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化粧品でよく使われる「〇〇フリー」
こういったフリー成分はお肌に悪いというイメージを持たれる方も多いと思います。毎日使う化粧品ですから、お肌に優しいに越したことはないですよね。

前回は「パラベンフリー」「鉱物油フリー」について解説しましたが、今回は「界面活性剤フリー」「シリコンフリー」「合成香料フリー」について、多くのドクターズコスメを処方・製造してきたラボで働く女性、通称「ラボガール」に教えてもらいました!

今回教えてくれたラボガールは

永田さん

愛犬のトイプードルをこよなく愛する永田さん。
お休みの日は美味しいごはん屋さんを巡ったり、読書を楽しんだりするほんわかラボガール。

界面活性剤とは?

界面活性剤は、1つの分子の中に水となじみやすい部分(親水基)と油となじみやすい部分(親油基)を持っており、水と油のように本来混じり合わないものをなじませる働きがあります。 その性質を利用して、洗浄、乳化、可溶化、浸透、分散などとして使われています。 界面活性剤は大きくカチオン、アニオン、両性イオン、非イオン(ノニオン)の4種類に分けられます。

カチオン界面活性剤

水に溶けたときに親水基がプラスの電気を持つものをカチオン界面活性剤といいます。
繊維や毛髪などのマイナスに帯電しているものの表面に吸着し、帯電防止、柔軟効果、殺菌作用などを示すのが特徴です。 主な用途として、制汗剤、トリートメント、コンディショナーなどがあります。 界面活性剤の中では皮膚への刺激も強めになります。

アニオン界面活性剤

水に溶けたときに親水基がマイナスの電気を持つものをアニオン界面活性剤といいます。
洗浄力や気泡性に優れているのが特徴です。 主な用途として、石けん、シャンプー、洗顔料などがあります。

両性イオン界面活性剤

同じ分子内にプラスとマイナスの両方の電気を持つものを両性イオン界面活性剤といいます。
他のイオン型界面活性剤に比べて皮膚への刺激が少なく、洗浄、乳化補助として優れているのが特徴です。 主な用途として、高級シャンプー・コンディショナー、ベビー用のシャンプーなどがあります。

非イオン(ノニオン)界面活性剤

水に溶けたときに、イオン化しない親水基を持つものを非イオン(ノニオン)界面活性剤といいます。
水分と油分を混ざりやすくして、安定性を高める特徴があります。 主な用途として、化粧品の乳化剤、可溶化剤と幅広く使用されています。
界面活性剤の中では皮膚への刺激がもっとも弱く、毒性もほとんどないため、現在では主力の界面活性剤となっています

界面活性剤はお肌に悪いの?

ここまで界面活性剤についてお話してきましたが、いまいち界面活性剤がお肌にいいのか悪いのか分からない方も多いかと思います。
お肌に悪いのか確かめるために、界面活性剤のメリットとデメリットについてみていきましょう。

メリット

まず、化粧品の成分を均等に混ぜ合わせて安定性を高めることができます。
界面活性剤を使うことによって、水性と油性の材料を混ぜ合わせて乳液やリキッドファンデーションを作ることができ、さまざまな成分が混在している化粧水を無色透明にできるのです。
次に、皮脂やメイク汚れを落としやすくすることができます。 クレンジング剤に含まれる界面活性剤によって、汚れた皮脂や浮いたメイクを水と混ぜて流すことができます。また、泡立ちをよくする作用もあるので、泡の力で汚れを落とす効果が期待できます。

デメリット

界面活性剤は油を浮かせて流すことで、汚れやメイクなどを落とすと同時に、必要な皮脂まで奪ってしまう可能性があります。それによって、肌を守るために備わっているバリア機能を損ないやすいというデメリットを持っています。また場合によっては、界面活性剤は皮膚への浸透することもあり、有害な物質までもが肌の中に入り込み、乾燥やシミ、ニキビなどの肌トラブルの原因になる可能性があります。

このように、界面活性剤にはメリットもデメリットもあり、種類によっても洗浄力の強いものや弱いもの、脱脂力の強いものなどさまざまな特徴を持っています。そのため、一概に「界面活性剤=肌に悪いもの」とは言えません。さらに、本当に気をつけるべき成分は国が配合量の規制をしているので、あまり怖がりすぎなくても大丈夫です。 肌質や目的に合わせ、特に敏感肌の方は、種類や使い過ぎに気をつけて上手に使っていくことが大切です。

シリコンとは?

