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エクオール 大豆イソフラボンのパワーの源!気になる効果や副作用とは?

大豆イソフラボンから生成される「エクオール」。
女性の健康と美容をサポートするサプリメント成分として注目されているのをご存知でしょうか。

この記事では、エクオールの効果や副作用、効果的な取り方についてご紹介します。

エクオールとは

まずは、エクオールは大豆イソフラボンと何が違うのか、体内でどのように生成されるのかをご説明します。

エクオールとはどんな成分?

エクオールは、大豆イソフラボンから体内の腸内細菌によって生成される成分です。
もともと女性ホルモン(エストロゲン)様作用があることが広く知られるイソフラボンですが、その効果は人によってバラつきがありました。研究が進むにつれて、イソフラボンの効果は活性代謝物のエクオールによるものではないかという仮説がたてられ、注目されるようになったのが「エクオール」なのです。

エクオールができる仕組みとは?

まずイソフラボンには「配糖体」と「アグリコン」という2つの形態があります。
自然の大豆に含まれるイソフラボンは糖と結合した配糖体の形をしていますが、体内に入ると腸内細菌によって糖が切り離されて「アグリコン」の形になります。

イソフラボンのアグリコンの種類には、主にダイゼイン・ゲニステイン・グリシテインがあり、このうちダイゼインが腸内細菌によってさらに代謝されることで、エクオールが産生します。エクオールは元のイソフラボンよりもエストロゲン活性が高く、女性の健康と美容により高い効果があることが分かっています。

エクオールを作れない人がいる?

現在、エクオールを産生する腸内細菌は15種類ほど確認されていますが、産生菌の有無や腸内細菌叢(腸内フローラ)の違いから、エクオール産生能に個人差が生まれます

エクオールを産生できる人の割合は、日本・中国・台湾などの大豆を食べる習慣のある地域で約50%、欧米では約20〜30%と報告されています*¹。また、同じ人でもストレスや生活習慣の乱れ、加齢などで腸内フローラのバランスが変化するとエクオール産生能が低下してしまう場合もあるようです。

さらに、近年の日本では若年層でのエクオール産生者の顕著な減少がみられます
最新の報告*²では、日本人は約30%までエクオール産生者の割合が低下しているとも言われており、これは食事の欧米化や腸内環境を整える食物繊維の摂取不足なども原因の一つと考えられています。

期待できる効果

ここでは、エクオールによって期待できる効果をご説明します。

エストロゲン作用/抗エストロゲン作用

エストロゲンと類似した構造をもつエクオールは、エストロゲン活性を調節しホルモンバランスを整える作用があります。

閉経後のようなエストロゲンが体内で不足しているときには、エクオールがエストロゲンの代わりに受容体に結合することで、エストロゲン作用を発揮します。
逆にエストロゲンが過剰にあるときには、エストロゲンが受容体へ結合するのを邪魔することになり、抗エストロゲン作用を示します。
その結果、以下のような効果が期待できます。

・更年期症状の予防・改善

更年期にエストロゲンが減少すると自律神経の働きをうまくコントロールできなくなり血流が滞りやすくなります。その結果、冷えのぼせ(ホットフラッシュ)や頭痛、肩こり、めまいなどの症状を引き起こします。
エクオールのエストロゲン作用により、自律神経の働きや血管壁の柔軟性を改善することで更年期症状の予防・改善に効果が期待できます。

・肌のハリやしわを改善

エストロゲンは肌の弾力を維持するコラーゲンやエラスチンの生成に関与します。
エクオールのエストロゲン作用により肌のハリやしわ、潤いを改善する効果が期待できます。

・骨密度の減少を抑制

エストロゲンには骨吸収を抑えて骨のカルシウム量を維持する働きがあります。エストロゲンの急激な減少は骨密度の低下につながり、進行すると骨折の原因にもなります。
エクオールのエストロゲン作用により、骨密度の低下を抑えて骨粗鬆症の予防に効果が期待できます。

