「なかなか寝付けない」「夜中に何度も目が覚める」「しっかり寝たはずなのに日中に眠い」といった睡眠の悩みはありませんか。
睡眠について気になる症状があっても、「病院に行くほどなのかわからない」「睡眠障害は何科に相談すればいいの?」と迷う方もいるでしょう。
睡眠に関する症状は、生活習慣や睡眠環境の影響によって生じる場合もあれば、不眠症や睡眠時無呼吸、過眠症などの睡眠障害が背景にある場合もあります。
また、2026年6月には医療法施行令が改正され、一定の診療科名と組み合わせて標榜できる疾病・病態として、新たに「睡眠障害」が追加されました。
この記事では、睡眠障害科とはどのような診療を行うところなのか、睡眠障害の主な種類や症状、原因、治療法、受診先についてわかりやすく解説します。
目次
睡眠障害科とは?
睡眠障害科とは、不眠や日中の強い眠気、睡眠中の呼吸異常、睡眠・覚醒リズムの乱れなど、睡眠に関連するさまざまな症状や疾患を診療する領域です。
「睡眠障害」というと、「夜に眠れない不眠症」をイメージする方もいるかもしれません。
しかし、睡眠障害は一つの病気を指す言葉ではありません。
たとえば、
・なかなか寝付けない
・夜中に何度も目が覚める
・朝早く目が覚める
・十分眠ったはずなのに疲れが取れない
・日中に強い眠気がある
・大きないびきをかく
・寝ている間に呼吸が止まっていると言われる
・夜になると脚がむずむずして眠れない
・夜型になり、朝起きることが難しい
・睡眠中に異常な行動がみられる
など、睡眠に関連するさまざまな症状があります。
そのため、睡眠に関する問題では「眠れないから睡眠薬を使う」と一律に考えるのではなく、どのような原因で症状が生じているのかを確認することが重要です。
2026年6月から「睡眠障害」を組み合わせた診療科名が標榜可能に
睡眠を診療する医療機関を取り巻く環境にも、新しい動きがあります。
厚生労働省は2026年5月、医療法施行令を改正し、診療科名と組み合わせて広告できる疾病・病態として「睡眠障害」を追加しました。改正は2026年6月1日に施行されています。
これまで医療法施行令では、内科などと組み合わせて広告できる疾病・病態として「感染症」「腫瘍」「糖尿病」「アレルギー疾患」が定められていました。今回の改正によって、ここに「睡眠障害」が加わりました。
これにより、制度上の条件を満たす診療科名と「睡眠障害」を組み合わせた名称を標榜できるようになりました。
ただし、「睡眠障害科」という独立した診療科が新しく設けられたという意味ではありません。
実際には、睡眠障害内科や睡眠障害精神科などのほか、「睡眠外来」「睡眠専門外来」といった名称で睡眠の診療を行う医療機関もあります。
睡眠について相談する場合は診療科名だけではなく、自分が抱えている症状や疾患を診療している医療機関かどうかを確認することが大切です。
睡眠障害とは?
睡眠障害とは、睡眠に関するさまざまな問題の総称です。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、睡眠に関連する症状について、睡眠環境や生活習慣、嗜好品などによって生じる場合と、睡眠障害によって生じる場合があるとされています。
睡眠時間を確保したり、生活習慣や睡眠環境を見直したりしても、
・十分な時間眠れない
・睡眠による休養感が得られない
・日中の眠気が強い
・社会生活に合わせた時間に眠ったり起きたりできない
といった症状が続く場合には、睡眠障害が背景にある可能性があります。
睡眠障害の主な種類
睡眠障害にはさまざまな種類があり、現れる症状や必要な治療も異なります。
代表的なものを見てみましょう。
不眠症
不眠症では、睡眠のための時間や環境を確保しているにもかかわらず、睡眠に関する問
代表的な症状として、
・寝床に入ってもなかなか眠れない「入眠困難」
・夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」
・朝早く目が覚めて、その後眠れない「早朝覚醒」
などがあります。
一時的に眠れないことは誰にでもあります。眠れない状態が続き、仕事や学業など日中の生活に支障が出ている場合には、医師への相談を検討しましょう。
睡眠時無呼吸
睡眠中に呼吸が止まったり、浅くなったりする状態が繰り返される睡眠障害です。
代表的なものに閉塞性睡眠時無呼吸があります。
本人は睡眠中の呼吸の状態に気付きにくいため、
「いびきが大きい」