化粧品に使われているシリコンは、正式にはシリコーンと表記します。
シリコーンは、酸素とケイ素と有機基からなる有機化合物で、その有機基の種類によって、熱や光に強い、柔軟性がある、通気性が高いなど、さまざまな特長をもつ優れた成分です。とても安全性が高く、安定な素材のため、日用品や食品、工業や医療の分野などで幅広く活用されています。
化粧品で多く使われているシリコーンの成分名には、「メチコン」・「ジメチコン」・「シクロメチコン」・「シロキサン」・「シラノール」などがあります。
中でもジメチコンは、撥水性が高く、軽い伸びやべたつきのなさといった潤滑性にすぐれた効果を持つ化粧品成分です。

シリコンはどんな化粧品に含まれるの?

皆さんがシリコンと言って思い浮かべるのはシャンプーやリンスではないでしょうか?
実は、その他にも乳液やクリーム、ヘアエッセンス、ファンデーション、マスカラ、アイシャドウ、アイライナー、口紅など挙げたらキリもないくらい多くの商品にも使われています。

シリコンは毛穴を詰まらせて角栓やイチゴ鼻の原因になるってホント?

シリコンは、毛穴を詰まらせて角栓やイチゴ鼻の原因になるといった話を聞いたことがあるのではないでしょうか?
先に結論を言いますと、これはウソです!
化粧品に使われているジメチコンやアモジメチコンといったシリコーンは、安全性が非常に高く、酸化しにくく、皮膚感作性も認められていないためアレルゲンとなり肌荒れを起こすこともありません。
そのため、毛穴に詰まりにくく、角栓などの原因になるリスクも低いのです。

また、私たちの肌にはバリア機能をサポートして、外の刺激から皮膚を守るはたらきを担っているアクネ菌などの皮膚皮常在菌が存在します。 皮膚常在菌のエサ(栄養分)は、皮脂や汗などであり、安定性の高いシリコーンがエサになるといった可能性はとても低いです。

いつの間にかシリコンは危険、ノンシリコンが良いという認識が広まっていますが、シリコーンはとても安定性が高く、多くの優れた特性を持つ安全な成分です。

合成香料とは?

合成香料は化学反応を利用して人工的に作られた香りです。
種類は3000以上あるとされており、自然界にはないものや個性的な香りも作り出すことができます。 また合成香料の作り方には大きく分けて3種類あります。

1) 単離香料
自然の香りに近づけるために天然香料が持つ芳香成分を化学処理によって取り出したもの
2) 半合成香料
単離香料で取り出した成分だけを原料にして化学的に合成したもの
3) 合成香料
天然香気成分や天然に存在しないが香料として有名な化合物を石油などから化学的に合成したもの

合成香料は同じ香りを安定的に供給できます。また、単一の成分となるため不純物が少なく、安定性が高いといったメリットもあります。しかし、天然香料の持つ深い香りは出にくくなる、化学物質のためとりすぎると様々なリスクがあるといったデメリットもあります。

お肌に優しい天然香料を選ぶべき?

合成と天然と聞くと、なんとなく天然の方が体に良さそうと思う方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、一概に天然香料が体に優しく、合成香料が体に悪いとは言えません。
天然香料とは、香りを持つ天然の植物などから蒸留、抽出、圧搾等の物理、化学的処理によって取り出した香料のことです。
天然香料には、植物の生育条件によって香りの質や濃度にばらつきが出たり、不純物が多く含まれていたりとデメリットもあります。

また、合成、天然にかかわらず、肌に合わないリスクはゼロではありません。肌に負担を与えるからこそ厳しい基準で香料成分を自主規制しています。
香るということは、低分子成分であり、肌に吸収されやすく皮膚トラブルを招くリスクが出てくることにもつながります。特に、敏感肌の方は自分の肌に合うか合わないかをしっかりと見極めて楽しむことが大切です。

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