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グリチルリチン酸ジカリウムの抗炎症作用とは?効果や副作用について徹底解説

薬用化粧水やシャンプー、目薬、歯磨剤など幅広い製品に配合されているグリチルリチン酸ジカリウム。
実は、4000年にわたって使われ続ける薬用植物から抽出されてできた成分です。

この記事ではグリチルリチン酸ジカリウムの効果と安全性、副作用について解説します。

グリチルリチン酸ジカリウムとは

グリチルリチン酸ジカリウムとは、マメ科植物「甘草」の根や茎から抽出したグリチルリチン酸に、水に溶けやすくするためのカリウムを結合させた成分です。特徴的な甘みがあり、優れた抗炎症作用を示すとともに、抗アレルギー作用や刺激を緩和する作用もあるため、多くの市販薬・化粧品に配合されています。

グリチルリチン酸ジカリウムの効果

グリチルリチン酸ジカリウムには、以下のような効果が期待できます。

抗炎症作用

組織が損傷を受けたとき、ヒトの体の中ではさまざまな生理活性物質が生成されます。その中の一つとして「プロスタグランジンE2」という物質が生成され、痛みや熱、腫れなどの炎症反応を引き起こします。グリチルリチン酸ジカリウムには、プロスタグランジンE2の産生を強く抑制し、過剰な炎症や紅斑を抑える働きがあります。

抗アレルギー作用

ヒアルロン酸の分解酵素であるヒアルロニダーゼは、炎症時に活性化され、組織を破壊して炎症系細胞の組織への移行性を高める働きがあります。さらにI型アレルギーにおいてヒスタミンの遊離を活性化することでアレルギーの発症に関わっています。
グリチルリチン酸ジカリウムは、ヒアルロニダーゼの活性を阻害することでヒスタミンの放出を抑え、アレルギー反応によるかゆみや痛みを緩和する作用があります。

バリア機能を高める作用

肌のバリア機能を高めるためには角質層が成熟した状態にあることが大切です。角質細胞はCE(コーニファイドエンベロープ)という膜で覆われており、肌の水分量やバリア機能を維持する役割を果たしています。
CEは、肌の表面でインボルクリンと、インボルクリン同士をつなぎ合わせる酵素トランスグルタミナーゼ1によって生成されます。
グリチルリチン酸ジカリウムは、このインボルクリンとトランスグルタミナーゼ1の両方の産生を促進させる働きがあると報告されており、敏感肌のバリア機能を改善する効果が期待できます

刺激緩和作用

実際にグリチルリチン酸ジカリウムを肌に塗布することで、ピリピリやチクチクとした皮膚の刺激や違和感を緩和させる作用があることが研究で報告されています。

どんな製品に配合されるの?

医薬品

グリチルリチン酸ジカリウムは優れた消炎作用があり、腫れや痛み、炎症を鎮める効果を期待して以下のような製品に配合されています。

・うがい薬、口腔用殺菌トローチ(抗炎症成分)
・外用鎮痛薬、皮膚軟化薬(抗炎症成分)
・鼻炎内服薬、点鼻薬(抗炎症成分)
・非ステロイド性点眼薬(抗炎症成分)
・胃腸薬(粘膜修復成分)


また、グリチルリチン酸ジカリウムの独特の甘みを利用して、医薬品添加物として甘味・矯味目的で内服薬、歯科外用剤、口腔用剤などに配合されることもあります。

医薬部外品

グリチルリチン酸ジカリウムは、医薬部外品の有効成分として厚生労働省に認められています。
そのため、以下のような、特に敏感肌やニキビに悩まれている方向けのスキンケア製品・ヘアケア製品に幅広く配合されています。

・薬用石けん、シャンプー、リンス
・薬用化粧水、乳液、美容液、パック
・日焼け止め
・ひげそり用剤   など

化粧品

グリチルリチン酸ジカリウムは化粧品でも同様に、皮膚や頭皮の肌荒れを防ぎ、健やかに整えてくれる成分として、化粧水・シャンプーなどの多くの製品に配合されています。

実は、一般的に「日本薬局方」に収載される医薬品成分は化粧品に配合することはできませんが、グリチルリチン酸ジカリウムは“平成13年3月31日までに化粧品成分として承認を受けた成分”として、例外的に医薬品成分でありながら化粧品に配合することが認められています