「寝ているときに何度も息が止まっている」
と家族やパートナーから指摘されることで気付く場合があります。
また、十分な睡眠時間を取っていても、日中に強い眠気が生じることがあります。
過眠症
十分な睡眠時間を確保しているにもかかわらず、日中に強い眠気や居眠りが生じる睡眠障害があります。
代表的な疾患の一つがナルコレプシーです。
ただし、日中に眠いからといって必ず過眠症とは限りません。
睡眠時間そのものが不足している場合や、睡眠時無呼吸などによって夜間の睡眠が妨げられている場合にも、日中の眠気が現れることがあります。
むずむず脚症候群
安静にしているとき、特に夜間に脚に不快な感覚が生じ、「脚を動かしたい」という強い欲求が現れる疾患です。 脚の不快感によって寝付きが悪くなり、結果として睡眠に影響が生じることがあります。
概日リズム睡眠・覚醒障害
体内時計と社会生活上必要な睡眠・覚醒の時間帯がずれることで、望ましい時間に眠ったり起きたりすることが難しくなる睡眠障害です。
「夜になっても眠れず、明け方になって眠る」
「朝起きることができず、学校や仕事に間に合わない」
などの状態がみられる場合があります。
睡眠時随伴症
睡眠中に通常とは異なる行B動や現象が生じる睡眠障害の総称です。
睡眠中の異常な行動や大きな寝言などによって、本人や周囲の人の日常生活に影響が生じることがあります。
睡眠障害の主な症状
睡眠障害の症状は、疾患によって大きく異なります。 主な症状を整理すると、次のようになります。
| 症状 | 考えられる状態の一例 |
|---|---|
| なかなか寝付けない | 不眠症など |
| 夜中に何度も目が覚める | 不眠症など |
| 朝早く目が覚める | 不眠症など |
| 十分眠っても休んだ感じがしない | 不眠症、睡眠時無呼吸など |
| 日中の眠気が強い | 睡眠不足、睡眠時無呼吸、過眠症など |
| 大きないびきをかく | 睡眠時無呼吸など |
| 睡眠中に呼吸が止まる | 睡眠時無呼吸など |
| 夜に脚がむずむずする | むずむず脚症候群など |
| 朝起きることができない | 概日リズム睡眠・覚醒障害など |
| 睡眠中に異常な行動がある | 睡眠時随伴症など |
ただし、症状だけから病気を自己判断することはできません。
同じ「日中眠い」という症状でも、単純な睡眠不足の場合もあれば、睡眠障害が関係している場合もあります。
睡眠障害の原因は?
睡眠に関する問題は、一つの原因だけで生じるとは限りません。
生活習慣や環境、身体の状態、心理的な要因、他の疾患など、さまざまな要素が関係する可能性があります。
生活習慣や睡眠環境
就寝・起床時間が不規則になっていたり、夜間に強い光を浴びたりするなど、毎日の生活習慣が睡眠に影響することがあります。
寝室の光・音・温度など、睡眠環境が関係する場合もあります。
カフェインやアルコールなど
コーヒーやエナジードリンクなどに含まれるカフェインや、飲酒などの習慣が睡眠に影響する場合があります。
服用している薬の影響を受けるケースもあるため、受診時には現在使用している薬について医師に伝えることが大切です。
ストレスなどの心理的要因
仕事や人間関係、環境の変化などによるストレスや不安によって、一時的に眠りにくくなることがあります。
精神疾患に伴って睡眠に関する症状が現れる場合もあります。
身体的な要因や疾患
痛みやかゆみ、呼吸に関連する疾患など、身体的な問題によって睡眠が妨げられる場合もあります。
このように睡眠障害の原因は幅広いため、症状が長く続く場合には原因を自分だけで決めつけないことが重要です。
睡眠不足と睡眠障害の違い
「最近よく眠れていないけれど、単なる睡眠不足なのか睡眠障害なのかわからない」という方もいるでしょう。
睡眠不足は、仕事や勉強、育児、夜更かしなどによって、そもそも必要な睡眠時間を確保できていない状態です。
一方、睡眠障害では、十分な睡眠の機会を確保しているにもかかわらず眠れなかったり、十分に眠っていても日中の強い眠気が続いたり、睡眠中に呼吸などの異常が起こったりする場合があります。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、睡眠環境や生活習慣などを見直しても睡眠に関する症状が続く場合には、睡眠障害が潜んでいる可能性があるとされています。
「睡眠時間が足りないだけ」と自己判断せず、症状が続いている場合は医療機関への相談を検討しましょう。
睡眠障害は何科を受診すればいい?