・関節や手指の痛みを改善

関節や手指の痛みの原因の一つにエストロゲンの減少があります。関節や腱鞘の周りの滑膜にはエストロゲン受容体が多く存在し、エストロゲンは滑膜の腫れを取り炎症を抑える働きがあります。
エクオールを摂取することで、エストロゲンの減少で引き起こされた関節痛、手指の痛みを改善できる可能性があります。

・悪玉(LDL)コレステロールの減少

エストロゲンは肝臓で悪玉コレステロールの代謝を促進する働きがあります。エクオールのエストロゲン作用は脂質代謝を促進し、悪玉コレステロールを減少させる効果が期待できます。

・糖代謝の改善

エストロゲンにはインスリンという血糖値を下げるホルモンの作用を高める働きがあります。そのためエストロゲンの分泌が低下すると、インスリンが効きづらい状態(インスリン抵抗性)になり血糖値が上がりやすくなります。エクオールのエストロゲン作用は、このインスリン抵抗性を改善し糖代謝を促す効果が期待できます。

・乳がんの予防

乳がんの発症にはエストロゲンが深く関与しており、高濃度のエストロゲンに乳腺が影響される期間が長いほど乳がんの発症リスクが高まることが知られています。
以前より、大豆イソフラボンを摂取することで乳がん発生率を減少させることが報告されていました*³。
近年エクオールについても研究が進められ、その抗エストロゲン作用から、乳がんの予防に役立つ可能性が報告されています*⁴。

抗アンドロゲン作用

アンドロゲンとは男性ホルモンの総称です。
エクオールには、男性ホルモンの一種であるテストステロンに働きかける酵素(5-αレダクターゼ)を阻害する作用があり、テストステロンの活性を抑えます。
また、エクオールは、テストステロン活性代謝物と直接結合して受容体に作用するのを邪魔することで男性ホルモンの過剰な働きを抑えます。
その結果、以下のような効果が期待できます。

・前立腺肥大症や前立腺がんの予防

前立腺は男性特有の臓器で、テストステロン活性化の影響を受けて、次第に肥大化していきます。前立腺が大きくなりすぎると尿道を圧迫し、排尿困難や頻尿などの症状を引き起こす前立腺肥大症を発症します。またテストステロンは前立腺がんの病気の進行に深く関与すると考えられています。
まだ研究段階ですが、エクオールの抗アンドロゲン作用は、前立腺肥大症や前立腺がんの予防に役立つ可能性が報告されています*⁵。

・脱毛

テストステロンは活性化されたのち、頭皮の男性ホルモン受容体に結合することで毛母細胞の増殖を抑制し、髪の成長期を短縮して薄毛や脱毛を引き起こします。
エクオールはテストステロンの活性を抑えることで、薄毛や脱毛を改善する効果が期待できます。

抗酸化作用

エクオールは体内のアミノ酸(アルギニンなど)から一酸化窒素(NO)を生成するのを促進します。一酸化窒素には抗酸化作用があるため、紫外線やストレスによって生成する活性酸素から私たちの体を守ってくれます。

・シミやしわなどの肌老化を防ぐ効果

活性酸素により皮膚の線維芽細胞がダメージを受けると、コラーゲンやエラスチンの生成が阻害され、肌のシワやたるみを発生させます。また、メラノサイトが刺激されることにより、メラニンの生成が活性化されシミができます。
エクオールは肌での活性酸素の生成を抑えて肌老化を防ぐ効果が期待できます。

・動脈硬化を防ぐ効果

血液中の悪玉(LDL)コレステロールは活性酸素によって酸化され、酸化LDLへと変化します。酸化LDLを異物とみなした免疫細胞は酸化LDLを貪食し、その結果できたプラークと呼ばれる粥状の物質が血管壁にたまることで動脈硬化を引き起こします。
動脈硬化は、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病へとつながります。
エクオールはLDLの酸化を抑えて動脈硬化と共に生活習慣病を防ぐ効果が期待できます。

