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馬油 万能と言われるスキンケア効果と商品の選び方、保存方法について解説!

馬油は、日本に伝わる伝統的なスキンケアアイテムです。昔から民間療法で、火傷やケガの手当に用いられてきました。
健康にも良いと言われる馬油の主成分は、文字通り馬の油です。人の皮脂とよく似た構造をしており、肌にサラッとなじんで水分を閉じ込め、潤いを保つ効果があります。 ピュアな馬油には、化学的に合成された成分や香料等が含まれていません。スキンケアクリームやアウトバストリートメントとしても使える万能性も評価され、近年はSNSでも話題になりました。

この記事では馬油の効果やアイテムの選び方、正しい保存方法を解説します。

馬油ってなんの油?

馬油は馬から採れる油です。馬のお腹やたてがみの脂肪を加熱して溶かし、ろ過して作ります。

加熱した馬油を熟成させると、液体と個体に分離するため、それぞれ商品化され販売されます。液状の馬油はさっぱり、クリームタイプはしっとりとした使い心地が特徴です。

馬油のルーツは中国にあります。およそ4000年前にはすでに、馬油が傷薬として使われていたのだそうです。5〜6世紀頃に中国の医師が編纂した書物『名医別録』には「馬の油は髪を生ず」という記述が残されています。
日本へ馬油がいつ伝来したのか、明確な時期は定かではありません。しかしながら奈良時代、日本を訪れた 鑑真大和上により、馬油の力が九州地方へ伝承されたという言い伝えが残っています。

九州には馬食の風習がある地方もあり、馬油はそこで使用されてきました。化粧品原料として厚生労働省の認可が降りたのは昭和63年のことです。これ以降、馬油はスキンケア用品として販売されるようになりました。

馬油の持つ特徴

馬油は古来、火傷や切り傷、あかぎれ、ひびなどの民間療法に使われてきました。馬油の大きな特徴は、人の皮脂に近い構造をしていることです。馬油を塗ると最初はベタベタしても、すぐにサラッと肌になじむのはこのためです。
馬の油100%で作られている馬油は、食用にもできるため、万が一、口に入っても安全性が高いと考えられています。そのため現代でも、赤ちゃんや妊産婦の方、ご高齢の方まで幅広い年代の人々に選ばれています。

強力な浸透力

馬油は人の皮脂と非常に相性がよいため、肌に塗布すると体温で溶け、角質層に素早く浸透します。肌なじみのよい理由は、馬油の構造が人の皮脂ととてもよく似ているためです。

油を構成する脂肪酸は、分子の構造によって飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸で成り立っています。飽和脂肪酸は動物性の油脂に、不飽和脂肪酸は魚や植物性の油脂に多く含まれています。

馬油には人の皮脂にも含まれる不飽和脂肪酸(オレイン酸やリノール酸等)が豊富に含まれています。人と馬の共通点のひとつがこの不飽和脂肪酸の割合です。

馬の油に含まれる不飽和脂肪酸の割合は約63%。人の皮脂の不飽和脂肪酸の割合は約60~75%です。他の動植物性油脂よりも近い割合のため、馬油は強力な浸透力と肌なじみのよさを実現できます。

保湿力

前述の通り、馬油は肌なじみが良いため、肌に塗布すると素早く角質層まで浸透します。そこで発揮される力が保湿力です。

もともと人の肌は、角質層の表面をカバーする皮脂膜、角質細胞内の天然保湿因子、層の間にある細胞間脂質によって守られています。これがいわゆるバリア機能です。

健康的なバリア機能を維持している角質層は常に15%~20%の水分量を維持しています。水分量の割合が低下すると、肌が乾燥します。乾燥するにつれてバリア機能も低下するため、肌荒れや赤み等の肌トラブルの原因になるのです。

馬油に含まれるリノール酸は、バリア機能を支える天然保湿因子の働きをサポートすると考えられています。肌にスッとなじむだけでなく、水分の維持を助けるため、馬油は乾燥肌の人々にも選ばれています。

殺菌力と抗炎症作用

馬油は昔から、火傷の治療薬としても民間で重宝されてきました。火傷をすると皮脂が失われ皮膚は乾燥します。バリア機能を失った肌に細菌が付着すると化膿が起こります。

やけどした部位に馬油を塗ると、肌表面に膜が張られた状態になり酸素がシャットアウトされるため、化膿の原因となる細菌は繁殖できません。これが馬油の抗酸化作用です。

馬油に含まれる不飽和脂肪酸も、殺菌や抗菌作用を持つといわれています。また馬油を塗ると、ヒリヒリとした痛みが軽減するのは、皮膜効果によって空気との接触が遮断されているためです。

これらの効果から、馬油は火傷だけでなく、切り傷や日焼けのアフターケアにも取り入れられています。

馬油をスキンケアに取り入れてみよう

馬油は、高いポテンシャルを持つ素材です。
古くから伝わる効果が研究され、近年化粧水やフェイスクリーム、シャンプー等に配合された製品も登場しています。
天然由来の馬油は、浸透力だけでなく保湿効果にも優れるナチュラルなスキンケアアイテムです。毎日のお手入れに取り入れてみてはいかがでしょうか。

馬油を使うタイミング

一般的に保湿クリームはスキンケアの最後に使います。しかし馬油は、洗顔後、化粧水を使う前の使用がおすすめです。馬油を導入美容液のように使うと、角質層が柔らかくなり、この後に使う化粧水の浸透をサポートしてくれます。