睡眠障害の受診先を考えるうえで重要なのが、症状によって相談先が異なるという点です。
睡眠外来や睡眠専門外来のほか、内科、精神科・心療内科、呼吸器内科、耳鼻咽喉科、脳神経内科などで睡眠障害を診療している場合があります。
目安としては、次のような相談先が考えられます。
| 気になる症状 | 相談先の一例 |
|---|---|
| なかなか眠れない、何度も目覚める | 睡眠外来、内科、精神科・心療内科など |
| 不安や気分の落ち込みなどを伴う不眠 | 精神科・心療内科など |
| 大きないびき、睡眠中の無呼吸 | 睡眠外来、呼吸器内科、耳鼻咽喉科など |
| 十分眠っても日中の眠気が強い | 睡眠専門外来、睡眠障害を専門的に扱う医療機関など |
| 夜型になって朝起きられない | 睡眠専門外来など |
| 夜に脚がむずむずする | 睡眠専門外来、脳神経内科など |
| 睡眠中に異常な行動がある | 睡眠専門外来、脳神経内科など |
※対応している疾患や検査は医療機関によって異なります。
「自分の場合は何科なのかわからない」という場合には、睡眠外来や睡眠専門外来を探すほか、まずかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門の医療機関を紹介してもらう方法もあります。
睡眠障害科・睡眠外来ではどんな診察や検査をする?
睡眠障害の診療では、最初に現在の睡眠状況や生活習慣について確認することがあります。
たとえば、
・何時ごろ寝床に入るか
・寝付くまでどのくらいかかるか
・夜中に何回程度目覚めるか
・何時ごろ起きるか
・平日と休日の睡眠時間
・日中に眠気があるか
・いびきや無呼吸を指摘されたことがあるか
・カフェインやアルコールの摂取状況
・現在服用している薬
・仕事や日常生活の状況
などです。
必要に応じて、一定期間の睡眠状態を記録する睡眠日誌などを用いることもあります。
睡眠時無呼吸などが疑われる場合には、自宅で行う簡易検査や、睡眠中の脳波、呼吸、酸素状態などを測定する終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)などが行われる場合があります。
どのような検査を実施するかは、症状や医療機関によって異なります。
睡眠障害の治療法
睡眠障害の治療は、原因や疾患によって異なります。
「睡眠障害=睡眠薬による治療」ではありません。
生活習慣や睡眠環境の見直し
睡眠時間や起床時間、日中の活動、光の浴び方、カフェインやアルコールなどの生活習慣を確認し、必要に応じて見直します。
厚生労働省も「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を公表し、睡眠環境や生活習慣を含め、良質な睡眠を確保するための情報を紹介しています。
認知行動療法
不眠症では、睡眠に関する考え方や行動を見直す「認知行動療法」が用いられることがあります。
睡眠に対する不安や寝床での過ごし方などを整理しながら、睡眠につながる生活や行動を整えていく治療です。
薬物療法
症状や疾患によっては、医師の診断のもとで薬物療法が行われます。
薬の種類や使用方法は患者さんによって異なるため、自己判断で使用量を変えたり中止したりせず、医師の指示に従うことが重要です。
睡眠時無呼吸に対する治療
閉塞性睡眠時無呼吸では、症状や重症度などに応じてCPAP(持続陽圧呼吸療法)などが検討される場合があります。
睡眠障害は種類によって治療方法が異なるため、まず原因や疾患を確認することが重要です。
睡眠障害科を受診する目安は?
「どのくらい眠れなければ病院へ行くべき?」と悩む方もいるでしょう。
睡眠に関する症状が一時的なものであれば、生活習慣や睡眠環境を整えることで変化する場合があります。
一方、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、
睡眠環境や生活習慣などを見直しても、
・十分な時間眠れない
・睡眠による休養感が得られない
・日中の眠気が強い
などの症状が続き、日中の生活に影響を及ぼしている場合には、医師へ相談することが示されています。
特に、
・眠気によって仕事や学業に支障が出ている
・運転中などに強い眠気がある
・睡眠中に呼吸が止まっていると言われた
・睡眠の問題が長く続いている
といった場合には、医療機関への相談を検討しましょう。
睡眠障害科についてよくある質問
Q1.睡眠障害科と睡眠外来は同じですか?
