美容医療のかかりつけ わたしの名医

たるみや小顔治療としても人気のあるハイフ(HIFU)ですが、施術により後遺症被害が相次いでいることを受け、消費者安全調査委員会は報告書をまとめました。報告によると、2015年〜22年までの8年間で、135件の事故報告があることが分かりました。

この報告により、ハイフに対する不安や心配を感じられる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、医師の寺井 美佐栄 先生にご監修いただき、「ハイフの後遺症や合併症の原因」や「ハイフの注意点」について消費者安全調査委員会の報告書を元に解説します。
後遺症から身を守るための対策についても解説するのでぜひ参考にしてみてください。

監修者

ミサクリニック六本木本院

医師 寺井 美佐栄 先生

複数の大手美容皮膚科での院長経験を経て、満を辞して2022年9月にミサクリニック六本木本院を開業。
メスを使わずに「ナチュラルなキレイ」を引き出す技術に定評がある寺井先生。「メスを使わない美容施術、必見!!Dr.みさえの素敵になり隊」というYouTubeで美容医療に関する情報を毎週配信しています。

◆当コラムの掲載記事に関するご注意点
※本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

ハイフの後遺症の被害とは?

消費者安全調査委員会によると、1年あたり20件近くの後遺症被害が相次いでいるという報告がまとめられました。具体的には以下のような後遺症の被害が報告されています。

・顔に障害が残ってしまった
・神経障害になった
・火傷を負ってしまった


被害を訴える方の多くは、医療機関ではないエステサロンや、セルフエステといった安易に受けられるサービスでの施術であることが報告されています。

ハイフは解剖学の知識や機械の原理、リスクなどをしっかり学んだ医療スタッフが施術するには非常に安全な機械とされています。

しかし、人間の解剖学やリスクなどを学ばずに安易に受けてしまうことでハイフが危険な機械にもなりうるということです。

ハイフは非常に効能の高い医療技術であると同時にリスクもあるということを理解して施術を受けることが大切です。

ハイフの後遺症や合併症はなぜ起きる?原因は?

なぜこのような後遺症や合併症などの被害が起きてしまうのでしょうか。考えられる主な原因は以下の2つです。

・施術者の知識・技術不足
・法の規制がない


ハイフは専門的な技術と知識を必要とする施術です。

しかし、ハイフには美容クリニックで医師や看護師による施術以外に、エステティックサロンでエステティシャンなどの非医療従事者が施術するほか、店舗に置かれたハイフをセルフで使用するセルフエステなどがあります。
このような場合、施術者の技術や知識が不足している可能性があります。正しい方法で施術を行わないと、後遺症や合併症が発生するリスクが高まってしまうのです。

たとえば、顔には「感覚神経」と「運動神経」の2つの神経があります。
「感覚神経」はしびなどを感覚じる神経。
「運動神経」は顔を動かす筋肉に作用する神経です。

これらの神経は皮膚の中を通っていますが、同じ深さでは通ってません。部位によって浅かったり深かったりします。そのため、ハイフを照射してはいけない部位は避け、神経に当たらないようにハイフを照射しなければいけない、これが鉄則です。

ハイフによる後遺症被害は、法の規制が曖昧なため、このような知識・技術不足によるものが大きいと考えられます。厚生労働省などによって定められた安全基準も不足している状態です。

ハイフの施術に関する規制が曖昧であり、安全性を確保するための基準が不足していることが事故被害の大きな要因のひとつと考えられます。

ハイフのデメリットと注意点

たるみや小顔など魅力的な効果が得られるハイフですが、施術を受ける前に、デメリットにも目を向ける事が大切です。主には以下のことが挙げられます。

痛み・赤み・腫れがでることがある

肌状態や施術内容によっては、術後に痛みや赤みが強く出たり、腫れやむくみが起こるケースもあります。
このようなダウンタイムを避けるためには、施術当日は入浴を避けるなど注意事項を守り、症状が早く回復するよう配慮することが大切です。

一般的には腫れが出ても一週間ほどで引いていくことが多いとされていますが、症状が長引く場合は早めにクリニックに相談しましょう。

やけどの可能性がある

ハイフの照射出力が強い場合はやけどや水ぶくれが起こることもあります。やけどは、ハイフの失敗事例の中でも多くなっています。やけどや水ぶくれは、色素沈着になる可能性もあります。

神経損傷の可能性がある

ハイフは皮膚の深い部分にあるSMAS層に働きかけますが、皮膚の奥には神経もあるため、誤って照射すると神経を傷つけてしまうこともあります。

神経の損傷によって顔の歪みが生じる「顔面神経麻痺」やしびれる感覚が現れる「感覚神経麻痺」が生じる可能性も考えられます。多くの場合、数ヶ月ほどで症状は落ち着くとされていますが、このような失敗は施術者の技量不足が主な原因です。

顔がこけて見える場合がある

もともと顔に脂肪が少ない方がハイフを繰り返し行うことでこけて見えることがあります。頬がこけてしまうことで逆に老けて見える場合もあるのでとくに注意が必要です。

失敗を防ぐためにも、あらかじめ医師によるカウンセリングを受け、顔の骨格や脂肪のつき方などを直接確認してもらった上で施術を受けるようにしましょう。

ハイフの後遺症を防ぐためには?

今回紹介したようなデメリットや後遺症から守るためにはどうしたら良いのか、対策を紹介します。

信頼できるクリニックで施術する

ハイフの施術を少しでも安全に、効果が実感できる施術を受けるためには医療機関であるクリニックで受けることを検討しましょう。価格の安さだけではなく、解剖学などの知識が豊富で症例実績の多いクリニックかどうかが重要です。

ハイフは施術箇所や出力を間違えることで、皮膚のダメージや痛みが強く長引いてしまうことにつながります。

また、同じ機械でも、顔の骨格や肉付きなど個々の顔の特徴に合わせてパワーや設定を変えていくことで効果も変わります。

知識や施術の経験の少ないところで受けると、思いもよらない被害を受ける可能性が高まってしまいます。美容エステやセルフエステなど、医療従事者以外の施術者から受けることは避け、できる限り失敗の可能性を減らしていくことが必要です。

アフターフォローが充実しているところを選ぶ

ハイフは乾燥や炎症しやすく、ときに腫れや赤みなどのダウンタイムを伴う施術です。

もしもの時のために、アフターフォローが充実しているクリニックで受けるようにしましょう。クリニックでは必要に応じて薬を処方してもらえることもあります。
施術後の対応や緊急時の対応についても、クリニックや口コミなどであらかじめ確認しておくと安心です。

施術後にダウンタイムが長引くようであればすぐにクリニックに相談しましょう。

消費者側も何が安全で何が危険なのかをしっかりご自身で理解した上で受けることが大切です。

ハイフは信頼できるクリニックに相談を

ハイフはSMAS筋膜にアプローチすることで、肌のハリ・ツヤの改善や弾力感のアップなど幅広い効果が期待できる人気の治療です。しかし、どんな治療にもメリットだけでなくデメリットがあるため、技術や実績のある信頼できるクリニックで施術を受けることが大切です。

ハイフによる後遺症や合併症の被害は、施術者の技術や知識不足が大きな要因となっていると考えられます。また、法的な規制が不十分なため、適切な知識や技術のない人々が安易にハイフを行うことでトラブルが発生する可能性があります。

施術経験が豊富な医療機関で受ければ、安全に美容効果を得られるため、注意点を理解した上で、理想的な肌を目指して美容医療と正しく付き合っていきましょう。

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