馬油は非常によく伸びるため、使用量はほんの少しで十分です。バームやクリームの馬油なら、綿棒の先に少量を取って手のひらに伸ばし、顔を覆うように塗布しましょう。

液体のオイルタイプなら、米粒2粒程度で十分です。付けすぎはべたつきやニキビの原因となるため気をつけてください。

クレンジングや髪にも

クレンジング剤の代わりに馬油を使うやり方は、メイクやほこり等の汚れを落としつつ、肌に必要な皮脂を残して潤いを保つのに効果的です。

ただし、馬油のみでは、完全に汚れを取り除くことが難しいという声もあります。ウォータープルーフのメイクやポイントメイクはしっかり落とさないと肌トラブルのもとになるため、汚れの落ち具合が心配な方は、馬油の配合されたクレンジングを使うと良いでしょう。

馬油はヘアケアにも使えます。フケやかゆみの予防には、髪を洗う前に馬油を使って頭皮をマッサージしましょう。入浴後にアウトバストリートメントとして、湿っている髪に馬油を少量なじませてみてください。キューティクルの流れが整い、ドライヤーの熱による乾燥を予防できます。

ワセリンとの違いは?

馬油とワセリンは原材料が大きく異なります。馬油の原材料は馬の油であるのに対し、ワセリンの原材料は石油です。

「石油」と目にすると「肌に悪いのではないか」と心配になる方もいるかもしれません。しかしワセリンは、安全性についてきちんと確認されているスキンケアアイテムです。実際に赤ちゃんや肌が敏感な方のスキンケアにもよく使われています。

両者は原材料だけでなく、性質やテクスチャーも異なります。ワセリンは肌の表面に膜を張り、皮膚の水分蒸発を防ぐ役割が大きく、ワセリン自体が保湿効果を持っている訳ではありません。

馬油とワセリンは、それぞれの使い心地や使い勝手のよさを比較して、使い分けてはいかがでしょうか。

馬油に副作用やデメリットはある?

馬油は人の皮脂に近い成分のため、副作用はほとんどありません。ただしどんな人にもトラブルがないとは言い切れません。違和感があったら、すぐに使用を中止してください。

馬油による肌トラブルの多くが、酸化によるものと考えられます。馬油は空気や光に弱くとても酸化しやすい油脂です。蓋を開けたままにする、不衛生な手で触る、保管期間の長さなどにより簡単に酸化してしまいます。酸化した油は毒素を持つため、肌に塗布するとニキビや肌荒れ、シミ等を引き起こす可能性があります。

馬油には動物由来の独特のにおいがある点もデメリットです。特にバームやクリームの馬油は、暑い時期に溶け、寒くなると固まる性質があります。これ自体は品質に影響を与えるものではありません。ただし、これを何度も繰り返すと、独特の油臭さが強くなるようです。

お気に入りの馬油製品を見つけよう

馬油は保湿クリームやシャンプー等様々な製品に配合されています。純度100%の馬油も、バームのような固形タイプやクリームタイプとオイルタイプがあり、選ぶ際に迷ってしまうかもしれません。

そこでここでは、お気に入りの馬油を見つけられる選び方のポイントを解説します。

香り

馬油は動物性の油脂のため、前述の通り、独特の獣臭が気になるという人もいます。

そのため、最近はローズやヒノキ、バニラなどの香りを付けたものやティーツリーやラベンダーなどの精油入りのものもあります。好みの香りをヒントに、お気に入りの馬油を見つけてみてはいかがでしょうか。

テクスチャー

純度100%の馬油には、固形タイプ、クリームタイプ、オイルタイプがあり、それぞれ使用感が異なります。オイルタイプは数滴を簡単に手に取りやすいため、洗顔後に導入美容液として使いたいときに便利です。

手や身体を保湿する際、広い範囲に塗布したいときはクリームタイプが向いています。唇や肘、膝、毛先などポイント使いしたいときや、持ち運びたいときはバームタイプが便利です。

もし純度100%の馬油が使いにくいと思ったら、用途によって商品を選んではいかがでしょうか。馬油は保湿クリームやシャンプー等、様々な商品に使われています。馬油100%のものよりも配合率は低くなるものの、部位や用途に合わせて快適に使えます。

馬油製品の保存方法

馬油のデメリットでも述べましたが、馬油は非常に酸化しやすい油脂です。酸化を防ぐためには、使用する度に蓋をきちんと閉めて保管するようにしましょう。

馬油は空気だけでなく、光でも酸化が進みます。酸化を防ぐために、直射日光の当たらない場所で保管してください。光を通しにくい色付きのボトルに入った馬油を選ぶのもおすすめです。

光の影響や、寒暖差による液状化、ニオイの発生が心配な方は、冷蔵庫で保管しましょう。

一度開封したら、可能な限り早く使い切ることも大切です。できれば1年以内に使い切るようにしましょう。使い切れる自信がないときは、酸化防止目的でビタミンE等を配合している馬油を選ぶといいでしょう。

馬油を成分の一種として配合している保湿クリームやシャンプーなどの製品は、馬油の割合が少ない分、酸化しにくいと考えてよいでしょう。商品それぞれの取り扱い方を確認し、推奨されている保存方法で保管しましょう。

まとめ

馬の油を原材料としている馬油は、天然由来で効果性の高い優秀なオイルです。古来、火傷や切り傷などの民間薬やスキンケア・ヘアケアアイテムとして、主に九州地方で重宝されてきました。

人の皮脂に構造が似ている馬油は、肌へ余計な負担がかからずなじみ、保湿効果を発揮します。1本あると様々な用途に使える便利なアイテムですが、酸化しやすいというデメリットにはご注意ください。使用する際は衛生面に注意し、日光の当たる場所での保管は避けましょう。

この機会に好みの馬油製品を見つけて、毎日のケアにお役立てください。

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