ただし、安全性を考慮して、以下のような配合上限が定められています。

【グリチルリチン酸ジカリウムを化粧品に配合する場合の配合制限】
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すものに100g中0.80gまで
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないものに100g中0.5gまで
粘膜に使用されることがある化粧品に100g中0.20gまで

~毛穴ケア効果や美白効果は期待できる?~

グリチルリチン酸ジカリウムには、過剰に分泌された皮脂による炎症を鎮める作用があるので、開き毛穴に効果的です。
また、紫外線でダメージを受けた肌の炎症を鎮めてくれるため、日焼け後のアフターケアにも良いでしょう
シミができる原因の一つとして、ニキビや虫刺され、火傷などの炎症による色素沈着があります(炎症性色素沈着)。そのためグリチルリチン酸ジカリウムの作用で炎症を抑えることで、結果的にシミの発生を防げる場合があります

~保湿効果は期待できる?~

グリチルリチン酸ジカリウムには、CEの成熟を促すことで、セラミドの働きを助けて肌のバリア機能を高め、水分量を保持しやすくする効果があります。ただし直接的に肌に水分を与える効果は期待できないため、グリセリンやヒアルロン酸、ヘパリン類似物質などの保湿成分と一緒に使うようにすると良いでしょう。

特に敏感肌の方や大人ニキビに悩んでいる方の肌は、炎症だけでなく乾燥も引き起こしている場合が多いため、しっかりと保湿することが大切です。

グリチルリチン酸ジカリウムの危険性は?

・過量または長期に内服した場合は注意が必要!

グリチルリチン酸ジカリウムは、1日の摂取量がグリチルリチン酸として40mg(甘草として1.0g)を超えて長期に服用すると、「偽アルドステロン症」という副作用を引き起こす可能性があります。

アルドステロンは、体内に塩分と水分をためこみ、カリウムの排泄を促して血圧を上昇させるホルモンです。甘草やその主成分であるグリチルリチン酸を含む医薬品を過量に服用すると、アルドステロンの分泌が増加していないのにも関わらず、高血圧やむくみ、低カリウム血症などのアルドステロン症の症状を示すことがあります。初期症状として「手足のだるさ」、「しびれ」、「筋肉痛」、「こむら返り」などの症状が現れ段々ときつくなることが多いです。

甘草やグリチルリチン酸は、多くの市販薬、医療用医薬品に配合されており、漢方薬にも含まれています。複数の医薬品の飲み合わせや数年に渡る長期内服でも引き起こる場合があるため注意が必要です。

・化粧品や医薬部外品の外用では重大な副作用の報告はなし

一方で、化粧品および医薬部外品による連続的な外用においては、20年以上の使用実績の中で重大な副作用は報告されていません。外用は、内服と比較して皮膚から吸収される量が少ないです。またグリチルリチン酸ジカリウムは医薬品成分であることから、医薬部外品・化粧品共に配合上限量が定められています。

そのため、基本的には副作用の心配なく使用できると考えられます。

グリチルリチン酸ジカリウムで健やかな肌へと導こう!

グリチルリチン酸ジカリウムは20年以上にわたり多くの医薬品・医薬部外品・化粧品に配合されてきた実績のある成分です。

パッチテスト等で問題がなければ、安心して使い続けることができるスキンケア成分の一つと言えるでしょう。 優れた抗炎症作用と共に、肌のかゆみや刺激を緩和し、バリア機能を高めてくれる作用もあるグリチルリチン酸ジカリウムは、肌トラブルを改善して健やかな肌に導いてくれる効果が期待できます

日頃からニキビや肌荒れに悩まれている方は、一度グリチルリチン酸ジカリウムをスキンケアに取り入れてみてもいいかもしれません。

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