肌にハリを与えるエラスチンとは何か?徹底解説
肌にハリを与える効果があるエラスチン。コラーゲンが肌にハリを与える成分として有名ですが、似た働きをするエラスチンは聞いたことがないという方も多いのではないでしょうか。 今回は、エラスチンの働きや効果について解説します。 エラスチンについての疑問を解消していきましょう。
今回、エラスチンについて教えてくれたのは
薬剤師 小浦枝里さん
薬剤師。総合病院門前薬局・クリニック門前薬局・新規開局薬局・大手調剤薬局等さまざまな規模の薬局にて認定薬剤師として勤務を経験。のべ8万人の薬物治療をサポートしてきた。分かりやすい服薬指導はもちろん、患者様の心に寄り添って悩みを解決し、「あなたに相談してよかった」と言われる薬剤師であることを一番心がけている。
自身も4人の子供を育てるママであることから、小児科領域の患者様より「かかりつけ薬剤師」に指名いただくことが多い。
現在は病院薬剤師として勤務する傍ら、接遇指導や記事執筆だけでなく一般向けに健康フェアを開催し、生活習慣病をテーマに人々の健康のサポートや、薬剤師の仕事に興味を持ってもらえるよう小中高校生向けにワークショップを行うなど多方面で活躍中。
エラスチンとは
エラスチンの基本情報
エラスチンとは繊維状のたんぱく質で「弾性繊維」とも呼ばれており、皮膚などの組織に含まれています。20代前半の肌にピークに含まれているため、この年代の方の肌にはハリがあると言われています。 エラスチンは再生されにくく食事で摂りにくいため、化粧品などで補うことが多い成分です。
よく混同されるコラーゲンやプラセンタとの違い
エラスチンやコラーゲン、プラセンタはよく混同されますが、それぞれ働きが違います。 違いを知り、自分の肌に合ったものを選ぶと良いでしょう。
プラセンタ
哺乳動物の胎盤のことで、アミノ酸や糖質、ペプチドなど美肌に必要な成分が豊富に含まれている。肌サイクルをサポートする働きがあり、コラーゲンやエラスチンなどの美肌成分の働きを助ける線維芽細胞にも関与するため、美容に効果がある成分として有名。
コラーゲン
たんぱく質の一種で伸びたり縮んだりしない反面、引っ張りに強い性質がある。肌を支え、ハリを与える成分。
エラスチン
たんぱく質の一種でしなやかで弾力性・伸縮性があり、コラーゲン同士の関わりを助け、肌の弾力を保つ働きがある。
エラスチンの効果・働き
エラスチンは、主にコラーゲン同士の関わりを助ける働きがある繊維状のたんぱく質です。ゴムのように弾力性や伸縮性の性質があり、皮膚の真皮や血管、靭帯などに存在しています。肌 にハリを与えて弾力を保つなど年齢サインが気になる方の肌に効果があり、若々しい印象に導く働きがあります。
エラスチンの減少とハリ不足が起きる理由
エラスチンは肌にハリを与えるため、若々しい見た目作りに重要な成分です。エラスチンは年齢と共に減少し、再生されにくいため化粧品等で補う場合が多いです。紫外線によっても肌はダメージを受け、減少が起こります。
・年齢・・・年齢を重ねることでエラスチンは減少する。
・紫外線・・・紫外線のUV-Aによりエラスチンは影響を受け、ハリ不足に繋がる。
エラスチンを保つために紫外線対策も重要。
・筋肉・・・肌の筋肉が少なくなることによって、弾力を保ちにくくなる。
エラスチンとよく併用される3つの成分
エラスチンはコラーゲン同士の関わりを助けるため、相性が良く併用されることが多いです。また、他にもセラミドやビタミンA、オルニチンなどとよく併用されています。
セラミド
セラミドは肌にとって必須の成分で、角層細胞の隙間に存在して肌の水分を保ちます。充分なセラミドで満たされている肌はバリア機能がサポートされるため肌荒れが起こりにくく、肌表面が潤いキメが整いやすくなります。エラスチンと併用することでハリが与えられるだけでなく、みずみずしい印象の肌を目指すことができます。
ビタミンA
ビタミンAは肌を保護し、美しい肌を保つ成分です。美容成分であるエラスチンやコラーゲンをサポートする働きがあるため、併用することで乾燥、敏感肌などをケアができます。
オルニチン
オルニチンはハリとツヤのある肌に必要な成長ホルモンに関与し、美肌成分をサポートしてくれます。成長ホルモンに関与するため忙しい日々を過ごす方の肌に効果があると言われており、エラスチンと併用することでハリが与えられていきいきとした印象に導くことができます。
ラボガールの内緒話
教えてくれたラボガールは
永田さん
最近ランニングを始めた永田さん。
風が心地よく、程よい汗をかくことができて、体もすっきりします。少しずつ寒くなってきたので、ランニングの回数も減ってきたそう(笑)
サイクリングもしてみたいそうですが、自転車に乗るのが苦手だそうで、まずは自転車に乗る練習から!
エラスチンは、コラーゲンを束ねる性質を持っており、体の内部での弾力性や伸縮性に関わっています。 主に、ハリや弾力を保つ、動脈硬化を防ぐ、靭帯の伸縮を維持するといった3つの性質があります。
① ハリや弾力を保つ
コラーゲン同士を結び付け肌を内側から支えることで、真皮のエラスチン繊維とコラーゲン繊維による網目状の構造をしっかりと保つ性質があります。しかし、活性酵素により繊維構造のバランスが崩れると皮膚の土台が崩れ、しわやたるみが現れます。
② 動脈硬化を防ぐ
心臓や血管に存在し、弾力を与える性質があります。しかし、活性酸素や加齢によってエラスチンが減少してしまうと、血管の柔軟性が失われるため、動脈硬化や心筋梗塞、脳血栓などの疾病にかかりやすくなると考えられています。
③ 靭帯の伸縮を維持する
エラスチンやコラーゲンが弾力性に富んでいるため、エラスチン繊維とコラーゲン繊維が集まって構成される靭帯も伸縮性を保っています。 エラスチンが不足すると、伸縮性が失われ、靱帯断裂などの怪我をしやすくなるといわれています。
化粧品に配合されるエラスチンは主に「豚由来」と「魚由来」の2種類からとることができます。
その中でも、豚由来のエラスチンはヒトのアミノ酸の構造に最も近いと言われていて、相性が良いと思われます。
豚由来エラスチンの原料は、1頭の豚からわずかしか採れない大動脈血管です。
また、魚由来エラスチンの原料は動脈球で、マグロなどの回遊魚の心臓の補助ポンプとしての役割を担っている、白いゴムのような弾力を持った球です。
こちらも1匹から採れる量はわずかで、エラスチンはとっても貴重なものだと分かりますね!