必ずしも同じではありません。
睡眠外来や睡眠専門外来は、睡眠に関する疾患を診療する専門外来として設けられている名称です。
一方、2026年6月からは医療法施行令の改正によって、一定の診療科名と「睡眠障害」を組み合わせた名称を標榜できるようになりました。
名称だけで判断せず、その医療機関がどのような睡眠障害を診療しているのかを確認しましょう。
Q2.眠れない場合は内科でも相談できますか?
内科で不眠について相談できる場合があります。
ただし、ストレスや精神的な症状が関係している場合には精神科・心療内科、睡眠時無呼吸などが疑われる場合には睡眠外来、呼吸器内科、耳鼻咽喉科など、別の診療科で専門的な診療が必要になることもあります。
Q3.日中の眠気だけでも受診できますか?
十分な睡眠時間を確保しているにもかかわらず、日中の強い眠気が続き、仕事や学業などに支障が出ている場合には医療機関への相談を検討しましょう。
日中の眠気には睡眠不足のほか、睡眠時無呼吸や過眠症などが関係する場合があります。
Q4.いびきは睡眠障害科で相談できますか?
いびきを診療している睡眠専門外来や呼吸器内科、耳鼻咽喉科などがあります。
特に家族などから「睡眠中に呼吸が止まっている」と指摘された場合には、一度医療機関へ相談することを検討しましょう。
Q5.睡眠薬を使わない治療もありますか?
あります。
睡眠障害の種類によって、生活習慣や睡眠環境の見直し、認知行動療法、CPAPなど、薬物療法以外の方法が選択される場合があります。
治療方法は症状や原因によって異なるため、医師による診断のもとで検討します。
なぜ「わたしの名医」が睡眠について考えるのか
「わたしの名医」は、美容医療やスキンケアをはじめ、一人ひとりが自分らしく健やかに過ごすための医療情報を届けてきました。
肌や外見を整えることは、美しさを考えるうえで大切な要素のひとつです。
一方で、私たちは美容を外側からのケアだけで捉えるのではなく、毎日の生活習慣や身体の状態にも目を向けることが大切だと考えています。
その中でも「睡眠」は、日々のコンディションを支える重要な生活習慣のひとつです。
睡眠について考えることは、単に「何時間眠るか」を考えることだけではありません。
眠っても休養を感じられない、日中の眠気が強い、望ましい時間に眠れないといった悩みの中には、医療機関への相談が必要となる睡眠障害が背景にある場合もあります。
厚生労働省も、健康づくりのための取り組みとして「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を公表しています。
さらに2026年6月には、一定の診療科名と組み合わせて標榜できる疾病・病態として「睡眠障害」が新たに加わりました。
美容について考えることは、見た目だけではなく、自分自身の身体や毎日の生活と向き合うことでもあります。
だからこそ「わたしの名医」では、美容医療にとどまらず、その土台となる健やかな毎日にも目を向けていきます。
睡眠について正しく知るための情報とともに、「どのような症状なら相談した方がよいのか」「どのような医療機関があるのか」といった情報を届けることで、一人ひとりが自分に合った医療と出会うための選択肢をご紹介していきます。
まとめ|睡眠の悩みが続く場合は医療機関へ相談を
睡眠障害は「眠れない」だけを指すものではありません。
日中の強い眠気、睡眠中の無呼吸、睡眠・覚醒リズムのずれ、眠っても休養を感じられないなど、さまざまな症状があります。
また、睡眠障害を診療する医療機関も一つではありません。睡眠外来や睡眠専門外来のほか、内科、精神科・心療内科、呼吸器内科、耳鼻咽喉科、脳神経内科など、症状によって相談先が異なります。
2026年6月1日からは、医療法施行令の改正によって、一定の診療科名と組み合わせて標榜できる疾病・病態として「睡眠障害」が追加されました。
生活習慣や睡眠環境を見直しても症状が続いている場合や、不眠・眠気などによって日常生活に支障が出ている場合には、自分だけで抱え込まず、症状に対応している医療機関へ相談してみましょう。