エクオールを産生するには

エクオールの効果を実感するには1日およそ10㎎の摂取が目安とされています。個人差はありますが、エクオール10㎎を腸内で産生するためには、大体50mgの大豆イソフラボンが必要です*⁶。

・食品から摂取

イソフラボン50㎎に相当する食品量
・豆腐:2/3丁(200g)
・納豆:1パック(50g)
・豆乳:コップ1杯(200g)

POINT

大豆食品を一度にたくさん摂取しても、腸内細菌によって作り出されたエクオールは数日以内に尿として排出されます。適量を毎日継続して食べることが大切です。

・サプリメントから摂取

普段から大豆食品の摂取が少ない方や、エクオール検査(※)で十分量のエクオールを産生できていないと分かった方は、サプリメントの摂取を検討してみても良いでしょう。
エクオールのサプリメントは現在多くのメーカーから販売されていますが、各メーカーでエクオールの配合量や一緒に配合されている成分(食物繊維、ポリフェノール、ビタミンなど)が異なるためご自身に合ったものを選択しましょう。

(※)エクオール検査「ソイチェック」
尿検査で、尿中のエクオール量を調べる検査です。
エクオールが体内でどれくらい産生できているかをレベル1〜5の5段階で評価します。 取り扱い医療機関で検査をされるか、もしくはインターネットで検査キットを購入しご自身で検査をすることもできます。

POINT

サプリメントは医薬品のように飲むタイミングは決まっていません。1日分を1度に飲んでも、朝と夜など複数回に分けて飲んでも問題ありません。毎日ご自身が決めたタイミングで継続して服用するとよいでしょう。

エクオールに副作用がある?

一般的なホルモン補充療法(HRT)では、不正出血や胸の張りや痛み、胃のむかつき・吐き気、ごくまれに血栓症などの副作用が現れることがあるのに対し、エクオールの副作用は現在のところほとんど報告されていません
エクオールはあくまで食品であり、エストロゲンの強さはHRTの1000分の1程度です。
副作用がない分、効果も穏やかと言えますが、その安全性からホルモン補充療法(HRT)が行えない患者さんの代替案として多くの医療機関で積極的に用いられています。

ただし、大豆アレルギーがある方は服用を控えましょう。下痢や腹痛、皮膚の痒みや発疹などのアレルギー症状を引き起こす可能性があります。

大豆イソフラボンのパワーの源 エクオールでいきいきとした毎日を

健康と美容に嬉しい効果をもたらす「エクオール」。
「最近太りやすくなった」「更年期症状が出始めた」など、加齢とともに気になる症状が出てきたときに、毎日の食事にプラスしてエクオールを取り入れてみるのもいいかもしれません
ただし、エクオールはあくまでサプリメントであり、基本の食事では足りない栄養素を補い健康をサポートするためのものです。病気を治療する効果はありません。通院中の場合はかかりつけの医師や薬剤師に服用を相談するようにしましょう。

(参考文献)
1)内山成人(2015): 大豆由来の新規成分エクオールの最新知見, Nippon Shokuhin Kagaku Kogaku Kaishi, 62(7), 356-363.
2)Yoshikata R, Myint KZ and Ohta H (2017):Relationship between equol producer status and metabolic parameters in 743 Japanese women: equol producer status is associated with antiatherosclerotic conditions in women around menopause and early postmenopause. Menopause,24, 216-224.
3)国立がん研究センター
HP:https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/258.html
4)Rafidah Hod,Sandra Maniam, and Nurul Huda Mohd NorA(2021):Systematic Review of the Effects of Equol (Soy Metabolite) on Breast Cancer,Molecules. 26(4): 1105.
5)Akaza H, Miyanaga N, Takashima N et al.(2004) Comparisons of Percent Equol Producers between Prostate Cancer Patients and Controls: Case-controlled Studies of Isoflavones in Japanese, Korean and American Residents ,Japanese Journal of Clinical Oncology, 34(2)86–89
6)大塚製薬
HPhttps://www.otsuka.co.jp/eql/tab/equol/about.html

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