から排泄されるため、摂取しすぎによる悪影響はほとんどないと考えられています。ただし、食品の種類には注意が必要です。ヨーグルトやチーズ、乳酸菌飲料などを摂りすぎるとカロリーの過剰摂取となり、肥満や虫歯の原因になる可能性があります。

まとめ

乳酸菌は、腸内環境を整える効果が期待できる善玉菌の一種です。近年の研究では、腸内環境に着目し、様々な効果が期待できることがわかってきました。たとえば免疫サポートや血糖コントロール、ストレスや睡眠のケアなどです。

腸内環境を整えること自体も、健やかな毎日と美容へ繋がっていきます。生き生きとした毎日を送るために、乳酸菌を摂取し、乳酸菌を増やすアプローチを取り入れてはいかがでしょうか。

人気記事

新着記事

最新クリニック

Facebook

Instagram

このエラーメッセージは WordPress の管理者にだけ表示されます
Instagram フィードに問題があります。
Click to Hide Advanced Floating Content